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第195話 再会と依頼

ヘルニー└|∵┌|└| ∵ |┘|┐∵|┘♪「ヒャッフー!」

作者_:(´д`」∠):_「し、静まれ俺の腰痛! いやマジで静まって……」

ヘイフィー_(:3 」∠)_「もう自粛とか気にせず健康の為にお外で運動した方が良いんじゃないかな」

作者_:(´д`」∠):_「み、皆も健康には気を付けてね……」


いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さんの声援が作者の励みとなっております!

 神官さんから雪之丞さんが襲撃されたと聞いた僕達は、急ぎ村に戻って来た。

 そして村の奥にある屋敷で予想外の人達と再会したんだ。


「リリエラさん!? それにメグリさんにノルブさんも!?」


 そう、そこにいたのは嵐で離ればなれになったリリエラさん達だったんだ!


「久しぶりねレクスさん。町の外に船が浮いてたからもしかしたらと思ったけど、やっぱりレクスさんだったのね」


「おひさ」


「お久しぶりですレクスさん、ミナさん!」


 リリエラさん、メグリさん、ノルブさん達は落ち着いた様子で僕達に再会の挨拶をしてくる。

 どうやら僕が改造した元海賊船を見て僕が居るのではと思ったらしい。

 やっぱりあの船を目印に使って正解だったね!

 あとはジャイロ君だけだ!


「キュウ!」


 懐かしさに感動していたら、モフモフがノルブさんの足をポカポカと叩く。


「あっ、はい。お久しぶりです。モフモフさん」


「キュウ!」


 ノルブさんから挨拶され、モフモフが満足気に頷く。

 はははっ、仲間外れにされたと思って怒ってたんだね。


「久しぶりね」


「ミナも元気そう」


 久々の再会に皆が笑顔になる。


「でも皆どうしてここに?」


 元海賊船を追ってきたにしても、ここは内陸の地だ。

 あの嵐から無事上陸した皆が行くとしたら、まずは海沿いの町や村だと思うんだよね。


「あー、それについてはこれから話すところだったのよ。この人達にね」


 とリリエラさんが何故かうなだれている雪之丞さんと知らないおじさんを指さす。


「ええと、貴方は?」


 僕が首を傾げながら聞くと、そのおじさんはあっ、と声をあげる。


「そーいや、お前等とはまだ挨拶してなかったな」


 おじさんはよっこらしょと言いながら立ち上がると、自己紹介をしてきた。


「俺がこの国の帝だ。よろしくな異国の坊主達。お前さん達のお陰で色々と助かったぜ」


「おじ、貴方がこの国の帝!?」


 この人が帝!? 将軍に政を任せて国を守る為の儀式をしているっていう?


