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prologue 人生これ愉快?

特に何かあるわけでもないので何も書かないです。

もしこんな展開になったら自分は目が点です



「暇だなぁ……」



 ぽつりと出た一言。でも返してくれるやつはいない。1人暮らしなら当たり前だ。



「退屈だ」



 もちろんこの言葉にも返事はない。返ってくるのはせいぜい外から聞こえる馬鹿な暴走族か、アホほど飛ばしているスピード狂のエンジン音くらい。まあ時々役立たずの税ドロ公務員の車の音が聞こえるが、今日は聴こえないようだ。

 


「……マジ退屈だわ」


「ならその退屈を終了させてやる」



 ……おかしい。この部屋には俺以外いないはずだ。さっきも言ったが俺は1人暮らし。もしさっきの言葉に返事があったとしても外の暴走族かスピード狂のエンジン音、または公務員のパンダくらい。そして時々ケンカ声。 


 なら今聞こえた声は何だ? 素晴らしくハスキーな女声。この方24年、今年で25年、今まで付き合った女の数は1人のみ。それを足し友人と合わせると10人しかいない俺の女友達。だがごあいにくさま、ここ5年ほど連絡を取っていない。まあ元彼女の方は時々、本当に時々だが連絡は取っている。でもそれだけ。突然来訪する関係でもないし、そんな約束も取り付けた覚えもない。勿論酒に酔って連絡していた場合は無きにしも非ず、だけど。


 じゃあ誰だよ今の。


 残念だ俺の脳内HDDの中にはこのハスキーボイスと合致する女性はいない。いや、そんな検索する意味なんてないんだけどな。既に知り合いではないという結論が出てるし。


 仕方ない。


 俺は若干焦りながら表向き冷静な表情を崩さずにその声の主――ベッドの足もと――の方に顔を向ける。そこにいたのは



「ああ、美人ってやつだな?」


「ほう、いきなり初対面の女性を口説きにかかるとはな。最近の人間は本当にやるだけ脳の猿とは真の情報だったのか」



痛烈な言葉をぶつけてくる恐ろしく美人な美白美人さんがいた。いや、恐ろしく美白で美人さんと言った方がいいか。 

 だがその女の鋭い目つきから放たれる謎のオーラと言える何かが俺の心臓を物凄く狂暴にさせる。



「いや待ってくれ、ちょっと失礼だったかもしれないが別に深い意味はないんだ、本当。信じてください」


「そうか。ではただ意味も無く美人と言ったわけだな。まあどうでもいい。さっさと起きろ屑人間ランク第四十万六十九位の荒木良太。これより貴様には人生ゲームを行ってもらう」


「……は?」



 意味もわからず、というか理解できずついつい典型的な返しをしてしまった俺荒木良太。頭の中ではなんでこんな美人が俺の名を知っているんだ? とかそれ以前に人生ゲームってあのゲーム? とか色々ぐるぐる回りに回っているがとりあえず疑問にするのはやめた。まずはこれもまた典型的な



「とりあえず、貴方誰?」



自己紹介を求めてみた。が、返ってきたのは



「自己紹介は己からするというのが礼儀だろう愚か者」



きっつい視線と目つき、そしてきっついお言葉であった。何という、第一印象は



「古いな」


「死にたいのか」



はいごめんなさい。心の中で土下座をする俺。表向きはもちろん謝っていない。正に礼儀知らずだ。だけどな



「死にたいのかっていうのも十分礼g」


「……」



ごめん、これ以上は追及できない。恐ろしい。



「まあいい。どちらにせよお前にはこれより参加者になんてもらうのだからな」


「参加者?」



突然の参加させます宣言に聞き返す。それを聞いた彼女――結局名前聞いてない――は突然自身が来ている黒い着物に手を入れると何かを探し始める。その捜索中に聞こえる、やはり胸は小さいに限る、やら、ちっぱいとはどうやったらなれるのだ豊胸体操だけでなく縮胸体操も開発してくれよ、だの、ある意味女性を敵に回す発言と巨乳好きな男性には――俺も――たまらない言葉は敢えて流しておこう。いや、眼福ならぬ耳福である。


 しばらく捜索を続けているとようやく目的の物を発見したのか、その何かを取り出す。どういう構造になってるんだろう、あの着物。

 その何か――正方形の紙――を俺に差し出してくる彼女。 



「何これ」


「見たまんまだ」



勿論いきなり謎めいたものを取るほど俺も馬鹿ではない。俺は至極当然な疑問を返す。が、返ってきたのは今の言葉。見たまんま……正方形の紙?



