第228話 猛き神の信徒の襲来
作者_(:З)∠)_「更新ですよー!」
ヘルニー_(:З)∠)_「まっことアイスが美味しい季節でございます」
ヘイフィー_(:З)∠)_「引っ越しが近づいてきたから、冷凍庫の中身を処分していかないとねー」
作者└(┐Lε:)┘「あと積んでるガンプラ作ってダンボールのスペース確保しないと」
ヘルニー└(┐Lε:)┘「それはなんか違わない?」
作者_:(´ཀ`」∠):_ ...「廃棄するランナー分重量とスペースが減るんや! あと説明書が一箱分貯まると結構重いんやで!」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
皆さまの声援が作者の励みとなっております!
◆戦神司祭◆
「主神神殿が帝国と通じているだと!?」
主神神殿がおかしな事になっているという噂を聞いた俺は、調べに行かせた部下から驚くべき報告を受けていた。
「は、はい。帝国訛りのある旅人が主神神殿に足蹴く通うのを見たと言う噂話を近隣の住人より得ました。事実、巧みに隠しては居ましたが帝国訛りのある人間が主神神殿近くをうろついているのも確認済みです」
「しかし何故帝国が主神神殿などと? あそこはいつ潰れてもおかしくないオンボロ神殿だろう?」
事実、ここ何十年も聖都では我々戦神の神殿と商売神の神殿が栄え、主神神殿は没落の一途だ。
あんな落ち目の神殿と関わって帝国と何のメリットがある?
「どうも帝国の皇帝は主神神殿を盛り返して、その恩を利用して本国での足場を固めようとしているみたいです。その為に実力者を何人も本国から送り込んできたようです」
「はぁ~?」
なんだそりゃ、あんな連中の力を当てにしないといけないとか、帝国の皇帝は腑抜けかぁ?
「ふん、帝国も大したことないな」
とはいえ、これはチャンスだ。
落ち目とはいえ、神に仕える神殿が国に支配されるなんざ神への冒涜ってもんだ。
「よぉーし、俺が直々に主神の神殿を罰してやろう!」
「ええっ!? 高司祭様の許可を取らずにそんな事をしたらお咎めを受けますよ!」
部下が腑抜けた事を言い出したから俺は思わず呆れてしまった。
「馬鹿いえ、そんなことしたら他の連中に盗み聞きされて手柄を横取りされるに決まってるじゃねーか!」
高司祭の周りにはゴマすりだけは得意な腰巾着が多い。
連中は高司祭にすり寄る事で、情報を盗み聞いて他人の手柄を盗み取りやがる。
お陰で実力もない連中ばかりが出世してくんだから、ウチの神殿も腐敗するばかりってもんだ。
「集められるだけ部下を呼べ! 時間勝負だ、直接主神神殿の前に集めろ!」
「「「は、はいっ!」」」
俺の命令を受けた部下達が蜘蛛の子を散らすように駆けだした。
さぁーて、俺がのし上がる為の餌になってもらおうか、主神神殿よぉ。
◆
主神神殿にやって来た俺は、部下達がある程度集まったのを確認した所で動いた。
「出てこい! 主神神殿の神殿長!」
部下の風魔法を使って声を大きくし、神殿内部に音を届かせる。
すると巣を追い出された虫のように主神神殿の司祭共が中から出てきた。
はははっ、出てきた出てきた。
「な、何ですか一体!?」
「やっと出て来たか! 俺は戦神様に仕える神殿騎士隊長サントイだ! 貴様等には帝国と密約を結んでいる容疑がある! 大人しく我々の調査を受けろ!」
「は? 帝国との密約!? 一体何の事ですか!?」
俺が容疑を告げると、案の定主神の神殿の司祭共はしらを切る。
まぁそれは予想していた事だ。だがそんな事はどうでも良い。
連中がしらを切ろうと、力づくで調べれば良いだけだからな。
「しらばっくれるな! お前達は帝国から金と人員と融通してもらう代わりに、聖都が持つ神々の権威を悪用して奴らの侵略に協力するつもりなのだろう! この教会の姿がその証拠だ!」
そう言って俺はまるで新品同様になった神殿を指さすようにハルバードを突きつける。
「ご、誤解です! 神殿は聖都にいらっしゃった旅の信徒達の善意で補修して頂いたのです!」
ははっ、下手な言い訳だ。
「ふん、早くも馬脚を現したな! ただの旅人がそんな金を出せるわけがなかろう!」
俺の指摘にぐうの音も出なかったらしく、主神の司祭が言い返す事も出来ずに口を閉じる。
「あ、貴方がたの言い分は一方的過ぎます! 我々が帝国と繋がっていると言うのなら、証拠を見せてください!」
「証拠だと? そんなものはこの神殿に入ればいくらでも出てくるだろうが!」
これ以上の口論は無意味だ。連中が証拠を隠す前に神殿に踏み込んでくれる!
