第101話 力を測ろう
_:(´д`」∠):_「すみません遅くなりました」
_:(´д`」∠):_「ちょっと書類作成とか他の原稿仕事とかでてんやわんやで、更新が遅れます。確定申告が終わったら少しは速度が上がると思うんですが……あと花粉症ぇ……」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
皆さんの声援が作者の励みとなっております!
「ところで、龍姫の儀って結局何な訳?」
あのあとなんやかんやとあって、結局僕はリューネさんの弟子入りを受け入れる事になった。
といっても僕達には自分達のホームがあるから、リューネさんの弟子入りは期間限定っていう事になったんだけどね。
そして翌日、リューネさんの実力を試す為に龍峰に向かう途中の道筋で、リリエラさんはかねてからの疑問を口にした。
「え? あ、はい。龍姫の儀と言うのはですね、この国に伝わるお祭りの様なものなんです」
「お祭り?」
「はい、龍姫様と龍帝様のお話は昨日しましたよね? 龍姫の儀はこのお二人を題材にしたお祭りなんです」
成る程、二人はこの国に伝わる悲恋の物語の主役だものね。
だったらお祭りの題材として選ばれてもおかしくはない。
「でもそれが貴女の修行と何の関係があるの? 何か昨日の話だと龍姫の儀に出る為に強くならないといけないみたいな感じだったけど」
ああ、それは僕も思った。
昨日のリューネさんの口ぶりだと、龍姫の儀はもっと殺伐とした儀式の様に聞こえたからね。
「ええとですね、龍姫の儀はお二人の恋物語を題材にしたお祭りなんですけど、その内容は最強の女を決める武闘大会でもあるんです」
「「「「「「前後が繋がってない!?」」」」」」
「いやいやいや、何で悲恋の恋物語が最強を決める武闘大会になってるのよ!?」
ミナさんのツッコミはもっともだ。
正直僕も何でそんな事になっているのかさっぱりわからない。
「はい、このお祭りはですね、戦いの中で離ればなれになったお二人が、いつか平和な時代に生まれ変わって再び結ばれるというお祭りなんです」
うん、それはいい。そこまでは分かる。
「それなのになんでその先が武闘大会になる訳?」
「それはですね、龍姫様はドラゴンを従え共に戦ったこの国最後の竜騎士です。ですので祭りのオオトリを務める龍帝演戯に参加する龍姫様役の女性は、最強の女であるべきだと数百年前の町長が決めたそうです。それからというもの、龍姫様役の女性は美しさや演技力でなく強さで決める事になり、その方法として武闘大会が開かれるようになったそうです」
「「「「「「その町長迷惑過ぎない!?」」」」」」
「どうも地味な祭を盛り上げる為の町おこしとして利用したみたいです。実際、当時は町の中でだけ楽しんでいたお祭りに、最強の名を求めて外からの参加者が増える様になったそうですから」
うーん、方法はアレだけど、経営者としては有能だったって事なのかな?
「そして私は龍姫様に連なる竜騎士の末裔として、龍姫の儀に見事勝利してその強さを世に知らしめたいのです。竜騎士は滅びていないと、今もなお騎士の血は受け継がれているのだと高らかに宣言する為に!」
成る程、自分達のご先祖の強さを喧伝する祭りなんだから、子孫の自分が優勝しなきゃ先祖に顔向けできないって事だね。
そんな風に話をしている間に、僕達は修行場所として使っている龍峰へとたどりついた。
「それじゃあ修行を始める前に、まずはリューネさんの実力を測りまりょうか」
「わ、私の実力ですか?」
「ええ、効率的に修行する為にも、リューネさんの正しい実力を確認する必要がありますから」
「そ、それは分かるんですが……それならわざわざ龍峰まで来なくても、町の近くでやれば良かったんじゃないですか? ここはドラゴンの縄張りですよ!?」
そう言ってリューネさんは不安そうに周囲をキョロキョロと見回している。
いつドラゴンが襲ってくるかと不安そうだ。
とはいえ、そんなに心配することはない。
「大丈夫ですよ。この辺りはまだ龍峰の入口、襲ってくるのは下級のドラゴンばかりです」
ドラゴン達も侵入者に気付いたらしく、探査魔法で感知した魔物の反応が近づいて来る。
「い、いえ、そういう意味じゃなくって、っていうか下級でもドラゴンなのがマズイんですよ!?」
「あっほら、来ましたよ」
「ひっ!?」
そうこう言っている間にも、グリーンドラゴン達がこちらに向かってきた。
来たんだけど……
「あれ?」
何故かグリーンドラゴン達は僕らに近づくのを止め、遠巻きにうろうろし始めた。
「一体どうしたんだろう?」
何かの作戦かな?
