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第133話 決勝戦、龍姫決定!

_:(´д`」∠):_「ちょっと遅れたけど連載再開です!」

_:(´д`」∠):_「二度転生三巻とコミック一巻をお買い上げくださった皆さんありがとうございます!」

_:(´д`」∠):_「あと沢山の誕生日プレゼントとお祝いのお言葉をくださり、ありがとうございます!」

_:(´д`」∠):_「暑くなったり寒くなったり大変だけど、皆も体調を崩さない様に気を付けてくださいね!」


いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さんの声援が作者の励みとなっております!

◆リリエラ◆


私達は決勝の舞台へ上がる。


「「「……」」」


この戦いで龍姫が決まると、観客達も固唾を呑んで見守っている。


「遂に決勝戦か……」


「ああ、これで本当の意味で龍姫様が龍姫様だって決まる訳だな」


 静かな会場では、観客達のそんなつぶやきも聞き取る事が出来た。


「……っていうか、私は龍姫じゃないんだけどね」


 でも困った事に、街中でドラゴンを倒して以来、世間はすっかり私を龍姫と勘違いしたままなのよね。

 うーん、本当にどうやって誤解を解いたものかしら。


「リリエラさん」


 と、そこでリューネが小さな声で話しかけて来る。


「なに?」


「私、証明したいんです。自分が龍姫の後継者として相応しい存在だと。だから、全力で貴方に挑みます……リリエラさんも、本気で戦ってください」


 リューネの眼差しは、真剣そのものだ。


「……」


 参った、本当に参った。

 正直言えば、この戦い負けちゃった方が良いのよね。

 というか、龍姫疑惑を晴らしたいのなら、負けた方が良いと言っても過言じゃない。


 だけど……困った事にわざと負けるのも問題があるのよね。

 私は冒険者。己の力一つで生きていく冒険者にとって、評判はとても大事なもの。

 それがたとえわざとであったとしても、一度負けてしまったらその事実は残る。

そして私はその相手よりも格下と見られてしまう。

 

だって見ていた人達は私がわざと負けた事は知らないんだから。

 見てない人達なら猶更。どんな無責任な噂を流されるか分かったもんじゃない。


 だから、龍姫と勘違いされる事が不本意だとしても、安易に負ける事は出来ないのよね。

 Aランク冒険者の看板に泥を塗る様な戦いをすれば、それこそ信用問題だわ。

 

でも、そういう信用問題も大事なんだけど……

それ以上に私が手を抜きたくないってのもあるのよねぇ。

 なにせ私はこの子にとって…… 


「両者前へ」


 審判の声を受けて、私は余計な事を考える事を止める。

うん、考える時間はもうとうの昔に終わった。

 これからする事は一つだけ。

 私は前に出て槍を構える。


「……っ!」


 それを見た彼女もまた、前に出て槍を構えた。

 うん、戦う前に余計な会話なんていらない。

 (コレ)が私達の言葉なんだから。


「龍姫の儀、決勝戦! リリエラ選手対リューネ選手、試合……」


 審判が旗を持った手を真上に掲げる。


「開始っっ!!」


「「はぁっ!!」」


 旗が振り下ろされた瞬間、私とリューネが前に飛び出す。

 身体強化魔法を発動させた事もあって、私の方が前に出る速度は速い。

 私の方が先に槍を突きだす。

 けれどリューネは淀みのない動きで私の速度について来た。


「っ!?」


 槍がぶつかったのは同時。

 私の方が先に動いたというのに完全に合わせられた。

 それはつまり、リューネの槍さばきの方が上という事。 


互いの槍の先端がぶつかり、弾かれる。

 お互いすぐさま槍を引き戻し突く。

 余計な動きはしない。ただ真っすぐに突いて戻してまた突く。

 

