結託
数日後、俺は自席で真面目に仕事をこなしていた。
真面目にこなしてはいた。でも、窓際で藤田さんと千葉が仲良く話をしているのが気になって仕方がない。仕事に集中できずにチラチラと見てしまっていたんだろう。千葉が俺のその様子に気付いた。
「五十嵐君。今、見てたよね。」
俺は驚いた。今、窓際で藤田さんと話してたよね。なんで隣の松山の席に座ってるんだ?
「千葉君。移動早くなった?」
「分かった?練習積んだんだよ。早くなっただろ?」
クッソ爽やかイケメンがドヤ顔しやがった。
「練習すれば早くなるんだ…」
俺も絶対早く移動出来るように練習しようと思った。
「ところでさ、五十嵐君って藤田さんのこと好きだよね?」
俺は口に含んだコーヒーを吹き出しそうになって咳込んだ。
「な…なにを…」
「隠さなくてもいいよ。俺も好きだし。彼女可愛いよな。」
営業成績ナンバー1の爽やかイケメンと俺じゃ、どう考えても勝算がない。
「でさ、俺と五十嵐君で彼女を課長から守る同盟を組もうよ。」
「俺と組まなくても千葉君だけでいけるじゃないのか。」
こうクッソ爽やかな顔されても、俺は同調出来ない。俺は課長に頭上がらないし…
「藤田さん、困ってるよ。俺たちでなんとかしてあげようよ。」
「俺に何が出来るんだよ?」
「五十嵐君だって瀬尾課長にはかなりパワハラされてるじゃん。よく暴言吐かれてるし。」
俺はイラッとしながら聞いた。
「それをどうすりゃ藤田さんを助けられるんだよ?」
「だって、俺たち超能力者じゃん。色々、能力を駆使してさ。」
こいつ、まだ何も考えてないな…
とりあえず、俺はその日から家で瞬間移動を只管練習することにした。
瞬間移動、瞬間移動…
早く移動出来ないな。練習の仕方を千葉に聞けばよかった。
ふと頭の中に、浮いている足の裏にジェット機能が付いたイメージが浮かんだ。
「ジェット…?」
試しにジェットをイメージしたまま瞬間移動と唱えてみた。
シュン
ベッドに座ってたはずの俺は、気付くとキッチンに立っていた。
移動距離的には6畳一間のアパートだから2m位と言ったところだけど。
「出来た。イメージが大事なのか…」
翌日、俺は人気のない所に千葉を呼び出し、自慢気に瞬間移動を見せた。
「ほら。出来たじゃん。だから俺たちコンビ組むべきだろ。」
何が「だから」なのかわからなかったけど、最近この爽やかイケメンと一緒にいるお陰で、女子社員から注目を浴びるようになっていたので、組んで悪いことはない。
ま、変な能力を共有出来るし、組んでやってもいいか。
お久し振りの投稿で申し訳ないです。気付くと1か月以上経っていました…




