第231話 駆け出す者達
作者_(:З)∠)_「うおおー!引っ越し作業が進まないので更新が遅れたすまぬー!」
ヘルニー_(:З)∠)_「なので今週は二話更新予定よー」
ヘイフィー_(:З)∠)_「雨の日が多くて荷物の運び出しが上手く進まないのです。でも新居のネット環境は安定したので、本格的に執筆が出来るようになりました」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
皆さまの声援が作者の励みとなっております!
「し、ししし死ぬかと思いました……」
スタート直後に起きた謎の大爆発を免れた僕達だったけど、いきなりのトラブルにトレーシーさんは涙目だ。
「どうやら原因はこれみたいですね。地面に埋まっていたマジックアイテムが爆発したのが原因みたいです」
僕は荒れ果てた地面に転がっていたマジックアイテムの欠片を拾い上げる。
見た感じ使い捨ての攻撃マジックアイテムかな?
「何でそんな物が埋まってるんですかぁーっ! って言うかこんな大爆発に巻き込まれて何で私生きてるんですか!? あっ、実はもう死んでたりします!? 幽霊になっちゃってたりします!?」
混乱したトレーシーさんが実は死んでいるんじゃないかと疑い出したので、僕は大丈夫だと彼女に説明をする。
「大丈夫ですよトレーシーさん。この程度の爆発なら無詠唱の範囲防御魔法で何とかなりますから」
そう、爆発の起きる瞬間、僕は咄嗟に皆を保護する範囲防御魔法を発動させたんだ。
「そ、そうなんです……か? 私魔法使いの方が使う魔法についてはよく知らないので」
「ええ。そうなんですよ」
幸いなことにマジックアイテムは劣化していたみたいで、大した威力じゃなかったのも幸いした。
「「「「「いやそんなことないから」」」」」
と思ったら突然皆がそんなことないと言い出したんだ。
「え? え? どっちなんですか?」
ほら、トレーシーさんも急にそんな事を言われたから困惑しちゃってるよ。
「レク、ラクシさんの魔法は普通じゃないから、間違いなく普通じゃないから」
「そうそう、兄、姉貴の魔法は凄ぇからよ。アンタ運が良いぜ」
「まぁレク、ラクシの魔法が普通じゃないのはともかく、運が良いのは確かよね。いきなりこんな爆発に巻き込まれたんだし」
ちょっとちょっと皆、それじゃ僕が普通じゃないみたいじゃないか。
「いやいや、僕の魔法は普通ですよ。どちらかと言うと爆発したマジックアイテムの威力が低かったんですよ」
「「「「「「普通の防御魔法は周囲を更地にするような大爆発に余裕で耐えたりしないから!」」」」」」
そんな事ないと思うんだけどなぁ。
前世じゃ国一つ消滅させるような威力の魔法を防ぐ防御魔法を無詠唱で使う人達も居たくらいだし。
「それはそうとして、そろそろ動いた方が良いと思う」
と、そんな事を話していたらメグリさんが移動を促してきた。
「もう皆居なくなってる」
「え?」
周囲を見回すと確かに僕たち以外の参加者の姿はなく、居るのは運営の人達だけ……
「「「「「「あぁーっ!?」」」」」」
しまった! 爆発に気を取られて巡礼の旅の事を忘れてたよ!
