チュチュ日記No.XX001「素敵です?」
俺たちの泊まっている旅館にて、夜、残妖の盗賊の襲撃があった。チュチュが戦い、傷を負った。
朝ごはんを食べていると、先に食べ終えたチュチュが俺の正面に回って覗き込んでくる。
何だ?
「チュチュのこと、どう思います?」
藪から棒に、なんだ?
かわいらしい瞳でじっと見つめてくる。
なんて答えればいいんだ?
「す…」
「す?」
チュチュは続きを待っている。
「素敵です……?」
あまりにもひねりがない。
チュチュみたいな教養ある人間の満足する答えではなさそうだが、俺に教養がないのでこれしか言えなかった。
チュチュは目を丸くして、急にそわそわと歩き出し俺の席の周囲を回る。
まずいことを言っただろうかと不安に思うも、俺は朝ごはんの途中なのでここから動くことができない。
チュチュの友人ミヤビがやってきた。
「チュチュのこと、どう思います?」
チュチュはミヤビにも同じことを聞いた。
「はあ?」
ミヤビは面倒そうにチュチュの顔を覗き込み、ぐっとチュチュを引き寄せた。
あまりに顔を近づけるのでキスでもするのかと思った。
「いつもとおんなじよ」
ミヤビが離すとチュチュはふらふらとどこかへ行った。
昼になると、チュチュがどっさりとお菓子を持ってきた。
なんでもチュチュの手作りらしい。どこでどうやって作った?
「あ、ありがとう……」
カップケーキのひとつを手に取って食べる。
チュチュは着物の袖で口元を覆って表情を隠しながら、またふらふらと奥のほうへ消える。
チュチュの仲間たちがやってきた。
「あ、食べます? チュチュの手作りらしんですけど」
するとミヤビが俺の隣にきて肩を組んできた。反対側の隣にもチュチュやミヤビの仲間が座る。
ミヤビはうら若い少女ではあるが犯罪ギルドの幹部なのでこの状況はまあまあ怖い。
ミヤビがささやく。
「チュチュに素敵ですって言ったと聞きましたが」
「急に聞かれたから……」
ミヤビは俺のあごをつかんで奥に引っ込んだチュチュのほうを向かせる。
「気づきませんの?」
「何を?」
俺が何に気づいてないというのか。怖い。このまま殺されて海に沈められそうな空気だ。
「チュチュの髪、黒いでしょう」
確かに、質の悪い油を塗ったみたいな黒さだった。チュチュの髪色は茶色だったはず。
「昨日盗賊と戦って大きなダメージを受けたチュチュは今、妖怪の血が強く出てるの。それで髪色が変わったから、『どう思います?』って聞いて回ってたわけ」
「全然気づかなかった」
ミヤビは呆れを隠せない。
「チュチュは今の自分に自信がなかったの。それをあなたが素敵ですなんて言うから、チュチュ、舞い上がっちゃったわ」
「はあ……」
「責任とってあげてね」
今朝見た夢です。
登場人物は作者の作品からですが、そっちの設定とは微妙に違う。夢なので。
すごく短く、急に終わりますが思い出せたのがこれだけです。