「……あれ、レクスさんを怖がってるんじゃないの?」
グリーンドラゴン達の行動を訝しんでいたら、リリエラさんがそんな事を言い始めた。
怖がる? 僕を?
グリーンドラゴンに相手の強さを察するような知恵はない筈なんだけど。
「だってレクスさんこの間ゴールデンドラゴンを倒したじゃない。ゴールデンドラゴンってドラゴンの中で最強なんでしょ? だったら群のボスを倒した相手に手下が攻撃を仕掛けるかしら?」
ああそうか、そういえばこの間のゴールデンドラゴンはこの辺りの群れを纏めていたっぽいもんね。
でもあいつ子供のドラゴンだったんだけどなぁ。
「んー、それじゃあ僕はちょっと姿を隠しますね」
そう言って僕は物陰に隠れると、姿隠しの魔法を発動させる。
「インヴィジブルフィールド!」
そしてドラゴン達の目をくらますと、何食わぬ顔で皆の元に戻って来た。
「え? あれ? レクス師匠はどこに行ったんですか!?」
僕が姿を消した事で、リューネさんが不安げに周囲をキョロキョロと見回して僕の姿を探す。
「ここに居ますよ」
「ひゃっ!? え? あ? え!? ど、何処ですか!?」
リューネさんは僕がすぐそばに居るのも気づかず、周囲をキョロキョロと見回す。
「ドラゴン達が襲ってきやすいように、魔法で姿を隠しているんですよ。あっ、さっそく来ましたよ」
「魔法で姿を!? そんな魔法聞いた事……ってウキャー!?」
僕が見えなくなった事で、グリーンドラゴン達が動き出した。
まったく、現金なヤツ等だよね。
「キャーッ!!」
グリーンドラゴンが襲ってきた事で、リューネさんは慌てて逃げ出す。
「リューネさん、ちゃんと戦わないと実力が図れませんよ」
「無理無理無理! 私ワイバーンともまともに戦えないんですよ!」
そう言いつつ、リューネさんはグリーンドラゴンの攻撃を回避していく。
うーん、あの体捌きを見ている感じだと、そこまで戦えないとは思えないんだけどなぁ。
「レクスさん、とりあえず防御魔法をかけてあげたら? 攻撃を受けても大丈夫だと分かれば、気持ち的にも戦いやすくなると思うわ」
と、リリエラさんがブルードラゴンと戦いながらナイスなアドバイスをくれる。
成る程、防具を付けて木刀で訓練をするようなものだね。
「あと私達にもかけてね」
え? リリエラさん達にはもう必要ないと思うんだけど。
「頼むぜ兄貴!」
「頼むわよレクス!」
「お願いしますレクスさん!」
「よろしく」
何故か皆して防御魔法を欲しがっている。
心配性だなぁ。
「よし、エリアハイプロテクション!」
僕が放った防御魔法が皆を包み込み、その体に魔法の守りが宿る。
「え? 何これ!?」
リューネさんが自分の身に掛けられた防御魔法に困惑の声を上げる。
「防御魔法です。これでブラックドラゴンの攻撃程度ならノーダメージで闘えますよ」
「え? 防御? ブラックドラ……うきゃ!?」
こちらを振り向いてしまった事で足もとがおろそかになったリューネさんは、うっかり足元の小石に躓いて転んでしまう。
「あいたたた……」
「リューネさん、グリーンドラゴンが来ますよ!」
「え……っ!? キャァァァァァッ!?」
転んだリューネさんにグリーンドラゴン達が群がる様に襲い掛かると、その鋭く大きな爪をリューネさんに叩き込んだ。
「キャアァァァァ!! ……ってあれ? 痛くない?」
けれどグリーンドラゴン達の爪は防御魔法を掛けられたリューネさんには通用せず、攻撃したグリーンドラゴン達もあれ? と首をかしげていた。
「え、ええと……え? なんで?」
「今の内です! 防御魔法の効果があるうちにグリーンドラゴンを攻撃してください!」
「え? あ、はい! てぇーい!」
僕の声に我に返ったリューネさんが手にした槍でグリーンドラゴンを攻撃する。
バシッ!