だがそんな俺達と主神神殿の司祭達との間に二人の女が立ちはだかった。
「なんだ貴様等は!?」
「おいおい、誰だか知らねぇが随分勝手な事言ってくれてんじゃねぇか」
乱暴な言葉遣いで現れたのは、目つきの悪い小娘だった。
「証拠もなしに他の神殿に踏み入ろうとするのは流石に礼儀がなっていないんじゃないかしら?」
もう一人は胸がデカイ女だった。
主神神殿の司祭かと思ったが、見た目は冒険者にしか見えん。
「なんだお前等、冒険者……いやそうか、お前等が帝国から送られてきたと言う助っ人だな」
「「は?」」
ふん、腕利きを呼んだと聞いたが、こんな小娘共を送り込んでくるとは帝国も夜気が回ったな。
いや、巡礼の旅のルールを馬鹿正直に守る為に用意できたのがこの子娘達だけだったというところか。
あのルールの抜け道をしっていればこんな小娘共を送ってくるはずもないからな。
「だが悪くない」
「あん?」
「良いだろう。少し遊んで……いや躾けてやる。お前等、俺に負けたら戦神の神殿で奉仕労働をしろ。それでお前等の罪を許してやる」
「「はぁ~?」」
くくく、礼儀のなっていない小娘どもだが、俺の強さを見せつければ自分達の無謀さに気付くだろう。
その後はウチの神殿に連れ帰って戦神様に改宗させ俺の部下にしてやろう。
「くくくくっ」
「……なんか気持ち悪いわねこの男」
「……ああ、何かゾワッとした」
はははっ、戦っても居ないのに怯えているのか!?
「さぁ武器を構えろ! 戦神の司祭の力を見せてやろう!」
俺は小娘共に向かって武器を構えながら駆けだす。
簡単に終わってくれるなよ!
「ぬぅんんぬぉわぁっ!?」
小娘共に武器を振り下ろしたその時だった。
突然俺の体が何かに阻まれたのだ。
「な、なんだこれは!?」
俺の体はそのまま後ろに弾かれ、思わず尻餅をついてしまう。
な、何だ? 何が起きた?
「お、お前達、今何をした!?」
「えっ? 何? 何の事?」
「何をしたもなにも、アンタが勝手に尻餅ついたんじゃねぇか」
何だと? 小娘共は何もしていないだと?
では今のは一体!?
何が起こったのか全く分からなかったが、だからといって呆けてはおれん。
俺は再び武器を構えると小娘どもに向かって切りかかった。
ボヨンッ
だがまたしても何かに阻まれて後ろに弾かれてしまった。
「い、一体何なのだこれは!?」
俺は手を突きだすと、小娘共に触れる前に手が空中で止まる。
ここだ、ここに何かがある。
「おい! この見えない壁はなんだ!?」
だが小娘共だけでなく、主神の司祭共のしらばっくれて応えようとはしない。
仕方ないので部下の魔法使いに調べさせる。
「これは……結界!?」
「結界だと?」
主神神殿の司祭め。何が何も知らないだ。
こんな昼間から外敵に襲われているわけでもないのに結界を張るなど、後ろめたい事をしていると主張しているようなものではないか!
「よし、結界を解除しろ!」
俺は部下に結界の解除を命じるが、部下はすぐに無理だと首を振った。
「無理です。こんな強力な結界は見た事もありません。それに入り口だけでなく、神殿全体に結界が張られている模様です。これほど広範囲に結界を張り続けるなど不可能です!」
神殿全体に結界だと!? いったいどれほどの魔力を使っているのだ!?
「おい! 無罪だと言うのなら、この結界を解除しろ!」
「誤解です。私は結界など張ってはいません」
「「……」」
だが主神神殿の司祭共はしらばっくれるばかりだ。
「とぼけるな! わざわざ結界を張って我々の侵入を拒むとは! やはり主神の神殿は帝国とつながっているのだろう!!」
「と、とんでもない、そんな事はしておりません!」
「なら何故入れぬのだ! 後ろめたい事が無いのならすぐに我等を入れろ!」
だが主神神殿の司祭共はがんとして認めようとしない。
さてはこの隙に証拠を隠す気だな!
