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第105話 恐怖の包囲網

_:(´д`」∠):_「ご報告ご報告! 二度転生のコミカライズが決定致しました!」

_:(´д`」∠):_「4/15日よりマンガUPさんで連載開始ですよ! 二巻発売と同時スタートなのです!」

_:(´д`」∠):_「これも皆さんの応援のお陰です! ありがとうございます!」


いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さんの声援が作者の励みとなっております!

 転移門の前には同胞達が揃っていた。

 これだけの数の同胞が揃うなど、数百年ぶりだろうか。


「準備は完了した。これより我等は人間の国への襲撃を開始する。目標は竜騎士の国ドラゴニアだ! 目的は龍帝及び竜騎士の首だ! 他の雑魚には目もくれるな!」


「ふっ、遂に動くか」


「今までは人間共に悟られぬように気を使って動かねばならなかったからな。これからはお楽しみの時間という訳だ」


「寧ろ、弱体化した人間共などもっと早く攻めれば良かったのだ」


 くくっ、戦いが始まると聞いて、同胞達が高揚している。

 だがその気持ちも分からんでもない。

 漸く雌伏の時が終わり、人間共との全面戦争を始めるのだからな。


「だが間違えるなよ。これはあくまで始まりだ。そしてその始まりの手土産として、人間共に自分たちの最大戦力である龍帝の首をくれてやるのだ!」


「「「おおぉぉぉぉぉぉっっっ‼︎」」」


 クククッ、クハハハハハッ! さぁ人間共よ、恐怖の時間だ!


 ◆


 修行から帰ってきた翌朝、僕達は冒険者ギルドへと向かっていた。

 目的はドラゴンの素材の買い取りを頼む為だ。


 昨日はリューネさんの特訓に集中していた事で帰りが遅くなっちゃったから、素材の買取は明日にしようと決めたんだ。


 本当は帰りにゴールデンドラゴンが僕達を送るそぶりを見せたんだけど、前回かなりの騒ぎになった事もあって、皆から普通に帰ろうと強く主張されたんだよね。


「ふふふっ」


「なんだか嬉しそうですね?」


 リューネさんは朝からかなりご機嫌な様子だ。


「そりゃあもう! 何せ自分の力でドラゴンを倒す事が出来たんですから! 昨日は修行の疲れでそれを実感する余裕もありませんでしたが、朝起きてレクス師匠の顔を見たら、漸くその実感が湧いてきたんです!」


 成る程、初めてドラゴンを倒せた事で、リューネさんは竜騎士としての自信を持てた事が嬉しかったみたいだ。

 それもその筈、あんな碌に手入れもされていなかったナマクラ同然の武器じゃあ、まともに戦える筈もなかったからね。


「これで父……いえ師匠の墓に胸を張って報告する事が出来ます! そして今の私なら、憂いなく龍姫の儀に挑む事が出来ます!」


 ああ、そういえば龍姫の儀ってのがあったっけ。


「確か儀式のヒロイン役を選ぶ為の試合をするんですよね?」


「え、ええ。まぁそうなんですけど……もうちょっと言葉を選んで欲しいかなーと思わなくもないです、はい」


 おっと、これは失敬。


「と、ともあれ! これからも頑張って修行をしましょう! シルバードラゴンを従えたとはいえ、私自身はまだまだ未熟な竜騎士見習いですから!」


 うんうん、慢心する事なく向上心を持ち続けるのは大事だよね!

 特に油断がないのが良い!


 なにせ世の中には、弟子が厳しい修行を乗り越えて漸く新しい技を覚えた直後に「よし、次はその技を体に覚えこませる為に俺と組手だ!あっ、お前はその技以外使うなよ?」とか言い出すロクでもない師匠も居るからね。


「ところでシルバードラゴンを従えたってどういう意味なの?」


 と、リューネさんの言葉に疑問を抱いたリリエラさんが質問する。


「え? あ、はい。それは私がシルバードラゴンと契や……」


 リューネさんがリリエラさんの質問に答えようとしたその時だった。


「た、大変だぁぁぁぁっ‼︎」


 突然ギルドの扉を開けて誰かが飛び込んできたんだ。


「何だよ騒がしい。……ってお前、門で働いてる衛兵じゃないか?」


 ああこの人、衛兵さんだったんだね。

 でも町を守る衛兵さんがなんで冒険者ギルドに来たんだろう?


