合コン開始と終了
更新遅くてごめんなさい。
大学の授業やバイトで精一杯の日々でございます。
2週間ほどすればある程度は落ち着く予定なのでそこからまた頑張っていきます。
「「ということでかんぱ〜〜〜い!!!」」
「「「「かんぱ〜〜い!!」」」」
午後5時ちょうど、芽衣の大きな声で始まった合コンという名のお食事会。6人席で男女で左右に3人ずつ座っている。芽衣と共に盛り上げてくれるのが狩野裕太という男子だ。真ん中に座っている男子が芽衣の彼氏である風間凛くん、そして反対側の端、つまり私の目の前に座っているのが瀬川玲央という人らしい。全員、私達女子より一つ年上でβクラスに所属している。
「今日は俺たち男子が金出すから好きな物たくさん頼んでね!」
「ええ〜!ホントにいいの〜?」
「もちろんもちろん!!ささ、好きなの頼んでね。早瀬さんも雪宮さんも!」
「あ、ありがとうございます」
ハイテンションである狩野くんが少し怖いのだろうか、同級生である雪宮さんこと雪宮玲は中心から少しずれて私にくっついてきた。小柄で口数が少なく不意にこのような態度を見せる私の可愛い友達だ。芽衣ももちろん可愛いよ?お転婆だけどね......
「早瀬さん、今日は芽衣の無理なお願いを聞いてくれてありがとう。芽衣のことだから断りづらかっただろうけど....」
「何言ってんのよ凛ったら〜。そんな強引に連れてきませんよ!ねぇ、ひな?」
「あはは、そんなことないですよ風間さん。あまりこう言った場所には来たことはなくても興味はあったのでちょうどよかったです」
「そう言ってくれてよかったです。裕太の言う通り今日は僕たちが出しますので遠慮しないでくださいね」
そう言ったのは芽衣の恋人である風間凛。180を上回るだろうその上背に緩やかな風を連想するような薄いオリーブ色の髪、私も羨ましくなるほどの小さな顔、整った目鼻はアイドルと並べても遜色のないルックスだ。
「凛、それ食べたい。とってー」
「いいよ。はい。こっちに唐揚げがあるけど食べる?」
「食べるー!」
芽衣と風間くんのそのやりとりはカップルの理想系とも思えた。流石にこの距離で閲覧するとあんな事をやってみたいと言う気持ちに駆られる。
だがそれは今、この人達とではない。
いつか、彼と__________________________
そう思ったけど、少しばかり心がチクッとした。この場にいるみんなには5年前からの記憶がない。もしかしたら本島にいた時に恋人がいたかもしれないのに今現在恋愛をしようとしている。それは人として変わってしまったのではないだろうか。5年前に当たり前のようにあった彼らの人格は消えてしまったのだろうか。
(せめて記憶を戻すあの飲み薬がいっぱい手に入ればなぁ......あれ?)
そういえばあの薬って誰がどうやって作っているのだろうか。もし私に何かできることがあれば今度こそ手伝えるように獅装先生にお願いしてみよう。
「あ、来た来た。とりあえずポテト3人前頼んだから各々食べてねー」
そう言われて回された皿を瀬川くんと私の間に置く。先ほどから口元を黒マスクで覆っており長い前髪で片目が隠されているため表情がよく読めない。それにさっきからずっとスマホをいじっている。
ピーピピーピピーピピーピーピピピピーピピー
さっきからスマホの音量が漏れたり漏れなかったり、一体何をしているのだろうか.....
_____________________________________________________________
合コンの始まりからはや2時間が経ってハイテンションだった2人も落ち着き、玲も緊張が解けたのか意気揚々とした雑談が始まった。少し外の空気を吸いたくなった私は部屋から出てテラスへと向かった。
初めての合コンであるものもあったし楽しかった。みんなで雑談してゲームをするその雰囲気が気に入った、だけど二回目はもういいかなぁ....。第一私には昔から意中の相手がいるのだ。そのような人間がこんな場所に来てはいけないだろう。
「今日は楽しんでくれたかい?」
考え事をしている時後ろから風間さんに声をかけられる。彼も休憩しに来たのだろうか?
