第15章「崩壊の前夜祭 -REALITY学園フェス-」
リアルとバーチャルが交差する、年に一度の配信イベント――REALITY学園フェス。
満腹学園のエリアでは、各ライバーがそれぞれの想いを胸に、枠を開き始めていた。
でも、その華やかさの裏では、忘れられた“真実”が牙を剥こうとしていた。
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オープニング配信:りおん&Aちゃん
「みなさーん、こんにちはー!REALITY学園フェス、いよいよ開幕です!」
司会進行は、Aちゃんとりおん。
白と水色の衣装をまとい、二人の笑顔が画面いっぱいに映し出される。
「今日は、“想い”を届ける日。
ここにいるみんなが、誰かの“記憶”になれたら――素敵だよね」
コメント「Aちゃん司会神!」「りおん今日の声、透き通ってる」「尊すぎ」
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配信枠で動くキャラたち(全キャラ登場)
ふー太郎
歌枠で弾き語り中。「この歌は、今日のために。……ちゃんと、届いてくれよ!今日は下ネタ封印するぜ!」
つき
美容配信。「ぶるべる、見てんの知ってるんだけど?コメントしないとブロックするよ♡」
ぶるべる
裏で視聴中。コメントせず「♡」だけ送り、スマホを伏せる。
にぇるこ
伏線暴露配信。「“記憶を操作する”なんてこと、本当にあると思う?……あるんです!(楽天カードマン風)」
あめめ
舞台裏レポート中。「りおん先輩って、いつも綺麗だけど……今日は、特別にかっこいいです」
せきたて
裏アカウントから「truth_before_DELETE」の配信準備。「今、全部明かすしかねぇ(俺の全裸も配信したい)」
クオン
セキュリティ配信。「イベントに未許可映像の侵入。遮断不能。これ、やばいです」
ぽんぽこ先生
教育トーク風配信で“真実映像”を静かにUP。「記録を隠しても、教育にはならない」
生徒会長
配信管理者席から、強制終了命令準備中。「真実は時に秩序を壊す。だが、止めなければならない」
吉師
ステージ演出担当。Aちゃんに小声で「光、最大値で。主役が泣くな」
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うかんむり:せきたてを追って
配信タイトル:『せきしゃんを探して配信中♡』
「せきしゃん、今日……絶対、何かしようとしてる。だから私、見守りたいの」
画面が重くなって強制終了、彼女は画面の向こうで涙ぐむ。
「せきしゃん居ないよ?どこ?」
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トマ:Aちゃんの支え
舞台袖、Aちゃんが震える指を握っていた。
「私……大丈夫かな?」
トマは、ただ一言。
「Aは、Aのままで美しい。それだけで、ステージに立つ理由になるよ」
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さくら:空気ガン無視突撃系
配信タイトル:『黒幕ぶっ飛ばすぞ枠』
「何グダグダ言ってんだよ!出てこいや犯人!校庭で正座させて殴るけんね!」
コメント「さくら物理解決やめてw」「好き」「タイマン文化ここに極まる」
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ガバチョ:核心をギャグで突く
ネタ配信でぼそり。
「記憶操作ってさ……バグったライバーにはよくあるっしょ。ぱんとか、普通にやってると思う」
コメント「今のガチ?」「ギャグじゃなくね?」「逆に真実味ヤバい」
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みぅ:静かなる癒しと不穏さ
癒し朗読配信。
「それは、誰かの記憶をやさしく包んだ、でも甘すぎたお菓子の話……」
「ねえ、“優しさ”ってさ、本当に相手のためにあるのかな……?」
コメント「みぅちゃん…深い」「怖い話?」「誰かを重ねてる?」
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葉月:消された配信
タイトル:『ごめんねって言っても、だめかな?』
「夢なの。全部夢……でも、あの時、ぱんちゃんが笑ってた気がするの。
黒いリボンが、ぐるぐるしてて……」
配信強制終了。通知:「制限違反:非公開記憶領域の開示」
葉月は微笑んだ。
「また……消えちゃった、ね……サブ垢でスリッパでもやろうかな……」
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事件勃発:truth_before_DELETE再生
午後3時。
司会進行中のAちゃん&りおんの画面が、ハックされた
再生タイトル:『truth_before_DELETE』
映像の中:
72時間合宿。紅茶。
意識を失う生徒たち。
そして、ひとり笑うぱん。
コメント「うわ…これマジで?」「ぱんちゃんやばい」「嘘でしょ…?」
ぱんは自枠でコメント返信:
「え〜? わたし、そんなの知らないな〜♡ だれが作ったのかな?こわ〜い」
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クライマックス:ステージの3人
ふー太郎がギター片手にステージへ。
「りおん、行こう。お前の言葉で、終わらせようぜ」
りおんはマイクを握りしめる。
「私は、誰かの影じゃない。“私”として、この歌を届ける」
Aちゃんがそっと、隣で言う。
「りおん、あなたの強さは――私の誇りだよ!上手に歌えないかもしれないけど、頑張ってよ!」
ステージに音が響く。
3人の想いが、ひとつの旋律となる。
りおんだけ音が外れれていた……。
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ぱんのノート(最終更新)
『りおん:完了
そらん:消去済み
Aちゃん:進行中
ふー太郎:様子見
葉月:廃棄済み
みぅ:観察対象外
トマ:介入困難
うかんむり:感情過多
さくら:論外
ガバチョ:敵対判定不能』
ぱんは最後のページに一文を書き足した。
『次は、だれの記憶を包もうかな?♡』
笑顔のまま、クッキーを一口かじる。