第150話 浄化大作戦
作者_:(´д`」∠):_「1/15(12:00)リリエラがドーラの正体に気づいていたシーンを追加しました」
作者_:(´д`」∠):_「今日の前書きは宣伝だよー」
ヘルニー(:3)レ∠)_「何と二度転生書籍4巻とコミックス2巻が二月に同時発売です!」
作者_:(´д`」∠):_「コミックは皆大好きオーグさんの大活躍だー!」
ヘルニー(:3)レ∠)_「え?」
作者_:(´д`」∠):_「え?」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
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ジャイロ君達と別れた僕とリリエラさんは、反対方向を浄化して行くことにした。
「そういえば、ゴーレムを動かしている間アイドラ様は大丈夫なの?ゴーレムを動かしている間は周囲の景色が見えないから危険なんじゃない?」
と、リリエラさんがアイドラ様を心配するそぶりを見せる。
うん、操縦型ゴーレムの弱点は無防備になった本体だからね。
「大丈夫ですよ。ゴーレムの操縦装置には使用中、使用者を守る為に強力な結界を発動させる機能が付いています。だからゴーレムを動かしている間は安全ですし、ついでに余裕を持ってゴーレムの操縦を終えて少しの間は結界が持続するようになっています。普段使い出来るデザインにしてあるので、身を守る護身用アイテムとしても使えますよ」
「またさもちょっと便利な小物を作ったみたいに……まぁアイドラ様が安全ならそれでいいわ」
ゴーレム操縦中のアイドラ様の身が安全と分かり、リリエラさんは納得の声をあげる。
「ってあれ? リリエラさん気付いていたんですか?」
リリエラさんがドーラの正体に気付いていた事に僕は驚く。
「そりゃゴーレムを納品に行って突然見知らぬ女の子と一緒にやってきたら、ああそういう事なんだなって気付くわよ」
おおー流石リリエラさん。伊達にAランク冒険者じゃないね。
その観察眼と察しの良さは流石だ。
「じゃあそろそろ浄化を始めましょうか」
僕は空中に静止して腐食の大地の浄化準備を始める。
「けど結構中まで入り込んだわね。端から浄化していった方がよかったんじゃない?」
リリエラさんの言う通り、僕達は腐食の大地の奥まで侵入していた。
周囲を見回しても正常な大地は見当たらず、見渡す限り毒の沼地だ。
「ええ、せっかくなら効率よく浄化していきたいので」
「効率?」
リリエラさんの疑問の声に頷くと、僕は魔法を発動させる為に魔力を集中させる。
「これから使う魔法はいつもの浄化魔法よりも規模が大きいですから。なるべく奥まで入っておいた方がギリギリまで浄化出来ていいんですよ」
「規模って、それどういう……」
「グランドエリアピュリフィケーション‼︎」
僕がかざした手から光が生まれ、その光が一気に周囲へと満ちて行く。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
光は一瞬で地の果てへと広がっていき、腐り果てた大地を浄化して行く。
「グギャアアァァァァァァッ‼︎」
「グボアァァァァァァッ!」
「ジャギャァァァァァァァァァ⁉︎」
腐食の大地のありとあらゆる方向から、魔物達の悲鳴が上がってくる。
沼の中に潜んでいた汚れに満ちた魔物達が浄化されていく声だ。
「何なにナニッ⁉︎ 何が起きているの⁉︎」
光に目が眩んだリリエラさんが、目を両手で隠しながら魔物達の悲鳴に動揺している。
「浄化魔法を喰らった魔物達が苦しんでいるだけですから、気にしないで大丈夫ですよ」
「だ、だだだ大丈夫って、物凄い数の悲鳴が全部の方向から聞こえてくるんだけどぉぉぉぉ⁉︎」
おお、目を瞑っていても魔物達の悲鳴から敵がどの位置にいるか大雑把に判断しているんだね。
さすがリリエラさん、未知の魔法に驚いても冷静に状況を把握しようとしている。
《ギャァァァァァァァァァァァァァッ‼︎》
そして最後の最後に、魔物達の断末魔の悲鳴が重なってまるで一つの巨大な魔物のような声があがる。
そうして光が収まると、見渡す限りの毒の沼地は姿を消し、腐食の大地は元の土と岩の大地へと戻っていたんだ。
「もう大丈夫ですよ、リリエラさん」
「……っ」
恐る恐る手を離してリリエラさんは目を開ける。
次いで周囲をキョロキョロと見て状況を確認していく。
「……」
「…………っ⁉︎」
そして正確に状況を判断したらしいリリエラさんが目を見開いた。
「何これぇぇぇぇぇぇぇぇっ⁉︎」
「広範囲を浄化する上位浄化魔法のグランドエリアピュリフィケーションです。いつものハイエリアピュリフィケーションだと浄化範囲が狭いですから、上位浄化魔法で一気に広域を浄化しました」
「こ、広域⁉︎ これ全部⁉︎」
「はい、全部です」
グランドエリアピュリフィケーションは、前前世の僕が作った魔法だ。
とある国の魔法使い達が、新しい戦略魔法の開発中に大失敗して、とんでもない広さの土地を汚染してしまったんだよね。
それでこのままじゃ汚染された土地に人が住めなくなるだけじゃなく、周辺の土地まで汚染されて大変な事になるからなんとかして欲しいと頼まれたんだ。
けど普通の範囲浄化魔法じゃとてもじゃないけどそんな膨大な規模の土地を浄化することはできない。
浄化する端から残った土地が汚染されちゃうからね。
ならいっそまるごと浄化すればいいじゃないかと思って作ったのがこの魔法だ。
「この魔法は術者を中心に周囲を浄化する魔法で、その規模は術者の実力にもよりますが……おおよそ小国程度の広さなら十分浄化できます。なのでしばらくは腐食の大地に町が侵食される心配はありませんよ」
「へ、へぇ……小国……ね」
何故かリリエラさんの様子がおかしい。
効果範囲を広げただけのただの浄化魔法なんだけどなぁ。
「……随分レクスさんに慣れたと思ったけど、やっぱりレクスさんね。気を抜くと心臓が止まりそうになるわ」
リリエラさんが何かを小さく呟いているけど、何を言ったんだろう?
