第141話 お姫様はメグリ!?
作者_:(´д`」∠):_「わーいまた馬鹿みたいに書いたから分割するぞー!」
分割してなお5000越えの原稿(:3)レ∠)_「ちっ、根性無しが」
作者_:(´д`」∠):_「年末進行が近づいてるから忙しいのよ!」
原稿(:3)レ∠)_「毎日少しずつ書けよな」
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「メグリさんが二人!?」
メグリさんを探して王城に忍び込んだ僕達は、そこで二人のメグリさんに出会ったんだ。
「何でモフモフが……」
思わず声が出てしまったけれど、姿隠しの魔法を使っているおかげで僕達の正体はまだバレていない。
ただ飛び出したモフモフだけは見つかっちゃったんだけどね。
「メグリエルナ、この子は貴女の友達なの?」
すると、最初にこの部屋に入ってきたメグリさんがモフモフを抱きかかえながらメグリエルナと呼ばれたメグリさんに語りかける。
ええと、この人がアイドラさんで良いんだよね多分。
うーん、ややこしいな。
「は、はい……私の、というか、私の知り合いのペットです」
モフモフの事を知ってるみたいだし、こっちのメグリエルナさんが僕達の知っているメグリさんなのかな?
「まぁ、お友達の? それは心配されているでしょうね。すぐに返して差し上げないと」
「というより、何故モフモフがこんな所に……」
「貴方、モフモフという名前なの?」
「キュウ!」
モフモフに飛びつかれたもう一人のアイドラさんは、モフモフを抱きかかえて優しく撫でる。
「キュッキュー!」
撫でられたモフモフはご機嫌で気持ちよさそうな鳴き声を上げている。
お城に忍び込んだのが見つかったのに、お前は気楽だなぁ。
「ふふっ、可愛い。お菓子は食べる?」
「キュウ!」
そう言ってアイドラさんがテーブルのお菓子を差し出すと、モフモフは美味しそうに高価そうなお菓子を頬張る。
「見てメグリエルナ、可愛いわね!」
「本当はとても危ない生き物なのですが……」
「あら、そんな事ないわよね? 貴方は優しい良い子よね?」
「キュウッ!」
「……猫を被っている」
アイドラさんにお菓子を与えられながら、されるがままに撫でられ続けるモフモフ。
まぁモフモフはまだ生まれたばかりの赤ん坊だしね。
魔物とはいえ、脅威とは思われないだろう。
「……」
と、そんな二人とは裏腹に、メグリさんが部屋の中をキョロキョロと見回していた。
どうしたんだろう?
「どうしたの、メグリエルナ?」
アイドラさんもメグリさんの様子が気になったらしく、彼女に問いかける。
「アイドラ様、これから少し驚く事になると思いますが、声を上げないで貰えますか?」
「え、ええ? よくわからないけど分かったわ」
アイドラさんは不思議そうに首を傾げるけれど、メグリさんを信頼しているのか、分からないながらも頷いた。
「ありがとうございます」
メグリさんはアイドラさんを背に隠し窓の方角、つまり僕達の居る方角を向いて言った。
「レクス、ううん、皆そこにいるんでしょう?」
この断言っぷり、メグリさんは僕達が居ると確信しているみたいだね。
「モフモフで気づかれちゃったかなぁ」
「でしょうね」
「どうする皆?」
僕はジャイロ君達を見て、どうしようと判断を仰ぐ。
今回はジャイロ君達の意見を聞いた方が良さそうだ。
「いいんじゃねぇの? もうバレちまってるみたいだしさ」
「そうね、というか最初からメグリを探しに来たんだしね」
「わかりました」
ジャイロ君達の確認を取った僕は姿隠しの魔法を解除する。
「えっ!? 人!? 何処から!?」
僕達が突然現れた事で、アイドラさんが驚きの声をあげる。
でもあらかじめメグリさんに驚かない様に言われていたからか、パニックにはなっていないようだ。
「メグリエルナこの人達は一体!?」