「おい、何かあったのか?」


 近くにいた冒険者さんが衛兵さんの背中をさすりながら何があったのかと聞く。


「魔、魔物が……」


「何だ?魔物がどうした?」


 衛兵さんは荒げた息を整えると、ギルド中に響く声で叫んだ。


「町が……町が魔物の大群に包囲されているんだっ‼︎」



「……な、何だって⁉︎」


 衛兵さんの言葉にギルド内が騒然となる。


「そ、それは本当なのか?」


「ああ、突然森や山から魔物の群が現れて、あっという間に街全体を囲んじまったんだ!」


「だ、だがそれなら町が囲まれる前に避難を呼びかける事が出来たろ⁉︎」


 いくらなんでもそれは無いだろうと疑いの目を向ける冒険者さんに対し、必死の形相で真実だと自分が見てきたものを説明をする衛兵さん。


「本当にあっという間だったんだ。魔物達が横に広がりながら包囲網を描いていって、足の速い魔物達が足の遅い魔物達をフォローするみたいに包囲の隙間を埋めていったんだ。後は後続の魔物達が包囲の薄い場所へやってきて、完全に町を包囲しちまったんだ」


「そんな馬鹿な……」


 衛兵さんの説明を聞いた冒険者さん達が驚きに言葉を詰まらせる。

 それにしても、まるで誰かに命令されたみたいな動きをする魔物達だなぁ。

 でもだとしたら、誰の指示でこの町を包囲なんてしたんだろう?


 その後衛兵さんはギルドの職員さんに奥の部屋へと連れていかれたんだけど、5分と経たずに戻ってきた。

 その隣にギルドマスターを連れて。


「皆、話を聞いてほしい」


 そして衛兵さんがギルドマスターと共に戻ってきた事でロビーにざわめきが起こる。


「今まで現実味のなかった話が、ギルドマスターという自分達にとって一番身近な有力者が現れた事で一気に実感が出たみたいね」


 と、リリエラさんが冒険者さん達の気持ちを代弁するように説明してくれる。


「既に聞いている者もいるだろうが、今この町を包囲するように魔物の大群が押し寄せてきている」


 ギルド内がどよめきに包まれる。

 ギルドマスターが同じ内容を口にした事で、衛兵さんの言った事が冒険者さん達の中で確定したからだろうね。


「故にギルドは諸君らに強制依頼を発令する。依頼内容は町に襲い来る魔物の迎撃だ」


 強制依頼と聞いて、冒険者さん達が再びどよめく。


「なぁ、強制依頼って何だ?」


 僕の後ろでこっそりとジャイロ君が呟く。


「アンタねぇ、冒険者になる時の説明で言われたでしょう。国の存亡がかかわる様な災害や、放っておいたら恐ろしい被害が出る様な大魔獣が現れた時なんかに大戦力を確保するための強制権の事よ。これを拒否したらよっぽどの理由が無い限り冒険者の資格を失う事になるわ」


 強制依頼……か。

 大剣士ライガードの冒険でも、国を滅ぼすほど強力な魔獣が現れたエピソードで使われていたなぁ。


「どのみち魔物の大群に囲まれている以上、受けるしかねぇな」


「ああ、逃げるにしても魔物の数を減らさねぇとな」


 冒険者さん達も、逃げ場所が無い以上は戦うしかないと覚悟を決め、依頼を受ける事を決意している。


「幸い町にはドラゴン対策の分厚い外壁や大型のバリスタがある。籠城をしつつ魔物の数を減らし、外壁が持たなくなった時点で魔物の包囲の薄い場所を狙って一点突破。開いた包囲の穴から町の住人を避難させる」


