第223話 爆誕 ラクシちゃん現る!
作者_(┐「ε:)_「更新ですよー!」
ヘルニー_(┐「ε:)_「あと今日はNOTE公式連載「NG騎士ラムネ&40FX」の更新日でもありますよー!」
ヘイフィー_(┐「ε:)_「そっちの更新は12時からですので、こちらもよろしくねー!」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
皆さまの声援が作者の励みとなっております!
「それじゃあ女の子になって」
フォカさんの発した奇妙な発言に、僕達は思わず固まってしまった。
「……は?」
女の子? 何それどういう事?
「え? 何ですかそれ? 一体どういう……?」
するとフォカさんは頬に手を当てながらため息を吐く。
「実はね、この巡礼の旅は女性でないといけない理由があるのよ」
「女性でないといけない理由?」
一体なんだろう?
「巡礼の旅に出た若者の性別はね、女性だったの。そして集まった仲間達も女性だった。だから……」
それってもしかして……
「そう、当時を再現する為に、参加者は女性である必要があるのよ!」
な、何だってーっ!
「って、いやいやいや、無理ですよ。僕男ですよ!? 女の子になるなんて無理ですって」
そうだよ! そもそも僕は男だから、女の子になるなんて無理だよ。
フォカさんは僕に女装しろとでも言うつもりなの!?
「それは大丈夫。コレがあればね」
僕が強く拒否すると、フォカさんが懐から一本の小瓶を取り出した。
「それは……?」
何だろう? あの小瓶から妙に強い魔力を感じる。
「これはね、飲んだ人の性別を変える魔法の薬よ」
「「「「「「はぁぁぁぁぁっ!?」」」」」」
何それ、性別を変える薬!?
何でそんな物をフォカさんが!?
「大昔、とある偉大な大魔法使いが作ったとされる貴重な秘薬なのよ」
「どんな変態よ!」
ミナさんの容赦ないツッコミの言葉に僕の記憶が揺さぶられる。
性転換の薬、大魔法使い、変態……
「あ、ああっ……!?」
お、思い出した! 確か前々世で賢者をやってた時にそんな研究をしてる魔法使いが居たよ!
皆からそんな意味のない物を作ってどうするんだって言われてたけど、そうか、完成させちゃったのかぁ……
確かその人、『可愛い女の子になってチヤホヤされたい』とかなんとか言ってたような記憶が……
「で、これを飲めば貴方達も立派な女の子になれるって寸法よ!」
僕が前々世のことを思い出している間に、フォカさんの話は続いていたらしい。
けどなぁ、そんな胡散臭い薬を飲みたくはないし……
「……あ~、貴重な薬みたいだし、俺達は辞退した方が良さそうだな」
「ジャイロ君!?」
何とかこの状況を回避する方法はないかと考えていたら、なんとジャイロ君から裏切りともとれる発言が!
ちょっ! ジャイロ君!? まさか僕を見捨てる気じゃ!?
「そ、そうですね。元々僕は英知神様の信徒ですし」
「ノルブさんも!?」
それどころかノルブさんまで!?
二人共ズルいよ!
「兄貴「レクスさんなら大丈夫!」」
何が大丈夫なの!?
「それにホラ、元々兄貴への指名依頼だしな。俺達の分は最初から用意されてなかっただろうからさ」
「その心配は無いわ」
「「えっ?」」
薬がないから無理だろうと言うジャイロ君達に対し、フォカさんの手には三本の小瓶の姿があった。
って言うか、秘薬なのに全員分用意できたの!?
「ちゃんと予備があるから、貴方達も可愛い女の子になれるわよ」
フォカさんがニヤリと怪しい笑みを浮かべる。
「「ひぇっ……」」
その光景を見て思わず後ずさるジャイロ君達。
ふふ、僕を見捨てようとした罰が当たったね。
とはいえ、流石に怪しげな薬を飲んで女の子になるとかゴメン被りたい。
ここは女性であるリリエラさん達に任せて僕達はバックアップに専念するべきだろう。
あとほら、神聖な儀式だから、嘘は良くないしね。
「そ、その、神様を騙すのはよくない事ですし、やっぱりこの依頼は辞退と言う事で……」
しかしそれで諦めるフォカさんではなかった。
「貴女達! 捕獲して!」
「「「了解!!」」」
フォカさんの号令にまさか伏兵が居たのかと身構えるも、背後から誰かが僕を、いや僕達を羽交い絞めにする。
その人物はまさかの……
「リリエラさん!?」
そう、何故か僕を拘束したのはリリエラさんだったんだ。
一体どういう事!?
「ミナ!?」
「メグリさん!?」
裏切ったのはリリエラさんだけじゃなかった。
ミナさんとメグリさんまでジャイロ君達を羽交い絞めにしていたんだ。
「な、何で!?」
「ごめんなさいレクスさん」
リリエラさんが沈痛な顔で僕に謝罪の言葉を告げてくる。
まさか、フォカさんに脅されているの!?
