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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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THIの設立とドーバー海峡横断計画

 1890年6月5日、ダンマーク王国の建国記念日にテューラ・ヘビー・インダストリー社が誕生した。

 半官半民の会社として王国の重工業をけん引する目的をもっての設立となった。

 半官半民という理由は出資元が一応民間銀行であるダンマーク中央銀行からの出資だからだ。

 つまり、半分は国家予算が割り当てられている。

 王家からもお金を一部出している状態だ。

 ぶっちゃけてしまえばほぼ国営状態なので、将来的には民営としたいところ。


 表看板は私となっているが実務は別の人間が行う。

 THIなんて大それた名前を付けたが、今現在製造販売する製品はない。

 全て試作機どまりだが、50馬力のエンジンが手に入るようになったことで、トラックと飛行機の研究開発が始まっている。

 普通の自動車については大国は蒸気機関から徐々にガソリンやディーゼルエンジンとなり、乗用車が先行して登場している。


 つまり、トラックなどの運送用はまだ手を出してこない。

 そこで、まずは積載量1.5tの貨物を運べるものを目指す。

 これはその辺の一般的な荷馬車に代わるものを作る為だ。

 ちなみに、マリーナが思い描いているコンテナは、レーナによるざっとした計算で重量が2.5tである。


 コンテナだけで。


 実際にマリーナが言う前世で見ていたコンテナを牽引したり搭載していたトラックは大型と区分されるものであり、まだ馬車の代わりが務まるかどうかも分からないトラックでは荷が重すぎるわけです物理的に。

 そして、マリーナさんはオーデンセ造船所に自動車運搬船なるものを作らせようと動き始めています。

 はしけかと思って聞いたのですが、どうやらそうではなくより大型のものを考えており、車を乗せてそのまま輸出するつもりのようです。


 飛行機のほうも空冷50馬力エンジンのおかげで、レーナ曰く”ドーバー海峡は横断できる”と豪語する飛行機が出来上がろうとしています。

 残念ながら私が操縦かんを握ることはありませんが現在テスト飛行中です。

 パイロットは私のメイドでパリ万博でも飛行機を飛ばしていた一人、シャーロット・リンデンバーク。

 私よりもパリの街を飛び回った影響か私よりよっぽど飛行機の操縦が上手く、THIのメインテストパイロットになってしまいました。

 私も何度かパリ上空は飛んだんですけどね…

 流石にもし何かあった時を考えた場合、王族である私が乗っているわけにはいかないのでやむを得ないことではあるのですが。


「で、レーナ調子はどう?」

「テスト飛行は順調ですよ。しかしシャーロットさんは凄腕ですね」

 宮殿にて今日はレーナとお茶をしています。

 テスト飛行については順調のようです。

 地上から見ていても分かるぐらい順調でしょう。

 わざわざ宮殿から見えるところを飛んでいるぐらいですから。

「ところでレーナ、貴方は複葉機が嫌いなの?」

「空力的に無意味だから作らないだけですよ」

 今回レーナが作ったTP-03は単葉機だった。

 前回のTP-02は複葉機だったし初期の飛行機は皆複葉機だったのに、今回の設計は単葉機なのだ。

「そもそもエルロン、エレベーター、ラダーを備えた飛行機であれば単葉機のほうが楽なのです。

 グライダーだって単葉機でしたでしょう?」

「そういわれればそうね…」

「開発当初はビビり散らかしたので複葉機のほうが揚力が確保できるはずと複葉機にしましたけれど、エンジンパワーに余裕があり翼面積が確保できるなら複葉機なんて要らないんです」

「そういうものですのね」

 お茶をしながら空を眺めれば、バラバラと音をたてながらTP-03が飛んでいく。

「実力だけならドーバー海峡の横断はもう可能です。なんでしたらダンマーク飛行場からキールまで飛ばしたっていいぐらいです」

「ドイツはやめましょう。まだイギリスのほうが良いわ」

「じゃあ世紀の飛行機ショーをやりましょう?どこの国よりも先んじて達成しなくては!」

 すでにイギリスのブリストルがTP-02程度の性能の飛行機を飛ばしているから先にドーバー海峡縦断を実施して、量産型となるT-03の販売を始めたいのよね。

 収益があげられない会社では意味が無いのだから。

「シャーロットならやってくれるでしょう」

「えぇ問題ないかと思います。彼女はもはや教官も出来るぐらいですよ」

 総飛行時間では現在の人類で最長でしょうからね…

 さて、叔母様へお願いのお葉書を書くことにしますか。

 ダンマーク王国がさらなる飛躍をするための準備をしないといけませんからね。



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