「「……っ!!」」


 速く速く速く、私は槍を突く。

 ぶつかって弾かれる衝撃を引き戻す動作の一部に組み込む。


 衝撃で火花が散る。

 キラキラと散る火花が消える前に新たな火花が生まれ、槍のぶつかる狭い空間に光の花束が生まれる。


「す、すげぇ……」


「綺麗……」


 観客席から小さなざわめきが聞こえて来るけれど、その内容を理解する余裕は私達には無かった。


「「はぁっ!!」」


 このままでは埒が明かないと悟った私達は、次の一突きを最後に大きく後ろに跳び退る。


「……ふぅふぅ」


「はぁはぁはぁ……」


 つばぜり合いならぬ槍突き合いが終わり、会場が静寂に包まれた。


「う……」


「「「「うぉぉぉぉぉぉぉっ! 凄すぎるぅぅぅぅぅぅっ!!」」」」


 堰を切ったように、観客席が一斉に声を上げる。


「何今の戦い!? 槍ってあんなに速く突けるもんなの!?」


「無理だろ、警備隊の訓練を見た事あるが、あんな速い突きを出来る奴はいなかったぜ!?」


「じゃあ冒険者は!? ランクの高い冒険者ならいけるんじゃねぇの!?」


「B……いやAランクならどうだ?」


「いやいや、Aランクでも無理じゃねぇの?」


「もしかしてアレが伝説の龍帝流空槍術なのか……?」


「マジかよ。龍帝流を習うとあんなすげぇ戦いが出来る様になるのかよ? 俺も龍帝流に弟子入りしようかな?」


「いやお前には無理だろ」


 突き合いが終わった事で、ようやく周囲の言葉を理解する余裕が戻ってきた。


「けどそうね、龍帝流は確かに凄いわ」


 うん、確かに私はレクスさんに龍帝流空槍術を習っている。

更に言えば彼から飛行魔法や、身体強化魔法、更に初級だけど攻撃魔法も習った。

はっきり言ってレクスさんに出会う前の私とは比べ物にならない位強くなっている。


「でも、あの子は私よりも後にレクスさんに弟子入りしたのよね」


 私よりも後に弟子入りした以上、単純な修行時間では私の方が有利だ。

 そう思っていた。

 それに私は元Bランク冒険者で、今はAランク。

 単純な実戦経験でも上という自負がある。


 けど、そんな私とリューネは槍さばきにおいて拮抗していた。

 圧倒的に有利な筈の私に、彼女は身体強化魔法も使わずに渡り合っている。

 その理由は一つだ。


「あの娘は私と違って龍帝流空槍術だけをずっと昔から鍛えて来たのよね」


 リューネの学んだ龍帝流空槍術は、過去の悲劇が原因で技術の多くが失われて久しいと言っている。

 けれどそれでも基礎の修行はちゃんと行われていて、彼女は不完全ながらも多くの技を学んできた。

 対して私は龍帝流空槍術を学び始めてほんの数か月。

 積み重ねが違う。


 私が有利なのはあくまでもレクスさんから教わった多くの技術があるから。

 でも、純粋な槍使いとしての技術は間違いなく彼女の方が上だわ。


 そして、レクスさんと出会った事で、彼女は失われた筈の龍帝流空槍術の奥義を学ぶ機会を得る事が出来た。

 今の彼女は、これまで足りなかったものが補われて、ものすごい勢いで成長している最中なのよね。

 

「だからこの戦い、決して私が圧倒的に有利って訳じゃない……か」


 いやホント参ったわ。


「まさか自分がここまで自惚れていたなんてね、全然気づかなかったわ」


 レクスさんというとんでもない人に教えを受けて、色々な修羅場をくぐって、ドラゴンを自力で倒して、自分はもの凄く強くなったと錯覚していた。

 それこそSランク冒険者にも負けないくらいに。


 その矢先にこれだもの。

 自分がどれだけ自惚れていたのかよく分かるってもんだわ。


「世の中には自分より強い相手がウヨウヨいる、レクスさんが言っていた通りね」


 成る程、レクスさんは正しかった。

 あの口癖は自己評価が不自然に低いわけでも世間知らずな訳でもなく、いつどこで埋もれていた強者に遭遇するか分からないから、常に謙虚であれという戒めだったのね。


「凄いです龍姫さ……いえリリエラさん」


 私の気持ちも知らずに、リューネがキラキラとした尊敬の眼差しをこちらに向けてくる。

 寧ろそのセリフはこっちが言いたいわ。

 きっと昔の私だったら貴女には勝てなかっただろうから。


「さぁ、ここからが本気よ!」


「はいっ!」


 私は氷の属性強化を発動させると、試合舞台の床を凍らせる。


「っ!? これは……」


そして足の裏に氷の短剣を生み出し滑り出す。


「わわわっ!?」


対してリューネは凍った地面で戦うのは初めてなんでしょうね。

 明らかに足元が滑る感覚に戸惑っているわ。


その隙に私はリューネの周囲を回りながら加速し、十分な速度を得ると同時に円を小さくしながら接近してゆく。


「行くわよ!」


 リューネが凍った地面での戦いに慣れる前に、一気に勝負をかけるわ!