「私、女の子になったレクスさんの姿、ちょっと、ちょっとだけ見てみたいの!」
「はぁっ!?」
い、いきなり何言ってるのリリエラさん!?
「お、おい、ふざけるのは止めろよミナ! 俺なんか女にしても面白くもなんともないぞ!」
「どうかしら? もしかしたら意外に似合うかもしれないわよ。それに……」
それはミナさんも同じだった。何故か彼女もジャイロ君が女の子になった姿を見たがっている。でもそれだけじゃないみたいで……もしかしてそこに皆の奇行の正体が!?
「それに、何だよ……?」
「アンタには日ごろから好き放題されてるから、たまにはこういう機会を利用して溜飲を下げないと私も堪ったもんじゃないのよ!!」
「あ、はぃ……」
あっ、うん。そう言われればそうですね……
ごめんジャイロ君。それに関しては僕からは何も言えないや。
「あの~」
「大丈夫、ノルブは絶対似合う」
「……ガクリ」
メグリさんの確信に満ちた言葉にノルブさんが肩を落として項垂れる。
終わった……
「それじゃあ皆、お薬の時間よ~!」
これ以上ないくらいにニコやかな笑みを浮かべたフォカさんがスキップをしながら近づいてくる。
「「「ひぃーーーーっ!!」」」
な、何とかして逃げないと!
あっ、駄目だ。無理に逃げようとすると密着してるリリエラさんの触っちゃいけない所に触りそうにっていうかもう押し付けられてたーっ!
などと馬鹿な事をしていたら、僕達の口に小瓶が突っ込まれる。
「ん、んぐっ!?」
「ぐぼっ!」
「ぼがっ!?」
うわっ、苦っ!
この薬滅茶苦茶苦いよ!
「さぁさぁ、諦めて飲み干しちゃいなさい!」
逃げるに逃げれない状況で、薬がどんどん口の中に流し込まれてゆく。
何とか吐き出さないと。
「えいっ」
って、鼻! 鼻を塞がないで!
「「「ゴキュッ!」」」
あっ、飲んじゃった。
こうなるともう止まらない。体が酸素を求めて薬を飲みほしてしまったんだ。
「ぶはっ! 苦っ! 不味っ!」
「うぇぇ、口の中がジャリジャリする……」
「何ともいえない後味の悪さが……」
結局飲み干してしまった秘薬の後味が最悪すぎて気持ち悪い……
「「「うっ!!」」」
「か、体が熱く……」
体内に入り込んだ秘薬の魔力が暴れるのを感じる。
ほ、本当に効果のある薬だったのコレ!?
「ふふ、薬が効いてきたみたいね」
秘薬の効果によって体がムズムズして、何とも言えない違和感が全身に走る。
くっ、状態異常を治療する魔法を……ってダメだ! なんかやたらと強い効果が回復魔法を阻害している!? それに効果が肉体に害をなす毒の類じゃないからか、回復魔法の効きが悪いのか!?
この効果の強さ、効能を一点に集中させた完全特化型の薬故って訳だね!
まるでなんとしても僕達を女の子に変えようという製作者の執念を感じるよ!
っていうか、この薬を開発した人、そこまでして女の子になりたかったの!?
「「「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」」」
……ようやく体の変化が終わり、僕達は荒い息を吐きながら呼吸を整える。
「う、うう……」
まったく酷い目にあったよ。
これで本当に女の子になっちゃったの?
自分ではいまいちどう変化したのか分からない為、リリエラさん達に確認して貰おうと思ったら、目の前に口元を抑え感極まった様子のフォカさんが居た。
「……しゅてき」
「え?」
フォカさんはプルプルと体と声を震わせながら言葉を紡いでゆく。
「似合うと思っていたけど、予想通り、いえ予想以上の可愛さよ! 最高よレクスくん、いえ、今の貴女は女の子なんだから……そうね、ラクシちゃんとかどうかしら!?」
どうやらちゃんと性転換は完了したみたいだけど、なんか変な名前付けられてるんですけど?
「ラクシ、です……か?」
「そうよ! 素性を隠す為には女の子として活動しなきゃいけないでしょ! その為の偽名よ! はぁっ、それにしてもしゅてき……愛しい、あっ、鼻血が」
興奮が振り切れたのか、フォカさんが勢いよく鼻血を噴き出した。
「フォカさん……」
マズい、フォカさんの様子が変だ。
誰か、誰かこの状況を何とかして……
「これは、意外だったわね。失敗しても笑い話になるかなーなんて思ってたら、まさかここまで可愛くなるとは」
傍に居たリリエラさんに助けを求めようとしたら、リリエラさんまで真剣な顔でおかしなことを言いだした。
リリエラさんもおかしくなってる!!
「アリね」
「何がですか!?」
これは本格的に不味いぞ!
皆様子がおかしすぎる。
もしかしてこの秘薬に変な付加効果が付いてたんじゃないのか!?
