魔王さまの一日!
魔王さまの朝は早い。
午前6:00ピッタリに目覚まし時計(アラーム音:ドラえもんのOP)に起こされ、起床をする。
自身のブログに付いたコメントを適当に目を通しながら、パジャマから魔王服に着替えるのだ。
「魔王さま! 魔王さま!」
側近が声を上げながら、魔王さまの寝室に飛び込む。
「おい側近。ドアに『はいらないでください』って張り紙しただろう?」
「そんな場合ではありません! これを見て下さい!」
慌てる側近が差し出したチラシに目を通す。
ほほう。これは……。
「ネギと豚肉が半額セールか。ふふふ、カーチャンも喜ぶな」
「はいっ!」
魔王さまは最近、セール商品を買い集めることにご熱心なのだ。
我らの魔王さまの行動は早い。
すぐさま、スーパーまでの道順を繰り返し作戦室の地図でシュミレートした後に、オシャレ(イタリアプランドの「ユ◯クロ」を着用)をして出かける。
魔王さまは常識に囚われない、偉大なお方だ。
赤信号は基本的に無視して、渡るのだ(ただし、みんなと一緒に渡る場合のみである)。
魔王さまは常に我が国の財政問題を考えておられる。
そう、例えスーパーに行く道中でもである。
「ほほう。10円玉が落ちて……っ! 500円だとっ! おい、側近! 500円だぞ!」
「はい? え? 500円! これはっ! 今日は最高な一日ですな!」
そうなのだ。魔王さまは、一つのコインでさえ無駄にしない。
3時のおやつ(メロンパン)の資金として調達するのだ。
そして。
いかなるものも、魔王さまの探索網から逃れることは出来ない。
例えそれが1円玉でも、である。
見よ。
500円玉を嬉しそうにポケットに貯蔵した魔王さまを、周りの平民は哀れな視線をっ——おっと、失礼。尊敬の眼差しで魔王さまを見ていらっしゃる。
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「ふむ。ここが伝説の『商店街殺し』の異名を持つ『イ◯ンモール』か……」
「そうですね……。我ら、魔王城よりも巨大な城門を備えている……」
「何を言う! 我らの魔王城は2LDKだぞ! 立派だ!」
我らの魔王さまはユーモアセンスにも溢れている。
実際の魔王城は2LDKではなく、「2DK」であるのだ。
——えっ? これ言っちゃダメっすか? すんません! 言い直しますんで!
今のは放送ミスである。
実際の魔王城は「4LDK(開放的なバルコニー付き)」だ。申し訳ない。
偉大なる魔王さまは常に学ぶ者である。
モール内では様々な情報を探索し、新たな情報を聞き入れる。
側近とは別行動での探索である。
念の為に通達しておこう。
決して、魔王さまは迷子になったわけではい。繰り返そう、決して「迷子」ではないのだ。
ただ、少しだけ、現在位置がどこなのかを考えているだけだ。
《〜♪こちらは、イ◯ンモールの迷子センターです。異世界ハルケ◯ニアからお越しの魔王くん。保護者の側近さまが二階のBブロックの迷子センターでお待ちしております♪》
……………。
魔王さまが迷子になったのでない。側近が迷子なのだ。
魔王さまが迷子ではないのである(震え声)
「ま、まったく。側近のやつは何をしている……」
魔王さまは人徳の深いお方。
部下が助けを待っているというのならば、どこにでも駆け付ける覚悟のみ。
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「おぉ! 魔王さま! ご無事でしたか! 魔王さまが迷子だなんて! はははっ!」
「側近よ。迷子ではない。ただ、そのな? 違うだろう?」
魔王さまは不敵な笑みを浮かべる。
その手には、北海道ミルクキャンディー(100円ショップで一袋買えるやつ)が一つあるではないか。
「——ははは! 私としたことが! 迷子になってしまいました! 側近として失格だ!」
「フハハハ! 大丈夫だ」
側近がコッソリと北海道ミルクキャンディーを受け取る。
そうこれが、魔王さまの高度な外交技術。「賄賂」である。
魔王さまが、今この地位にいるのも「北海道ミルクキャンディー」によるもの。と言っても過言ではないだろう。
ん? だれか来たようだ……。
少々、お待ち頂きたい。
すぐに、戻るっ——
………………。
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こんにちは! 先ほどまでレポーターをしていた山田さんは一身上の都合により、辞任しました! 代わりまして、わたくし、近藤がレポートします♪
魔王さまは、とっても優しいお方なんですっ!
イ◯ンモールで購入なされた、ネギと豚肉を母上に渡そうとしてますね!
今日は、ネギトロ丼かなぁ〜?
「カーチャン、豚肉とネギを買ってきたぞ。喜べ! 半額だ!」
「ちょっと、タカシ。その喋り方やめなs——《当局の規制が入りました》
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「すまない、一身上の都合により。
しばらく、魔王をやめる。ちゃんと就活をしようと思う( ・`ω・´)」
☆以上、魔王の一日!(半日しかレポートされていない)近藤のレポートでしたっ!
寝ぼけて書いた。
後悔はしている。