「なるほど折り紙か」


「もしそうなら私は本物の愚か者だなこのアホンダラ」



先ほどよりもえげつないお言葉と共に強引に押し付けられる紙。俺はその強制譲渡された紙を渋々受け取ると中身を見る。



「はは、なんて書いてんのかわかんないっす」


「もしいきなりで分かっていたらお前の前世は人間じゃないな」



書かれてあったのは見たことも無い文字らしきもの。感じ的にはエジプト文字にも似ているが違う。なんか……不思議だ。

 俺はその文字の解読を諦めると翻訳してくれよう、と意味を込めてその物を送り返す。すると彼女は意味を汲み取ってくれたのか、片手に持ち翻訳を開始してくれた。



「閻魔の名において右の者、荒木良太を天獄遊戯への参加を認める、だ。OK?」


「よし、ノーケーだ、NO,K。お分かり?」


「なるほど拒否か」



そりゃそうだ。なんせ今しがたとても信じられない単語が聞こえてきたんだからな。


――閻魔


あの世の最高裁判官。現世でやらかしたことを色々計算して、地獄へポイか天国に送還かを考える凄い人。もちろん俺は本当にそんなのが存在してるなんて信じてない。俺は、自分の、目で、見たものしか、信じない――



「現実主義者だ!!」


「よし、今すぐ現実に返ってこい」



熱く語ったものの僅か1秒で帰ってこい宣言。まあ元から頭は戻っている。ただ……



「現実を認めたくない時もあるでしょ?」


「まあお前ら人間が閻魔様に会えるなんて死後でしかないからな」



どこか納得した表情で返してくれる美女。一瞬だけ、あ、優しい、と思ってしまった。


 よし、とりあえずだ。



「現実に戻るから色々俺にも納得のいく赤ちゃんも分かるくらい噛み砕いた説明をプリーズ」


「分かった。小学1年生に1+1を教えるつもりで行こう。では始めよう」


「おしこい」



すぅ、っと息を吸い込む彼女。後で名前を聞こう。



「まず最近地獄と天国で人数差事変と言うものが起きている。簡単に言えば地獄に行く人数と天国に行く人数の差が激しく広がっているということだ。通常天国と地獄は現世に送り込む魂の数を計算して現世の人間の数が増えすぎず減りすぎないように調整しているのだが、最近自殺する愚か者や子も成さずに独身を決め込む何の為に存在するか分からん無駄な人間が増えている。それだけならともかく、神聖なる子を孕む行為を猿の如く快楽のみを求めるこれまた一段と酷い超愚か者が存在する。それだけでも飽き足らず馬鹿な人間どもは己の住居でもある大切な地球を食い物、果てには生態系の破壊。神にでもなったつもりなのかそんな数々の愚行を犯してきたのだ。そこでこのままではとありとあらゆる階級の神々がすべて集結し会議を行ったのだ。私も驚いたぞ? 過去凄い年数生きた私でもあんな大規模会議は無かった。で話を戻すが、その会議で神々は話し合ったのだ。今のままでは人間は破滅すると。ならばノアの箱舟のリテイクをと話が上がったのだが今の時代だと屑の人間が多数助かる恐れがあると懸念され泣く泣く諦められれた。感謝しろよ? 一歩間違ったらお前たち人類は絶滅していたのだぞ? でだ、ならば太陽が地球を巻き込む規定日数まで待てばよいのではとなったのだが、これがまた面倒でな。日数が長すぎて待っている間に人類が愚かな道に進む、または絶滅するのでは? とさまざまな可能性が会場中を飛び回りこれも断念。よし、とりあえずここまでで分からないことは?」


「ないですはい!」


「よし続けるぞ」



言葉に若干分かったと言えと意味を込められていた気がしてつい分かったと返してしまったがはっきりいって全然理解できてない。



「で、そこでならば選定すればいいのでは? とある神が仰ったのだ。だがまあそこでも問題は色々出るわけで。そこでその数々の問題を解消し考えられたのが天獄遊戯と言うものだ。この天獄遊戯とは特に何かあるわけではない。いや、あると言えばあるが普通のものと変わらん。むしろ見慣れてるからある意味普通だ」


「普通のもの? 見慣れてる?」


「そう。お前も一度は遊んだことがあるはずだ」



そう言うと突然何もなかったテーブルの上に物凄く見たことも使ったこともあるなじみ深い遊び道具



「人生ゲーム?」



人生ゲームが姿を現した。



「そうだ、人生ゲームだ」


「ふぅん……でこれをどうするんだ?」


「何、簡単だ」



指をそのボードに着けると楽しげな絵が書かれていた人生ゲームが突然何の面白味もない白色に染まると彼女は顔をこちらにあげ、先ほどまで無表情だった顔が



「この人生ゲームをお前にもリアル体験してもらうのだよ荒木良太君」



獰猛な、それでいて試すかのようににやりと笑みを浮かべる。



「では頑張ってくれたまえ。何ルールと私の名前くらいは紹介してやる」


「紹介?」


「そう。私の名前は羅刹。今は羅刹天とも言うがな」



何故だろう。本当、退屈が懐かしい気がする……

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