第226話 神殿を補修しよう!
作者_(┐「ε:)_「更新だよー!」
ヘルニー_(┐「ε:)_「おうちの中でも使えるスペースを取らないダイエット器具が欲しい」
ヘイフィー_(┐「ε:)_「ペダルを踏んでおいっちにおいっちにって足踏みするマシンとかスペース取らなくて良くない?」
作者_(┐「ε:)_「まー、買うかどうかは引っ越しのあとだなー! 電動自転車も欲しい」
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トレーシーさんに手伝いを申し出ようと聖堂にやって来ると、丁度神殿長と共にどこかに出かけようとしている所だった。
「あの、トレーシーさん」
「あら貴女達。何か御用?」
「はい、お二人はお出かけですか?」
「ええ、貴女達のお陰で巡礼の旅に参加する目途が立ったから、今から参加表明をしに出かけるの」
そっか、確かに各神殿の威信が掛かった儀式なんだから、参加表明は重要だよね。
「それで貴方達の御用は?」
「えっと、ぼ……私達も教会のお手伝いをさせて頂いてよろしいですか?」
「え? そんな悪いわよ」
僕達が手伝うと言うと、トレーシーさんは慌ててそんな事をする必要はないと言ってくる。
「巡礼の儀までまだまだ日にちがありますから、ぼーっとしてるのも時間がもったいないですし」
「そう? 何だか悪いわね」
実際何もしないって言うのも暇だしね。
「皆さん、ありがとうねぇ」
申し訳なさそうなトレーシーさんと、僕達の好意を喜んでくれる神殿長。
「いえいえ、これからしばらくの間お世話になるんですから気にしないでください」
そんな訳で僕達は留守番をしつつ神殿の手伝いをする事にしたんだ。
「よし、それじゃあ、僕は教会の修繕を担当するね。結構ボロボロになってるから、しっかり直しておかないとね」
「じゃあ私達は掃除かしらね。これだけ広いと明らかに人手が足りてないだろうし、少しずつ順番に掃除をしても、全ての部屋を一周する頃にはまた埃が溜まってそうだわ」
「ん、天井も埃だらけ。飛行魔法で飛んで掃除する」
ミナさんとメグリさんは神殿の掃除を担当してくれるみたいだね。
「あー、んじゃ俺は外で食える魔物でも狩って来るぜ。畑がどんなもんか分かんねぇけど、俺達まで厄介になったら全然足りねぇだろうからな」
「そうね、だったら私はジャイロ君と一緒に狩りに参加するわ。余った素材は冒険者ギルドに買い取って貰って、売り上げの一部で香辛料や調味料を買って神殿に寄付すれば遠慮される事なく受け取って貰えるんじゃないかしら?」
リリエラさんとジャイロ君は食材の調達と。
「僕は教会に治療を求めてきた方々の治療を担当しますね」
ノルブさんは信者さん達の治療か。いい感じにバラけたね。
「よーし、それじゃあ頑張って教会の手伝いをしよう!」
「「「「「おーっ!!」」」」」
さっそく僕は教会を修繕する為に、教会の中と外を見て回る。
そして教会の壁に手を当て、魔法を発動する。
「エコーリサーチ」
僕の手から放たれた魔力が神殿中建材の中を駆け巡り、目に見えない情報を僕に伝えてくれる。
浸透調査魔法エコーリサーチ、魔力による波動で対象内部の状況を把握する魔法で、建築物などの状態を調査する事にも使われる便利な魔法だ。
「うーん、やっぱりかなりボロボロになってるね。外側だけじゃなく、内部も悪くなってる。将来の事を考えると今のうちに大々的な補修をした方が良さそうだね」
今はまだ大丈夫だけど、このまま放っておいたら取り返しのつかないことになる。
だからこれを機に全面的に補修してしまおう。
「まずは補修用の素材を用意しようか。エクストラクトマテリアル!」
僕は魔法で地面の土や石から教会の建材に使われている素材を抽出し、大きな塊にして集める。
素材抽出魔法エクストラクトマテリアル、これは地中に存在する微量な素材を集めて一塊にする魔法だ。
石切り場や鉱山の鉱脈が枯れてしまった時や、そもそも周辺に鉱山が無い時に特に有用な魔法なんだ。
まぁごく微量の素材をかき集める為の魔法だから、長期的な採取には向かないけどね。
「次はっと、リペアコーティング!」
次いで発動した魔法によって、集めた素材が液体のように蠢き、教会の壁を伝って全体へと広がってゆく。
補修魔法リペアコーティング。
