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第102話 黄金の憂鬱と銀色大車輪

_:(´д`」∠):_「うぉぉぉぉぉっ! ついに確定申告とかもろもろが終わったぜぇぇぇぇぇ!」

_:(´д`」∠):_「まだまだやる事はいっぱいあるけど、とりあえず連載を再開出来るようになりましたぁぁぁぁ!」

_:(´д`」∠):_「という訳で長らくお待たせしました。そんな最新話ですが、ちょっと文字数が一万文字ぶっちぎったので三話に分割しますね!」

_:(´д`」∠):_「16,20,25日にアップの予定です!」

_:(´д`」∠):_「そして二度転生二巻の発売日が4月15日に決定いたしました! これも買い支えてくださった皆さんのおかげです! ありがとうございます!」


いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!

皆さんの声援が作者の励みとなっております!

—―それは、少しだけ前の事だった—―


「大変だ黄金の! あの恐ろしく強い人間共がまた我等の縄張りにやって来たぞ!?」


 そんな事を言いながら、恐怖の感情に顔を歪ませた黒竜が我の巣穴に飛び込んで来た。

 ちなみにこの黒竜は昨日人間達に討伐された個体ではない。

別の黒竜、別竜だ。


 やれやれ、日頃から自分は人間達から恐怖の代名詞として恐れられていると自慢げに語っていた癖に、まったく滑稽にも程がある。

 黒竜だけではない、緑竜、青竜、赤竜、それどころか自分達こそドラゴンの貴族とのたまっている宝石共までやって来たではないか。


 まったく、折角鱗がさっぱりしたと言うのに、巣が狭くなって叶わん。


「どうするのだ黄金の!?」


「どうもこうもあるまい。相手は我等が束になっても勝てぬ化け物だぞ」


 連中の群れの中の弱い人間相手に緑竜共が束になって襲い掛かったらしいが、それでも毛ほどの疲労を与える程度しか出来なかったそうではないか。


「ならばどうせよと言うのだ!? よもや巣穴に籠って連中が帰るまで震えて待てとでも言うつもりか!?」


「ふっ……その通りだ!」


 そう、それこそが唯一の正解であろう。

具体的にはちょっと巣穴の入り口を破壊して入ってこれない様にしておくと尚良いと我は思うぞ!


「なっ!? 貴様にはドラゴンの誇りが無いのか!?」


 誇りだと? そのような物、この間鱗といっしょに削り取られたわ!


