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初めてのリタイア、三度目のリスタート  作者: 好きjaね
第2章 風神が起こす厄災
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加速



カケルの異能『時の王子』は文字通り時間を操る。そしてカケル自身がこの異能の解釈を拡げており自身に能力を使用するか、相手もしくは物体に使用することが可能になっている。いつも使用している高速移動はほとんど自身に能力を適応し、時間軸を世界の10倍の速さに変えている。移動や攻撃などではそれぞれ初速や打撃のインパクトの瞬間異能を発動することで、運動方程式の加速度[α]を大幅に上昇させて力を増大させている。このおかげでカケルには常人の10倍の移動速度、パワーを手にしている。


だが今目の前にいる相手、風間にはその速度では対応されてしまう。先ほどの風針はそれほどの速さを持っていた。


だが、解決策ならある。



もっと異能を酷使すればいい(速くなればいい)



ー風針ー


先ほどと比べるとわぁりやすく威力、速度ともに上昇しこちらへと向かってきている。風間自身もこの攻撃でオレを仕留めたいはずだ。先ほどとは比べ物にならないほどの量の針が此方へと向かうが無駄だ。


今のオレを本気で止められるのはこの島にオレだけしかいない。


「...な!!」


風間は彼を、時崎カケルを見ていた。視覚的にも、異能的にもだ。風間は風を操りその応用で攻撃をしているが彼の最大の長所はその風を利用した索敵能力だ。彼は無意識下で半径50メートルの地形を把握できる。無論、その範囲内に入った生物、個体に液体、気流の変化まですべてを把握できる。先ほど発射したはずの『風針』もその索敵による位置情報を利用していた。だからこそ今目の前で起こっている状況を理解できないでいた。



視覚的にも異能的にも捉えていた時崎カケルの姿を見失ってしまったことに___________



「おいおいおいおいおいおいおい、逃げたっていうサプライズはいらねぇんだが!!」


5年間。風間がカケルを殺すために訓練、準備をした時間だ。全てはあの時始まった。そんな復讐相手がこんな形で幕切れさんなんてあり得ない。そんな性格だったのなら第一あんな事件は起こっていないのだから。


 風間はいつも無意識で行っている索敵を意識的に行うことで範囲、精度を格段に上昇させる。その時初めて気づいた。彼が逃げていないことに。

そして.....



逃げるわけないだろう____


、かすかに聞こえた気がしたその声で違和感は確信へと変わる。彼のスピードが先ほどとは比べ物にならない程の速度に達していることかすかに聞こえた子も知れない態でも見失ってしまいそうだ。その彼が攻撃を避けながら接近する。そして放たれた拳をかろうじて避ける。発生した風圧は自身の異能で抑えつつ、その後方への推進力で距離を取る。


「正直敗北濃厚だな。()()()を見れば納得っちゃ納得だが....」


 その言葉はカケルには聞こえていなかった。いや聞こえていたが彼にとっては100倍の長さで放たれたその言葉をいちいち意識しておらず、記憶の片隅に保存しているだけだった。


だが風間の次策はカケルの第二手よりも早く出来上がった。その刃はいわば半月のような形状をしており自身の視界を中心に180度範囲の物体にダメージを与える。


風月(メッザルーナ)


 その斬撃が対象者である時崎カケルに当たったかどうかを確認する前に風間は数歩後ろに下がろうとする。本来、この(メッザルーナ)はいくつもの風の刃を重ねて放つ技だ。急増で用意したたった一つの刃ではうつぶせに伏せるか全力でジャンプすれば当たることはない。当たらなかったとしたら、ジャンプか伏せるかのアクションしか時間を稼げないため距離を取ろうとしている。自分の中にある正か負のの感情を整理するために。


     それは、違和感。


何かが引っ掛かった。彼との駆け引きを思い出し一挙一動に注目し直す。そのどこかに引っかかった。今の行動が俺のミスと言わんばかりの何かが。


「どこ行くんだよ?」


 気が付くと後退したはずの自身の後ろに全く無傷の標的がいた。この状況下で息すら上がっていないし、傷も全くない。


「バケモンが。いったいどうやって」


手首を握られ逃げられない中、時間を稼ぐ意味ではこれしかなかった。前方にあったはずの風月をどうしたのかというのは疑問だが、それがおそらく違和感の正体だろう。


「お前の攻撃で一番手を焼いたのは風針の隠密性、そして速度だ。あの速度は普段俺が扱っている異能の速度よりも上だった。避けていたのは勘としか言えないが今は違う。今の俺にはあのスピードに対応することも可能だし先ほどの範囲攻撃も容易く破壊できた。あの時お前がまだ風針を使用していれば勝負はまだわからなかった。初手の技を通用するかわからないのに使用したことがお前の敗因だ」


「まてまてまて、破壊?あの攻撃(メッザルーナ)は一本だがあれだけでも最大威力は1メートルのコンクリを真っ二つにするほどだ。それを破壊なんて出来るわけ....」



風間はその先の言葉を失った。



なぜならこの男にはそれが可能だからだ。違和感の正体。それはこの男の攻撃だ。先ほどの攻撃をギリギリ躱わした時、俺は異能で風圧を抑えた。風を操る風間(自分自身)が何の風圧を抑えたのか。ここまで来れば答えは簡単だ。


 この男(時崎カケル)はいま自身の攻撃で風圧を起こすことが可能だ。それも風の塊を簡単にぶっ壊せるほど。


化け物(チート)が...」


「言っとけ。終わり(詰み)だ」


そして風間の腹に重い一撃が入る。掴まれていた手首はいつの間にか離されており気づけば体ははるか後方のコンクリートに直撃していた。


「お前が俺にどんな恨みがあるのか、お前が何者かもを俺はあまり知らないが、倒そうとかかってくるのならいつでも相手になって見せる」


 カケルの言葉は風間に届いたかどうか分からない。だが、彼は今の言葉に違和感を持った。


 お前が何者かを俺はあまり知らない_______________


会うのは初めてだったはずだ。それなのにあまり知らないと思った。



   違和感。



この違和感は無視していいものなのだろうか、カケルには即決できなかった。



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