第157話 辿り着いた先で
作者_:(´д`」∠):_「花粉症で目が辛い……」
花粉症|^・ω・)/ 「来ちゃった」
作者_:(´д`」∠):_「来るな!」
ヘルニー(:3)レ∠)_「出番を奪われた……」
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皆さんの声援が作者の励みとなっております!
ヴェノムビートと魔人を討伐した僕達は、これからの事を話し合っていた。
「ヴェノムビートも討伐しましたから、腐食の大地がこれ以上広がる心配もなくなりましたね」
「ええ、陰謀を企んでいた魔人も討伐したし、これで一安心ね」
「あとは遠方まで広がった腐食の大地の浄化をすれば、問題は全部解決です」
「ヴェノムビートを討伐したのにまだ浄化が必要なの?」
ヴェノムビートを倒した事で全てが終わったと思っていたリリエラさんが首をかしげる。
「ええ、腐食の大地の侵食自体はヴェノムビートが原因でしたけど、残された毒の沼地自体は残りますから。そこを浄化しないと別の毒を持った魔物がそこを住処にしちゃいます」
「そっか、万が一あのヴェノムビートの卵が残っていても不味いものね」
リリエラさんが納得したと頷く。
「そういう事です」
魔人が孵化させようとしていたヴェノムビートの卵は、僕達の浄化によって栄養供給を絶たれ死に絶えた。
けどもしかしたら、まだ浄化されていない土地にヴェノムビートの卵が残っている可能性もあるからね。
そうなったら、突然変異のヴェノムビートが再び世を騒がせてしまう危険がある。
だから腐食の大地は完全に浄化しないといけない。
「おーい兄貴ーっ!」
と、そこにジャイロ君達が声を上げながらやって来た。
「なんか急に凄ぇ魔力を感じたんだけどよ、何かあったのか?」
どうやらジャイロ君は、ヴェノムビートとの戦いの余波を感じ取って慌ててやって来たらしい。
「大丈夫だよ。もう終わったから」
「マジかよ⁉︎」
既に戦いが終わったと告げると、ジャイロ君は悔しそうに唸る。
「くっそーっ!せっかく兄貴と一緒に戦えると思ったのによぉ!」
「ごめんごめん、次はちゃんと敵を残しておくから」
「絶対だぜ兄貴!」
「いやそんなご馳走を残しておくみたいな気軽さで言う話じゃないでしょ」
と、ミナさんが呆れ顔で呟く。
「あら? 戦いはもう終わっちゃってたの?」
その後ろから、アイドラ様も顔を出す。
「それで、今度は何と戦っていたの?」
「そうそう! 教えてくれよ兄貴!」
「うん、実はね……」
僕はジャイロ君達にここで起きた事件のあらましを説明する。
「……じゃあ、兄貴は腐食の大地の原因を倒しちまったって事かよ!?」
「っていうかまた魔人が事件に関わっていたの!?」
「そうなるね」
「ちなみに魔人の死体はここにあるわよ」
「うおおっ!? マジだ! って事は、リリエラの姐さんはマジで一人で魔人を倒したのかよ!?」
「ふふっ、まぁそう言う事ね」
と、答えるリリエラさんはちょっと自慢げだ。
「キュウ!」
すかさずモフモフが魔人の羽根を齧ろうとするけれど、僕がそれを阻止する。
「キュキュウ!?」
いやそんな何で邪魔するのって顔をされても駄目だよ。
「それはリリエラさんの獲物だから駄目だよ」
「キュゥゥ~……チッ!」
モフモフは仕方ねぇなぁって感じで魔人の頭を蹴ると、地面に埋まっていたジャイアントポイズンセンティピードの方へと向かって行った。
まぁアレなら良いかな。
「くっそーっ! 俺も魔人とタイマンで戦いたかったぜ!」
「アンタの実力じゃ返り討ちよ」
「そんな事ねーって! 今の俺ならイケるって!」
「まぁまぁ、伝説の魔人を倒すなんてリリエラって凄いのね」
「……ドーラ、その反応はちょっと軽過ぎねぇ?」
討伐された魔人を見ながら微笑ましげな声を上げるアイドラ様に、ジャイロ君が困惑した様子を見せる。
こののんびりした反応、さすがはお姫様だなぁ。
「でもレクスは本当に凄いわね。腐食の大地の問題は周辺国だけでなく、教会でも頭を悩ませていた問題なのよ。それこそ勲章ものね。各国が競ってレクスを貴族として迎え入れようとするわよ」
なんて思ってたら、アイドラ様がとんでもない事を言い出した。
「ええと、その、この事は内緒にして貰えないかな? 僕は目立つのは苦手だし、それにヴェノムビートを倒せたのも、古代人達が特殊な封印で弱体化してくれたおかげなんだから。そうでなかったら相当苦戦していたよ」
「それは無ぇと思うな俺」
「奇遇ね、私もそう思うわ」
いやいや二人とも、本当に僕だけの力じゃないから。
「でもまぁ、レクスの気持ちは分かったわ。あなた達は、メ……私の大切なお友達だものね。貴方がそうしたくないと言うのなら、私はその意思を尊重するわ。とてもお世話になっているのだしね」
「ありがとうドーラ」
ふー、アイドラ様が話の分かる人で良かった。
さすがメグリさんが仕えているお姫様だけあるよ。
「さっ、それじゃあ腐食の大地の浄化を再開しようか! もしかしたらヴェノムビートの子供が生き残ってる可能性があるから、もし発見したら近づかずに距離を取って戦ってね」
「「「「はーい!」」」」
「あっ、私はゴ……じゃなくてレクスのおかげで毒耐性があるから、うっかり近づいても大丈夫ね」
「あっドーラずりぃ! 兄貴、俺も毒耐性くれよー!」
「アンタね、子供のおもちゃじゃないんだから……」
「モフモフもそろそろ行くよー!」
「キュキュウ!」
するとモフモフは何か白い塊を咥えながら戻ってくる。
「ってそれ、ヴェノムビートの卵じゃないか!」
なんとモフモフはさっき僕が地面から掘り起こしたヴェノムビートの卵を持ってきたんだ。
「キュウ!」
そしてモフモフは卵をモグモグと食べ始めた。
「キュ~ウゥ」
ええと、ヴェノムビートの卵が気に入ったのかな?
