第214話 純白の祝祭
作者(:3)∠)_「今回は所用で更新が遅れてしまいましたー。ごめんねー」
ヘルニー(:3)∠)_「今週中にもう一話書きたいところねー」
ヘイフィー_(┐「ε;)_「新連載『六姫の魔法姫』好評連載中ですよー」
作者(:3)∠)_「そうそう、二度転生コミック4巻が重版となりました。このご時世に紙の本が即重版するのはかなり珍しいのでありがたい限りです。皆さんお買い上げありがとうございます!!」
ヘイフィー「あとTVアニメNG騎士ラムネ&40公式外伝企画『NG騎士ラムネ&40FX』の執筆を担当させて頂きました。公開開始までもう少しお待ち下さい!」
ヘルニ「お知らせ一気に来たな!?」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
皆さんの声援が作者の励みとなっております!
◆モフモフ◆
我は魔物の王。
ご主人に妙に食欲をそそられる匂いのする木に連れてこられた。
だが我としては向こうの匂いの方が気になる。
我野菜より肉派なので。
匂いの場所に向かおうとする度にご主人に阻止されてきたのだが、気が変わったのか行って良い事になった。
同行者はご主人のみだ。
……チャァーンスッ!!
良いぞ良いぞ! ご主人一人なら、魔物と戦っている時にでも撒いてしまえばよい!
そして我は自由になるのだ!
……と思ったけど、ご主人は強かったよ。
どれだけ沢山の魔物が出てきても、ご主人は我から目を逸らすことなく、こちらの居場所を把握した状態で魔物達を倒していた。
ええい不甲斐ないぞ魔物共! もっと頑張らんか!
仕方なしに我はご主人と共に匂いのする場所へと向かう。
辿り着いたのは地下への道だ。
そう言えば以前も我、地下で美味くて妙に力の出る肉を喰らったな。
もしかしたら我と地下って相性良いのかもしれない。
という訳で我はご主人と共に地下へと向かう。
我の目は暗闇も見通せる為、道に迷う心配はない。
何より自慢の鼻が魔物の居場所をはっきりと教えてくれるのだ。
うむ、匂いはどんどん濃くなってきているな。
こっちの方が匂いが濃いな。うーん、こっちは匂いが薄い。
むむっ、道が分かれてるな。
大きいが匂いの薄い道と、小さいが匂いが濃い道だ。
小さい道はご主人には無理だな。我でギリギリといったところか。
ふむ、となると進むは……
もっちろん小さい方だよねーっ!!
だってお目当ての場所に早く着くには匂いが濃い方を選んだ方が良いのは当然だし!
でもうっかりご主人が付いてこられなくてもそれはそれで仕方ないよね! 周りが暗くて我気付かなかったんだもーん!!
という訳で我は小さな道に飛び込んだ。
「※※※※!!」
後ろからご主人の声が聞こえたような気がするがきっと気のせいだよNE!!
その時だった。突然地下道に激しい揺れが起きたのだ。
むっ!? これはいかん!
我は野生の本能に従って奥へと進む。
ここに居てはいけない。今は全力で進めと我の本能が叫んだのだ。
全力で走っていくと、後方から激しい音と揺れとは違う震動が響いてきた。
音と振動はどんどん我に近づいてくる。
いかん、落盤か!
我は自身の体を風の魔法と炎の魔法を組み合わせて全力で押し出す。
空を飛ぶ時の要領で加速し、壁や曲がり角にぶつかりそうな時は風をクッションにして強引に曲がってゆく。
そうしてどれだけの時間走り続けただろうか。
気が付けば揺れも音も収まっていた。
ふぅ、何とか切り抜けられたか。
我は落盤を切り抜けた事に安堵する。
それと同時に、はぐれたご主人の事を思い出す。
いかなご主人といえど、あの落盤から逃れる事は無理だろう。
つまりご主人は……
やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ! 我自由の身だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
ヒューッ! 自然現象の落盤が相手じゃさすがのご主人と言えどもひとたまりもないよね!
いやー、心苦しいわー! ご主人のご冥福をお祈りしますわー!
という訳で我はご主人の無念を悔やみつつも、奥へと進むことにしたのだった。
ご主人も我がここで足を止める事は望んでいないだろうからNE!!
奥に進んでいくと、匂いはどんどん強くなっていった。
そしてしばらく進んでいくと、我は大きな空間に出た。
おおっ!? これは!!
我が出たのは広間状になった空間の壁の上だった。
ちょうど我が出た部分が突き出していて、崖上になっている。
そして下では、無数の魔物達が蠢いていた。
おお、匂いの元はこの魔物達だったか!
ヒャッホー!! ご馳走だぁー!
我は迷うことなく崖上から魔物目掛けて飛び込む。
飛び降りつつ魔法で自分の体を加速させ魔物の体に飛び込む、いや内部へと突き刺さる。
グギャァァァァァ!?
