第188話 魔人蹂躙
作者ヽ(゜Д゜)ノ「はーい!明日9/17は作者の誕生日でーす! めでたいよいぇーい!」
ヘルニー(:3)∠)「かつてここまで自分の誕生日にはしゃぐ作家が居ただろうか……?」
作者ヽ(゜Д゜)ノ「人をさみしい人みたいに言うなぁーっ!」
ヘイフィー(:3)∠)「(違うのかな?)」
作者(:3)∠)「(違うよ!)」
ヘイフィーΣ(゜Д゜)「(コイツ!? 直接脳内に!?)」
ヘルニー(:3)∠)「まーそういう訳なんで、書籍とか買ってくれたら凄く喜ぶと思うわよー」
作者(:3)∠)「うん喜ぶ!」
ヘイフィー(:3)∠)「酷いダイマだ……あっ、出版社さんへのファンレターでも喜びますよ!」
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◆ミナ◆
「僕の仲間を傷つけたお前を許しはしないぞ魔人!」
ついに合流する事が出来たレクスが叫ぶ。
その顔には彼には珍しい怒りの感情があった。
「人間があぁぁぁぁぁぁっ!」
魔人が怒りと共に赤黒い魔力の光を放つ。
その輝きはこれまで戦った魔人とは比べ物にならない程の高密度な魔力を感じる。
「はっ!」
けれどそんな恐ろしい魔力の塊をレクスはあっさりと切り払った。
「馬鹿な!? 強化された俺の魔力光を斬っただと!?」
「ははっ、相変わらず無茶苦茶ね」
あれだけ苦戦した魔人の攻撃をこうも簡単にあしらうんだから、やっぱり自分なんてまだまだだと思い知らされるわ。
「こんなもんじゃ済まさないぞ!」
レクスが魔人に向かって飛び込む。
その速さは身体強化魔法で強化された視力でも追いかけるのが難しい。
「くっ! 壁よ!」
魔人が声を上げると、腕に着けたブレスレットが光り、魔力の壁が生まれる。
「マジックアイテム!?」
しかも壁から感じる魔力は驚く程濃密で、まるで魔力が物質化したのかと思うほどだわ! まさかアレもロストアイテムなの!?
「はぁ!」
スパンッ!
けれど、そんな壁もレクスの剣の一閃であっさりと真っ二つになった。
「「なっ!?」」
「ば、馬鹿な!? このロストアイテムの魔力壁は大魔法の一撃すら耐えるのだぞ!? 貴様何をしたぁぁぁっ!?」
私の驚愕を魔人が代わりに代弁してくれる。
「ただ斬っただけだよ! こんな風にね!」
魔人に肉薄したレクスの剣が、霧を生みながら魔人に襲い掛かる。
「は、走れ!」
焦りを含んだ魔人の言葉に今度はブーツが光を帯び、一瞬で魔人を後ろに下がらせる。
「キーワードに反応して自動的に使用者を後ろに下がらせるマジックアイテムだね。成る程、お前は全身にマジックアイテムを身に纏って強化しているのか」
「ふ、ふはは、その通りだ! 俺はあのお方より授かったロストアイテムで全身を強化している」
「全身にロストアイテムですって!?」
ロストアイテム、それは希少なマジックアイテムの中でも更に希少な品の総称。
そのどれもが他のマジックアイテムにはない特異な能力を持っていたり、数ある同種のマジックアイテムの中でも特に性能の高い物がそう呼ばれる。
噂では各国の国宝も実は国家機密レベルのロストアイテムという噂なのよね。
そんなロストアイテムを全身に!?
さっきの使い捨ての防御アイテムだけじゃなかったの!?
「特にこのブーツは白兵戦において最高レベルの回避性能を誇る。その速さは先ほど貴様も見た通ぉばぁぁぁぁっ!?」
勝ち誇っていた魔人の体に突然斜めの赤い線が走ったかと思うと、血しぶきが派手に舞い踊る。
って、ええっ!?
「ゴッ、ゴフッ……ば、馬鹿なっ!? 当たっていた……だと!? 音速で攻撃を回避するロストアイテムだぞ……!?」
「なら音速を越えた斬撃を放てば当たるよね。そのまま斬撃波を飛ばせば追撃も可能だよ」
驚愕する魔人に対し、レクスはなんでもない事の様に魔人にダメージを与えたからくりを説明する。
「お、音速の斬撃と斬撃波……!? 魔法じゃないの!?」
「いえ、これは純粋な剣技ですよ。極限まで無駄をそぎ落とせば、人の身でも音の速さの攻撃を出す事は出来ます」
「そ、そうなんだ……」
ごく自然に、レクスがさも当然の様に言う。
剣術は良く分からないけど、そういうものなのかしら?
「だ、騙されるな小娘! 普通の人間は音の速さを越えて攻撃など出来んっ!」
「え? あっ、そうよね。うん、そうよね」
魔人のツッコミに私は思わず我に返る。
そ、そうよね、音の速さの攻撃なんて見た事もないし。
それに魔人は希少なロストアイテムで身を包んでいるのに、普通の攻撃でダメージを与える事なんて、いくらレクスでも出来る訳ないわよね!? ……ね?
「ほんとに出来るんだけどなぁ」
ええっと、ほんとに出来るの?
