第213話 森の奥に潜むモノ
作者(:3)∠)_「今日は夜更新ですよー!」
ヘルニー(:3)∠)_「ほんとこの時期はモニターを見るのも辛いのよねー」
ヘイフィー_(┐「ε;)_「まったくですねぇ」
作者(:3)∠)_(こいつ! いけしゃあしゃあと!?)
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
皆さんの声援が作者の励みとなっております!
「ヒャーッハッハッハッハァー! 魔物は殲滅だぁー!」
現れた魔物の群れに、エルフの若い戦士達が向かって行く。
「切る斬る切る斬るぁぁぁぁぁぁ!!」
彼等は魔物の攻撃を紙一重でかわし、避け損なった者はエリクサーを飲んで回復したらまた向かって行く。
そして魔物にとりついてその体を確実に解体していった。
「クギャアァァァァン!!」
「勝ったぞぉぉぉぉぉ!!」
「ヒヒヒヒヒヒヒッ!! 俺達の勝利だぁーっ!!」
こうして今日も郷の平和は守られた。
最近ではエルフとドワーフ達が率先して戦うので、僕達は後方で待機してちょっと退屈だ。
でも若い戦士達が一人前になって命を散らす事が無くなるのはいつの時代も良い事だよね。
「キュッキュウ!」
そんな中、モフモフが魔物の肉を咥えながら郷から出て行こうとしたので、僕はその体を持ち上げて止める。
そしてモフモフが出て行こうとした方角を見つめる。
「うーん、そろそろかな」
◆
「郷の防衛体制も整ったので、僕は森に探索に行こうと思います」
戦闘の後、シャラーザさんに長達を集めて貰った僕は、郷の防衛から外れ森に行くことを提案した。
「レクス殿、流石にそれは危険すぎる。森の中は魔物の巣窟だぞ!」
「うむ、お主等が若い者達を鍛えてくれたおかげで、見違える程強くなったとはいえ……いやあれを素直に強くなったと言って良いのかはちょっと、ああいやそうではない。森に入るのは危険と言う話だ。過去にも戦士達が郷にたどり着く前に外で魔物を倒そうとして大変な目に遭ったのだ」
シャラーザさんだけでなく、長達も外に出るのは危険だと止めてくる。
「その通りだ。レクス名誉国王陛下の気持ちも分かるが、森の外に出るのは危険すぎる。魔物の襲撃が一段落するまで郷に籠って迎撃するべきだろう」
それはそれとして、ドワーフの長はその呼び方止めてくれないかなぁ。
「皆さんの言いたい事は分かります。でも僕はその危険を差し引いても調査するべきだと思うんです」
「調査? 討伐ではなくか?」
「はい。ここに来てから僕は探査魔法で周囲の状況を把握してきたんですが、ここ最近郷の周辺をうろつく魔物の数が加速度的に増えてきているんです」
「それは本当かレクス殿!?」
「ええ。今はまだ郷に気付かずうろついているだけですが、郷を見つけた魔物が仲間を呼んで一気に攻めてきたら、これまでとは比べ物にならない大規模な襲撃になります」
「なんと……!?」
これまで以上の戦闘になると聞いて、長達の顔が青くなる。
「なので僕は魔物達を送り込んでくる元凶を探しに行こうと思うんです」
「元凶!? まさか女王か!?」
それを聞いたシャラーザさんは、僕の狙いが魔物を産み出し続けているであろう女王種の魔物だと察する。
「ええ。魔物達は世界樹の実を狙っているそうですが、だとしても森の中の全ての魔物がここを狙ってくるのは気になります」
そもそも世界樹は世界最大の雑草と言われていたくらいだ。
世界樹を意図的に狙う魔物が居たのなら、前世の僕達は大喜びでその魔物を養殖しただろう。
「魔物はそこまで協調性のある存在じゃないですし、となると郷を狙うように命じている存在がいる筈です」