あらゆる建材を液状にして、ひび割れた箇所や欠けた部位を埋めてくれる魔法だ。
これを使えばどれだけボロボロになった素材でも綺麗な塊に出来るんだ。
まぁ、あんまり補修前の建築物が損傷していると、元の形とは似ても似つかない形になる危険があるんだけど、幸いこの神殿はそこまで壊れてはいない。
表面に塗りつけるようにコーティングしていけばほぼ問題はない。
「よし、こんなものかな」
補修が完了すると、ボロボロだった教会は新品同様の姿へと生まれ変わっていた。
「ただこれだけじゃ見た目を整えただけだね。ここからが本番だ」
今はまだ神殿を形作っている建材を元通りにしただけだ。
ここからが建物の補修の本番と言えるだろう。
「この神殿を守っていた付与魔法の防御は切れていたから、まずはそれの付与し直しからかな」
そう、建築物、それも組織の建物といえば付与魔法による各種防御は必須だ。
「エターナルエンチャントプロテクション!」
まずは基本の防御魔法。
これで破城槌を喰らってもビクともしない防御力を確保できた。
これが木材なら耐火防御も必要なんだけど、石材だからその必要はないね。
「次は……エターナルエンチャントアンチマリス!」
次に発動したのは悪意を持った者達が指定した範囲に入れなくなる魔法だ。
これで神殿の敷地内に悪意をもった人間が入ろうとしても弾かれるようになった。
更に強引に入ろうとしたり暴れようとすると、遠く離れた場所にランダム転移する効果もある。
「それと状態保存の魔法をかけておこうかな エターナルスタートセーブ!」
最後に保存魔法をかけて建物の劣化を防ぐ。
手持ちの触媒だけで発動したから完全とはいえないけど、2、3000年くらいなら余裕で保つだろう。
「こんな所かな。一応教会だし、攻撃的な魔法防御は教義に反しちゃう可能性もあるからね」
何か会った時に変な言いがかりをされないように、防御魔法だけにしておこう。
「あとは畑の様子も見ておいた方がいいんだっけ」
教会の補修が終わった僕は、今度は教会裏の畑の様子を見に行く。
「あー、これはジャイロ君の予想がドンピシャだなぁ」
裏の畑は本当に小さな敷地を使った家庭菜園と言うべきものだった。
トレーシーさん達だけならともかく、僕達まで厄介になったらとても足りないね。
それに土が痩せているのか、作物の成長もいまいちだ。
「あっ、そうだ。確かこの間世界樹で使った肥料が余ってたっけ」
僕は魔法の袋から肥料を取り出すと、これを畑に撒く。
「あと敷地を有効利用する為に地下畑も作って食材を大量に補充できるようにしようかな」
そうと決まればさっそく畑の地下に追加の畑を作ろう。
「クレイロック!」
まず畑の真下の土を固め、地下の畑を作っても崩落しないようにする。
「クレイコントロール!」
そして地面の土を魔法で動かし、地下の空間を作っていく。
「そうだなぁ、とりあえず地下五階くらいまで作っておこう」
縦に五つの空間を作ると、それらに繋がる様に土の階段を形作ってゆく。
「エクストラクトマテリアル! リペアコーティング!」
素材抽出魔法で地下畑用の建材素材を集めると、補修魔法を応用して固めた土壁と土階段を分厚く覆ってゆく。
これはちょっとした建築魔法の裏技だったりする。
土で原型を大きめに作り、コーティング魔法で分厚く表面を塗布して状態保存の魔法をかければ、簡単な建築物だったら十分使用に耐えれるんだよね。
ポイントは完全に石壁で覆わないように、外の土と畑の土がつながる様に隙間のある石の柱を組むことだ。
土壁自体は魔法で崩落しないように安定させてあるからね。
あとは雨が降った時の為の排水用魔道具を排水溝に設置してっと。
「よし、日曜大工にしては良い感じだね。あとは地下に採光窓と結晶体を使った天井を作って、光が地上と遜色ないレベルで届くようにすればオッケーと」
今度は水晶を素材収集魔法で集め、前世で作った地下農業施設の建築技術を応用して自然光を地下に届くようにする。
あとは、適当に野菜の種を撒いて、水と肥料をかければ良しと。
「あっ、いけない。神殿長は結構な年だし、階段は辛いよね。階段の横に自動昇降機もつけておこう」
僕はすぐに階段の横に縦穴を作ると、そこに簡易昇降機を作って設置する。
「これも沢山の人が使う訳じゃないから、少人数用のもので良いよね」
よし、完成だ!
