10.「魔王金の力に驚く」
「これがレベル30のゴーレムか……」
「強そうですね」
高さは3メートル近く、全身木で作られている。今は動いていないが、部屋の真ん中に佇むその姿は圧巻と言わざるを得ない。
先ほど、ゴストさんから貰った金貨8枚を使ってダンジョンを大きくした。
8枚で80000ポイントとは、流石に驚きだったよ。あと9992枚残っているからどれだけ大きく出来るのだろうか。
ハーデス様マジ感謝です。
「ポルン、こいつをどう思う」
「すごく……。大きいです」
まさか、その答えが返ってくるとは。この世界は捨てたもんじゃないな。
一応言っておくがこのダンジョンに女がいないからといってホモにはならないぞ。
「それでは、あと5000枚ほど鏡にぶち込むか」
「そんなに使ってしまうのですか?」
「ゴストさんの話だとお金は月に一度の来るということだ。ガンガン使って問題だろうな」
「それもそうですね!」
俺たちは新しく出来た1回層の階段を下に降り鏡のもとへ向かう。
ポルンは自分で下りれないので、俺の肩の上だ。流石にサイズ的にいくら頑張っても無理だったのでそうすることにした。
「それにしてもあの経験値のポーションすごくおいしかったですね」
「ああ、そうだな。初めての味だった」
雑談をしながらも5000枚分鏡に入れる。
〔50000000ポイント追加されました〕
うひょー。こりゃ凄い。
こんだけあれば何でも買えるしいくらでも拡張できるでしょ。
〔ダンジョンを拡張しますか? ポイントを消費しアイテムを買いますか?〕
「次のダンジョン拡張の内容はなんだ?」
「地上階段部分に建物を創造し、建物内にに中位の結界を永続的に張るアイテムを設置します。また、一層部に中位ゴーレムを8体設置。また……」
とんでもない量だな。どうやら入れたポイント分だけ創造されるらしい。
「全部お願いします。変更点は紙に記録してください」
「了解いたしました」
うーん。今思うと鏡と会話って面白い図だな。ポロンは特に不思議がってないからいいのだけど。
――――ドドドッ。ゴーンッ。
どうやらダンジョンの創造が始まったらしい。さて、金貨5000枚の力はいかほどかな。
「創造が完了いたしました。こちらが一覧です」
鏡から紙が出てくる。
――――とんでもない量だ。少なくとも30近くはあるな……。
「お困りのようですなら、召喚陣ルームに行かれることをオススメします」
「では、そこに行くか……」
「行きましょう!」
俺とポルンは召喚陣ルームとやらに向かった。
★☆★☆★
「ここがそうだな」
ここに来るまで2回階段を登っている。途中の部屋も気になったが取りあえずはスルーした。どの階層も長方形の長細い部屋の脇に扉があるといった感じだ。
〔召喚陣ルーム〕
木製の扉を開ける。中は壁一面に何も入っていない本棚。そしてひときわ目を惹くのが召喚陣だ。
今は3つの召喚陣がある。1つが他のサークルの1.5倍の大きさで、だいたい直径6メートルぐらいだろうか。
「魔王様、この召喚陣は何でしょうか」
「なんだろうな、いつもの雑魚モンスター出すときの召喚陣とは、比較のできない大きさだ。紙を見てみるか……」
――――召喚陣ルームの設置。加えて3つの召喚陣を配置。内容は龍神族人型執事レベル140、龍神族と人族のハーフメイドレベル80二人。3名はマルファス様に絶対の忠誠を誓う存在――――
「強いな」
「強いですね」
レベル140と70が二人。一体どんな強さなのだろうか。俺なんか多分片手で殺されるだろうな。
「それにしてもいつになったら召喚されるのだろうな」
「魔王様。召喚されるまでステータスを見てみませんか!」
「それもそうだな」
ゴストさんから貰ったもののおかげですっかり忘れていた。
「先にポルンからいくか」
「ありがとうございます!」
鑑定。
【上位スライム エメラルド種 ポルン】
種族:上位スライムエメラルド種 ♂
親:魔王マルファス
レベル:11
HP:200 +140 MP:49 +27
攻撃力:68 +41
素早さ:124 +73
防御力:89 +53
賢さ:49 +21
精神力:28 +21
運:22 +6