「うっわ、全然そんな凄い人に見えないわ」


「どう見てもただの薄汚れた工房のおじさん」


「こらメグリ、本当の事でも言っちゃ駄目でしょ!」


「いや、そっちの方がひどくないですか?」


 驚いたのは僕だけではなかったみたいで、皆も思わず帝を見た感想を口にしてしまっていた。


「はっはっはっ、ちげぇねぇ! 俺も帝なんてガラじゃねぇからなぁ!」


 幸いにも帝は気さくな人だったらしく、僕達の失礼な発言を笑って許してくれた。


「あはは……すみません」


「気にすんな。とはいえ、ノンビリ世間話をしている暇もねぇ。お互いに知っている事を教え合おうじゃねぇか」


「あっ、はい」


 改めて挨拶が終わると、僕達は腰を落ち着けて互いに挨拶を始める。

 なぜか雪之丞さんはぼーっとしたままだったので、帝が代わりにコイツは将軍の息子だって紹介していた。


 そして僕達はお互いが離れていた間の出来事を説明する。

 ミナさんが雪之丞さんを助けた事、そして筆頭家老が裏切り雪之丞さんが次期将軍として襲名する為の儀式を受けにこの村に来た事を説明した。


「で、この村の近くで暴れる魔物達を退治していたらモフモフとも再会したって訳だよ」


「キュ、キュウー!」


 モフモフもそうそうと興奮気味に頷いている。

 僕達と離れ離れになってさみしかったんだね。

 ヨシヨシ、もうさみしくないよ。

 もう大丈夫だよと伝える為にモフモフを抱き上げ、頭を撫でてやる。


「キュ、キュウウウウ!?」


 するとモフモフが目を大きく見開いて体を震わせ……

 チョロチョロチョロ~


「あっ」


 モフモフが弛緩しきった顔でオシッコを漏らしてしまった。

 どうやら森の中を一人で暮らすのは相当に心細かったみたいだね。

 これは暫くの間スキンシップを密にしてあげないといけないね。


 そして僕達が村を出ていた間に起きた事を帝が話してくれた。


「って事があって晴臣が魔人と手を組んでいた事が分かったわけだ」


「っ!」


 晴臣さんが魔人と手を組んでいたと言われ、雪之丞さんが肩を震わせる。

 そうか、晴臣さんの姿が見えないと思ったらそんな事が起きていたんだね。


「しかし参ったぜ。魔人が入ってこれない様に結界が張ってあったってのに侵入を許しちまうとはな。しかもマジックアイテムの鍵まで奪われちまった」


 帝は情けねぇと言いながら乱暴に頭を掻く。

 大切な鍵を奪われた事がよほど悔しいみたいだ。


「じゃあ次は私達ね」


 話題を変える意味も込めて、リリエラさん達がこれまでの事を話し始めた。


「私とメグリはこの国で商人の護衛や賞金稼ぎみたいな事をしながら皆を探していたんだけど、その途中で盗賊に襲われているこの国の貴族を助けたのよ」


「貴族ですか?」


「ええ、その人は自分の事をこの国の筆頭家老と名乗ったわ」


 あれ? 筆頭家老って確か……


「貴様等山桜小路の手の者かっ!?」


 すると筆頭家老という言葉に反応して呆けていた雪之丞さんが復活した。

 ああそうそう、そんな名前だったよね。

 確か将軍を殺して雪之丞さんを狙っている人の筈だ。

 まさかリリエラさん達がそんな人と接触していたなんて驚きだよ。


「貴様等も余の命が狙いか!」


 雪之丞さんは後ろに飛び退くと、剣を抜いて鬼気迫った表情で構える。


「落ち着きなさいって。私達は貴方の命の恩人なのよ」


「どうせ余を油断させる為の罠なのだろう!」


 リリエラさんは敵じゃないと言うけれど、今まで追手に襲われ続けてきた雪之丞さんは信じられないみたいだ。

 僕達はリリエラさん達がそんな事をする人じゃないと知っているけど、それでもどんな事情で筆頭家老側に付いたのかは気になるところだ。


「落ち着け雪之丞。お前を殺すつもりならあの魔人共と手を組んで襲ってきた筈だ」


「そ、それは……」


 そんな風に興奮していた雪之丞さんだったけど、帝に窘められて僅かに切っ先が下がる。


「悪かったな嬢ちゃん。続きを話してくれるか?」


「冷静な人が居て助かったわ」


 帝に促されリリエラさんが続きを話しはじめる。


「貴方狙われてるって言ったけど、筆頭家老、山桜小路さんの話じゃそれ誤解みたいよ」


「誤解だと? 余を襲っておきながらか!?」


