深雪のプロムナード
最新エピソード掲載日:2025/12/21
霊峰の奥深く人間がほとんど足を踏み入れぬ、禁足地に近い静寂の地に、ひとりの竜人が暮らしていた。
名をウロボロスという。
鱗を思わせる黒髪と、透き通るような青い瞳をもつ、美しい青年である。
彼は鍛治士として生きていた。
といっても、山の麓の小さな村から頼まれるのは、クワやシャベルといった生活の道具ばかりだ。折れた柄を直し、刃こぼれした鉄を鍛ち直す。
穏やかな日々の合間に、ひっそりと、自分のための剣を打った。
誰に見せるでもない、美しさだけを追い求めた剣を。
彼が住む屋敷は、青を基調とした静謐な空間で満ちている。
外気と同じく冴え冴えと冷え、氷の属性を宿す竜人にはこの上なく心地よい。
だが屋敷の奥に一室だけ、雰囲気をまるで異にする場所があった。
鍛治場――情熱を注ぐ、熱と轟音の砦だ。
そこだけは氷の息吹を拒むかのように、炉の赤光が揺らめき、石の床に熱が満ちている。
冷気の住まう屋敷の中心に、燃え盛る心臓がひとつ埋め込まれているかのようだった。
ウロボロスはその異質な空間で、今日も静かに鉄を打つ。
氷の竜人でありながら、火花の中で最も美しい形を生み出すことに、誰よりも熱を抱きながら。
名をウロボロスという。
鱗を思わせる黒髪と、透き通るような青い瞳をもつ、美しい青年である。
彼は鍛治士として生きていた。
といっても、山の麓の小さな村から頼まれるのは、クワやシャベルといった生活の道具ばかりだ。折れた柄を直し、刃こぼれした鉄を鍛ち直す。
穏やかな日々の合間に、ひっそりと、自分のための剣を打った。
誰に見せるでもない、美しさだけを追い求めた剣を。
彼が住む屋敷は、青を基調とした静謐な空間で満ちている。
外気と同じく冴え冴えと冷え、氷の属性を宿す竜人にはこの上なく心地よい。
だが屋敷の奥に一室だけ、雰囲気をまるで異にする場所があった。
鍛治場――情熱を注ぐ、熱と轟音の砦だ。
そこだけは氷の息吹を拒むかのように、炉の赤光が揺らめき、石の床に熱が満ちている。
冷気の住まう屋敷の中心に、燃え盛る心臓がひとつ埋め込まれているかのようだった。
ウロボロスはその異質な空間で、今日も静かに鉄を打つ。
氷の竜人でありながら、火花の中で最も美しい形を生み出すことに、誰よりも熱を抱きながら。