「なんとでも言うが良い。我は動かぬ。貴様等も死にたくなくば巣穴でじっとしている事だ。じっとな……」


 さーて、それでは我は無謀にも挑んで来た人間共を倒してゲットしたお宝でも鑑賞しようかな。


「ふん、少しばかり留守にしていた間に、随分と腑抜けたものだな」


「その声は!?」


 我を罵倒する声に振り返れば、予想通り面倒な龍の姿があった。


「銀色の……帰って来たのか」


 そう、この者こそ、我等が縄張りにおけるNo2である銀龍だ。


「やれやれ、ドラゴンの王を名乗る者が、何とも弱腰ではないか。ふっ、よもや人間共に後れを取りでもしたか?」


「別に王を自称した覚えはない。周りが勝手に我を王と呼んでいるだけだ」


 ドラゴンは序列に敏感だ。

 そしてドラゴンにとって黄金は最強の証。

 実際我は強い。

 だから他の者達から我は王と呼ばれてきた。


「そうかそうか、では私がお前の代わりに王になってやっても良いのだぞ? 臆病なお前の代わりにな」


「別に構わんぞ」


 あの人間達の相手を代わりにしてくれるのならな。


「な、何だと!? 貴様王としての誇りが無いのか!?」


 さっき無いと言ったばかりなのだが。

 あと自分で王を変わってやろうかといったばかりではないか。

 まったく、コイツは昔から我に絡んでくるのだから面倒くさい。


「ええい何なのだ貴様のその煮え切らぬ態度は!? よもや本当に人間に後れを取りでもしたと言うのか?」


「うむその通りだ。我はついこの間人間に敗北した。それはもうアッという間にな」


「なっっっっ!?」


 銀色のが信じられないと言った顔で我を見て来る。

 おお、数百年生きてきてコイツのこんな顔は初めて見たぞ。

 はははっ、この顔を見れたのなら負けたのも悪くはないかもしれんな。


「ば、ばばば……馬鹿なっ!? 黄金のが敗れただと!? 人間に!? たかが人間にだと!?」


銀色のがなにやらやたらとショックを受けておる。

 はははっ、我も負けてショックだったぞ。

 今はもう負けた事よりもあの人間達に関わりたくない気持ちの方が強いがな。


「馬鹿な……馬鹿な……はっ!? よもやその姿も人間共の所為なのか?」


 おっ、ようやく気付いたか。


「うむ、その通りだ。だから我はもうあの人間達と争うつもりはない。というか関わりたくないからそっとしておいてくれ」


「なっ!? っ……っ!?」


 銀色のが我の鱗があの人間達によってこうなった事を知った驚きで完全に動かなくなってしまった。

 まぁ気持ちは分かる。

 だがまぁ、これで少しは静かになったな。


 さーてそれでは改めてコレクション鑑賞に戻……


「ふ、ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁっ‼ 鱗を! ドラゴンの鱗をぉぉぉぉぉぉぉっ!!」


「鱗だけでなく角もだぞ」


「つっ!? つつつ角もだとっ!?」


 角も削られたと聞き、銀色のが顔を真っ赤に染める。

 こいつも古風な奴だなぁ。


「……っ‼ 許さん! 許さんぞ人間共ぉぉぉぉぉ!! この上は私が直々にその身を引き裂いてくれるわぁぁぁぁぁ!


「そうかそうか、まぁ頑張れ」


 だが我は知らん。


「ええい、お前の事だというのに何を他竜事の様に! 皆の者! 引きずってでも戦場に連れていくぞ!」


 はっ? 何言ってんのお前!?

 我別に関わる気ないって言ってるじゃん!?

 あっこらやめろお前等! 引っ張るな!?


「バッ!? ヤメロッ! (我が)死ぬぞ!?」


「ならば貴様に見せてやろう! ドラゴンの誇りというものを!」


 別に見たくないわそんなもの!

 放せ! 本気で放せ!


「そして思い知るが良い! 貴様が真に縋るは誰であるかをな!」


冗談ではない! こんな所に居られるか!

 我は逃げるぞ! あの人間が追ってこれないどこか遠くへ!

 いや、やっぱ見つかって襲われたくないから隠れる! 超隠れる!

 だから放せ!


 ああ、今考えると嵐のがまっ先に逃げ出した理由が良く分かる。

 誰だってあんな化け物に関わりたくないよね!


「「「「そーれっ!!」」」」

 

やめろー! 我は絶対に出て行かないぞー!



 ズーリズーリ。

 ジタバタジタバタ。


「えーっと、何アレ?」


 正直リリエラさんがそう言ったのも分からないでもない。

 僕らの前に現れたのは、ゴールデンドラゴンだった。

恐らくは以前戦った個体だ。


ただ僕達が困惑した理由は、そのゴールデンドラゴンが仲間のドラゴンに無理やり引きずってこられたからだ。

うーん、極度の出不精とか?


