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二度転生した少年はSランク冒険者として平穏に過ごす ~前世が賢者で英雄だったボクは来世では地味に生きる~  作者: 十一屋 翠
世界樹編

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第216話 大樹を喰らうモノ

ヘルニー┏|∵|┛. └|∵|┐♪┌|∵|┘「るんたったるんたった!」

作者(꒪ཫ꒪; )「ぐぉぉぉぉぉぉぉ! 腰の上で踊るなぁぁぁぁぁぁ!!」

ヘイフィー(:3)∠)_「商人勇者コミック4巻が5月14日に発売しまーす!」

ヘルニー┏|∵|┛. └|∵|┐♪┌|∵|┘「買ってねー!」

作者. :(´ཀ`」 ∠):「買って……ねー……グフッ」


いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さんの声援が作者の励みとなっております!


 ◆とある魔人◆


 俺達魔人と人間の戦いは停滞していた。

 優勢になったと思えばすぐに逆転される。

 そんな戦いを随分長い間続けていた。


 それゆえ魔人の間でも戦いを続ける継戦派と撤退を考える撤退派で意見が分かれていた。

 勿論俺は継戦派だ。

 だが現状では有効な策がない事も事実。


 そこで我々は人間界に俺達魔人界の魔物を送り込むことにした。

 俺達の世界の魔物はこの世界の魔物に比べて遥かに狂暴だ。

 ただそれが原因なのか、俺達の世界の魔物は人間界での生存に適していない種が多く、長期的な活動をさせることは出来なかった。

 この問題さえ解決できれば、人間世界に強力な魔物を大量に送り込めるものを。


 ある日、魔人界の奥地で生息するとある魔物が人間界にのみ生息する世界樹と呼ばれる植物を摂取する事で長期的な生存が可能である事が判明した。

 俺は歓喜した。

 人間界はそこら中に世界樹が生えている。これなら人間界を危険な魔物に満ちた世界にする事が出来る。


 人間の戦士達は無理でも、子供や戦う力を持たない生産個体を減らす事が出来る。 

 そうなれば長期的な視点で人間達の戦力を減らすことが出来るだろう。


 俺はすぐにユグドイーターと名付けた魔物を人間界に送り込んだ。

 そしてとある森をユグドイーターの繁殖場にしようとしたその時ヤツは現れた。


 白き災厄。一切の素性が不明なその魔物は人間魔族魔物の区別なく襲い、食い荒らした。 

 当然の様に俺が繁殖させたユグドイーター達も食い殺された。

 俺はこれ以上ユグドイーター達を減らされては堪らないと、地下に避難所を作り、そこでユグドイーター達を繁殖させる事にした。


 だがここからが問題だった。

 白き災厄は肉だけでなく、植物も食い荒らし始めたのだ。

 勿論その植物の中には世界樹も含まれていた。


 目立つ巨体が災いとなり、山のように生えていた世界樹は瞬く間に白き災厄によって食い荒らされていった。


 その結果これまで喰うものに困らなかったユグドイーターの食料が見る見るうちに減っていった。

 ユグドイーターは肉も食えるが、やはり最も栄養を摂取できるのは世界樹だ。

 俺は近隣の土地で唯一残った世界樹の傍にユグドイーターを移動させた。

 ここなら世界樹の落ち葉やめくれ落ちた樹皮で飼育する事が出来る。


 さらに暫く経ったある日、森が霧に包まれた。

 恐らくは人間共が白き災厄対策として森に結界を張ったのだろう。

 それだけなら良かったのだが、俺にとって最悪の事態が発生した。


 なんと世界樹の姿が忽然と消えたのだ。

 これも人間共の魔法が原因なのだろう。

 だがそれが原因で世界樹を食料として利用できなくなってしまった。

 