「とりあえず話はあとで。今は急いでスタートしましょう!」
「そ、そうですね!」
「皆、急ぐよ!」
「「「「「「おぉーっ!!」」」」」」
そんなこんなで僕達はかなり遅れてスタートする羽目になってしまったんだ。
◆
走りながら僕は魔法の袋から一つのネックレスを取り出し、トレーシーさんに差し出す。
「トレーシーさん、これを身に着けてください」
「これは?」
ネックレスを受け取ったトレーシーさんは手の中のネックレスをまじまじと見つめている。
「防御魔法とかを色々込めておいたマジックアイテムです。いざという時はこれがトレーシーさんの身を守ってくれますよ」
「マジックアイテム!? そんな高価な品をお借りしても良いんですか!?」
「ええ、巡礼の旅はかなり危険みたいですから、身を守る手段は多いに越した事はありませんよ」
もっともこれは元々神殿の人達の護身用の為に準備していたマジックアイテムなんだけどね。
神殿内は侵入者撃退用の結界が張ってあるから安全だけど、外に出たら結界は守ってくれないからね。
けどまさかあんな場所に不発マジックアイテムが落ちてたのは想定外だった。
聖都がこんなに危ない場所と知っていたら、全員分揃う前に出来上がり次第渡していけばよかったよ。
「って言うか今、色々って言ったけど、他にはどんな機能が……」
「トレーシーの姉ちゃんだけいーなー。俺も兄、姉貴のマジックアイテム欲しーぜー」
そしたら突然ジャイロ君が自分もマジックアイテムが欲しいと言い出したんだ。
急にどうしたんだろ? もしかしてトレーシーさんが羨ましかったとか?
でも正直皆にこれは必要ないんだよね。
「いやいや、皆の分の装備はもう作ってあるでしょ? その装備はトレーシーさんの汎用型と違って最大限皆の力を引き出せるように調整されている特注品だよ?」
「そ、そうなのか姉貴?」
「そうだよ」
そう、トレーシーさんに渡したのは誰が使っても効果が変わらない汎用型であって、個人用にチューニングしたジャイロ君達の装備とは引き出せる力に雲泥の差があるんだ。
「そ、そっか。特注品か。まぁそう言う事ならしゃーねーか!」
良かった、納得してくれたみたいだ。
ところでいまミナさんが何かを言おうとしてた気がしたんだけど、気のせいだったのかな?
「ありがとうございますラクシさん」
「いえいえ、お気になさらず。さて、それじゃあトレーシーさんの用意も出来た事だし、そろそろ本気で走ろうか」
トレーシーさんがマジックアイテムを装備したのを確認すると、僕は本格的な移動を皆に提案する。
「ほ、本気ですか? でも私あんまり足が速い方では……」
「ああ、大丈夫です。トレーシーさんは僕が抱きかかえますので安心してください」
「え? 抱える」
「ちょっと失礼」
僕は足に自信が無いというトレーシーさんを抱きかかえると、身体強化魔法を発動させる。
周囲を見回すと、皆も身体強化魔法を発動して準備万端だ。
「じゃあ皆行くよ!」
「「「「「おーっ!」」」」」
僕達は先行した参加者達に追いつくため、全力で走り出した。
「う、うきゃぁぁぁぁぁぁぁっっっ!? 何!? 速っ!? 景色が凄い勢いで後ろにっ!?」
スピードが上がった事にトレーシーさんが悲鳴を上げる。
「あっ、大丈夫ですよ。さっきのネックレスに仕込まれた防御魔法が風圧と加速による重圧からも身を守ってくれますし、呼吸の補助もしてくれますから」
「何それ!? 何で走るだけでそんな事から身を守られる必要があるんですか!?」
「え? だって全力で走ったら音を超えた速度になりますし、風圧防御と重力加速度防御と呼吸補助は必須ですよ?」
「絶対普通じゃないですよぉぉぉぉぉぉっ!! 死ぬ! 絶対死ぬ!」
「安心してください。この状況で落ちたら普通はミンチですけど、ネックレスの防御魔法が効いているので擦り傷一つ付きませんから」
「ぜんっぜん、安心できなぁぁぁぁぁぁぁい!!」
まぁ音を超えた速度で走ると地面が滅茶苦茶になっちゃうから、普段はそこまでスピードを出したりしないけどね。
レクス_(:З)∠)_「音速走行は基本だよね?」
モフモフ_Σ(:З)∠)_「まず人間は音速で動かない。気付けご主人」
レクス_(:З)∠)_「ハハハ、御冗談を」
モフモフ_Σ(:З)∠)_「地面逃げてぇー!」
地面(・ω・;)「無茶言うなし」
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