 これまで襲われ続けてきたのに、それが誤解だと言われて雪之丞さんが再び怒りを見せるが、それをミナさんが窘める。


「だから落ち着きなさいって。最後まで聞いてから判断しなさいよ」


「む、むぅ……分かった」


「じゃあ続けるわね。さっきも言ったけど、山桜小路さんは私達が通りがかった時に盗賊に襲われていたの。でもそれは盗賊に扮した刺客だったのよ」


「刺客ですか?」


「そう。影武者を経験した事のある私には本物の盗賊とそれに変装した刺客の違いが分かる」


 とメグリさんが実体験から盗賊の正体が刺客だったと太鼓判を押す。


「ま、待て! 山桜小路が刺客に襲われていた!? どういう事だ!? 襲ってきたのは奴の方だぞ!?」


「山桜小路さんは命の恩人である私達に礼をしたいと言って屋敷に招待してくれたわ。そして仕事を頼んできたの。この国の次期将軍である陽蓮雪之丞って人の護衛を」


「余の護衛だと!?」


 敵だと思っていた相手が刺客に襲われていて、更に自分の護衛を依頼していたと聞いて雪之丞さんがパニックを起こす。

 部外者の僕達でも混乱するんだから、騒動に巻き込まれている本人である雪之丞さんはもっと訳が分からないよね。


「あのオジさんはこう言ってた。将軍を襲った賊の狙いはこの国の将軍を襲名する為の鍵。それが何かを知っているのは将軍と帝のみ。筆頭家老である自分を頼らず逃げると言う事は賊は貴方が自分よりも信頼する人間の可能性が高い。そして貴方とオジさんを分断し将軍襲名の瞬間を狙って鍵を奪うつもりだって言ってた」


 メグリさんが雪之丞さんを狙う真犯人は雪之丞さんの身内だと告げる。

 そしてここまで生き残った雪之丞さんの仲間はたった一人。

 つまりは晴臣さんの事だ。


「まさか、余を襲った刺客も晴臣の仕業だったと言うのか!?」


 雪之丞さんが信じられない、いや信じたくないと体を震わせながら叫ぶ。

 でも晴臣さんが魔人と手を組んでいたのなら、それは事実なんだろう。


「山桜小路さんは自分達が助けに行きたかったみたいなんだけど、刺客が強すぎて自分達の身を守るので精いっぱいだって言ってたわ。何人か腕利きの護衛を送ったみたいだけど、その人たちは全員合流する前に襲われたって言ってたわ」


「それで刺客をあっさり倒した私達に貴方の護衛をしてほしいと頼まれた」


「で、私達がこの村にやってきたら丁度貴方が魔人に襲われてたって訳」


 これで話はおしまいとリリエラさん達は説明を終えた。


「成る程ねぇ、それは凄いタイミングにやってきたもんだわ」


 本当にギリギリのタイミングで合流出来た事に、ミナさんが軽くため息を吐く。

 晴臣さんは僕達が雪之丞さんから離れる機会を伺っていたんだろう。

 そして魔物を退治する為に村から離れた瞬間を狙って雪之丞さんを襲った。


「多分魔人が村に入る事が出来たのは、晴臣さんが何らかのマジックアイテムで手引きしたんだと思います」


 多分それが正解だろう。

 結界がいかに強固でも、中に入ればそれを崩す方法が無い訳じゃない。

 リリエラさん達の到着が間に合わなかったら、本当に大変な事になっていた所だよ。


「ところでノルブの方は?」


 と、話が一段落した所で今度はノルブさんが何故ここに来たのかとミナさんが問う。


「あっ、はい。僕は海沿いの町にたどり着いたので、とりあえず助けた海賊は町の衛兵に任せて皆を探すことにしました。道中情報収集を兼ねて傷ついた人や病で苦しむ人を救いながら移動していたんです」


 なるほど、僧侶のノルブさんらしいね。人助けをしながら情報収集というのは上手いやり方だと思う。


「そうやって治療を続けていたら名前が広まったらしく、この藩を治める藩主様から娘さんの治療を頼まれたんですよ」


「「「娘さんの治療?」」」


 そしたら何故かミナさん達が声を揃えて首を傾げた。


「え? あ、はい。そうですが」


 なぜか女性陣が集まってボソボソと話しているけど、どうしたんだろう?


「娘ねぇ」


「なんか誰かを思い出す」


「そういやあのバカどこほっつき歩いてるのよ」


「え、ええと、それでですね、藩主様の娘さんを助けた褒美として皆さんを探す手伝いをしてもらえることになったんですけど、自分の治めるこの村が魔物の群れの襲撃で負傷者が多い為、治療を頼みたいと依頼を受けたんです」