「はい。貴重な経験ありがとうございました」
「いえいえ、その言い方だと今回で最後になるみたいだね。こんな場所に来るのは嫌だったかな?」
「アハハ........大人数の集まりはちょっと苦手で........」
態度に出ていたのか図星を突かれてしまい居心地が悪くなる。それに彼は芽衣の恋人だ。この先も会うことがあるかもしれない。何とかして今日中にこの気まずい関係性を修復しときたい。
「あ。そういえば芽衣とはいつから付き合っているんですか?」
気まずい空気を一変させるために私はお互いが共通して話せる人物を挙げた。
「蜂羅はすごいやさしいよ。待ってほしいと言ったら待っててくれたしいつも僕に合わせてくれるから本当にありがたいよ」
「彼女、かわいいしほんとに優しいんですよ........。絶対に幸せになってもらいたいな」
「........幸せにか........」
風間さんの表情が曇る。
「どうかされましたか?」
「いや、なんでもないよ。彼女にとって一番いい幸せに必ず導くから」
先ほどの曇った顔は消えて何か結審した顔つきになる。今晩は芽衣にとって何か進展のある日になりそうだ。
「二人ともー。何話してるのー?」
そんな中芽衣がベランダにやってきた。スキップで風間さんの隣に立つ。いつもは私の腕に絡まってくると思うと少しばかり嫉妬した。
「........芽衣さん、少しお願いがあるんだ」
「「........え?」」
風間さんの発言は決して予想外のものではない。典型的な恋人同士のやり取りだろう。だが問題は部外者がいることだ。ふつうは二人だけの時にすることだろう。現に私は気まずいし、お転婆な性格の芽衣すら顔を赤くしてチラチラと焦点が定まっていなかった。私はすぐさま異能で去るか迷い、芽衣とのアイコンタクトでここから去ることを決心した。
「待って早瀬さん!!!」
「「ええええええええ!!!!」」
これも予想外。まさか止められるとは。それに私が瞬間移動しようという考えも読まれてしまった。
「よかったらここにいてくれないか?二人きりだとまた日和っちゃいそうで........」
そんなこと言われたらもうさることもできなかった。二人から少しだけ離れてこれから起こるすべての出来事を見る覚悟を決めた。風間さんが芽衣のほうを向く。芽衣も恥ずかしさから体をくねくねしているが風間さんを見上げた。
いったい何をプレゼントするのだろうか。イヤリング?ネックレス?いや、こんな大胆だと指輪かもしれない。男性からプレゼントをもらったことがない私からすると恋愛ドラマのワンシーンを見るかのようなドキドキ感があった。
だがそのドキドキ感を忘れるほどに私の中でふたつの疑問が浮かんだ。
なんで今日話したばかりの風間さんが私の異能を知っているのか?
その瞬間、芽衣の鳩尾に見えない何かが激突した。本当に何が当たったのだろうか?近くで見ていた私にわかったのはその何かは女子ではあるが人一人を軽く吹き飛ばすほどの強さだということ。勢いよく壁に当たった芽衣は意識意を保つことができずその場に倒れこむ。そんな中私は動かなかった。
いや、正確には動くことができなかった。彼、風間さんが私よりはるかに強いと本能で感じてしまったから。空気を飲み込むのも一苦労な空間の中でその首謀者は何とも思っていないのか、淡々と話をつづけた。
「とりあえずこの子は人質だからいうことを聞いてもらってもいいかな?」
その声は先ほどの涼しいくらい爽やかな声のまま私に話しかけた。私にはもう一つの道しかなかった。芽衣のためのも、私自身のためにも風間さんの指示に従うこと........
「要件は.....何ですか?」
「おっ、いうこと聞いてくれる感じね、ありがとう。さすがにこれ以上この子を傷つけるのはおれの少ない良心が傷ついちゃうからね~。なら、とりあえず場所を移そうか。君の異能ならついてこれるよね」
そういって彼は芽衣を抱え、空の上を身動きせず動き始める。最上君と似た異能なのだろ相可、頭によぎるが今はそんなことを考える時間ではない。不安な感情を冷や汗と共に流し出し冷静になる。建物の上を悠々と通り過ぎていく二人を私の青い光が静かについていった。




