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第11話 見えない介入(3)

妙な偏りに気づいたのは、

初夏だった。


王都に入る薬の種類が、

同じものばかりになっている。


解熱の草。

鎮静の根。


どちらも、

単体なら問題はない。


けれど。


重なれば、

身体に残る。




――思い出す。


以前。


あの人が、

一緒に服用すると副反応が出る薬を、

同じ時期に重ねてしまったことがあった。


侍医の指示でもなく、

本人の判断でもない。


気づけば、

そうなっていた。


処方はそれぞれ正しい。

量も、間違っていない。


ただ、

順番だけが歪んでいた。


それでも。


熱は下がらず、

回復に時間がかかった。


毒ではない。


けれど、

「偶然」にしては、

静かすぎる重なり方だった。


――何かが、

そうしたように。




帳簿を閉じる。


同じ流れが、

作られている。


王都へ向かう荷の中に、

その薬草だけが、

わずかに多い。




直接止めることはできない。


名前も出せない。


けれど。


流れなら、

変えられる。




その薬草を、

先に押さえた。


商会の名義で、

まとめて買う。


王都へ向かう分だけ、

別の地方へ回す。


不足しない程度に、

量だけをずらす。




王宮へ届く薬は、

自然と配合が変わる。


偏りが消える。




それだけだった。




数日後。


王太子の体調が崩れることは、

なかった。


薬も増えない。


侍医の出入りも、

いつも通りだった。




予定されていたはずの「不調」が、

形にならないまま消えた。




誰も気づかない。


毒の話も、

事故の話も、

残らない。




ただ。


順番だけが、

静かに変わった。




近づかない。


名前も出さない。


それでも。


確かに、

守れている。




――見えないまま、

止める。

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