「誰かが魔物を操っているとでもいうのか!?」
例えば魔物使いと呼ばれる魔物を使役する存在も居る。
可能性は高いだろう。
「もしくは、魔物の中に強力な力を持ったボスが居る場合です。群れを成す魔物の中には、非常に強い強制力のある命令を出せる魔物も居ます。そういった魔物がいる群れは損害を度外視してボスの操り人形として動くんです」
そういったタイプの魔物は本当に厄介なんだよね。
しかもそういうのに限って、ボスの魔物の思考がねじ曲がってたりするんだ。
子供だけを狙ったり、特定の病気に罹った人間だけを狙う為に病気を広めたりとかさ。
「しかしそれでも危険すぎる。調査に出ると言う事は、それだけ郷から離れると言う事だろう? ならば郷の近くに遠征して魔物を削るほうが安全ではないか?」
ドワーフ王の提案はもっともだ。
魔物のボスがどこにいるのか分からないなら、先に敵の数を削った方が良い。
でも今回は僕にもアテがあるんだよね。
「それなんですが、ここに来てからと言うものモフモフが何度も森の外に出ようとするんです。それも決まって同じ方向に」
「同じ方向? それは一体?」
「モフモフは魔物がどちらの方向から攻めてきても、必ず同じ方向に出て行こうとするんです。まるでそちらに何かがあると言わんばかりに」
「それが魔物のボスと言う事か」
「恐らくは」
そう、モフモフがこんな興味を示したのは今回が初めてだ。
仮に魔物のボスを見つけられなかったとしても、何かを発見できる可能性が高い。
「幸い、エルフの若い戦士達も自分達の実力に自信を持てるようになりましたし、ドワーフの職人達も失った技術を取り戻してより良い装備を作れるようになりました。それにエリクサーを触媒にした肥料で食料問題も改善できたので、籠城も容易になった筈です」
「う、うむその件については感謝してもしきれんところだ」
「なので郷の防衛体制が整った今こそ、魔物の襲撃が激化する前に魔物の本拠地を探索するべきだと判断したわけです」
「むぅ……」
僕の作戦を聞いた長達は、考え込むように口を閉ざす。
「……よかろう。魔物の元凶を探す探索の役目、お主に託す」
「はい! 任せてください!」
長達の承認を得た僕は、さっそく森へと向かう事にする。
「ま、待ってくれ!」
けれどそんな僕を、エルフの長が呼び止める。
「…………頼む」
絞り出すような、けれど必死な声で長が僕に頼む。
「任せてください!」
◆
「という訳で魔物の本拠地を探しに行くことにしたんだ」
集会所を出た僕は、エルフ達と訓練をしている皆と合流し、今後の方針を伝える。
「成る程! ようやく俺達の出番だな! 腕が鳴るぜ!」
「最近はエルフ達に活躍の機会を譲って退屈だったから丁度良いわね」
ようやく出番だとやる気になっていて申し訳ないんだけど、僕は皆を止める。
「いや、この役目には僕とモフモフだけで行こうと思っているんだ」
「え!? なんでだよ兄貴!?」
「そうよ。今は私達も必要ないみたいだし、それならレクスさんと一緒に行った方が良くない?」
納得がいかないと、皆からブーイングが起きる。
「今回の探索はモフモフの感覚だよりだからね。モフモフについて行って発見したら一旦戻るから、人数は必要ないんだ。寧ろ魔物に見つかった時にすぐに逃げて隠れる事が出来るよう、少数精鋭で行った方が良い」
「ああ、そうなると僕は行かない方が良いですね」
「私も止めておいた方が良いわね」
僕の説明を聞いて、ノルブさんとミナさんが参加を諦める。
「けど俺達なら大丈夫だろ! 兄貴にだって付いていけるぜ!」
「アンタはうるさいから無理じゃない?」
「そんな事ねぇって!」