アイドラさんが事情を知っているメグリさんに問いかける。
「アイドラ様、彼等は私の友人の冒険者です」
「まぁ! 冒険者!」
僕達を紹介されたアイドラさんの目が興味津々な様子になる。
「何もない所から突然現れるなんて、凄いのね冒険者って!」
「いえ、それは彼等だからで……はぁ、右からジャイロ、ミナ、レクス、リリエラです」
「あっ、どうもっス」
「は、初めまして!」
「初めまして、レクスと申しますアイドラ様」
「リ、リリエラといいます!」
僕達が挨拶をすると、アイドラさんは微笑みながら姿勢を正す。
「初めまして、私はアイドラ、アイドラ=セル=イスカ=ティオンです」
アイドラさんはスカートを摘まむと、貴族の令嬢に相応しく優雅にお辞儀を返してきた。
「分かっていると思うけど、この方はこのティオン国の王女様だから」
「そ、そうなんだ……って、王女様!?」
アイドラさんが王女と聞いて、リリエラさんが驚きの声を上げる。
「まぁまぁ、落ち着けってリリエラの姐さん」
「そうよ、あんまり騒ぐと人が来るわよ」
「え? あっ、ゴメン」
「ああそれなら大丈夫ですよ、今は僕が風魔法で音が漏れないようにしてますから」
「あら、そうだったの? じゃあもっと大きな声を出しても大丈夫ね」
「ちょっ!? 何で皆そんな平然としてるの!?」
僕達が平然としている事に、リリエラさんが困惑の声を上げる。
「いえまぁ、お城に住んでる時点でお姫様だろうなぁと予想がついていましたから」
前世や前々世でもお城に入る機会は多かったからね。
賢者や英雄である僕にお話をさせる為に部屋へ招く王族は結構多かったんだよね。
……まぁ、お話を聞くという名目で呼んだ人はそれ以上に多かったんだけど。
「まぁ俺達はメグリからある程度聞いていたからな……」
「ご、ごめんね。事情が事情だけに」
「じゃ、じゃあメグリがお姫様だって私だけが知らないでいたの!?」
いえ、僕もそれは知りませんでしたよ。
「違う」
と、そこで否定したのはメグリさんだった。
「私は姫じゃない。私は、アイドラ様の影武者」
「「影武者!?」」
「その通りです。メグリエルナは私の影武者です」
アイドラさんがメグリさんの言葉を続けるように会話に加わって来る。
「せっかく来てくださったのですから、どうぞこちらにお座りくださいな。メグリエルナ、お茶を淹れて貰えるかしら?」
「かしこまりました」
そう言ってアイドラさんが僕達をテーブルに誘う。
メグリさんを見ると、彼女は無言で頷いてきたので、まずは僕から椅子に座る。
それにつられるように、ジャイロ君達も座り、最後にリリエラさんが遠慮がちに椅子に座った。
そしてメグリさんが全員分のお茶をテーブルに置くと、アイドラさんが口を開く。
「ふふふっ、メグリエルナがこんなに沢山お友達を連れて来るとは思わなかったわ」
「も、申し訳ありません」
「良いのよ。怒ってなんかいないわ。寧ろ喜んでいるの。だって貴女はその役割上、あまり人と深く関われないものね」
「そうなんですか?」
「ちょっ、レクスさん!?」
僕が会話に加わると、リリエラさんが慌てた様子で僕を止めようとしてくる。
「良いのですよリリエラ様、貴女も気軽に話しかけてくださいな」
「は、はい!」
うん、リリエラさんは緊張して話どころじゃないっぽいね。
天空王の時はもっと堂々としてたんだけど、自分の暮らす国の、それも本物のお姫様となると勝手が違うんだろうなぁ。
けど偉い人の子供って、結構外の世界の話を求めてるんだよね。
立場的になかなか外に出れないし、出ても護衛に囲まれてなかなか楽しめないらしいから。
だからフランクに接すると喜ぶ人が多いんだよ。
まぁそれをすると怒る人も居るんだけど、そう言う人は見た瞬間、態度や視線で分かるからね。
「ねぇ、貴方達とメグリエルナの話を教えてくれないかしら? 私はこの部屋と奥の部屋で会うメグリエルナの事しか知らないの」
