念写
俺は今日もベッドから5mm浮いたまま目が覚めた。
すぐさまベッドから降りる。昨日よりも、この変な能力にかなり慣れた。
歯磨きをしながら、何の気なしにスマホを操作した。
あれ?写真のフォルダに覚えのない写真がいっぱいあるぞ。
よく見ると、電車で欠伸した酒臭いオヤジの頭、藤田さんのスカート、課長の椅子、隣の席の松山のペン、課長の財布が写っていた。
これ、俺が使った超能力じゃねえか。
俺は邪な事を思いついてしまった。
満員電車で、女子高生の隣を陣取った。ヘンに痴漢に間違われるのも困りものなので、両手は吊革に掴まっておく。
スカートめくれろ。スカートめくれろ。
女子高生のスカートは自分が持っているスクールバッグで少しだけたくし上げられた。
電車から降りた俺は、すかさず自分の写真フォルダをチェックする。
女子高生の少しだけたくし上がったスカートと太ももが写っていた。
「よしっっ!!」
俺は思わずガッツポーズをした。周りの目が気になってすぐに平静を装ったが。
実験としては、犯罪級だが、俺はスマホを構えていない。別に犯罪は犯していない。この写真を見られたところで、下着が写ってる訳でもないからギリセーフだろう。
早速、会社で藤田さんに試してみよう。
藤田さんは今日も可愛い。なんとか、俺の彼女になってくれないかな。告ってみたところで断られるのが関の山だろう。そしてその後、同じ部署で仕事がしにくくなるだけだ。
なんて考えてたら、当たって砕けられない。こうして、念写で盗撮していた方が平和というものだ。
あ、藤田さんがこっちを向いてにっこり微笑んだ。俺にか?俺にだよな。
微笑む藤田さんに微笑み返した。と、後ろから「おはよう」と声がした。
振り返ると、千葉が藤田さんに微笑みながら挨拶をしていた。
お前にかよ。
「五十嵐君もおはよう。」
朝から、クッソ爽やかでやがる。
「お…おはよう…」
俺の前を通り過ぎる千葉がやっぱり浮いている。しかも俺よりちょっと浮き方が大きい。1cm位だろうか。千葉の足元に釘付けになっていると、
「五十嵐君もだよね。どこまで出来るようになった?」
と聞かれ、俺は驚いて目が泳いでしまった。
千葉は俺の答えも聞かずに笑いながら行ってしまった。
気を取り直して、藤田さんのスカートをめくることに全力を注いだ。
藤田さんのスカート、出来るだけ上までめくれろ。めくれろ。めくれろ。
と、廊下に出てきたクソ課長が、寄りにもよって俺の可愛い藤田さんのおヒップをなでやがった。クソ課長の手でスカートがめくれた。5cm位めくれた。俺は嬉しかった。けど、クソ課長の野郎、これは完全なセクハラだぞ。
「課長、やめてください。」
藤田さんは泣きそうな顔で課長にそう言っている。
俺は、こらえきれず課長に近づいて行った。
「課長、それはセクハラですよ。やめてください!」
そう、キッパリと言ったのは千葉だった。さすがのクソ課長もバツが悪そうに執務室に戻って行った。
「千葉さん、助けて頂いてありがとうごいます。今度、お礼させてください。」
と藤田さんが頬を赤らめながら言っている。
くっそぅ。本当だったら、あれは俺のセリフだったのに、千葉に先越された。今、藤田さんと向かい合ってるのは俺のはずだったのに。
俺は自席についてスマホの写真フォルダを確認した。
よしっ!藤田さんの太ももだ。写ってる。とりあえず、怒りをそれで抑える事しか出来なかった。
次回の更新は未定です。すいません。




