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願うアイ  作者: めこまる
【第一章─幼馴染】
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プロローグ

「……あなたは本当に、それでいいの?」

 長い沈黙のあと、魔女は静かに問いかけた。

 眉根を寄せ、翠玉の瞳を縁取る長いまつ毛が伏せられる。呆れているようにも、憂いているようにも見えるその姿さえ、美しいとカミラは思った。

 

(この人は私と同じ思いをしたことはないのかしら……)

 

 否、彼女はちっぽけな人間とは一線を画す存在だ。同じ目に遭ったとて、きっとこう言ってのけるのだろう。

「些末なことよ」

 先の魔女の問いにカミラはにっこりと笑ってみせる。強がりなどではない。心からそう思っている。

「魔道士さま。貴女(あなた)にとってそれこそ、私やあの子の未来など、些末なことなのでしょう?」

「そうかもしれないわね…」

 選択の魔女と呼ばれるこの美しい女性は、神話の時代から生きていると聞く。何千もの願いを見て、何度も世界の変わる景色を眺めてきたのだろう。

 

(そんな人にとって私のような人間は、きっととても、愚かに見えているんでしょうね)

 

 愚かだと自分でも分かっている。

 ──それでも、譲れない願いがカミラにはあった。

「あなたの願い、叶えましょう。だけどそれでも、あなたが本当に望んでいることが叶うかどうかは──」

「私次第、でしょう? 分かってるわ」

 神代の魔女は何でもできる。しかし、万能の神ではない。望む未来が手に入るかどうかは、願う者自身の選択が決めるのだ。

 

「絶対に、叶えてみせる。そのために私は、あの子の友達や恋人を奪い続けてきたんだから──」

 

 運命の相手に出会えるまで。願いが叶うその日まで、この心が折れることは決してない。

 

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