 ふむふむ、典型的な籠城戦だね。


「強制ではあるが、生き残ったら報酬はギルドが出す。だから皆生き残れよ!」


「「「「「おうよっ!」」」」」


 ◆


「いやー、大変な事になってきたなぁ」


 魔物の大群との戦いの準備で冒険者さん達があわただしく動き出す。


「私達も準備をした方が良いわね」


「そうですね。ポーション等の回復薬も準備しないと」


 ミナさん達も少し浮足立っている感じはするけど、戦いの準備をするべく動きだす。


「あ、それなら僕も備蓄があるので、皆に分配しますね」


 僕は魔法の袋からポーションの在庫を出してテーブルの上に並べていく。


「うわっ、こんなに沢山持っていたの!?」


「ええ、いざという時の為に作ったは良いんですけど、なかなか使う機会が無くって」


「でしょうねぇ」


「レクスにいざという時が来るとはとても思えない」


 いやいや、準備は大切ですよメグリさん。

 いつ何があるかわかりませんからね。


「すまないがそのポーション、いくらかギルドにも卸してくれないか?」


 と僕達に声をかけてきたのは解体場の親方さんだった。

 ただその姿が妙だった。


「あれ親方さん? 何で親方さんまで武装しているんですか?」


 そう、何故か解体師である親方さんまで武装していたんだ。

 見れば後ろには見覚えのある解体師さん達の姿もある。


「こんな状況だからな、俺達解体師も参加することになった。俺達は怪我や年齢が理由で引退した元冒険者だが、解体の技術を買われてギルドに雇われていたんだ」


 へぇ、そうだったんだ。

 解体師さんって専門でそういう仕事をする人達だけがやっていると思っていたんだけど、元冒険者さん達も雇われていたんだね。


「それでだな、ちょっと師匠に頼みがあるんだ」


「頼みですか?」


「ああ。こいつはギルドからの要請なんだが、師匠が持っているドラゴンの鱗や角をあるだけギルドに売って欲しい。そしてその素材を使って防具を作るのを手伝ってもらいたいんだ」


「武器と防具ですか?」


「ああ、ドラゴンの素材はそのままでも十分な硬さを誇る。だから鱗に取っ手をつけるだけでも硬い盾になる。うまい具合に割れていれば、剣や鎧としても使えるが、さすがに剣や鎧として使うには加工に時間がかかり過ぎる。だから籠城を長引かせるために盾だけでも作っておきたいんだ」


 成程ね。緊急時に有りものの素材で装備を作ってしのぐのは僕も前世で良くやったよ。

 特に盾は消耗品だから、数があるほどいい。


 僕は念のため皆の方を向く。

 何しろここ数日の修行でドラゴンの素材の大半を狩ったのは皆だからね。


「そういう事だけど、素材を提供しても良いかな?」


「俺は構わないぜ」


「そうね、こういう時だから、私達が使う分だけ確保してくれれば問題ないわ」


 ミナさん達もそれでいいと頷いてくれる。


「そ、それなら私の狩ったドラゴンの素材も提供します!」


 とリューネさんも協力を申し出てくれた。


「ありがとう皆。親方さん、そういう事なので喜んで協力させてもらいますよ」


「助かる。師匠には取っ手をつける為の穴をあける仕事を頼みたい。小さな穴でもドラゴンの素材だ、俺達や町の鍛冶師達だけじゃあ開ける為の道具が足りん。だが一晩で数十人分のドラゴンの鱗を加工したナイフを作れる師匠なら、鱗に穴を開けるのも簡単だろう?」


「ええ、任せてください! それじゃあ解体場を借りますね」


 ◆


「すっげぇ光景だなぁ」


 解体場に高く積み上げられたドラゴン鱗を眺めながら、ジャイロ君がぽつりとつぶやく。


「そうねぇ、ドラゴンの鱗が小銭気分で積まれてるなんて、普通は見ない光景よね」


「ふふ、金貨の山……」


 メグリさん、ドラゴンの鱗は金貨じゃないですよー?


「じゃあ穴開けを始めますね」


「ああ、よろしく頼む師匠。鱗のこの辺りに二つの穴をこのくらいの幅で開けてくれ」


「分かりました」


 親方さんから穴を開ける位置を確認した僕は、解体用のナイフを手に持ってドラゴンの鱗の山の前に立った。


「行きます!」


 瞬間、僕は身体強化魔法を発動して跳躍。

 天井近くまで到達すると、真下に見えるドラゴンの鱗を見た。


 ドラゴンの鱗は無造作に積まれた訳では無く、貨幣を数える時の様にそろえて積まれている。

 つまり、上から見れば一枚の鱗だ。


「はぁ!」


 落下が始まり、ドラゴンの鱗と交差する瞬間、僕は高速で二連続の刺突を行う。

 だけどそれはただ刺すわけじゃない。

 普通に刺してしまったら取っ手用の穴には大きすぎる。


 高速で突き出した解体用ナイフの先端を一番上のドラゴンの鱗の表面で止める、すると先端部の接触した点の衝撃が鱗に極小さく広がり、取っ手を通す為に必要最小限な大きさの穴が開く。