スキルポイント:500 +350
スキル:中位風魔法無効 酸耐性Ⅱ +Ⅰ
〔スキルの更新をします。マルファス様スキルを選択ください〕
・ウィンド 100
・巨大化 100
・ヒール 150
・スライムの意地 350
うむ。俺としてはほぼ確定しているな。
「ポルン、スライムの意地とヒールでいいか?」
「それで構いません!」
「それでは……」
〔最終的なステータスが確定しました〕
【上位スライム エメラルド種 ポルン】
種族:上位スライムエメラルド種 ♂
親:魔王マルファス
レベル:11
HP:200 MP:49
攻撃力:68
素早さ:124
防御力:89
賢さ:49
精神力:28
運:22
スキルポイント:0
スキル:
スライム固有スキル
↪中位風魔法無効
↪酸耐性Ⅱ
↪スライムの意地Ⅰ
一般魔法
↪ヒール レベル1
だいたいのゲームでは、固有スキルは強いと相場が決まってるからな。スライムの意地は強いだろう。
ヒールは……あれだ。自分一人の力で傷を治すためだ。決して俺が直してもらおうとかは思ってないぞ。
「次は俺だな」
鑑定。
〔鑑定スキルの発動を確認いたしました。ステータスの更新をします。〕
自分自身のときと、他人のときはやっぱり違うのだな。
〔日光弱体化を取得しました。暗闇強化を取得しました。交渉上手を取得しました。魔王の力を取得しました。危機回避を取得しました〕
多いな。かなり多いぞこれ。ポルンのときはまったくなかったのだがな、スキルポイントを使わないスキル追加。
〔ステータスの更新をします〕
職業:魔物使い 格闘家
種族:獣族人型 男
レベル:5
HP:63 +51 MP:114 +82
攻撃力:79 +62
素早さ:65 +42
防御力:108 +92
賢さ:148 +6
精神力:16 +13
運:109 +105
スキルポイント:300 +300
スキル
:魔物使い適正Ⅲ
↪支配者のオーラレベルⅠ 魔物召喚士Ⅰ 支配者の素質Ⅰ
:格闘家Ⅰ
↪正拳突き レベル1
:鑑定Ⅳ
魔王
↪日光弱体化Ⅱ 暗闇強化Ⅱ 交渉上手Ⅰ 魔王の力Ⅰ 危機回避Ⅰ
全体的に結構上がってる。特に運の上がり方が半端ないな。それに危機回避とか交渉上手とか俺なんかしたかな。
それでも、ポルンには負けるのだがな。
〔スキルポイントを割り振りください〕
・ヒール 50
・ブラックホール 150
・低位物理攻撃無効 300
ブラックホールとはなんだろう。やっぱり魔法なのだろうか。このラインナップだったらこれしかないだろうな。
「低位物理攻撃無効で」
ヒールはポルンにとってもらったからな。
〔最終的なステータスが確定しました〕
職業:魔物使い 格闘家
種族:獣族人型 男
レベル:5
HP:63 MP:114
攻撃力:79
素早さ:65
防御力:108
賢さ:148
精神力:16
運:109
スキルポイント:0 -300
スキル
:魔物使い適正Ⅲ
↪支配者のオーラレベルⅠ 魔物召喚士Ⅰ 支配者の素質Ⅰ 低位物理攻撃無効
:格闘家Ⅰ
↪正拳突き レベル1
:鑑定Ⅳ
魔王
↪日光弱体化Ⅱ 暗闇強化Ⅱ 交渉上手Ⅰ 魔王の力Ⅰ 危機回避Ⅰ
どんどんスキルが増えていくのは面白いな。こんど新しいスキルの効果も見ないとな。
「魔王様! ステータスの更新は終わりましたか?」
「あぁ、今終わったよ」
「そろそろじゃないですか」
「そろそろっぽいな」
3つの召喚陣はだんだん光を帯びていっている。今にも何かが召喚されそうな気配をしている。
――ドスン……。
「「「おまたせ致しました」」」
声の高さは違うものの、一寸のブレもない統一された挨拶だった。
召喚陣は消え去り、三人が召喚された。一人は初老の男性。二人はどちらも可愛いがBeautifulとCuteの顔だ。
「よくぞ、来てくれた。待っていたぞ」
精一杯の魔王感を出しながら言った。意外にも三人ともかなり尊敬のまなざしでこちらを見ている。
第一印象は悪くは無さそうだ。
魔王マルファスのもとに三人の部下が増えた瞬間であった……。
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