アイドラさんがまず求めて来たのは、メグリさんの話だった。
けどメグリさんの話かぁ。何を話したものかなぁ。
「皆さんは冒険者だそうですが、メグリエルナとはどういう関係なんですか?」
僕達がどう話をしたものかと困惑していた事を察したのか、アイドラさんは僕達の関係に話題を絞ってきた。
この人、会話の運び方が上手いなぁ。
「えと、俺達……っていうか俺とミナは、メグリ……じゃなくてメグリエ……エー」
「ジャイロ、メグリでいい」
「お、おう! 分かったぜ。ええと、そう、俺達はメグリの幼馴染です!」
「メグリエルナの幼馴染?」
アイドラさんが不思議そうに首を傾げる。
「アイドラ様、私はアイドラ様の影武者として働く事が決まるまでは、護衛になるべく訓練を受けていたのです。その時に暮らしていたのが、王都から離れた位置にある村だったんです」
「まぁ、そうだったの!」
へぇ、それでメグリさんはジャイロ君達と知り合いだったんだ。
「そ、そうなんですよ! ミナの爺さんとメグリの家の爺さんが知り合いで、それで爺さん達が友達になってやってくれって言って俺達の所に連れて来たんだ」
「まぁっ、素敵な出会いね!」
「へへっ」
「仲良し三人組だったのね」
「あ、いえ、4人です。ここに居ないノルブって子が居て、その子はちょっと用事で別の所に居るんです」
とミナさんがアイドラさんの言葉に補足する。
「まぁそうなの。そのノルブ様という方にもお会いしてみたかったわ」
そういえばノルブさんも家に帰ってきてなかったなぁ。
家に誰もいなくて心配してないと良いんだけど。
「あれ? でもそれだと何でメグリの正体を知ってたの? メグリがアイドラ様の影武者とかバレたら困るんじゃない?」
と、リリエラさんが思い浮かんだ疑問を口にする。
あー、そういえばそうだね。
「うっ……」
一瞬、唸るような声を上げたメグリさんだったけど、すぐに何事もなかったかの様に振る舞う。
「あー、それな。昔皆で遊んでた時にさ、勝負に負けたら自分の秘密を教えるって罰ゲームを決めたんだ。で、そん時にメグリが負けた時に教えてくれたんだよ」
「「それ、教えて良いの!?」」
まさかの内容に、僕とリリエラさんの声が重なる。
「……こ、子供の言う事だし」
うんメグリさん、流石に誤魔化せてないよ。
冷や汗がダラダラ流れてる。
「さすがに内容が内容だから、私もまさかと思ったんだけど、でも昔からメグリは定期的に王都とあの村を行き来してたし、お爺様達からメグリの事をよろしく頼むって何度も念を押されたのよね。だから、万が一と思ってジャイロ達に口止めしておいたのよ。けどコイツを黙らせるのにはホンっとに苦労したわ」
「いやだってよ、普通本当の事とは思わねえじゃん」
「……」
メグリさんがかつてない程に無表情になってる。
いやいや、寧ろその顔じゃ、動揺を隠すどころか逆に動揺してる様にしか見えないよ!?
「ぷっ……あはははははっ!!」
と、ジャイロ君達の話を聞いていたアイドラさんが大笑いをし始めた。
「あははっ、メグリエルナ! 貴女そんな事してたのね! あはははっ」
「ふ、分別のつかない子供の頃の事ですから……」
と言いながらも、メグリさんの顔は真っ赤だ。
無表情だけどこんなに表情豊かなメグリさんを見たのは初めてかもしれない。
「ふふふっ、素敵よ! もっと聞かせて貴方達の話!」
こうして僕達は、アイドラさんに促されるままにメグリさんとの出会いや、冒険者になってからの日々を語るのだった。
アイドラ(:3)レ∠)_「特に恥ずかしエピソードを重点的に」
メグリ(:3)レ∠)_「上司ぃぃぃぃぃぃぃっ!」
作者(:3)レ∠)_「次回更新は11/20を予定しております」
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