ミナさんとメグリさんは大丈夫なの!?
「うー、まだ口の中が不味ぃ、くっそー、覚えてろよミナァ」
「はぁ……はぁ……」
「ん? どうしたんだよ?」
ジャイロ君が顔を上げると、そこには異様に上気した顔のミナさんの姿があった。
「これは、なかなか……」
「は?」
「ああでも、もっとフリフリの服を着せてもいいかもしれない。寧ろ着せたい! アクセサリに、お化粧もしないといけないわよね! やる事は盛りだくさんだわ!」
「こ、怖ぇよお前……」
突然ブツブツと小声でつぶやきだしたミナさんにジャイロ君が怯えの色を見せる。
うん、気持ちは凄く分かるよ。こっちも同じような感じだし。
となるとやっぱりメグリさんもおかしくなってる?
けれど意外にもメグリさんは無言だった。
よかった、メグリさんは無事だったみたいだ。
と思ったんだけど、逆にメグリさんはピクリとも動かなかった。
これはこれでおかしくない?
メグリさんはずっと一点を見たまま止まっている。
そっちに何が……と視線を向けたのがいけなかった。
「え?」
その光景を見て、僕も思わず固まってしまう。
「どうしたんだよ兄貴? そーいやノルブはどうし……」
「メグリー? そっちはど……」
「どうしたのミ……ナ?」
「あ、あらあら、いけないわ。私ったらつい興奮し……」
皆が動きを止めた中、一人ノルブさんだけが困惑をあらわにしていた。
「あ、あの……皆さん、どうしたんですか?」
その言葉に僕達が発する事が出来たのは、ただ一つの言葉だった。
「「「「「「美少女だ」」」」」」
そこには、美少女が居た。
「え?」
「物凄い美少女だわ」
「これは予想外に美少女だわ」
「これはもう完璧に美少女」
「なにこれしゅてき」
困惑するノルブさんをよそに皆でノルブさんを褒め讃える。
「な、何言ってるんですか皆さん! レクスさん達も何とか言ってくださいよ!」
「え? あ、はい。美少女ですね」
「ああ、美少女だな」
「二人までーっ!」
事実、ノルブさんは美少女だった。
いや正直言ってここまで可愛くなると、もうそれ以外の言葉が思い浮かばないんだよね。
実はノルブさんって最初から女の子だったんじゃないかと思わずにはいられない程、その姿が似合っていた。
「いやまさかノルブさんがここまで美少女になるとは思ってもいませんでした」
「お前もう女のままで良いんじゃないのか?」
「嫌ですよ!」
ジャイロ君にそんな事を言われたノルブさんは全力で拒絶する。
まぁ、気持ちは分かるけどね。
「はぁ~、可愛い女の子ばかりで幸せ。皆さんこのままウチの娘になりません?」
「「「なりません」」」
やっぱりまだおかしくなってるフォカさんの発言は不穏当だ。
「まさか依頼の為に本物の女の子にされちゃうとはなぁ」
フォカさんの執念恐るべし……
けどこれ、本当に依頼の為だったんですよね?
それ以外の理由なんてないですよね?
「しゃーねぇ、さっさと依頼を終わらせて男に戻ろうぜ」
ジャイロ君達も覚悟を決めたのか、意識を切り替えて依頼を遂行する事にしたみたいだ。
「僕は今すぐ元に戻りたいです」
あ、ノルブさんは切り替わってなかったみたいだ。
「キュフン!」
と、その時だった。
突然聞きなれない動物の鳴き声が聞こえてきたんだ。
「え? 何、今の鳴き声?」
どこかに動物でもいるのかな?
でもここは冒険者ギルドだし、動物と言えば僕が連れてきたモフモフくらいだ。
「モフモフ? にしては声音が……」
そう、この鳴き声はモフモフの鳴き声とはちょっと声質が違う。
となるとやっぱり別の動物かと思って、周囲を見回す。
すると、僕のすぐそばにそれは居た。
「「「「「「「……モップ?」」」」」」」
「キュフン!」
そう、モップだった。
正しくはモップの柄を外したような丸い物体。
サラサラの毛で作った箒と言った方が近いかな?
ただ、それはゆらゆらと動いている事から、モップでも箒でもなく、生き物なのは確かだ。
「キュフウ!」
「あっ」
よく見るとそのモップの傍には見覚えのある小瓶が。
「……もしかして、飲んだの?」
「キュフン!!」
なんという事だろう。
モフモフは性転換の秘薬を飲んでモッ……メスになってしまったのだった。
ノルブ(女)_:(´ཀ`」∠):_ ...「完全に出番を喰われた!(謎のショック)」
ジャイロ(女)└(┐Lε:)┘「アイツ、メスになるとああなるんだな……いや知りたくもなかったけどよ」
モフモフ(メス)_Σ(:З)∠)_「サラッサラ美髪ヘアァー!!(シャラーン)」
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