「く、くくくっ……成る程そういう事か」
けれど魔人は意味深な笑みと共に何かを理解したと断言する。
「小僧! 貴様の力の源はロストアイテムだな!」
魔人はレクスの剣を指さし、自分を傷つけた理由が彼の作った魔剣にあると指摘する。
「俺の魔法を切り裂いたのも、その異常な速さも、斬撃を飛ばす行為も、全てマジックアイテムの力だろう!」
「確かにこれはマジックアイテムだけど、生命維持に関わるもの以外は基本的な性能向上効果しか付与してないよ。あまり突飛な性能を付与すると、性能に頼った戦い方になって逆に弱くなるって教わったからね」
いやもうレクスが作った時点で突飛な性能になってるんだけど……
「ふんっ、どうやら貴様は相当に強力なロストアイテムを所持しているようだな。口惜しいが、私のロストアイテムよりも貴様が所持するロストアイテムの方が高性能のようだ」
「じゃあおとなしく捕まるかい? 素直に企みを白状して罪を償うと誓うのなら命までは奪わないよ」
「いいや、断る」
レクスの降伏勧告を受けた魔人だったけれど、すぐに拒絶する。
「勝てないと言っておきながらおとなしく負けを認めないつもり? 貴方が抵抗してもレクスに勝つことは出来ないわよ。それとも逃げるのかしら? そうはさせないわよ」
レクスに勝てないとなれば、この魔人はなんとしてでも逃げ出そうとするかもしれない。
でも私だってレクスの仲間よ。魔力は減ってるけど、逃げる魔人を追撃するくらいの魔力は残ってるんだから。
レクスの援護に徹すれば魔人を倒す手伝いくらいは出来るわ!
「確かに、貴様のロストアイテムには勝てん……だが! これを使えば貴様のロストアイテムがどれだけ強かろうとも無意味になるのだよ!」
そう言って魔人が懐から黒い小箱を取り出すと、それが光を放った。
次の瞬間、ざらりとした感覚が肌に突き刺さる。
「え、何……?」
「それはまさかっ!?」
珍しくレクスが驚きの声をあげる。
「そうだ! マジックアイテムを無効化する為の魔力攪乱機だよ! これで貴様は無力! ならば人が魔人の力に敵う道理はない!」
マジックアイテムを無力化するアイテムですって!?
魔人が獰猛な笑みを浮かべ、レクスに飛び掛かる。
「レクスッ!?」
私は逃げてと言おうとした。
マジックアイテムを無力化されたらいくらレクスでも……
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
剣状に伸ばした魔力の塊を振りかぶる魔人。
魔人の攻撃がレクスを切り裂くかに思えたその瞬間。
「ふっ!」
レクスの拳が魔人の顔面に叩き込まれた。
「へっ?」
「グワァァァッ!?」
魔人は冗談みたいな勢いで吹き飛び、周囲の木々をなぎ倒していく。
そして地面に半ばめり込む形でようやく止まった。
「ガハッ!?」
地面にめり込んだ魔人が血反吐を吐く。
「ば、馬鹿な……確かに貴様のマジックアイテムを無力化した筈だ」
魔人は信じられないと言った様子で焦点のあっていない目をレクスに向ける。
「ううん、してないよ」
「な、何だと!?」
切り札の筈のマジックアイテムが何の役にも立っていなかったと言われ、魔人が愕然とする。
「戦闘用のマジックアイテムに無力化対策を施すなんて当然じゃないか。マジックアイテム開発の基本だよ」
「え? そうなの!?」
そう言うものなの!? でもマジックアイテムに機能を盛り込むのって凄い大変なんでしょ!?
元宮廷魔術師のお爺様がいまだに簡単な魔道具でも成功例はないって言ってたわよ!?
それなのにマジックアイテムを無効化するマジックアイテムに対抗できるマジックアイテムなんて簡単に作れるものなの!?
「ば、馬鹿な!? マジックアイテムの無力化の研究が始まったのはつい最近だぞ!? なのに貴様等人間は既に対抗装置を用意していたというのか!?」
そうよね! そんな簡単なものじゃないわよね!
魔人が信じられないという顔でレクスを見つめる。
「とっくの昔にね」
「ば……か……な」
自分達のして来た事が無駄に終わったと知った魔人は、絶望の表情を浮かべて絶命した。
……うーん、なんか悪役の死に様というには妙に哀れな姿ね……
あーでも、よく考えたらレクスが私達に作ったマジックアイテムって、複数の機能が当たり前のように盛り込まれていたわよね……だったらマジックアイテムを無効化するマジックアイテムを無効化する機能を盛り込んでいても不思議じゃないのか……
それによくよく考えたら、レクスがマジックアイテムを無力化されたくらいで負ける訳が無いわよね。
だって初めて遭った頃のレクスは、魔法で魔人を次元ごと切り裂いちゃったんだし……
私は改めて基本という言葉の意味を間違えていたのだと理解する。
「そうよね、一般人と魔人の基本と、レクスの基本は違うわよね。うん」
久しぶりにレクスの非常識さを痛感した私だったけれど、なにはともあれ無事に彼と合流する事が出来たのだった。
魔人(:3)∠)「基本とは一体……ガクリ」
常識←―――→非常識
ミナ(:3)∠)「一般人<魔人<レクスだったのを忘れていたわ」
レクス(:3)∠)「え? 僕は普通ですよ?」
魔人/ミナ(:3)∠)「「うっそだぁー」」
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