第219話 魔法が効かないなら物理で倒そう
作者_:(´д`」∠):_「ようやく、ようやく修理に出した今日エアコンが戻ってくる」
ヘルニー(:3)∠)_「業者さんが来るたびに修理箇所が増えて、最後には本体丸ごと持ち帰ったもんねー」
ヘルフィー(:3)∠)_「公式NOTE連載『NG騎士ラムネ&40FX』もよろしくねー!」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
皆さんの声援が作者の励みとなっております!
「よっと!」
探査魔法で魔物の群れの反応を見つけた僕は、群れの正面に回り込んでから地上に出る。
するとそこは世界樹の郷の目と鼻の先だった。
「どうやら世界樹は無事なようだね」
ふぅ、何とか間に合ったみたいだ。
「兄貴っ!!」
僕を呼ぶ声に振り返れば、そこにはジャイロ君達の姿があった。
「お待たせ皆」
「ま、待ちくたびれ、あ、いや……な、なんだよもう帰って来ちまったのかよ。せっかく俺達だけでボスをぶっ飛ばそうと思ってたのによ!」
「何言ってんのよ。今にも負けそうだったじゃないの」
「ん、んな事ねぇよ! お前だって魔法が通じないって泣き言言ってたじゃねぇか!」
「い、言ってないし! ちょっと面倒くさいって思っただけよ!」
慌てて戻って来たけど、皆はいつも通りみたいで安心したよ。
「はいはい、二人ともそこまで。戻ってきてくれて助かったわレクスさん。こっちは今かなり困った状況になってるの」
「困った状況ですか?」
さすがリリエラさん、即座に空気を切り替えて情報共有に入る。
「魔物のボスが現れたんだけど、魔法が通じないのよ。身体強化魔法も同じね。近づくと強制的に解除されるのよ」
成る程、ユグドイーターは魔法を吸収するタイプの魔物だね。
こういうタイプの魔物のセオリーは物理攻撃か、魔法によって発生した魔力のない効果をぶつける事だけど……
「魔法で岩を浮きあがらせてぶつけてみたんだけど、殻が固すぎて殆どダメージが通らなかったわ」
「申し訳ないレクス名誉国王陛下。大きすぎて我々の武具も傷を負わせる事は出来るのですが、両断までは……」
「申し訳ありませんレクス師匠、我々の精霊魔法も通じませんでした。大地の精霊による足止めも無効化されてしまって」
皆も同じことを考えたらしく、それらの策が失敗に終わった事を報告してくれた。
魔法にも物理にも強いタイプな上に単純に大きい魔物か。厄介な手合いだなぁ。
「となるとやっぱり基本で攻めるのが一番かな」
「「「「「「「基本?」」」」」」」」
皆がどういう意味? と揃って首を傾げる。
「見てて皆。魔法が通じない敵を相手にする時の基本を見せるから」
探査魔法で周囲を確認すると、ユグドイーターで満たされた空間の中に不自然に大きな穴が開いていた。
そしてその場所には土砂をかぶってひっくり返った巨大な魔物が一匹。
成る程、探査魔法の探知を無効化していたから分からなかったんだね。
でも手下に囲まれたこの状況なら、逆に何の反応もない場所こそお前の居場所だと丸分かりだ。
「でも何でひっくり返ってるんだろう?」
あっ、もしかして皆で協力してマザーユグドイーターをひっくり返す事で時間稼ぎをしていたのかな?
成る程、攻撃が通じないから、周囲の地形を動かして相手の足止めに専念していたんだね!
やるなぁ皆。
攻撃が通じないなら通じないなりに創意工夫を凝らしている。
これこそ冒険者の知恵だね!
「よーし、僕も負けていられないね!」
「え? 何の話?」
僕は剣を構えると、マザーユグドイーターのボスの前に立つ。
そして呼吸を整え、マザーユグドイーターの全身を視界に納める。
「すぅー……ふぅ……すぅー……」
同時に倒れていたマザーユグドイーターが手下に手伝わせて起き上がる。
その視線は目の前に立つ僕に向いていた。
「ギュルアァァァァァァ!!」
皆から散々足止めを喰らってきた事に怒っているんだろう。
マザーユグドイーターは怒りの雄叫びを上げて僕に酸の塊を連続で吐き出してきた。
「それはトーガイの町で見たよ!」
僕は剣風で酸の塊を皆や世界樹に当たらない様に逸らせる。
「嘘だろ!?」
「魔法も使わないで攻撃を逸らした!?」
「ギュルォォォォォ!!」
飛び道具が通じないと分かったマザーユグドイーターが僕を切り刻もうと巨大な腕のハサミを突き出してくる。
「ふっ!」
相手の巨体が巻き起こす豪風に体を乗せ、流れに身を任せつつ巨腕に飛び乗る。
そして甲殻と甲殻の間の関節部に刃を剣風と共に放つ。
「風断ち二連っ!」
するりとマザーユグドイーターの両腕のハサミが切断される。
「うそぉーっ!?」
「何でっ!?」
「そして……」
切ったハサミを足場にマザーユグドイーターに向かって跳躍。
正面頭頂部から一気に……
「滝落としっっ!」
縦一文字にその体を切断し、体術で高々度からの落下の衝撃を受け流して着地する。
「ふぅー……」
残心と共に剣を鞘に納めると、マザーユグドイーターが音もなく真っ二つに割れ、地響きを上げて地面に崩れ落ちた。
「とまぁこんな感じかな。魔法が通じないなら純粋な剣技で対処すれば良いんだよ」
「「「「「「「…………」」」」」」」
そして皆の方に向き直って告げる。
「ねっ、簡単なやり方だったでしょ?」
「「「「「「「ぜんっぜん簡単じゃないっっっっ!!」」」」」」」
え? 前世じゃ定番の対処法だったんだけど。
ボス魔物(:3)∠)_「え? 何? 出番もう終わり? いきなり真っ二つにされたんですけど」
モフモフΣ(:3)∠)_「まぁお前は頑張ったよ。モブ達に絶望を与えたんだからな。ただ相手がもっと理不尽な絶望の権化だったというだけの話だ(ポンポン)」
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