第三話
まず目の当たりにしたのは,誰が一番いい悲鳴を叫ばせることができるかの言い争いだった。
「目ダマヲホジクロウ!」
「イヤ、皮ヲアシサキカラハイデイコウ!」
そんな光景を見て、唖然としていた。
そんな時、右足に一瞬、熱い感覚がした。
視線を落とすと、指が一本なくなっていることに気づいた。
「アェ、ウァーーー!!」
よく見ると犬ぐらいの大きさの蝙蝠のような化け物がコリコリと音を出しながら僕の右足の小指を食べていた。
そしてもう一口と言わんばかりにさらに次の指に食らいつこうとしたとき、僕の悲鳴に気づいたほかの化け物たちにグチャグチャに殺されてしまった。
「ヌケガケハズル!ソレニ、コンナ下等ナヒメイでオワラせたらモッタイナイ」
と、人型のカラス頭の魔物がさっき殺された蝙蝠の魔物の肉片を踏みつけながら言った。
僕は足先の痛みをこらえ、先ほどから考えていた疑問をそのカラス頭に投げた。
「ど、どうしてそんなに恐怖や悲鳴にこだわるんだ?人間と仲良くしようとは思わないのか?」
するとカラス頭は喜々とした声で答えた
「アタリマエダロ!ヒトノヒメイハココチチイイ!ソレニ我々ハ人間ヲ食べルダケ負ノ感情モ糧二シナイト生キラレナイ!ヒトトナカヨク?オマエハバカカ?」と言いゲラゲラと他の魔物たちと嘲笑した。
それを聞き、目の前が真っ暗になった。とてもショックだった。これから身に起こることを想像しただけではない。これまで信じてやまなかった魔物たちとは分かり合える。共存できるという考え、理想が崩れ去ったからだ。
そのあとはじわじわと痛みつけられた。爪をはがされたり、刃物のような爪で皮膚を引き裂かれた。太ももを貫かれたりもされた。そしてとうとう誰が僕を食べるか仲間割れが起こったところで意識は途切れた。
意識が途切れる瞬間、仲間割れをし、殺し合いをする光景を見た。そのおぞましさ、醜悪さを目に刻んで心の底から出た言葉は「醜い」だった・・・・・