リリエラさん、ジャイロ君、メグリさんは付いてくる気満々かな。
「ううん、ジャイロ君達にも残ってやって欲しい事があるんだ」
「やって欲しい事って?」
「ここ最近郷の周囲をうろつく魔物の数がかなり増えているんだ。恐らく近いうちに大攻勢がある」
「「「「「!?」」」」」
大攻勢と聞いて、皆の顔色が変わる。
「だからいざという時の為に皆には郷で待機しておいてほしいんだ」
「成る程ね。確かにそういう事なら戦力は残しておきたいか」
「うん。こればっかりは一人じゃ出来ない事なんだ」
そう、こういった状況の時、前世の僕だったら国の騎士団に任せればよかった。
彼等は役目として僕の後ろを守ってくれたから、憂いなく一人で戦えた。
けれど今の僕は何の後ろ盾も権力もない冒険者だ。
頼れるのは自分の力、そして……
「仲間の皆に頼りたいんだ」
「「っっっ!!」」
僕からの頼みを聞いたジャイロ君達がハッとなる。
「俺が! 兄貴の! 仲間! 兄貴は今! 俺を頼ってくれてるんだな!!」
「そ、そう。レクスさんが私を……へ、へー、そんなに頼りにしてくれてたんだ」
「「ふ、ふへへへへへ」」
「んっ、任せる」
メグリさんが親指を立てて任せとけと僕に笑みを見せる。
「おうよ! 俺に任せとけ兄貴!」
「そうよ! 魔物なんて何百匹やってきても私が何とかしてあげるわ!」
そしてジャイロ君とリリエラさんも気合満点の顔つきで防衛を引き受けてくれた。
うん、皆が守ってくれているのなら、僕も安心して出発できるよ!
◆
「じゃあ行ってきます」
「気を付けてねー!」
「郷の事は俺達に任せろよ兄貴ー!!」
「「「「「お任せくださいレクス師匠っっっっ!!」」」」」
「よーし! 行くよモフモフ!」
「キュウ!!」
皆に見送られ、僕とモフモフは郷を出る。
するとさっそく魔物の群れと遭遇した。
「やっぱり数が多いなぁ。これは郷に攻め入られないように、数を減らしながら移動した方が良いね」
「ギュウ!!」
僕は剣を抜きつつ牽制の魔法を魔物達に放つ。
「チェイスフリーズピラーズ!!」
森を傷つけないように追尾式の氷結魔法を放ち、魔物の群れを氷の柱に閉じ込めてゆく。
こうする事で凍り付いた魔物が障害物となって、郷を守る壁にもなるって寸法さ。
「ギュウウッ!!」
モフモフは属性強化で風を纏い、高速で魔物を翻弄しながら魔物を切り裂いてゆく。
「キューッキュッキュッ!!」
久しぶりに大暴れ出来たからか、モフモフは大喜びだ。
やっぱりペットは定期的に外で自由に運動をさせないと駄目だね。
「さぁ、このまま突っ切るよモフモフ!」
「キュウ!!」
◆
「キュウ!!」
魔物を倒しながら森を進んでいると、モフモフがこっちだ! と鳴き声をあげる。
そして促されるままに進んでいくと、木々に隠れた場所に大きく口を開けた穴が開いていた。
「これは……地下道か」
地下へと続く大きな道には、馬車の轍ならぬ魔物の足跡がいくつも付いている。
うん、これはアタリだね。
探査魔法で確認すれば、魔物の数が圧倒的に多い。
きっとここが魔物を産み出す親魔獣の住処に違いないね。
「お手柄だよモフモフ」
「キュフゥーン!」
地下道を見つけたモフモフを褒めると、モフモフが誇らしげに胸を張る。
「それじゃあボスとご対面と行こうかな!」
地下道(இ ω இ`。)「いやー! 来ないでー!」
モフモフΣ(:3)∠)_「地下道、大暴れ、崩落のフラグですね分かります。あれ? これって我も生き埋めになるフラグでは?」
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