「神殿を囲んで誰も逃げられないように見張れ! これほどの結界だ。長時間は維持できんはずだ!」
結界が解除されたらすぐに飛びこんで証拠を掴んでやる!
そんな時だった。一人の爺いが俺の脇を抜けて主神神殿の司祭共に話しかけたのだ。
「司祭様~、また腰の治癒をお願いできんかね~」
「え? あ、いえ、今はちょっと取り込んでまして……」
突然乱入してきた爺いに主神神殿の連中も困惑している。
「そうなんかい? じゃあ昨日のお嬢ちゃんに魔法をかけてもらおうかねぇ」
そう言って爺いは神殿の中へと入っていった。
……なんだったんだあの爺いは。
「あっ」
と、そこで部下が間の抜けた声を上げた。
「今、入っていきましたよね」
部下が指さしたのは神殿に入っていく爺いの後ろ姿。
「……はっ!?」
すぐさま俺は部下に号令を出す。
「全員突入――っ!!」
「「「「おおおおぉぉぉぉっ!!」」」」
「「しまっ!?」」
小娘共が慌てるが、もう遅い! 結界が解除されればこちらのものよ!
これを機に主神神殿を完全に叩きのめしてくれ……
ガボンッ
次の瞬間、俺達は水の中に居た。
「ガボボッ(何だ)!?」
間違いない、水の中だ。しかも足が付かない深い水の中だ!
何で!? どうして!? 俺は主神神殿に居た筈だ!?
「ガボボボッ(どうなってる)!?」
い、いかん! このままでは沈む! 急いで水面にあがらないと!
「ガボボボッッ(よ、鎧が重い)!!」
うぉぉ! 金属鎧が重くてうまく泳げん! しかも中の服が水を吸ってさらに重く!
し、死ぬ! このままでは死んでしまう!!
「ゴボブボボボォォ(誰か助けてくれぇぇぇぇ)!!」
◆リリエラ◆
「……な、なにが起きたんでしょう」
神殿に押し入ろうとしていた戦神の司祭達が突然姿を消した事で、主神神殿の司祭様達だけでなく、騒動を遠巻きに見ていた野次馬達も困惑していたの。
でもそんな中、私とジャネットことジャイロ君だけはその理由に気付いていた。
「これ、間違いなくそうよね……」
「間違いなくそうだよなぁ……」
うん、間違いなくラクシさんことレクスさんが原因だわ。
きっと神殿を改築する時になんかやらかしたのね。
何をやらかしたのかは分からないけど、きっと碌でも……とんでもない事だわ!
でもこれ、どうやって誤魔化そう……
「……なぁ、あれってもしかして主神様の罰を受けたんじゃないのか?」
そんな事を悩んでいたら、不意に野次馬達がそんな事を言い出したの。
「……だよなぁ。戦神の司祭って言えばいつも偉そうにしてるし、今だって滅茶苦茶な理由で神殿に押し入ろうとしてたもんな……」
「……さっきの爺さんだけじゃなく今も普通に信徒が通ってるし、神様が失礼な不信心者を追い払ったんじゃないか? ……」
彼等の言う通り、戦神の司祭達が居なくなったことで、何も知らずにやってきた信徒達は普通に神殿へと入っていく。
……うん、これだわ。
「きっとそうよ! 神様が不心得者を追い払ってくれたのよ!」
「おう! きっとそうだぜ! 兄、神様が悪ぃ奴らを追い払ってくれたんだな!」
ジャイロ君も私の考えを察してくれたらしく、すぐに同意して話を誘導するのに協力してくれた。
「え、ええ? そ、そうなんですか?」
「きっとそうですよ! だってこんな事普通の人間には無理ですし!」
私達は困惑する司祭様達をを強引に説得し、何とか戦神の神殿の司祭達が姿を消したのは神罰だったという流れにする事に成功した。
「「はぁ~、危なかったぁ」」
なお、姿を消した戦神の神殿の司祭達は、聖都の近くにある湖に飛ばされていたらしく偶々漁に出ていた近隣住民の網によって命を救われたのだとか……
サントイ_:(´ཀ`」∠):_ ...「ぶえーっくしょい!」
漁師_(:З)∠)_「あんれまぁ、随分と不細工な魚が獲れたもんだベ」
面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、感想や評価、またはブクマなどをしてくださるととても喜びます。