 更に刺突の衝撃は下の鱗にまで伝わっていき、遂には一番下の鱗にまで届いた。

 結果、積み上げられた全てのドラゴンの鱗に小さな丸い二つの穴が開いた。 


 穴開けが完了すると僕は残りの鱗が積まれた山へと向かい、必要とされる枚数のドラゴンの鱗に穴をあけ終えるのにかかった時間は実に30秒とかからなかった。


「はい、穴開け完了です」


「「「「…………へ?」」」」


 あれ? 何故か解体師さん達が呆然とした顔でこっちを見ている。何か手際が悪かったかな?


「な、何コレ!? 上の鱗を突いただけなのに、一番下の鱗まで穴が通ってる!?」


 リリエラさん達が穴の開けられた鱗を見て驚きの声を上げる。

 いやいや、そんな大した事はしてないですよ。


「刺突時の力を調整して、穴の広がりと下の鱗までの衝撃の伝播を調整したんです。皆も練習すればすぐに出来るようになりますよ」


「「「「「いや無理無理」」」」」


 えー? そんな事はないと思うけどなぁ。


「レ、レクス師匠しゅごい……竜騎士にはこんな技もあったなんて……」


 いやリューネさん、これは竜騎士の技じゃなくて普通の刺突技ですからね。


「ところで親方さん、取っ手付けを始めなくて良いんですか?」


「……はっ!? そ、そうだった! お前らすぐに作業開始だ! 師匠が急いでやってくれたんだ、俺達もさっさと作業すっぞ!」


「「「「へ、へい親方!!」」」」


 親方さんの指示を受けたギルドの解体師さん達と町の鍛冶師さん達が、慌てて作業を開始する。


「親方さん、魔物の群れが町に到着するまで、どのくらいかかるか分かりますか?」


「ああ、確かギルド長の話だと、あと一時間くらいって話だったな」


「一時間か……それだけあればもうちょっと作業できるかな。親方さん、ギルドに売ったドラゴンの素材ですが、それを使って他の装備も作っていいですか?」


「え? あ、ああ。盾の材料はもう十分だ。他の装備も作れるならぜひ頼みたい」


「じゃあまずは剣と槍からかな。余裕があれば簡素な鎧も作りたいところだけど」


「はははっ、さすがにそれは時間が無いだろ」


 まぁギリギリまでやってみましょうか。


 ◆


「ふむ、人間の町の包囲は順調だな」


 我等が用意した魔物達は、逃げ出す隙間もない程に人間の町を包囲している。


「だが龍帝はドラゴンを従えているのだろう? だったらドラゴンに乗って逃げるのではないか?」


 同胞がそんな事を聞いてくるが、考えが足りんな。


「確かに龍帝と一部の竜騎士なら逃げる事も可能だろう。だがそれは町の人間達を見捨てるという事だ。龍帝が人間の王である以上、民を見捨てて逃げる訳にもいくまい。いや、別に逃げても構わんがな。そんな真似をすれば龍帝を指導者として認める者は居なくなるだろう。そうなればいかに龍帝と龍帝が従えるドラゴンが強かろうとも恐れる事はない。我々が懸念しているのは人間とドラゴンが手を結ぶ事であって、龍帝一人ならばいくらでもやりようはある」


「なるほど、戦っても物量の前には勝てず、逃げれば卑怯者として仲間達から見捨てられるという訳か」


「そういう事だ。つまりこの町が包囲された時点で、龍帝の敗北は決まっていたのだ!」


「「「「フハハハハハッ」」」」


 さらに言えば、戦うのは我らが従える魔物共だ。

 連中が予想外に奮闘したとしても、大量の魔物と戦って疲弊した時に無傷の我等が出ればひとたまりもあるまい。


 ふっ、策とは二重三重に張り巡らすものなのだよ!


「おお、戦いが始まった様だぞ?」


 人間共の町から魔物共に向けて魔法や矢が放たれる。

 人間共の迎撃を受け、一瞬最前線の魔物共の動きが鈍るが、すぐに後続の魔物に押されて無理やり前に出される。

 押し出された魔物共は人間共の攻撃を受けて息絶えるが、すぐに後続の魔物がその屍を踏み越えて前に出る。


「はっ、どれ程抵抗しようとも、我等が従える魔物の数の前では焼け石に水だ」


 その通り、この戦いは元より圧倒的に数が違うのだ。

 どんな奇策を用いようとも、覆すことは不可能!