しかしリューネさんの槍はグリーンドラゴンの鱗を貫通する事無く弾かれてしまった。
「この! この!」
しかし何度攻撃してもグリーンドラゴンの鱗を貫通する事は出来ない。
「おかしいなぁ、体裁きを見ている限りじゃグリーンドラゴンにも十分通用すると思うんだけど」
これはもしかして……やっぱりアレが原因なのかな?
僕は自分の剣を鞘から抜き放つとそれをリューネさんに向かって放り投げる。
「リューネさん、これを使ってください!」
「え? きゃっ!? 剣が突然現れた!? 何で!?」
ああ、姿隠しの魔法を使っていた僕の手から離れた事で、リューネさんの目には突然剣が空中に現れた様に見えたんだね。
「さぁ、それを使って戦ってみて下さい!」
「よ、良く分からないけど分かりました!」
リューネさんは武器を持ち替えると、躊躇いなくグリーンドラゴンに向かって行く。
防御魔法でダメージの心配がなくなった事で、動きに迷いが無くなっているみたいだ。
良い傾向だね。
「剣の間合いには慣れないけど、この距離なら! たぁぁぁっ!」
再びリューネさんが攻撃を行うけど、グリーンドラゴンは回避の気配すら見せない。
これまでさんざん攻撃してきたにも関わらず自分達に傷一つ付ける事が出来なかったから、ちょっと硬い程度で別段警戒する必要もない相手と思ったんだろう。
それは文字通りの油断だった。
リューネさんの剣はグリーンドラゴンの前足に一切の抵抗もなく入り込み、滑るようにその足を切断した。
片足を失ったグリーンドラゴンは、状況を理解するまもなくバランスを崩して地面に倒れ込む。
「え? 何? 今何が起こったの?」
うん、やっぱりね。
「リューネさんがグリーンドラゴンを倒せなかったのは武器が原因だったんですよ」
「武器が? それってどういう……?」
僕はリューネさんが放り出した槍を手に取ってその刃先の状態を確認すると、近くに居たグリーンドラゴンから鱗を剥ぐ。
そしてその鱗を使って僕はリューネさんの槍の刃先を研いだ。
「リューネさん、もう一度この槍でドラゴンと戦ってみてください!」
僕は即興で研いだ槍をリューネさんに投げる。
「え? あ、はい! 分かりました!」
槍を受け取ったリューネさんが慣れた様子で構えるとグリーンドラゴンに向かってゆく。
やっぱり扱いなれた武器の方が戦いやすいよね。
「たぁぁぁっ!!」
気合一閃、リューネさんの振るった槍はグリーンドラゴンの鱗を容易に切り裂き、その胴体を見事最後まで切り裂いた。
「う、嘘!? これが私の槍なの!?」
リューネさんは手にした槍が本当に自分の武器なのかと目を丸くして驚く。
「その槍、さっきまでは刃先が殆ど潰れていて槍と言うよりは鈍器みたいな状態になっていたんですよ」
もちろん強化魔法なんかで斬撃能力を向上させたりすれば、この槍でも戦う事は出来るだろう。
槍自体はそこそこ頑丈みたいだから、普通の魔物を相手にする分には大丈夫そうだね。
「多分だけど、その槍をリューネさんに継がせたお師匠さんは、わざと刃を潰した状態で渡したんだと思います」
「え、ええっ!? 何でそんな事を!?」
リューネさんが信じられないと言った様子で驚く。
まぁ自分の師匠が武器をわざとダメな状態にして渡すとは思わないよね。
「これは僕の予想ですけど、リューネさんのお師匠さんは自分の弟子にどんな状況でも生き残れるようになって欲しかったんだと思います。例えば、武器がまともに使えない時なんかでも……」
僕も前世の修行中、突然師匠から鉄の棒きれを一本渡されたと思ったら、これを使って無人島で一か月生き残れとか無茶振りされたからなぁ。
「そ、それって武器が使えなくても戦える様にもっと強くなれって事ですか?」
「もしくは、この槍を自分で完璧に手入れ出来るようになってほしかったか、ですね」
