第149話 光の女神爆誕!
作者_:(´д`」∠):_「本編再開ですよー!」
ヘルニー(:3)レ∠)_「2000文字で終わらせるつもりで7000文字書いたバカがここにいますよー!」
作者_:(´д`」∠):_「仕方なかったんやぁぁぁぁぁ!」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
皆さんの声援が作者の励みとなっております!
「ただいまー」
アイドラ様にゴーレムを納品した僕は、アイドラ様が操縦するゴーレムとともに皆が待っている町の宿へと戻ってきた。
え? 町に戻るには時間がかかるんじゃないかって?
大丈夫、この町の近くに転移マーカーを設置しておいたからね。
これで王都の屋敷から転移ゲートを使っていつでも移動が可能なのさ。
「お帰り兄貴ー」
「あら? その人は?」
リリエラさんがアイドラ様のゴーレムを見て首をかしげる。
ああ、皆ゴーレムの製作風景を最初は興味深そうに見てたけど、途中から飽きて魔物退治や町の散策に出かけちゃったからね。
唯一ミナさんだけは一番遅くまで見てたけど「ダメ、これを見ていたら私は色々と駄目になる気がするっ!」って言って飛び出して行っちゃったんだよね。
「ああ、この人はア……」
とそこで僕の言葉を遮ってアイドラ様が前に出る。
「私はドーラ。新人冒険者ですが、レクスとはちょっとしたご縁がありまして、その縁で冒険に誘って頂きました」
「レクスさんと……?」
アイドラ様の説明を聞いて、リリエラさんがジトリとした目で僕を見る。
「もしかしてまた何かしたの?」
「え? またってどういう意味ですか⁉︎」
「まぁまたって言ったらそうよねぇ」
そうって何がそうなんですかミナさん⁉︎
「ちょっとア……ドーラ、一体……」
どういうつもりなのか、そう聞こうとした僕にアイドラ様が囁く。
「この体はお忍び用のものなのですから、皆さんが気付くまでは内緒にしておきましょう。知り合い相手でも私とバレないか試す良い機会です」
「まぁ、そういう事なら……」
うーん、でもどっちかというと、いつまでバレないかを楽しんでいる様にも見えるんだよねぇ。
前世でもイタズラ者の知り合いが居たから、なんとなく空気で分かるんだよね。
でもまぁ、前世の知り合いのイタズラと比べたら全く無害だし、放っておいてもいいかな。
「と言うわけで今回の魔物討伐にドーラも連れて行きたいんだけど良いかな?」
「呼び捨て……」
「え?」
「いえ、何でもないわ」
なんだろう? リリエラさんの目付きが妙に鋭いような気が……はっ、まさか新しく参加したアイドラ様の実力を警戒しているんじゃ⁉︎
そうだよね、リリエラさんはAランク冒険者だ。今まで戦ったことの無いお姫様のアイドラ様の立ち振る舞いから、ドーラが戦いの素人だと見抜いたんだろう。
「俺は良いぜ!よろしくなドーラ!」
「まぁレクスが誘ったっていうのなら、私も文句はないわ」
ジャイロ君達は大丈夫みたいだね。リリエラさんは……
「別に、レクスさんがそうしたいって言うならそれに文句はないわ」
うーん何だろう?なんだかリリエラさんの言葉が刺々しい気が……
けどまぁ、皆問題ないならそれでいいか!