 ああ、僕達が討伐した魔物の件だね。

 あの魔物のお陰でモフモフとも合流出来たし、意外とあの魔物の群れは僕達に幸運を運んできてくれたのかもしれないね。


「それでこの村にやって来たと」


「そういう事です」


「まさかこうも都合よく人が集まるなんてねぇ」


「まだ一人合流してないけど」


 あっ、そういえばジャイロ君がまだ合流してないんだよね。

 一体今頃どこにいる事やら。


 ◆ジャイロ◆


「じゃあなお姫さん」


 とある城のお姫さんを狙っていた魔物をぶっ倒した俺は、兄貴達と合流する為に城を出ようとする。

 だがそんな俺の背中にお姫さんが抱き着いてきて、行かないで欲しいと懇願してきた。


「お待ちをジャイロ様! どうかこの城に残ってはくださいませんか? あの恐ろしい魔物をたった一人で討伐したジャイロ様はこの国の英雄です。私の家臣に、いえ私と共に生きて欲しいのです!」


 俺はそっとお姫さんの頭を撫でると、なるべく優しく聞こえるように告げる。


「悪いな。俺には仲間が居るんだ。ここには留まれねぇよ」


 それに兄貴達に繋がる情報も手に入れたから、のんびりしていられねぇしな。

 早く行かなきゃ別の場所に行っちまうかもしれねぇ。


「そんな……」


「大丈夫だって。もうアンタを襲う悪党はいねぇ。もしそんな奴が居たら、また俺がぶっ飛ばしてやるよ!」


「また、守ってくださるのですか?」


「ああ、任せな!」


 ポンポンと頭を撫でてやると、ようやくお姫さんは納得したのかそっと手を離した。


「きっと私では貴方を独占する事なんて出来ないのでしょうね。御引き止めして申し訳ありませんでしたジャイロ様」


「じゃあなお姫さん!」


「うっ……お気を付けて、ジャイロ様……」


 城を出た俺は城下町を進み次の町へ向かう。


「ジャイロ様!」


「魔獣殺しのジャイロだ!」


「たった一人で1000体の魔物を返り討ちにしたジャイロだ!」


 町を歩くと、そこかしこから知り合った連中が声をかけてきた。

 この町に滞在してた時に助けた奴等が俺の顔を見て外に出て来る。

 つーか1000体は言い過ぎだって。


「そんな荷物持ってどこいくのよジャイロさん!?」


 馴染みの茶屋のねーちゃんが荷物を背負って歩く俺に目を丸くしながら聞いてきた。


「おう、お姫さんを狙うクソッたれの魔物はぶっ飛ばしたかんな、そろそろ旅に戻るわ!」


「そんな! 行かないでジャイロさん!」


「そうよ、この町で暮らせばいいじゃない!」


「この町の人間は皆アンタに助けられたんだ。アンタが異人でも誰も気にしたりしねぇよ!」


 俺が旅に戻ると聞いて、町の連中が引き留めてくる。

 へへっ、こういうのも悪い気分じゃねぇな。

 けど俺にはまだやる事がわんさかある。

 仲間と合流して依頼をこなし、Sランク冒険者になって兄貴に追いつかねぇといけねぇからな!


「悪ぃな! やる事があるんだわ! じゃあな皆!」


「「「「ジャイロ様~!」」」」


 皆が涙を浮かべながら俺を見送ってくれる。

 まったくこの町の連中は涙もろくていけねぇ。

 俺までしんみりしちまうじゃねーか。


「……たった数日でなんでこんなに女の子を助ける事が出来るんですかねぇ、この坊ちゃんは」


 なぜか子分になった海賊がそんな事を言いながらため息を吐いていた。


「つーか坊ちゃんはやめろって」


 ◆


「なんか今、あのバカはもう戻ってこなくていい気がしたわ」


「え? 何です急に?」


 突然ミナさんが奇妙な事を言い出したのでびっくりしてしまった。

 ジャイロ君が心配過ぎて不安なのかな?

モフモフ_Σ(:3 」∠)_「この小僧、水を得た魚の様に恋愛フラグを立てまくっておるわ」

ミナ_(:3 」∠)_「あの野郎……」


面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、感想や評価、またはブクマなどをしてくださると、作者がとても喜びます。_(:3 」∠)_


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― 新着の感想 ―
[一言] ジャイロ、かっこいい(^^)
[一言] ジャイロは全然話の外にいるようだから、ほっといてもいいかと。 帰るときに全国手配してもらえば、そのうち見つかるでしょ? 通信魔道具を作るなんて、レクスには朝飯前だし。
[良い点] ジャイロ君がカッコいいw
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