「はははははっ、圧倒的な数の暴力を知るがいい人間共よ!」


 その時だった。

 突然視界が光に包まれたかと思うと、轟音と共に爆風が我等を襲った。


「な、何事だ!?」


 あまりに強い風で目を開けていられん。

 そしてようやく風が収まってきた事で、我等は何が起きたのかを確認する。


「一体何が……な、何!?」


 それは信じられない光景だった。

 我等の命令によって町を襲っていた魔物達の包囲の一角が、丸ごと消し飛んでいたのだ。


「バ、バカな!? 一体どういう事だ!?」


 それだけではなかった。

 今度は地鳴りが聞こえてきたかと思うと、長く分厚く巨大な二つの壁が吹き飛んだ魔物達の包囲の穴を守る様に地面から生えてきたのだ。


「なんだあの壁は!?」


「いかん、包囲が崩れた! あそこから逃げられるぞ!」 

 

 そうか、あの壁は人間共が逃げる為の時間稼ぎか!

 だが驚いている場合ではない。急ぎ対策を講じなければ!


「慌てるな。空を飛べる魔物を穴の空いた場所に充てろ」


「そ、そうか。空を飛べる魔物なら壁で遮られても意味がないからな!」


 しかしそれは罠だった。

 空を飛べる魔物達が壁を越えて包囲の穴を埋めようとしたその時、金と銀の閃光が魔物達を襲ったのだ。


「こ、今度はなんだ!?」


「あ、あれは……」


 同胞が空の一角を指さして震える。


「あれは……ゴールデンドラゴンとシルバードラゴンか!?」


 そう、魔物達を襲ったのは、ドラゴンの王であるゴールデンドラゴンと、次いで強大な力を持つというシルバードラゴンであった。


「なるほどそういう事か。人間達の逃げ道は龍帝自らが守るという訳だ」


 見ればゴールデンドラゴンとシルバードラゴンの背には、豆粒ほどに小さいが人間の姿が見える。


「やってくれる。だが王が前線に出るなど愚かな事」

 

 どうやら先ほどの攻撃の正体は、ドラゴン達のブレスだったらしいな。

 だがそれならば空を飛ぶ魔物共に牽制させれば、ブレスによる再度の包囲網破壊は防げる。


「その間に他の魔物共が人間達の町を滅ぼす」


 そう、多少反撃が派手だったというだけで、数の差を埋めるには至らなかったという訳だ。

 すでに足の速い魔物が逃げ道を塞ぐために動き出している。


「精々調子に乗っているがいい龍帝よ。すぐに貴様の顔を絶望に染め上げてくれる! フハハハハハっ!!」


 魔物達が進軍を再開し、町へと少しずつ近づいてゆく。

 そして人間達も矢が尽きてきたのだろう、反撃が少しずつ減ってきていた。


 人間達もそれを理解したのだろう。

 外壁を守っていた門が開き、中から迎撃のための戦士達が姿を現す。


「ハハハッ、これからが本当の絶望の時か……ん? なんだアレは?」


 その時我は妙な違和感を感じた。


「何だ? 随分と同じ色の装備の戦士が多いな? それもフルプレートの戦士ばかりだと?」


 この町の騎士団か何かという事か?

 この町にあるのは自警団程度で、騎士団が常駐しているという報告は聞いていないが。

 まぁ良い、たまたま任務の途中でこの町に通りがかった騎士団といったところだろう。

 

「ふっ、この魔物の大群の前には、多少装備を揃えた増援が増えたとて何の意味もないと絶望するが良い!! ハーッハッハッハッハッ!!」

魔人(:3)∠)_「あれー? なんだか緑色の鎧の人間が沢山いるなぁ」

ゴールデンドラゴン(:3)∠)_「次回はコミカライズ記念で一杯吹き飛ぶよ! 何がとは言わない」

魔人(;゛゜'ω゜'):「やめろよ! そういう事言うの! ホントになったらどうするんだ!」

モフモフΣ(:3)∠)_「いつもの事なのでは?(モフモフは訝しんだ)」


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