「ゴ、ゴールデン……ドラゴン?」


 そんな時、傍にいたリューネさんが青い顔で呟く。


「どうしたんですかリューネさん? 顔が青いですよ?」


「ど、どうしてって、ゴールデンドラゴンですよ!? 最強のドラゴンなんですよ!?」


「いやまぁそうなんだけど、あのドラゴン、レクスさんに負けてるし」


「え?」


「そうそう、兄貴のパンチで一撃だったよな!」


「パンチ!?」


「だから怖がらなくて大丈夫ですよ。レクスさんにとってはペットみたいなものですから」


「ペット!?」


 皆に宥められ、リューネさんの頬に赤みが戻ってくる。

 そうそう、リューネさんも落ち着いてみれば分かると思うけど、コイツはゴールデンドラゴンと言っても子供だからね。

 そんな怖がるような相手じゃない。


「あっ、ゴールデンドラゴンが動いた」


 メグリさんの言葉に僕達が振り返ると、さっきまで仲間に引きずられていたゴールデンドラゴンが一人で歩いてこっちにやって来た。


「仲間達を見届け人にして、一対一で闘おうって言いたいのかしら?」


 ミナさんがゴールデンドラゴンの一連の奇妙な行動について推測する。

 まぁドラゴンの詳しい習性なんて専門家の竜騎士くらいしか知らないもんなぁ。

 ここはリューネさんに聞いてみるかな?

 見習いとはいえ、ドラゴンの生態については教わっている筈だし。


「……」


 ズズゥン

 とその時だった。


「え?」


 ゴールデンドラゴンは突然横になったかと思ったら、そのまま体を回転させてゴロンと仰向けになったんだ。


「グ、グルォォッ?」


 周囲のドラゴン達も一体何事!? と言いたげに首をかしげている。

 そしてゴールデンドラゴンはそのまま手足を斜め方向に伸ばすと、ダラリと寝転がったんだ。


「これは一体……?」


 うーん、前世でも前々世でもこんな事をするゴールデンドラゴンは見た事が無いぞ?

 一体何をしているんだろう?


 僕はリューネさんならゴールデンドラゴンについての詳しい知識があるんじゃないかと思って聞いてみる事にする。

 

「リューネさん、ゴールデンドラゴンのあの挙動について何か分かりますか?」


「え!? 私ですか!? いえいえいえ! ゴールデンドラゴンなんて見たのも今回が初めてですし、こんな事をするなんて初めて知りましたよ!」


 ドラゴンの専門家である竜騎士ですら分からない行動だって?

 もしかしたらこれはとんでもない新発見だったりするんだろうか?

 前々世の時代から研究されてきたドラゴンの未だ知られざる生態ってやつなのかな!?


 うーん、これはちょっと興奮してきたぞ。

 まだまだ世の中には未知の世界が広がっていたんだね。

 このポーズを取ったゴールデンドラゴンは全く動く気配を見せない。

 ピクリとも動かないから、僕達もドラゴン達も一体次にどんな行動をとるのかとじっと待つ。


「……というかこれって、普通に全面降伏してるだけじゃない?」


「え?」


 そこでメグリさんがとんでもない事を言いだした。


「いやまさか。ゴールデンドラゴンが全面降伏のポーズをとるなんて聞いた事が無いですよ」


 さすがにそれは無いと思いますよ?