「と、ともあれ、次に行きましょうか。もっと沢山の場所を浄化するつもりなんでしょ?それこそ腐食の大地全部を浄化するくらいのつもりで」
「あれ? 気付いていたんですか?」
「分かるわよ。私に気を使ってくれたんでしょ?」
リリエラさんが視線を彼方に向ける。
その先にあるのは、リリエラさんの故郷のある方向だ。
「腐食の大地に飲み込まれそうになっていたあの村を見て、私の故郷を飲み込んだ魔獣の森と同じだと、そう思ってくれたんでしょ?」
参ったなぁ、完全にバレてるよ。
「……魔獣の森ね、最近は以前に比べてほとんど周囲の土地を侵食しなくなったらしいわよ」
「え? そうなんですか?」
「うん、冒険者ギルドで教えてもらったの。ギルドは魔獣の森の主だったエンシェントプラントが討伐されたのが原因なんじゃないかって言ってたわ。森を拡大させていたトラッププラントもキラープラントも同じ植物系の魔物だったしね」
成る程、エンシェントプラントが他の植物系の魔物を統率して居たから魔獣の森は異常な速度で拡大していったんだ。
前世だとエンシェントプラントは見つけたらすぐに狩るか、専用の植林地帯で栽培していたから、そんな特性がある事までは気づかなかったよ。
「……ありがとねレクスさん」
「……いいえ、どういたしまして」
リリエラさんは僕のパーティ仲間だからね。
嫌な思いはして欲しくないよ。
「じゃあ浄化を続けましょうか!」
「ええっ!」
◆ジャイロ◆
それは突然の出来事だった。
突然彼方から光が押し寄せたと思ったら、次の瞬間周囲の沼地が見渡す限り全て普通の地面に戻っていた。
「こ、これって……」
自分で言っておきながら原因なんて一つしか思い浮かばない。
「レクスよね絶対……」
「……だよな」
うん、こんな事が出来るのは兄貴以外にありえねぇ。
「どこにもレクス達の姿が見えないんだけど、どんだけ遠くから浄化したのよ……」
「……」
俺は我知らず体を震わせる。
ビビってるからじゃねぇ。興奮が止まらないからだ。
兄貴の凄さは知って居たけど、それでも兄貴にはいつも驚かされてきた。
兄貴の凄さには底が見えねぇって。
そしてこの光だ。
兄貴が放った浄化魔法を俺達も受けた。
それは俺達を傷つけるようなものじゃなかったけど、それでもその魔力から俺は、兄貴の力の一端を肌で感じる事が出来たんだ。
だから分かった。
今の自分が兄貴の足元にも及ばないって。
一体どれだけ強くなれば兄貴の居る場所が見えるのか見当もつかねぇ。
けどよ、それに気づいてもなお俺はワクワクしていたんだ。
兄貴は信じられないほど強ぇ!ドラゴンなんか目じゃないほど、それどころか兄貴が言ってたドラゴンよりも強い魔物よりも絶対強ぇ!
俺もそんな兄貴に追いつきてぇ!強さの天辺に登ってみてぇ!
「あの〜〜」
そんな事を考えてたら、ドーラが申し訳なさそうに声をかけてきた。
「これってもしかして、私が浄化する意味なかったんじゃないですか?」
「「……」」
俺とミナはお互いに顔を見合わせてからドーラに向き直って言った。
「「ドンマイ」」
レクス(:3)レ∠)_「浄化〜〜」
リリエラ(:3)レ∠)_「レクスさん(胸キュン)」
腐食の大地(i|!゜Д゜i|!)「モギャアアアアアアアッ‼︎ 過去最大級の激痛が私を襲うっていうかリア充共爆発しろ! いやむしろ私が爆発しそうっていうかもうしてる!」
ドーラ(:3)レ∠)_「しょんぼり」
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