「じゃあ行こうか皆!」
「「「「おー!」」」」
◆
「あれ?おかしいな」
飛行魔法をつかって腐食の大地へとやってきた僕達だったけど、僕はその光景に違和感を感じていた。
「どうしたのレクス?」
腕の中に抱えたアイドラ様が首を傾げながら尋ねてくる。
うん、アイドラ様は飛べないから僕が抱きかかえて飛んでいるんだよね。
一応アイドラ様のゴーレムボディには飛行機能が搭載されているんだけど、それも練習が必要だから今回は僕が運ぶ事にしたんだ。
そのうちアイドラ様にも飛び方を教えないとね。
「腐食の大地が広がっているような……」
「マジで?」
「うん、気のせいじゃないね。この間浄化した土地がまた侵食されているよ。浄化した大地に埋まっていたジャイアントポイズンセンティピードを掘り起こした穴がなくなっているのがその証拠だ」
「言われてみれば確かに無くなってるわね」
うーむ、腐食の大地は土地を侵食するとは聞いたけど、これは予想以上だね。
近くに村もあるし、これはちょっと浄化をしておいた方が良いなぁ。
「皆、今日の魔物討伐なんだけど、ちょっと予定を変えて腐食の大地を浄化しながら魔物狩りをしようと思うんだ」
「いいんじゃないかしら、禁止領域の拡大を止めるのは魔獣の森でも推奨されていたしね」
魔獣の森を活動の舞台にしていたリリエラさんは僕の意図を察してくれたみたいだね。
「ありがとうリリエラさん」
「別にいいわよ」
「俺達も良いぜ! 兄貴がそうするべきだって思ったんなら、ちゃんと意味があるんだろ?」
「アンタもちょっとは自分で考えなさいよ」
「そういう難しい話はお前に任せる!」
「はぁ……」
ミナさんも大変だなぁ。
「私も異論はないわ。新入りだし、レクスの指示に従わせてもらうわね」
「ありがとう皆。じゃあまずはパーティを二つに分けようと思う。そして二手に分かれて腐食の大地を浄化していこう」
「え? ちょっと待って、私達浄化魔法なんて使えないわよ⁉︎ もしそんな魔法を使えるとしたらノルブくらいだけど、今回は居ないし……」
「ああ大丈夫ですよ。浄化魔法ならドーラが使えますし」
「えっ⁉︎」
と、そこでアイドラ様が自分が⁉︎と驚きの表情で僕を見る。
「大丈夫ですよ、フレイムインフェルノと同じで、呪文の名前を叫べば勝手に発動しますから」
僕は小声でアイドラ様に浄化魔法を使えることを伝える。
「そ、そうなの?」
「はい、ハイエリアピュリフィケーションと唱えれば発動します」
「わ、わかったわ」
「じゃあチーム分けだけど、僕と……」
「私ね」
と、リリエラさんが手をあげる。
「ジャイロ君達は元々パーティだし、役割も前衛と後衛だわ。連携を考えると慣れた者同士が良いわね」
「でも俺達と兄貴達じゃ戦力偏らねぇ?」
「そこでこのモフモフよ。この子もセットならそうバランスが悪くもないでしょ」
「キュッ?」
リリエラさんに抱えられ、モフモフは何か用?と首をかしげる。
「あら、モフモフちゃんが来てくれるの?」
「キュッ? キュウ!」
アイドラ様に呼びかけられると、モフモフは嬉しそうにアイドラ様に飛び込んでゆく。
ゴーレムの体だけど中身がアイドラ様って分かってるのかな?
「2対4、確かにバランスは取れているわね。切り上げる際の連絡はどうするの?」
「ああ、それならこの連絡用のマジックアイテムを渡しておくよ。同じ物を持っている者同士で連絡が取れるんだ」
「さらりとマジックアイテムを出してきたわね」
「まぁ短距離でしか通じないんだけどね」
「それでも相当よ……」
さて、準備も調ったし、それじゃあ浄化作戦を開始しようかな!
「けどちょっと緊張するわね」
とアイドラ様が本格的な冒険に緊張気味になっている。
「大丈夫だって! 俺達が居るからちょっとくらい失敗したってフォローしてやるからよ!」
「そうそう、コイツなんてCランクになってもよくヘマやらかすもの」
「う、うっせーよ!」
「ふふ、二人はとても仲良しなのね」
「「べ、別に仲良しじゃないし!」」
ははっ、ジャイロ君達は早速仲良くなったみたいだね。
「けど気をつけろよ。ここは腐食の大地って言って、毒の魔物がウヨウヨしてるすっげーヤバイ所なんだからよ」
「まぁ、そうなの⁉︎」
「まぁな。けどまぁ、俺達がいりゃあビビる事は無……」
「あっ⁉︎」
とそこでミナさんが声をあげる。
「どうしたんですかミナさん?」
「ええとね……この子を連れて来ちゃって良かったの? 確か禁止領域って高ランク冒険者本人しか入っちゃいけない場所よね……? それにほら、私達もランク的にね……」
「「「あっ!」」」
「え?」
そういえばそうだった。
ここは一応危険すぎてランクの低い冒険者さんは入っちゃいけないって事になっているんだよね。
ただ実際戦った感じだと、毒対策さえちゃんとしておけばそう大した事ないと思ったんだけどね。
「リリエラさん、腐食の大地って何ランク以上でないと入れないか知ってますか?」
「ええと、確かAランクね。腐食の大地に生息する毒持ちの魔物が外に出る危険があるから、なるべく多く狩って欲しくてランクをAにしているらしいわ。でも奥に向かうならSランクである事が望ましいって冒険者ギルドの資料には書いてあったわね」
Aランクか。それならリリエラさんは大丈夫だね。
「なぁミナ、俺達って確か……」
「Cランクよ」
そうだね、冒険者ギルドのルールだとジャイロ君達は腐食の大地に入る事は許されない事になる。
「え、ええと、もしかして私は参加したらダメなのかしら?」
アイドラ様が自分は付いて行ったらダメなのかと困惑しているけど、その心配は無用だよ。ちゃんと対策があるからね!