「はぁっ!!」


 槍の間合いに入った瞬間、リューネの周りを旋回しながら全方位から槍の乱打を叩き込む。


「きゃあぁぁぁぁっ!?」


 リューネは必死で私の攻撃をいなそうとするけれど、凍った地面の上では踏ん張る事も、ましてや私の居る方向に体を向ける事すら危うい。

 有利である槍捌きも、足元が不安定じゃあその力を十全に発揮させる事は出来ないのよね。


 ……ほんとレクスさんはエグい手を教えてくれたものよね。

 使っている自分が言うのも何だけど。


「くぅっ!」


 私の槍を受けてリューネがバランスを崩す。

 次いで叩き込まれた槍によって彼女の鎧に傷が入る。

けれどこれまで倒してきた魔物に比べたら、いまいち手ごたえが薄い。


 ……さすがレクスさんが手入れしただけあって、頑丈な鎧ねぇ。

 でもこっちの武器もレクスさんが鍛えてくれた装備、道具の格としては負けていないわ!


「はぁぁぁぁっっっ!!」


 属性強化を槍に施し、槍の表面が魔力で満たされた氷に覆われてゆく。

 魔力によって生み出された氷は、本来の氷と違って容易くは砕けない。

 私が魔力を込めれば込める程、氷はより強固により鋭くなる。


氷は武器だけでなく、鎧まで覆っていき、私の鎧の形を変えてゆく。


「りゅ、龍姫様の鎧が……」


「綺麗、まるで宝石の鎧だわ……」


 魔力を浴びて青みを帯びた氷を見た観客達が、私の鎧を宝石のようと讃えてくれる。

 でもね、この宝石は綺麗なだけの宝石じゃないのよ。


「たぁぁぁぁっ!」


 私の槍の一撃が、リューネの鎧の右肩を吹き飛ばす。


「うあぁっ!」


 衝撃を堪えきれなかったリューネが氷に滑って転倒する。


「終わりよ!」


 倒れたリューネに、油断なく槍を突きいれる。


「ま、まだです!」


 けれどリューネは横に転がりながら攻撃を回避する。

 そしてツルツルと滑りながら必死で立ち上がろうとする。


「させないわ!」


 態勢を整えさせないよう、私はリューネに小刻みな連撃を加える。


「はわわっ!?」


 せめて直撃を受けない様にと必死で攻撃をいなそうとするけれど、足場の踏ん張りがきかないリューネはどんどん後ろに押し込まれながら鎧が砕けてゆく。


「このぉー!」


「うわっ!?」


 リューネが防御を捨てて反撃してきたけれど、腰の入っていない攻撃じゃあなんとか当てる事が出来たとしても鎧を覆う氷に当たるだけで鎧本体には届かない。


「それズルいですよぉー!」


 ズルくないもん、私の魔法だからズルくないわ!

 レクスさんに教えてもらった魔法だけどズルくない!

 だって私も死にそうな目に遭いながら覚えたんだから!


「なら守りの薄い場所を!」


「そんな簡単に当たってあげる訳ないでしょ!」


 私はリューネの攻撃を回避しながら一方的に攻撃を当ててゆく。


「ひうぅっ!?」


 このまま押し続ければ、いずれリューネは舞台端に押し込まれて場外になる。

 リューネは槍使いであって魔法使いじゃないし、レクスさんから教えてもらう約束をしたのは龍帝流空槍術だけ。

だからこの状況から劇的な反撃をする手段がない。

 これはもう詰んだといっても過言じゃないわね。


 ……でも、油断はしない。

 だってこの子は仮にもレクスさんの弟子だもの。

 彼のとんでもなさと、この子が今まで鍛えてきた龍帝流の槍の冴えを知っている以上、万が一にも油断はしないわ!


