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さあ、嘘つき大会を!

作者: 鯨七号

 四月一日にわざわざ集められた生徒たち、入学式準備をする間に課せられた課題は嘘を考えること!

 食券二十枚を目指して、坂井、伊藤、島村、吉村、ラモス、牛川、反町が知恵を絞る!

 果たして騙されるのは誰なのか!

「皆さん、本日は休日のところ入学式準備のために集まってくれてありがとう」

 体育館の壇上で生徒会長が声高らかに挨拶を始めた。

 体育館に集まっていた生徒の大半は話し始めた生徒会長を無視して雑談をしている生徒が結構な人数いた。それを叱る先生はいない。

「自主的に来てくれた生徒もいるだろうが、無理やり参加させられた生徒が大半だと思う。こんな四月の頭からなんで学校に出てこなくちゃならないんだ。と」

 砕けた生徒会長の物言いに次第に雑談が止まっていき、壇上に視線が集まっていく。

「パイプ椅子を並べるだけの簡単な仕事ですとか言って、ただただ単純な肉体労働をさせ続けるのは私としても心苦しい


 そこでだ。一つ私から提案がある


 せっかく今日は四月一日、エイプリルフールだ! 嘘をついていい日だ! この準備を終えた後、みんなで嘘を付きあってバカ騒ぎをしようじゃないか! 見事多くの生徒をだました者には学食の食券二十枚をプレゼントしよう!」

 体育館がざわめく。

 食券二十枚。

 約一か月分の食費が浮くことを想像したのかたいていの生徒が浮足立つ。

 何しろ、ここにいるのはただ働きをさせられるはずだった者たちなのだ。それが少しでも意味のある時間になるというのであれば

「かいちょー! みんなが嘘をついていたら誰も信じないしつまんないんですよー!」

「ふふふ、なら、本当のことを言って嘘だと思わせたものには嘘をついた生徒とは別で食券五枚を与えよう。そうすればだれが本当のことを言って誰が嘘を言ったのかわからないだろう? さて、あまり長々とルール説明などしていてもしょうがない。さっさと準備を終わらせてしまおうじゃないか。準備の間にとっておきの嘘を考えておくように!」


 そうして第一回嘘つき大会が始まった。


 ☆


 嘘つき大会(入学式準備)が始まった。ひたすら体育館にパイプ椅子をならべるのがメインの仕事だ。

 難しいことを考える必要がない単純作業なため嘘を考えるにはちょうどいい。

(さて、まずはどんな嘘をつくか……)

 準備に参加させられた坂井は考える。

 嘘を言うだけならだれでもできるがだませる嘘を言うとなると難易度が跳ね上がる。

(よくある今日はエイプリルフールじゃない、っていうのはダメだな。さっき生徒会長が断言したし、わざわざ、四月の一日に集められてるんだからこれに騙されるわけがないな)

 当然のことだった。むしろこのネタを堂々と使える生徒は大物に違いない。

(嘘をついてもいいのは午前中だけ、っていうのも不味いな)

 人を簡単にだませるような嘘をつけない坂井はよいネタがないかと調べてみたときに、「エイプリルフールは午前中にうそを言って午後にネタ晴らし」なる記述を見つけたのだが、日本では誰もそんなことを気にせず午後でも嘘をついている。今回そこを絡めて嘘をついても誰かに「本当のことだろ」といわれかねない。

(しっかし、俺個人の嘘をついても、誰も興味ないし、どうしたものか……)


 ☆


 伊藤は考える。

(うそつく必要なくね?)と。

 何しろ嘘をついてもだませるとは限らない。

 嘘でだませたら二十枚。本当のことを言って信じさせなければ五枚。

 十五枚の差は大きいが、大勢の前でうそを言うというのは相当に度胸がいる。

 伊藤にはそんな度胸はなかった。

(ということで、うそっぽい本当のことを考えるかな)

(あ、教頭実は剥げてないんだよな。あれ言ったら怒られっかな?)


 ☆


 島村は近くにいた友人たちに話しかける。

「吉村! 加藤!」

「なんだよ。島村。今ちょうどだませそうな嘘が浮かびそうだったのに邪魔するなよ」

「なんだよ。仕事中に話かけるな」

 声をかけた二人は別の理由で連れない反応をする。

「おいおい、お前ら、せっかく俺がいい案を出してやろうってのにそんなんでいいのか」

「いい案?」

「複数人で組むんだよ。ここにいるのは大体四十人だろ」

「そうだな。もう少しボランティアが集まればよかったんだが」

「加藤はまじめだねぇ。で、四十人、俺たちのほかにあと十人くらい人数を集めれば、票を捜査して、トップをとることもできるはずだ」

「ズルをするってことか?」

「お遊びなんだからいいだろ。大体、ただ働きをさせようってほうが間違ってんだよ。山分けして食券一枚でもあれば報われるってもんだ」

「はぁ。まあ、勝手にやれよ。どうせ食券はもらえないんだから。俺はまじめに仕事をさせてもらうぞ」

 そういって加藤はさっさと仕事に戻って、椅子の配置を指示している。

「加藤はダメか。同じクラスだから声をかけたけどあいつ生真面目だもんな。吉村。お前はやるだろ」

「おう、ただ働きはごめんだ」

「じゃあ、知り合いを中心に声をかけてこうぜ、ばれないように自然にな」

「おう! じゃあ、俺はラモスの奴に声かけてくるわ。あいつならだ食券一枚につられるだろ」

「なら、俺は牛川と反町に声かける。嘘なんかつけそうにないやつらだからな」

 吉村と別れ島村はほくそ笑む。

(クックック、山分けするっていうのをうそにして丸儲けでウハウハだな)

 裏切る気満々である。


(なんて思ってんだろうな。島村は。バレバレなんだよな。こっちはこっちで裏工作しておくか)

 吉川にバレバレであった。


 ☆


 そうして、様々な思惑が飛び交う中、入学式準備は例年以上に順調に進んだ。

「みんなのおかげで予定より早く準備が終わった。ありがとう! さあ、嘘つき大会を! と言いたいところだが、その前にみんなに言わなくてはならないことがある。嘘つき大会をするというのは」




「嘘だ」




「「「「「「「は?」」」」」」」



「いやー、毎年この準備はみんなまじめに取り組んでくれなくて、おしゃべりばかりするわ、サボるわで、一時間以上かかるからどうにかしたいと思ってたんだよ。うん、このために今日にしてよかったよ。はっはっは!」

 壇上で軽快に笑う生徒会長に向けられる視線は冷たい。


「さらばだ!」


 壇上から颯爽と外に駆け出す生徒会長。

「逃げるな!」

「追え!」

「せめて食券の一枚くらいはどうにかさせろ!」

 それを追いかける生徒たち。


「はあ、うちの生徒会長も困ったもんだ」

 残された副会長、加藤は深いため息をついたのだった。






 よくあるエイプリルフールネタでしょうか。

 あまりエイプリルフールをネタにした作品を読んでいないのでわかりません。

 ちなみにあらすじにネタを仕込んでみたものの、短編だとあらすじは見れないんじゃね? ということで前書きに同じものを入れてみました。

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