最終章「そして、真犯人は笑った」
REALITY学園フェスの最終日。
数々の配信が熱を帯びる中、事件の核心がついに暴かれようとしていた。
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ねるちゃんの匿名コメント
全体チャットに、匿名のユーザー名「ねるちゃん@隠れ枠」が現れた。
「そらんちゃんは消えたんじゃない。りおんちゃんに全部、託して消えたんだよ」
「ぱんちゃんは、“そらんの記憶”を他の誰かに編集しようとしてた」
「りおんちゃんは――もう“守られる側”じゃない」
ざわつくコメント欄。
「これだれ?ホントのはなし!?」
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そらんとの別れ、そして再生
静かに目を閉じるりおん。
胸の奥から、そらんの声が響く。
「ワイはもう大丈夫。ワイはずっとワレの中にいる。
これからは――“ワレ自身”として、生きていきや」
なぞにコテコテの関西弁になった、
微笑むそらんの幻影が、静かに消える。
りおんは一歩前に踏み出した。
「ありがとう。私はもう、りおんとして配信する!」
「富……名声……力……私はすべてを手に入れたい!」
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Aちゃん、半魔として覚醒
混乱するステージ、暴走するデータ空間。
パニックになったAちゃんが何やらまごまごしている……急に立ち上がると、Aちゃんの髪が風に揺れ、瞳が紅く光った(目からビーム200C)
「私の中に“何か”がいる……力が湧いてくる……この“悪魔の血の力”を使ってでも、あの子を守りたい!」
放たれた魔の炎が暴走配信を浄化し、空間は光に包まれた。その場の全員が悪魔の力に魅了され、その場はおさまった……。
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ぱんの正体と勝利宣言
配信裏の教室。
誰もいないはずの空間で、ぱんは独り語る。
「“そらん”は甘すぎたの。だから、編集して“りおん”を作ったの。本人が笑ってれば、それが正解でしょ?」
机の上には、「記憶編集リスト」と「そらん人格分割の設計図」。
ぱんはモニター越しに微笑む。
「ねえ――次は、誰を編集しよっかな♡」
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りおんと、ふー太郎
イベント後の教室。
ふー太郎が静かに話しかける。
「なあ、明日コラボでいっしょに歌わね?」
りおんは少し照れて、でもしっかりと頷いた。
「……うん。いいよ、今なら私の声でうまく歌える気がする」
「うまく……???」
「お?やんのかでぶ?」
帰り道、ほんの一瞬だけ、2人の指先が触れる。
りおんはウェットティッシュで指先を拭いた…
小さな未来が、そこに芽吹くはずもなく……
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もぶAの最後の配信
REALITY公式アカウントに、未公開映像が一瞬だけ投稿された。
タイトル:【No Title】
再生時間:00:00:46
そこには、教室でクッキーをかじるぱんの姿。
「“真実”って、知りたい? でもそれは、記憶を疑うってこと。
しあわせな嘘は……気持ちいいでしょ?」
カメラがズームアウトし、奥の机に誰かが座っている。
影に隠れ、顔は見えない。
ぱんが言う。
「ねぇ―?あなたの番だよ?」
その後、映像がブラックアウト。
最後に映し出された一行のテキスト。
『次に記憶を編集されるのは、あなたかもしれないね。』
『ずぐだんずんぶんぐん!はいっ!』
完
つ、疲れた……