◆メグリ◆
幼い頃、私は母に連れられて腐食の大地を見に来たことがある。
将来の自分の使命を理解するためにだ。
近づいた者の命を奪う、悍ましい毒の沼地を指して母はこう言った。
「良いですかメグリエルナ、貴女は将来あの地獄から人々を守る為に命を捧げるのです。それが貴女が持って生まれた使命なのですよ」
母は厳しく私に告げた。
正直子供に言う内容じゃないと思う。
けれど私は幼い頃から、国の為に、王家の為に命を捧げる事が、私達裏の者の使命だと母から言い聞かされていた。
母は厳しい人だったけれど、同じくらい優しくもあったから、母を恨む気持ちはなかった。同じように父の事も。
あの人には立場があり、私の存在を正式に認めるわけにはいかなかった事もよく分かっている。
それに、子供の頃にあの2人が仲良くしている姿を見ていたので、私は望まれて生まれてきた事もちゃんと理解している。
だから、恨む必要も感じなかった。
時々偶然出会ったフリをしながら会いにきてくれて、これまた偶然持っていたフリをしてお菓子をくれる様な人だったから。
そんな不器用な父だからこそ、私も役に立ちたいと思った。
それに影武者として側につけられた私を、実の妹の様に可愛がってくれた実の姉の事も好きだ。
何も知らずにお姫様をしている姉を、私は羨ましいとか、本当なら自分も王女だった筈なのにと思った事はない。
王女の影武者として、王女のフリをする訓練をしてきた私は、王女がいかに面倒で窮屈で、それでいて危険と近しい立場かを良く分かっていたからだ。
私は影武者として戦闘訓練を積む必要があったので、お爺様のいらっしゃる田舎によく出かける事が出来たのも王女の立場を羨む気にならなかった理由の一つだった。
そこで出会った仲間達との思い出がとても大切だったから。
ただちょっと、私の巻き添えで犠牲になるノルブには申し訳ないと思ってはいたけれど。
でもそれはノルブも同じだったらしく、この巡礼の旅が始まる前に彼は私にこう言った。
「すみません、僕達教会が不甲斐なくて」
ああ、本当に生真面目な人だなぁと、私は思ってしまうほどに、ノルブは善良だった。
腐食の大地に関して、ノルブは何も悪くないのに。
そしてそれはバハルン達も同様だった。
老い先短いからといって、それで二度と帰ってこれない旅に出なければいけない義務はないのだから。
だからせめて、自分の義務はしっかり果たすと私は決意した。
それが、大切な人達を守ることであり、共に犠牲になってくれる人達の思いを無駄にしない事なのだと思ったから……だけど。
「神殿が……無くなってる……」
事前に聞いた話では、この辺りに小山があってその上に神殿があるという話だったのだけれど、周囲を見渡しても小山らしきものは見当たらない。
ただ、何かが崩れた様な大量の土があるだけだ。
「これは……どういう事?」
腐食の大地に到着すれば、その腐食の大地の姿が影も形も無くなっていて、更に近隣の村の人達が女神様が腐食の大地を浄化してくれたのだと騒いでいた。
そして謎の光に導かれる様に腐食の大地の奥深くに来てみれば、封印の神殿がある筈の場所に神殿は存在していなかった。
「メグリエルナ様! これを見てください!」
私が呆然としていると、土の中から何かを発見したらしいバハルンが私を呼んだ。
「何か見つかった?」
バハルンの元へ行くと、土の中に建物の残骸と思しき石材が埋もれているのが見えた。
「おそらくこれが封印の神殿かと……」
「となると、この崩れた土の山が神殿のある山だったということでしょうか?」
「山と言うには少々量が足りませんかな?」
「確かに」
「それよりも封印は? 封印を探さないと」
大事なのは事情を探ることよりも封印の再封印だ。
私達は土を掘り起こして封印を探す事にした。
「いやはや、まさかこんな所まで来て土遊びをする事になるとは思いませんでしたな」
「はっはっはっ、童心に帰りますなぁ」
「お前達真面目にやれ」
「分かっているとも」
ふざけているように見えつつも、アルブレア名誉男爵はしっかり魔法を使って大量の土を掘り起こしていた。
「メグリエルナ様! これを!」
ノルブの声に皆が彼の下へ集まると、私達はそこに丸く削られた岩の塊を発見した。
「古代語で魔法陣が刻まれていますし、おそらくこれが封印だと思われます」