「大丈夫ですよ、皆が入ってはいけないのは腐食の大地の中です。でも浄化魔法を使って元の大地に戻せば、そこは腐食の大地の外ですよ!」
「「「「とんでもない暴論が出た」」」」
え? 領域問題ってこうやって解決するものじゃないの?
前々世だとよくこうやって国家間の領域問題が解決されてたけど?
「俺の国とお前の国の境界線はこの山の向こうとこっちだよな?」って言って相手が頷いたら魔法で山をまるごと動かして「それじゃあここは俺達の領地な!」ってやってる王様とか普通に居たからなぁ。
酷いと海岸線を弄る人もいたし。
◆ミナ◆
「じゃあこの辺りから始めましょうか」
レクス達と別れた私達は手頃な場所まで移動してから腐食の大地を浄化する事にした……んだけど、このドーラって子に任せれば良いのよね?
「それじゃあ頼めるかしらドーラ」
「え、ええ。任せて!」
うーん、レクスが連れてきたこの子だけど、どうにも素人っぽいのよねぇ。
私達もちょっと前までは素人だったけど、ちゃんとお爺様や村の冒険者ギルドのオジさんから戦闘訓練は受けていたし、狩りをしてそれなりには戦えるようになっていたもの。
でもこの子からはそういった野外活動に対する慣れを感じないのよねぇ。
もしかして、どこか良いところのお嬢様のお忍び護衛でも受けたのかしら?
Sランクであるレクスならありえない話じゃないけど、でもそれだったらこんな危険な場所には連れてこないわよねぇ。
……っていうか、よく考えたら本当危険な場所だったわここ。
「じゃ、じゃあいきます!ハイエリアピュリフィケーション!」
すると、突然ドーラの体が眩く光り輝いたの。
「きゃあぁっ⁉︎」
「うわっ⁉︎」
あれ? ちょっと待って! 今全然発動前の溜めの魔力を感じなかったんだけど⁉︎
しかも無詠唱⁉︎ もしかしてこの子もレクスの弟子なの⁉︎
ううん、それでも発動前の魔力の動きがあるハズ。
って事はこの子もしかして……⁉︎
なんて考えてると、次第に光が止んでいったわ。
そして視界が戻ると、そこは一面の毒の沼からどこにでもある普通の大地へと変貌していたの。
まぁ、地面から魔物が半分生えている大地が普通かと言われれば疑問だけど。
「まぁ、本当に普通の地面になったわ!」
そしてそれをやった本人が普通に驚いているし。
「なぁこれって……」
「ええ、レクスの仕業でしょうね……多分あの人の体、例のゴーレムよ」
でなきゃ魔力の溜めもなしにこんな大魔法使えないだろうし。
「って事は!? 中はもしかしてアイド……」
「しー、あの体はお忍び用のゴーレムなんだから、その名前を口にしたら駄目でしょ。レクスが何も言わなかったんだから、黙っとけって事よ」
私は驚いて大声を出そうとしたジャイロの口をふさぐ。
「な、成る程。ところで言葉遣いとかどうすりゃいいんだ? やっぱ敬語の方がいいのかな?」
「一応お忍びだし、レクスも普通に接していたから、普通で良いんじゃ無い? あのゴーレムの外見は私達と大差ないし、下手に敬語で会話してたら怪しまれるわ」
「そ、そうか。なら安心だな!」
どっちかというとジャイロはドーラの中身がアイドラ様であった事よりも、言葉遣いの方が気になっていたみたい。
まぁ変な気の使い方をしないだけアイドラ様にはありがたいでしょうけどね。
「二人ともどうでしたかー?」
と、アイドラ様が私達に話しかけてくる。
「おう!凄かったぜドーラ!」
「ええ、びっくりしたわ」
ほんと、ビックリしたわよ。
◆とある農民達◆
「と、とんでもねぇモンを見ちまっただ……」
オラ達はイルナガ村のモンだ。
オラ達の村は腐食の大地が近いからな、毎年広がる沼地がどのくらい村に近づいてきたか定期的に見張りにきてるんだ。
あんまり沼地が村さ近づき過ぎると、ヤベェ魔物が沼地を離れて村を襲うかんな。
そして村が沼に沈む前に村を捨てねぇといけねぇ。
その為の時期を見極めるのもオラ達見張り役の仕事だ。
とはいえ、こんな危ねえ仕事は誰もやりたがらねぇ。オラは嫌だ、オラだって嫌だと皆で押し付けあった結果、交代で見張りに来ることになったんだ。