「レクスさんの弟子としては、私の方が年季が入ってるのよ! だから場外なんて狙わない! ここで決めるわ!」


「う、受けて立ちます!」


 そう言うと、リューネは槍を地面に突き刺して無理やり立ち上がる。


「くぅっ!」


 当然その間は隙だらけで、無防備に私の攻撃を受けた鎧は砕け、貫かれ、吹き飛んだ。

 立ち上がり態勢を整える為だけでそれじゃあ犠牲が大きすぎよ。

 でも、それでも姿勢を崩したまま、なすすべもなく削り倒されるよりはマシって考えたんでしょうね。

 龍帝流空槍術の後継者として。


「でも、足場の不利は変わってないわよ!」


「いえ、今対策が見つかりました!」


「何ですって!?」


 この状況で何が出来るというの?

 いいえ、何か出来るとしても、それを大人しくやらせる気はないわ。


「させないわよ!」


 私は高速での回転を維持しながら、リューネを全方向から突く。

 鎧の多くを失った彼女では、この攻撃から身を守る事は不可能。

 大振りなんてしない。地味でも確実に仕留めるわ!


「なんのぉっ!」


 次の瞬間リューネが行ったのは、全くの予想外の行動だった。


「えっ!?」


 なんとリューネは、床に突き刺した槍の石突きを支えにするとそのまま真上に跳躍したの。


「はぁっ!?」


 上に跳んでどうするつもり!? 貴方は私達と違って飛行魔法を使えない筈よ!?


「ふっ!」


 跳躍したリューネは、石突きに触れていた手で槍を引き抜くと、そのまま地面に向かって槍の連打を叩き込んだ。


「だぁぁぁぁぁっ!」


「な、何を!?」


 宙に浮いて無防備になったリューネを攻撃する事を忘れ、私は思わず困惑してしまう。

 そして宙に浮いていられなくなったリューネがすぐに地面に降り立つ。

 しっかりと背筋を伸ばした姿勢で。


「……地面が凍っているのなら、凍った地面を砕いてその下から滑らない地面を掘り出せばいいんです!」


「……あっ」


 そうか、そういう事か!

 私の魔法は地面の表面を凍らせたもの。

 地面が氷になった訳じゃない。

 だから氷を砕けば元通りの地面に戻るって考えたのね!


「やっぱり、強いわね貴方……」


 うん、正直驚いた。

 この追い詰められた状況で、この子は対抗策を見事に成し遂げてみせたのだから。

 この冷静さと発想力、侮れないわ。

 当たり前の答えっていうものは、パニックになった時ほど思いつかなくなるものなのよね。


「龍姫様に褒めて頂いて光栄です。でも私だってレクス師匠の地獄の様な特訓を耐え抜いてきたんですよ!」


 リューネの自慢げな表情に私は苦笑する。


「そうね、あの人の特訓を耐えたんだものね。なら大抵のピンチはアレに比べれば大した事じゃないわよね」


「ですです!」


 そうだった、この子はレクスさんの特訓で何度もドラゴンに撥ね飛ばされていたんだったわ。

 そりゃあ度胸も付くってもんよね。


「でもね忘れたの? 私は龍姫じゃないわよ」


「あっ、そうでした。龍姫は……」


「ええ、龍姫は……」


「「……」」


 私達は無言になる。

 その先の言葉は試合が終わった後に口にするべきだからだ。


「でも、簡単にそれを口にさせる気はないわ」


「ええ、私も貴女を倒さずして口にできるとは思っていません」


私達は互いに槍を構える。


「行くわよ!」


「どうぞ!」


 私はリューネに向かって飛び込む。


「入らせません!」


 間合いに入らせまいと、リューネが連続で槍を突いてくる。

 共に槍を武器にしている事で、間合いは同じ。

 ただ同じ種類の武器でも個人の体格や使い方、それに武器の形状の差による重心の違いなどで間合いが変わってくる。


 その微妙な差を奪われない様に、リューネは全力で私にけん制をしてくる。

 けれど私もまた、彼女の槍を恐れずに踏み込んだ。

 