「お父さんがそんな事を……てっきり私がこの槍を使いこなせない程未熟だからだと思っていたのに……」
「つーかよ、アンタその槍を自分で手入れしなかったのかよ?」
「もしくは鍛冶師に手入れを頼むとかですよね」
うん、ジャイロ君達の言葉は尤もだ。
戦士なら自分の武器の手入れが出来ないとは思えないし、最悪鍛冶師に頼めば良いもんね。
「ええと、練習用の槍なら自分で手入れして魔物退治にも使っていました。ただこの槍だけはどれだけ手入れしてもちゃんと切れる様にならなかったんです。何人もの鍛冶師に手入れを頼んだんですが何故か誰に頼んでも全然切れる様にならなくて。だからきっとこの槍にはドラゴンを倒す為の特別な使い方があるんだと思っていたんです」
成る程、真面目過ぎて他の原因が思いつかなかったみたいだね。
でも安心したよ。今回の原因はあくまで武器の手入れの問題が原因であって、奥義を失伝したとはいえ、竜騎士の末裔がグリーンドラゴン程度に勝てないなんて ある訳が無いと思っていたからね。
ちゃんとした武器を使えば、新人でも普通にブラックドラゴンあたりなら問題なく倒せる筈だもんね!
「あの、ところでどうやってこの槍を使える様にしたんですか? それもこの短時間で」
「あ、それ私も気になる」
メグリさん達もドラゴン狩りをしながら会話に加わって来る。
皆も大分余裕が出て来たなぁ。
「ああ、ちょっとグリーンドラゴンの鱗を砥石代わりに使ったんですよ」
「え、ええ!? ドラゴンの鱗を砥石に!?」
「ええ、ドラゴンの鱗は装備の材料になるだけじゃなく、砥石の様な工具としても使えるんです。慣れた職人は拾ったドラゴンの鱗を軽く加工して即興の工具に改造出来るんですよ」
まぁ即興だから、その分手入れの質はお察しになるんで、やっぱり後でちゃんとした所に手入れを頼んだ方が良いとは思うけどね。
「す、凄いです! 拾った鱗でここまで凄い切れ味に出来るなんて! 流石は龍帝様です!」
「いや、僕は龍帝じゃないから。それに僕みたいな器用貧乏がやるよりも、専門家であるちゃんとした鍛冶師の人に頼んだ方が絶対もっと切れ味を良くしてくれますから」
「「「「「いやそれは無理じゃないかなぁ」」」」」
あれ? リリエラさん達からなぜかツッコミを喰らってしまった。
「それよりもそのドラゴンの鱗を使った手入れの仕方、是非教えて! 砥石いらずの手入れの仕方知りたい!」
メグリさんはお金が掛からずに手入れをする方法に興味津々みたいだ。
「兄貴はマジで何でも出来るんだな! ホントにすげぇぜ!」
いやいや、何でもは出来ないよジャイロ君。
と、その時だった。
周囲に居たドラゴン達が突然空に舞って距離を取り始めた。
それと同時に龍峰の空気が剣呑なものに変わる。
「え? 何!?」
リリエラさん達もその空気を感じて警戒を強める。
「これは……ドラゴンの群れが近づいてきていますね」
探査魔法で周辺のドラゴン達の反応を調べると、ゆっくりとだけどドラゴン達がこちらを包囲しつつ近づきつつあった。
ただ、その割には妙に遅い。
まるで人間が歩くような不自然な遅さだ。
「何か様子がおかしいです。皆さん注意してください!」
「わ、分かったわ!」
「兄貴がそんな風に警戒するなんて初めてだな……」
「そうね、油断は禁物って事かしら」
「あ、あの、何か起こってるんですか!? もしかして逃げた方が良いんじゃないですか!?」
確かに、不確定要素という意味では逃げるのは選択肢の一つだ。
でもあくまで僕達はこの龍峰に修行に来ている身。
「リューネさん、一流の竜騎士になりたいのなら、ドラゴンから逃げるという選択肢はありませんよ」
「っ!?」
僕の言葉にリューネさんがハッとなる。