これで足腰の弱った神殿長でも安心して地下の作物を収穫に行けるね、
それにしても日が暮れる前に完成して良かったよ。
丁度作業してる間に地上の畑の野菜も良い感じに育ったから、あとで許可を取って一部を収穫しよう。
◆
「「な、何ですかこれぇぇぇぇ!?」」
畑の増築を終えて神殿の中に戻ると、トレーシーさん達の声が聞こえてきた。
「お帰りなさいトレーシーさん、神殿長さん」
「ラ、ラクシさん!? じゃあここって本当にウチの神殿なんですか!? 他所の神殿の間違いじゃなく?」
「はい?」
一瞬誰の事かと思ったけど、そう言えば今の僕はラクシって名前だったっけ。
「あっ、神殿の補修終わりましたよ」
「補修? 終わった? え? これが?」
補修を終えた事を告げると、トレーシーさんは首を傾げて不思議そうな顔をしていた。
「し、信じられない……あれだけボロボロになってた神殿がピカピカ、いえピカピカとかいうレベルじゃないレベルでピカピカに……」
何故かさっきからトレーシーさん達の語彙がおかしくなってる。
巡礼の旅の参加表明でそんなに疲れる事があったのかな?
「あっ、そうだ。裏の畑の作物が丁度食べごろですから、収穫して良いですか?」
二人共疲れているみたいだから、美味しい物を食べて貰って元気にしてあげよう。
「え? 畑の? でも収穫時期はまだ先だったような……」
僕は二人を連れて裏の畑に向かうと、そこには丸々と育った沢山の作物が実っていた。
「「デカッ!?」」
大きく育った作物に二人が喜びの声をあげる。
「え? え? 何コレ? ちょっと大きすぎない?」
「な、何が起きたんですか? それに見慣れない小屋が出来てますけど?」
「あっ、そっちは地下に作った畑に降りる為の階段と自動昇降機です」
「地下に作った畑?」
「自動昇降機?」
更にググッっと首を傾げる二人を自動昇降機に乗せ、僕は地下の畑へと降りてゆく。
「「はっ!?」」
「地下に畑を作った事で、今後は五倍の収穫量が見込めますよ。こっちはまだ種を撒いたばかりなので、収穫はもう暫く先ですけど」
「「はぁ……」」
地上に戻ってくると、丁度ジャイロ君達が戻って来た。
「あに……姉貴ただいまー! バッチリ肉を狩って来たぜー!」
「運よく食用に使える魔物の群れと遭遇出来て良かったわ」
二人は魔法の袋から大きな肉の塊を取り出すと、トロフィーの様に掲げる。
「お疲れ様二人共」
「今夜は肉料理だぜー!」
「調味料と香辛料もたっぷり買ってきたわよ」
ジャイロ君はよっぽどお腹が減ったのか、今にも涎を垂らしそうだ。
「あ、あんなに大きなお肉まで……」
「あ、貴女達は一体何者なの……?」
と、そんな事をトレーシーさんと神殿長が聞いてきた。
そう言えば、巡礼の儀に参加したいとは言ったけど、僕達が何者かは言ってなかったっけ。
でも今回は素性を隠したいから冒険者とは言えないしなぁ。
よしっ!
「ぼ……私達はどこにでもいる普通のぼ……信徒ですよ」
「「嘘だぁーっ!!」」
あれ? 何で信じてくれないの?
モフモフヾ(⌒(_'Д')_「お前等のような信徒が居るかぁー!」
レクス _:(´ཀ`」∠):_ ...「解せぬ」
神殿 _(┐「ε:)_「おっす、オラ神殿改め要塞になりました」
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