少しずつ村さ近づいてくる忌々しい沼を見にくんのは気が重くてしょうがなかったんだが、今回だけは様子が違った。
オラ達が沼地さ見にきたら、なんか白くて丸い生き物を連れた若い坊主達が沼地さ近づいてきたんだ。
剣や鎧を身につけていたから、そいつ等が冒険者だとすぐに分かっただが、オラ達はすぐに止めようとしたさ。
なんせあの沼地の魔物はとんでもなく強くて、特別な許可を貰った方達しか入っちゃいかんって役人が言ってたからな。
だけどもあの坊主達はとてもじゃないがそんな凄ぇ人達には見えなんだ。
きっとその事を知らずにやってきたんだと思って止めようとしたんだが、なんとそのうちの一人が急にお日様みたいに光り出したんだ。
オラ達はビックリして目を閉じたんだが、目を開けたらとんでもねぇ事になってたんだ。
なんと腐食の大地が消え去って、土地が普通の地面になっていたんだ。
一体何が起こったのかとオラ達は呆然としてたよ。
更にそれだけじゃあ終わらず、その坊主達は腐食の大地の魔物達を雑草でも刈るみたいな勢いで退治し始めたんだ。
しかも一緒に居た白っこい丸い生き物まで自分の何倍もある魔物をやっつけていたんだ。
そんで魔物を全部退治すると腐食の大地の奥へと向かって行って、またピカッっと光ったと思ったら、沼地が普通の地面になってたんだよ。
もうオラ何が何やら……
「なぁ、もしかして、あの人は女神様なんじゃねぇのか?」
オラ達が呆然としてたら、一緒に来ていたヨザックが馬鹿な事を言い出した。
「何バカな事言ってんだヨザック。そんな事ある訳ねぇだろ」
「でもよう、あんなピカッと光ってあの毒の沼地を普通の土に戻しちまうなんて、普通の人間の出来る事じゃねぇよ」
オラは一緒に来ていた他の連中を見るが、そいつ等もヨザックの言葉を真に受けたのか、あの光る娘さんに目が釘付けになっていた。
「まさか、いやでも……」
普通に考えたら女神様なんてありえねぇ。けどもこんな事教会の偉い坊さん達にも無理だ。
坊さん達は沼地が広がる速さを抑える事は出来たが、沼地を元に戻す事は出来ねぇって言ってたかんな。
「じゃあ本当に……女神様なのか?」
「おっかねぇ魔物をあんなに軽々と倒して憎らしい沼地を元に戻してくれたんだぜ? あのお方達が女神様以外のなんだって言うんだよ?」
「じゃ、じゃあ、あの方達はこの沼地を元に戻してくださるつもりなのか?」
「きっとそうだ! 困っているオラ達を助ける為に、女神様が助けに来てくれたんだ!」
「きっとあの白っこい生き物は女神様に仕える神獣なんだ!」
「あの坊……じゃなかった、あの方々も女神様に仕える神の使いなんじゃないか⁉︎」
「女神様……」
「女神様‼︎」
「「「「女神様っ‼︎」」」」
気がついたらオラ達は女神様達に向けて深々とひれ伏していた。
ああ女神様、オラ達をお救いください!
◆ミナ◆
「くちゅん!」
魔物達を退治していたら、アイドラ様が急にくしゃみをした。
「おっ? 風邪かドーラ?」
「なんだか急に鼻がムズムズして」
っていうか、ゴーレムの体なのに風邪って引くのかしら?
「はははっ、もしかして誰かがドーラの事を噂してるんじゃねーの?」
「一体誰が噂しているのかしら?」
なんてバカな話をしていたんだけど、まさかその数日後に腐食の大地に光り輝く女神様が降臨したなんてとんでもない噂が流れるようになっちゃったのよね……
村人達_(:3)レ∠)_「「「「女神様が降臨なされたぞぉぉぉぉ!」」」」
ジャイアントポイズンセンティピード_:(´д`」∠):_「とうとう雑草扱いされ始めました……」
腐食の大地 (i|!゜Д゜i|!)「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ! なんか痛いのが増えたぁぁぁぁぁ! 病院行こうかな……」
ジャイアントポイズンセンティピード(:3)レ∠)_「寧ろ医者が治療している最中なんじゃないですかね?」
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