そう、竜騎士になる者はドラゴンを倒して従えなければならない。
故に、強力なドラゴンがやって来るのなら、むしろ真っ向から立ち向かうのが竜騎士の矜持というものだ。
まぁ僕は竜騎士じゃないから逃げても全然問題ないんだけどね。
僕は姿隠しの魔法を解除すると、リューネさんに貸していた自分の武器を回収して構える。
「決めるのはリューネさん、貴女です。どうしますか?」
僕の言葉に、リューネさんは一瞬逡巡の表情を見せたけど、すぐに決意に満ちた瞳を見せる。
「私は、今までワイバーンすら倒す事が出来ませんでした。でも、貴方に出会って間もないのに、グリーンドラゴンを倒す事が出来ました。それは武器の力なんでしょうけど、それでも出来なかった事が出来る様になりました。だから……」
リューネさんが覚悟の言葉を告げる。
「お願いです。私を……ドラゴンと戦える様に鍛えてください!」
うん、決まりだね。
「分かりました。それじゃあ本格的な修行を今から始めるとしますか。実戦形式の修行になりますけど、頑張ってついて来てくださいね」
「わ、分かりました!」
リューネさんの決意も固まり、僕達は近づいて来るドラゴンを達を迎え撃つべく準備をする。
「回復魔法で皆さんの傷を治療し、魔力と体力も回復させておきますね。あと強化魔法で身体能力も底上げしておきます」
修行ではあるけれど、今回は敵の動きも奇妙だ。
だから万全の状態で迎えうつ。
「もうすぐ来ますよ!」
陸の向こうから白銀に輝く翼が姿を現す。
「あの翼の色は……!?」
そして全身を銀の鱗に覆われたドラゴンが姿を現した。
「シルバードラゴン!」
「ええっ!? シルバードラゴンって、あのゴールデンドラゴンの次に強いって言う最強クラスのドラゴンですか!?」
そう、僕達の前に現れたのはリューネさんの言う通り、ドラゴン界のNo2シルバードラゴンだった。
「うっわぁ……この間も死ぬかと思ったけど、今回のもきっついわ……」
リリエラさん達が脂汗を浮かばせながらそれでも武器の構えを崩さない。
うん、皆この間のゴールデンドラゴンとの戦いで度胸がついたみたいだね。
「ど、どどど、どうしましょう……シ、シルバードラゴンですよ……ドラゴンの中でも一番プライドが高いシルバードラゴンの縄張りに入っちゃってたなんて……わ、私達死んじゃいますよぉ……」
大げさだなぁリューネさんは。
シルバードラゴン程度なら、そんなに警戒する必要はないと思うよ。
「と、言いたい所だけど、なんだか様子がおかしいな」
そう、そのシルバードラゴンは妙に殺気立っていた。
確かにドラゴンの中でも特にプライドの高いシルバードラゴンなら、自分達の縄張りに入ってきた相手を許さないのは理解できる。
けれど、目の前のシルバードラゴンの放つ殺気は、ただ縄張りに入られて怒っている様にはとても見えなかった。
それに、あの移動速度の遅さ……今まさに近づいて来るもう一つの敵も気になるしね。
「皆気を付けて、本命はこのシルバードラゴンじゃない! もう一体来るよ!」
と、そんな僕の懸念に答える様に、シルバードラゴンに遅れて近づいて来ていたもう一つの反応が姿を現した。
「「「「「「っっ!!」」」」」」
ズーリズーリ。
ジタバタジタバタ。
「……え?」
そこに現れたのは必死に逃げようとしつつも、沢山の仲間のドラゴン達に無理やり引きずられながら運ばれてきた、ゴールデンドラゴンの姿だった。
「「「「「「「何アレ?」」」」」」」
シルバードラゴン_(:3 」∠)_「人間ぬっころす!」
ゴールデンドラゴン_:(´д`」∠):_「いやじゃ、我は死にとうない……」
面白い、もっと読みたいと思ってくださった方は、感想や評価、またはブクマなどをしてくださると、作者がとても喜びます。_(:3 」∠)_