 当然飢えたユグドイーター達は食料を求めて森をさ迷いだした。

 そして偶然見つけた世界樹の落ち葉や実を仲間同士で奪い合い始めたのだ。


 このままユグドイーター同士で殺し合っては本末転倒だ。

 そこで俺はユグドイーター達を封印する事にした。


 そして封印が効いている間に世界樹のありかを調べ、人間共の魔法を解こうと考えた。

 俺は地下に巨大な封印結界を作り上げ、その中心に唯一残った世界樹の欠片を設置する。

 我々魔人には分からないが、ユグドイーターは世界樹の匂いを感じ取ることが出来るらしい。

 特に実の匂いが一番強いらしく、世界樹の実には殺到する性質があった。


 人間共に隠された世界樹もその嗅覚で察知する事が出来ればよかったのだが、人間共の魔法が優れているのか、ユグドイーター達の嗅覚がそこまで優れているわけではないのか、見つけ出す事は出来ないようだった。


 ともあれ、この世界樹の欠片の匂いに誘われてユグドイーター達が封印結界内部に集まるのを待つ。

 世界樹の欠片は俺が作った保護結界ですぐに食べることは出来ないようになっているので、全てのユグドイーターを集めるまで安全だろう。


 特に女王個体であるマザーユグドイーターはなんとしても保護しなくては。

 世界樹をふんだんに食べて育ったマザーユグドイーターは魔界に居たユグドイーターに比べて遥かに強力な力を有している。


 問題が発生した。

 ユグドイーターは全て集まったが、マザーユグドイーターが世界樹の欠片を求めて大暴れしたため、結界の一部が破損してしまった。

 これでは結界が張れない。

 仕方がないので、ユグドイーター達を眠らせてから結界を修理するとしよう……


 ◆


「記録はここで終わりか」


 僕は小部屋に残されていた記録から、この魔人がユグドイーターという魔物を封印しようとしていた事を理解した。


「そして完全に眠っていなかったユグドイーターに襲われて、あと一歩のところでここに逃げ込むのが間に合わなかったって所かな。封印結界だけは何とか展開できたみたいだけど」


 どうやらここは魔人の魔物育成牧場だったみたいだね。

 でも悪い企みは失敗、自分の育てた魔物によって最期を迎えたと。


「世界樹の郷を襲っているのは、封印から目覚めたユグドイーターって事だね。そして魔人の記録に載っていたマザーユグドイーターはここにはいなかった。きっと世界樹を求めて外に出たんだろうね」


 結果としては空振りだったけど、おかげで色々な情報を得る事が出来た。

 この世界から世界樹が消えたのは白き災厄が原因だった事。

 そしてユグドイーターが数少ない世界樹を狙っている事。


「……でも世界樹が無くても困らないんだよなぁ」


 正直言えば、定期的な世界樹の伐採って凄く面倒なんだよね。

 何しろあの巨体だからただ斬るだけでも面倒だし、切った後の材木を加工したり処分したりするのも面倒だし、切り株を残しておけば根っこから栄養を吸収するから周囲の土地の栄養が減るし……


「けど、種を絶滅させると環境が激変するからなぁ。そういう意味では世界樹も一定数残さないといけないのも事実だし……」


 でもやっぱり面倒くさいんだよね。

 どうしたものかなぁ。


 そんな風に悩んでいたら、再び地下が揺れた。


「また崩落!? いや、ちがう!」


 揺れの感覚が崩落ではなく、何かが揺れた震動が原因だと察知する。


「これはもしかして……マザーユグドイーターが動いた!?」


 だとすると、その目的地は!


「世界樹の郷が危ない!!」

魔/人(:3) / ∠)_「ふれあいユグドイーター牧場!」

モフモフΣ(:3)∠)_「開園失敗してるじゃねーか」


面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、感想や評価、またはブクマなどをしてくださるととても喜びます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 最後、魔/人って半分になってるの芸が細かくて好き。
[一言] 世界樹イーター…レクスさんの前々世にこいつがいたら いい雑草処理のアヒル扱いになったかもw
[一言] > 「……でも世界樹が無くても困らないんだよなぁ」 >  正直言えば、定期的な世界樹の伐採って凄く面倒なんだよね。 モフモフ「希望を持ってもいいのか?(´・ω・`)」
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