6.「魔王様!初めての部下ですか?」
はい、皆さんこんにちは。
卵を買ってから3日経ちました。
あれからというもの卵をなでたり、温めたり、中の音を聞いたり、まるで母親になった気分だ。
あぁー、楽しみだな。鑑定では【スライムの卵】って出てたからいつも殺ってる雑種スライムではないっぽいしな。
雑種スライムって色が汚いんだよな。いろんな色が混ざったパレットの絵の具のような色をしている。
できればドラ○エのスライムみたいに一色がいいのだが。
もちろんだが、3日間ただ卵を見てただけじゃないぞ。雑種スライムレベル1の召喚陣を買っては使い切りを繰り返して、今では鏡のポイントが12000ポイントちかくになっている。
ちなみにだがレベルは未だ変わらない。どうやらこの世界のレベルは上がりにくいようだ。
それにしても、神の箱要らないよな。ほんとにダンジョントレジャーかこいつ。
今のところ需要なしだが、ダンジョンとともに成長するらしいから一概にはなんとも言えないだけどな。
と、少し話がずれたな。
そろそろ卵の様子を見ようかな?
――――ピキッ。
おぉぉぉぉ!
ピキピキいってるぞ。この瞬間はどんな世界でも興奮するな。
――――――――ピキピキッ。
長いなー。俺にビーキャンセルをさせるつもりか?
絶対にしないぞ。
――パカァッ!
卵が開き、小さなスライムが出てきた。見た感じ雑種ではないな。
「貴方が私の主人様ですか?」
なんてこった。やばい。
めちゃくちゃかわいいぞ、こいつ。
色はエメラルドのような美しいグリーン。目は丸い。そして何より大きさが手のひらサイズ。
あぁ。これが母親の心情なのか。正直、今までは理解不能だったが、これが母性というものなのか?!
「すいません。あの……」
「あぁ、悪い。俺が魔王マルファス。お前の主人になるものだ」
って、ついついかっこつけてしまったぁぁぁ。
大丈夫か、失望されてないよな?
「かっこいいです。僕一生ついていきます!」
どうやら大丈夫だったようだ。良かった。
「そうだ。お前はまだ名前がないんだよな?」
「え! もしかして名前をくださるのですか!」
「うむ。そうだ」
「ありがとうございます。マルファス様!」
他人に名を授けるこの感覚気持ちいい。
「スライム。お前の名はポロンだ!」
「え……?」
え、なんか不味かったかな。俺は前世ではスライムにはこの名前をつけると決めていたのだが。
「何か不味かったかな?」
「いえ、そんなことはありません! ありがとうございます! ありがとうございます! 本当にありが」
「もう良い大丈夫だ」
「はいっ!」
どうやら大丈夫そうだ。今にも感動で涙を流しそうな目でこちらを見ている。
それにしてもかわいいなぁ。
しかし、生まれてすぐにこんなにも従順になってくれるのものなのだろうか。
「しかしポルンよ。なぜ生まれたばかりのお前がこんなにも私に尊敬の念を向ける?」
「よくわからないのですが、なんていうかオーラを感じるんです!」
あぁ、そういえばスキルレベルを上がるために【支配者のオーラⅠ】をつけっぱなしにしてたんだった。すっかり忘れてたぜ!
「鑑定」
【上位スライム エメラルド種 ポルン】
スライムの上位種。極稀に卵から孵化する。風魔法に絶対的な耐性をもつ。
種族:上位スライムエメラルド種 ♂
親:魔王マルファス
レベル:1
HP:32 MP:13
攻撃力:17
素早さ:29
防御力:34
賢さ:23
精神力:1
運:13
スキルポイント:0
スキル:低位風魔法無効 酸耐性Ⅰ
ありゃ、2000ポイントの卵から上位種生まれちゃたけど、大丈夫か。まあ、運が良かったと考えておこうかな。
てか、ポルン俺よりも強くね?
魔王歴4日の俺氏、生まれたばかりのスライムに負けるのであった……。
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