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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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ホラー短編

[ホラー短編]騙された美大生ー行った先は宗教大学でしたー

作者: 狐乃香
掲載日:2026/03/05

 その大学のパンフレットは、眩いほどの銀箔が施されていた。「君の才能を、世界というキャンパスへ」。そのコピーを信じたのは、18歳の春だった。

 父が残した遺産と、母が身を粉にして働いた貯金。合わせて800万円。


「これは投資よ」と母は笑った。私も、その重みを「未来へのチケット」だと確信していた。


 しかし、入学して一ヶ月。私は最初の「違和感」を覚える。


 アトリエに並ぶキャンバスはすべて、裏側が腐っていた。

 

 ×××


 教授たちは「精神を研ぎ澄ませ」と言い、一切の技術を教えない。代わりに強いたのは、謎の「高額な画材」の購入だった。


「この絵具を使わなければ、真理の色は出せない」

 

 一本数万円するチューブ。中身は、どこにでもある安物のポスターカラーの臭いがした。抗議しようとした先輩は、翌日から「存在しなかったこと」にされた。学籍名簿からも、人々の記憶からも。


 気づけば、私の銀行口座は空になっていた。

 800万円。それは、私の夢の対価ではなく、この大学という「怪異」を維持するための供物くもつだったのだ。


 ある夜、私は事務局の奥にある「開かずの間」に忍び込む。そこで見たのは、学生たちが描き上げた絵画ではない。壁一面に貼られた、800万円ずつの「振込証明書」だった。


 それらは血のように赤いインクで塗りつぶされ、巨大なモザイク画を形作っている。描かれているのは、醜く太った「芸術の神」の姿。


 背後で、冷たい声がした。

 

「次の色は、君の絶望に決めたよ」


振り返ると、そこには入学式の時に微笑んでいた学長の、顔のない輪郭が揺れていた。


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