「成程、常識の外にあるレクスさんを前にしたら、既に敗北した経験のあるゴールデンドラゴンが全面降伏をするのもうなずけるわ」


「魔物の本能が生き残る術を全力で模索した結果の姿なんですね」


 なんだか皆好き勝手な事を言いだし始めたぞ。 


「さっすが兄貴だぜ! 最強のドラゴンを戦わずしてひれ伏させるなんてよ!」


「いやいや、プライドの高いゴールデンドラゴンが全面降伏とかいくらなんでもありえないって」


 そう言いながら僕は警戒をしつつもゴールデンドラゴンの反応を探るべく近づく。

いつ攻撃をしてきても対応できるように警戒は最大にしてだ。

ゆっくりと近づき、手を触れる事が出来るまでに近づく。


それでも何の反応もないので、こんどはお腹の上に乗ってみる事にした。

 ドラゴンはプライドが高い生き物だから、こんな事したらすぐに怒って襲ってくる筈。

 石畳の様に硬い鱗の上を歩きながら僕はゴールデンドラゴンのお腹の真ん中へと辿りついた。


「「「「ぐるぉぉぉっ!?」」」」


 周囲のドラゴン達が驚きの声を上げるも、ゴールデンドラゴンは微動だにしない。


「何で怒らないんだ? ふつうこんな事したらドラゴンのプライドに懸けて僕を殺そうとするはずなのに?」


「「「「「そんな危ない事をさらっとするなぁぁぁぁ!!」」」」」


 あ、ごめんなさい。

 ついゴールデンドラゴンの反応を確かめる為にやっちゃった。


「うーん、それにしても動かないなぁ。本当に全面降伏しているのかな?」


「なんと言うか、目が死んでる……」


「もう好きにしてくれって言いたげな表情ですね」


 メグリさん達が好き放題されてもピクリともしないゴールデンドラゴンの姿をそう評する。 


 と、その時だった。


「グルォアァァァァァァァオゥッッ!!」


 ゴールデンドラゴンの近くに控えていたシルバードラゴンが強い殺気の籠った雄たけびを上げたんだ。


「ひっ!?」


 突然強い殺気を浴びせられ、リューネさんが怯えて尻もちをつく。


 そしてシルバードラゴンは翼を大きく広げ、威嚇の構えを見せた。


「どうやらコイツはやる気満々みたいだね」


 ああでも、こうやって普通のドラゴンムーヴしてもらえるとちょっと安心するかも。


「や、やる気満々みたいだねじゃないですよ! 誇り高いドラゴンにそんな事をして! は、早く逃げましょう! でないと殺されちゃいますよ! 相手はゴールデンドラゴンに次ぐ力を持つシルバードラゴンなんですよ!」


 あーうん、対アンデッド用の武器を作るのに重宝するよねシルバードラゴンって。


「でも、向こうは逃す気はないみたいだよ」


 シルバードラゴンだけじゃない。

 他のドラゴン達もシルバードラゴンに釣られて動き始めた。


「ところでレクスさん? 正直これだけの数のドラゴンが相手だと、私達荷が勝ちすぎると言うか、寧ろ死んじゃいそうなんだけど?」 


「そ、そうよね、グリーンドラゴンあたりが二、三体くらいなら私達でも何とか相手になると思うけど、ちょっとこれはね……」


「大丈夫ですよ。この程度の数なら全然多くありませんから」


「「「「「いや俺達は問題あるから」」」」」


 皆の実力なら大丈夫だと思うんだけどなぁ。


「じゃあ皆にも補助魔法を掛けておきますねー。エリアハイプロテクション!」


 僕は皆に防御力を強化する補助魔法を掛ける。

 さて、それじゃあ……


「じゃあ皆には他のドラゴンの相手をしてもらうとして……」


その時、シルバードラゴンが僕に向けて突撃してきた。

上空からの自由落下を利用した突撃じゃなく、魔力を推進力にした魔力機動だ。

この魔力機動はどんな位置関係からでも同じ最速が出せるから厄介なんだよね。

ドラゴンは魔力も多いから。


「レクス師匠!?」


その光景を見ていたリューネさんが悲鳴を上げる。

 大丈夫大丈夫、ちゃんとこういう攻撃には対策があるから。


「ふっ!」


 僕は腰を落として突撃してきたシルバードラゴンの攻撃を受けると、そのまま相手の勢いを利用して投げ飛ばした。さらにその際に自分も一緒に投げ飛ばされる。


 そして投げ飛ばされたシルバードラゴンが地面に叩きつけられてバウンドした瞬間、自分の体を飛行魔法で姿勢制御し着地して、再びシルバードラゴンを投げ飛ばした。

 更に二回、三回、四回と投げ続ける。


「これは巨大な相手の勢いを利用して永遠に投げ続ける技で、名を無限投げと言います。皆も長時間大型の敵と戦う必要のある時に覚えておくと、力を温存出来て良いですよ」


「「「「「「そんなの無理ですっ!」」」」」」


 え? そんな事はないと思うけどなぁ。

リリ/ドラ/ーネ「重量x速度xタイミング=破壊力! ……って出来るかぁ!!」

シルバードラゴン_:(´д`」∠):_「あわわわわわわっ」

ドラゴンズ_(:3 」∠)_「がんばー」

シルバードラゴン(;゛゜'ω゜'):「助けろやっ!」


面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、感想や評価、またはブクマなどをしてくださると、作者がとても喜びます。_(:3 」∠)_

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憐れ、シルバードラゴン…
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