「でもこれは……」
ノルブの発見した封印の魔法陣は大きな傷によって削り取られていた。
「ノルブ殿、我々は魔法に詳しくないのだが、これは大丈夫なのですかな?」
ラッセル元伯爵達がノルブに封印は無事なのかと聞く。
けれどノルブは苦い顔で首を横に振った。
「いえ、これでは封印も意味をなしません。魔力の反応もないので、完全に壊れています」
「では封印が解けたのですか!?」
「恐らくは……」
「メグリエルナ姫、封印が解けた場合どうなるのですか?」
アルブレア名誉男爵が封印が解けた場合何が起きるのかと聞いてくる。
宮廷魔術師長にして魔法の達人である彼はその立場もあって封印の存在を知ってはいたけれど、その中の存在については王家の最高機密として教えられていなかった。
封印は王家の機密である為、その研究を行う機関は別に存在しているのだと母が言っていたのを覚えている。
「お母様に聞いた話では、封印が解ければ腐食の大地を生み出した存在が解放されるそうです。そして腐食の大地を作り出した悪魔の猛毒が凄まじい勢いで広がり、毒は我が国のみならず、世界中を覆い尽くすと教わりました」
「何とっ⁉︎︎」
私の言葉に皆が動揺の声を上げる。
「で、ですがその割には妙ではありませんか? 封印が破壊された割にはその悪魔の猛毒なるものも溢れておりませんし、なにより腐食の大地が消えております」
うん、それは私も気になった。
でも腐食の大地の問題はずっと昔から各国の王家と教会を悩ませてきた大問題。
それがある日突然消えて無くなるなんて思えない。
「では封印が破壊された事で、封印された何かがどこかへ去ったという事でありましょうか?」
「いえ、仮にそうだとしても腐食の大地が消えた理由にはなりません。なにか第三者の意図を感じます」
ノルブの言う通り。腐食の大地が消えて無くなった事はやっぱり不自然だ。
「ふーむ、理由はさっぱりですが、とりあえず腐食の大地が消え去ったのは喜ばしい事なのでは? 何よりお二人が犠牲にならずに済んだ事が喜ばしい」
「え?」
「そうですな、どんな理由か分からんが、若者の命が失われずに済んで何よりですな」
「そう考えると、これも謎の女神の仕業なのかもしれないな。腐食の大地を浄化してくれただけでなく、封印されていた原因まで消し去ってくれるなんてありがたいにもほどがある」
謎の女神……か。
けれど、本当に誰なのかしら?
女の人って話だったからレクスじゃないみたいだけど。
リリエラかミナかとも思ったけど、あの2人は浄化魔法を使えなかった筈だし、そもそも目撃条件の姿とも違う。
現状完全に謎な存在だった。
まさか本当に女神?
「確かに。女神様に感謝だな。腐食の大地を浄化してくれたことからも、悪い存在じゃないだろうさ」
「そ、そうかもしれませんが、皆さん気軽に考えすぎじゃありませんか?」
皆があまりにも簡単に納得してしまったので、ノルブの方が困惑してしまっていた。
「はっはっはっ、坊主の坊ちゃんは真面目ですな。こう言う時は気楽に考えた方がいいのですよ。分からないことに頭を悩ませても答えなんて出ませんからな」
「それもそうですな」
「ああ、謎の女神様に感謝だ!」
「「「はっはっはっ」」」
「はぁ……」
真面目なノルブは、老練な3人にすっかり言いくるめられてしまったみたい。
まぁ実際、腐食の大地は消えたのだから、ありがたいといえばありがたいのだけれど……
「でも、使命が無くなっちゃった……」
これまでの自分の人生の大半を占めてきた理由が無くなってしまって、私はどうすればいいのか分からなくなってしまった。
確かに生贄同然にやってきたのだから、生き残れたことが嬉しくないわけじゃないけれど、それでも釈然としないものはある。
「女神、一体何者なのかしら……?」
その後、腐食の大地に侵食されていた各国で、謎の光が腐食の大地を浄化していったと言う噂が世間を騒がせることになるのだった。
メグリ(:3)レ∠)_「女神、一体何者なの……?」
アイドラヽ( ´¬`)ノ「女神でーす」
メグリ(:3)レ∠)_「……っ! 何故か絶対気付かない方が良い気がした」
モフモフΣ(:3)レ∠)_「卵美味ぇ」
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