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プロローグ

20××年10月早朝


東北の、とある中学校ーーー桜の花びらが散っているわけでもないこの季節に、1人の少女が転校生としてやって来る。

校門をくぐる時足元に落ちていた落ち葉を踏み、ガサガサという音が静まり返った校舎に反射してこだました。


「紅葉ヶ丘西中学校」

略して「西中」と呼ばれる2階建ての校舎を見上げながら、少女はこれから始まる新しい生活に胸が高鳴るのを抑えられなかった。



ーーー少女の名を、長澤愛(ながさわ あい)。

肩のラインを少し越えた、癖っ毛のある茶髪をおろしている。

制服は特に着崩すこともなく、合服であるシャツに赤い紐のリボンをして、指定のスカートの長さは膝ちょうど。

……ちなみに、西中の制服は少しおかしい。一応公立なのだが、冬服は男女共になぜかブレザー。夏服はセーラー風の半袖。制服の採寸に行った時、西中の制服を決めた人はかなりいい加減だと思った。少なくとも、ブレザーかセーラーどちらか一方にしてもらいたいものだ。公立か私立なのかわからなくなる。


西中はそこまで有名でもない進学校だが、悪くもない、いわばごく普通の中学校だ。

西があれば東もある。ーーー紅葉ヶ丘東中学校は県外にも知られている進学校で、同じ市内にあるのにと比べられることもしばしばあった。


………愛の場合、東中なんて頭に浮かぶこともなく西中を選んだ。残念ながら、愛の学力では東中なんて夢のまた夢だ。

まぁそもそも、行きたいとも思わないが。



……別に馬鹿でも、生きていけるもんと思いながら、愛は校舎の中に足を踏み入れた。

愛が今日から所属するクラスは、校舎の2階にある2年4組だ。今は朝のHRをしているらしく、途中で生徒に会うことはなかった。


ーーーいよいよだ。


2年4組の教室の前で、深く深呼吸をする。


もう失敗してはいけない。落ち着け私。大丈夫ーーー。


教室の中から、担任の先生が私を呼ぶ声が聞こえた。

私はもう一度身だしなみを整えて、教室のドアを開けた。






ーーー私、長澤愛は短気です。極度の。

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