全周から体に穴を開けられた魔物の悲鳴が響きわたる。
魔物は暴れて痛みの原因を取り除こうとするが、体内に潜り込んだ我をどうする事も出来ない。
そして痛みに転げまわりながら我に体内から貪り食われるのだった。
よーし、美味しい所は戴いたので次の魔物だ!
我は魔物の体内から飛び出すと、次の魔物の体内へと飛び込み、その肉を、モツを、骨を喰らう。
おー、この魔物はハツが美味いな! こっちは皮を焼くとパリパリになって美味いな!
ああ、好き放題に魔物を食べ放題! なんと幸せな時間なのだろう!
食事制限とかない生活サイコーッ!!
ゴギャァァァァァァ!?
仲間達が突然もだえ苦しみ、肉を内側から貪り食われ息絶える姿を見て、魔物達が恐慌状態に陥る。
だがそんな事は知った事ではない。
我は気の向くままに目についた魔物達を美味しく頂いてゆく。
そんな時だった。
グルアァァァァァオ!!
力ある雄叫びが地下空間に響き渡った。
グルォォォ……
するとこれまで恐慌状態に陥っていた魔物達が冷静さを取り戻す。
成る程、群れのボスのお出ましか。
現れたボスは、地下空間の魔物達の中でもひときわ大きい巨体の持ち主だった。
ボスは喰われている仲間ごと我を攻撃してきた。
我は危なげなく魔物の肉体から飛び出して攻撃を回避するが、逃げ遅れた魔物が真っ二つに切り裂かれる。
ははははっ! 弱い仲間などどうでも良いと言う事か!
力ある者とはこうでなくてはな!
よかろう、我が相手になってやろう!
グギャォォォォォッ!!
ボスは一足で我との距離を詰める。
その眼差しはどこに逃げても無駄だぞと言いたげだ。
だが、その考えは間違いだ。
逃げ場が無いのは我ではない。お前だ。
我はボスの攻撃を正面から受け止めると、その腕をへし折る。
グギャァァァァァ!?
よもや迎撃されるとは思わなかったのだろう。
ボスの悲鳴が地下空間に響きわたる。
もう少し遊んでやってもいいが、我も食料を弄ぶ趣味はない。
これ以上苦しまぬよう、一撃で倒してやる。
我はその身に炎と風を宿し、ボスの体を焼きながら貫いてゆく。
これぞ我が食技ベイクインパルス!!
風と炎によって前方の肉を焼きながら喰い貫く調食一体の奥義だ!!
ボスの肉は肉質も丁度良い硬さで噛み応えも十分!
更に肉汁がとってもジューシー! この肉汁の量はもはや肉ジュース!!
美味い! 美味いぞぉー!!
ギャウァァァァァアッ!!
更にボスの悲鳴が最高の旋律となって我の食欲を刺激する!
モグモグモグモグッ!!
さぁ今度はこの部位を頂こうか。いやいや、それとももうメインディッシュに行くか?
ああ、次はどこを食べようか迷うな!
素晴らしき肉の楽園! ここは我の為に用意された肉牧場だったのか!
はっはっはーっ!! ご主人も居なくなった今! 世界は我のものだぁーっ!!
ドゴォォォォォォォンッ!!
……はい?
我が魔物肉パーティを満喫していたら、突然地下空間の壁が吹き飛んだ。
土煙の中から現れた魔法の光が、その奥からやってくる何者かのシルエットを照らす。
……いやいやいやいやまさかそんな。
……ないないないないそんなはずない。
だって生き埋めだよ! ペシャンコだよ!
生きてる訳がないよ!
「※※※※※!!」
げぇぇぇぇぇぇっ!! ご主人っっっ!?
無常、あまりにも無常。
土煙が鎮まった場所に佇んでいたのは、我がよく知る二度と会いたくない存在だった。
「※※※※」
ご主人が我に近づいてくる。
あっはい、あれですね。
ご主人を置いて逃げた我を処刑するのですね。
いえいえいえいえ、我そんなつもり欠片もありませんでしたよ。
ご主人をお助けしたかったですけど非力な我ではどうしようもなかったので泣く泣く進んで元凶である魔物達を相手にご主人の仇討ちをしていたのです。いやほんとほんと。
ご主人の手が我の頭を鷲掴みにする。
あっ、はい。駄目ですか。そうですか。
チョロロロロロッ
我は漏らした。
モフモフ(இ ω இ`。)「ちゃ、ちゃうんです。我悪い事なんて企んでませんよ……」
魔物(:3)∠)_「はーい!その人めっちゃ嬉しそうに我々でお肉パーティをしてましたー!」
ボス_(┐「ε;)_「そうそう、全然心配なんてしてませんでしたよー!」
モフモフ(இ ω இ`。)「き、貴様らぁぁぁぁぁぁ!!」
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