 槍の技術はリューネの方が上。

 槍以外を含めた総合力では私の方が上。


 ただ、リューネの装備は古代から伝わる本物の竜騎士の槍。

 しかもレクスさんが鍛えた事で、その刃は魔法すらも切断する。

それ故、素人魔法使いの私じゃ魔法攻撃で勝負を決めるには至らない。


 だから飛び込む。

 

「まだまだ、後輩に先は譲れないわ! アイスアロー!」


 互いの間合いに入る直前、私は氷の矢の魔法を放てるだけ放つ。


「なんの!」


 足場が確保できたリューネは容易く氷の矢を砕く。

 けど構わない! 私は全速で飛び込み槍を突き出した。


「当たりませうひゃあっ!?」


 即座に私の槍を迎撃しようとしたリューネが突然バランスを崩す。

 再び凍り付いた地面に足を取られて。


「なっ!? 何故!?」


「魔法で凍らせたんだもの。もう一度凍らせる事が出来るのは当然でしょ」


「そ、そうでしたぁーっ!!」


 そう、氷の矢は彼女の意識を地面以外に集中させる為の囮。

 彼女が冷たい氷の矢を迎撃している間に、地面を再び氷で覆わせていたのよ。


 バランスを崩したリューネの槍を巻き上げ、天高く弾き飛ばす。

 槍はクルクルと回転しながら試合舞台の宙を舞い、場外の地面に突き刺さった。


 私は地面に倒れ込んだリューネの眼前に槍を突き出し、告げる。


「私の勝ちね」


「……はい、私の負けですね」


リューネが敗北を認めると、審判が手旗を大きく掲げる。


「勝者リリエラ!」


 ふー、結構危なかったわ。

 世の中意外な実力者が隠れているものねぇ。

 あと一歩が足りない、けどそのあと一歩が何とかなった時、一気に成長する。

 そんな達人直前の人達と、これからも出会う事になるのかしら。


 そして、そんな人達と出会ったレクスさんが、いつも通りおせっかいをする事で、世の中に達人が物凄い勢いで増えていきそうねぇ……

 うん、本当に増えそうで怖い。 


 ともあれ、これで長かった大会も終わりね。

 何か忘れている様な気もす……


「「「うぉぉぉぉぉー!龍姫様―っ!」」」


突然、周囲から大きな声が上がる。

そして私は思い出した。

さっきまで自分が何を悩んでいたのかを。


「すげぇー! 龍姫様すげぇぜ! 凄すぎるぜ!」


「思わず魅入っちまったぜ! 龍姫様だけじゃねぇ、相手の子も無茶苦茶スゲェよ!」


「あれが伝説の竜騎士の実力なのね! 素敵!」


「龍姫様ぁーっ!」


周囲は盛大な龍姫コール……


 しまったーっ! 結局こっちの問題は解決するどころかもっと大事になっちゃった-!

 戦いに夢中になってそのあたりすっかり忘れてたぁーっ!


「遂に我が国に龍姫様が御戻りになられたんじゃなぁ……長生きはするもんじゃあ」


「ええ、ええ……キラキラと輝きながら戦いになられた龍姫様の神々しいお姿、ありがたやありがたや」


 ああっ、なんだかお爺ちゃんお婆ちゃん達が泣きながら手を合わせて拝んでる!?


「だから私は龍姫じゃないってぇーーっ!」


「「「うぉぉぉぉぉぉっ! 龍姫様が俺達に手を振って下さったぞぉぉぉぉぉぉっ!」」」


 残念ながら、私の心からの叫びは興奮して勘違いした観客達の歓声にかき消されてしまったのだった……グスン

観客達(:3)レ∠)_「龍姫様ぁー!一生付いていきますぜっ!」

リリエラ((( ;゜Д゜)))「あーっっっ!やらかしたぁぁぁぁぁ!」

リューネ((( ;゜Д゜)))「あわわ……どうやって本当は私が龍姫の後継者だったんですって伝えよう……((((;゜Д゜))))いっそもうリリエラさんが龍姫様だって事に……」

リリエラ((( ;゜Д゜)))「それだけは止めて!」


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