真実の一端
皆さん楽しみの黄金の週間の終わりとともにこのお話の序章も示させてもらいます。朝の通勤、通学とともに呼んでくれると嬉しいです。
「ソーマさん、先生が学園近くの寿司屋に来てくれって。奢りみたいだよ?」
「え、マジ!行く行く!!でもこれを先に片付けなきゃなぁ」
少し離れた場所でチャットを受け取ったオレはこの無人のエリアにいるもう一人の知人の元へ行く。大きめの瓦礫に座り頭をかきながら資料をまとめる警備隊最年少幹部、炎城装真。一旦資料を机に置き前髪をヘアゴムで結ぶ。この形態をソーマさんの深夜形態と呼んでいたがわりと頻繁にこの状態になっている気がする。そんなソーマさんと今日いるのは、五年前の惨劇が残る名もないエリア。ここからあるツテを使って外部との連絡をしている。
「一応、今回のSクラスに推薦された6人だ。その1人に今日のお前が鉢合わせた関力也がいる」
「アイツもだったのか。でもあの実力なら納得です。神話型の異能にあれほどの技量があれば間違いなくSクラスでも、この先の戦いでも通用しますね」
今回調査していたのは今朝俺と接触した関だ。結果はシロ。先ほど通信機でこの結果が送られてきた。調査一人目としては上々の結果となった。あと五人も彼と同じ色であれば万々歳なのだが......
「そういえばユダの可能性ってどれくらいなんですか?ワンチャンいないって可能性も...」
裏切り者がいるかもという仮説でここまで深く捜査しないといけないとは少し想定外だった。しかし彼女の言葉なら間違い無いだろう。案の定、オレの予想は当たった。
「この中にいるかどうかはわからないがこの島にいることは100で確定だ。詳しく言うなら一人以上五人以下らしい。」
つまり明日からの調査は全員クロの可能性があるらしい。最悪それでも今の戦力でも通用するだろう。問題はそれ以外だ。
その問題とは打って変わって学校での出来事を話すことにした。
「そういえばソーマさん、ヒナにオレの能力言いましたね?しかも適幹部の一人を
思い出したことをそのままソーマさんに話す。
「あれ?何でバレたの?話した?」
「話したも何も今日彼女に言われましたよ。どうやったらそんな器用に能力を使えるのかとか、今度コツを教えてほしいとか....そんなこと言われても教えることはできませんし.....」
「そうなの?勝手に話したことは申し訳ないけど教えるくらいならいいんじゃない?君といるということはこの世の起源からの出来事を多動ということなのだから........」
彼はこの世界の原初を知ってしまった。五年前、オレと一緒にいたからだ。あいつと出会っていしまったからだ。そして人が良すぎる先輩は俺に助力した。細胞一つでも判断を違えば命を落とすだろう道をついてくると言ってくれた。その世界にヒナや大気、白川先生を巻き込むことはできない。彼らは.....彼らも人が良すぎるから、手を貸してくれるだろう。だからこそそんな人柄のよいみんなが死んでしまうのは嫌だ。
「.....そういえばソーマ先輩ってなんでオレに協力っていうか....Sクラスに協力してくれるんですか?あなたは初めからこの島にいた瞳間じゃないですか」
その問いに先輩は資料を読むために動かしていた眼をとめた。その質問が彼にとってどのように予想外だったのかはわからなかった。彼は五年前の襲撃で連れてこられた被誘者だ。ヒナや関も含め、旧Sクラス関係者以外の者達を表す言葉だ。連れてこられたほとんどの者達が記憶改変の異能による副作用で昏睡する中、先輩は目覚め戦いに参戦した。我々を味方して敵幹部の一人を覚えたての異能力で戦闘不能に追い込んだ。(例の怪しい薬で記憶が戻る前は、改変された記憶では数年以上の異能使用経験があったとされる)
「俺が味方した理由?まぁ一目見たときに正義でどっちが悪かもわかっちゃったし、奴の計画を止めないと五年前とは比べないほど....いや比べるまでもないほどの犠牲者が出てしまう。それにあいつは生まれ移って準備をしてんだろ?」
そうだ。本当の敵は、目的への準備のために既にこの世界から堕ちて準備しているだろう。下に堕ちるのは容易い。準備の時間を考慮すれば元に昇るまでは特に大きなデメリットではない。最も準備しているのは五年前この島で調達した彼のほうだろうが。そして準備が、この中層に戻ってくるのは堕ちてから6年から7年だろう。これは過去に基づく正確な情報だ。大方、来年から再来年だとされる。それまでに本土の敵を駆逐し戦場を確保しなければならない。これが五年前から計画しているオレとソーマ先輩の計画の一端だ。
「だから手を貸すってのが理由かな?二番目のね........」
「え?二番目の?」
だからこそ子らから起こる事態を未然に防ぐのが一番.....だと思ったのだがどうやら違うようだ。ソーマ先輩の瞳は五年前かそれ以上前の出来事を振り返るかのようにハイライトを鎮める。何かに懺悔するかのような後悔の眼。人には聞かれたくないこと一つや二つあるらしい。
「...いつかは言うかもしれないけど今は言いたくないな~。記憶をもとに戻してもらってもここに縮まっているには過去の現実に向き合いたくないだけ...。大事なものを守れなかった自分から逃げられる好都合な場所でもあったからね」
「そうなんですね........」
そういって先輩は通信機に意識を戻す。人のプライバシーに踏み込んだことを反省しながらもふと思った。みんなの動機は何なんだろうと.....。ソーマ先輩にはあった。言いたくないといわれたけど。ヒナにはこの世界のどこかにいる母親を見つけるため。そのように大気や白川先生、その他Sクラスの関係者はそれ相応の理由がある。俺にもそんな理由があればもっと頑張れるのだろうか。
いや、ある。
あったんだ。昔からずっと目を背けていた。
その理由を全身に受け止めることができたとき
オレはもう一度この世界を救うことを、リスタートすることができるのだろうか。
空一面に移るまるで絵画のような空に向かって自分自身に聞いてみる。その意識を元に戻したのは先輩の一言だった。
「よ~し、今日はもうおしまい。通信機でも残りはまだ調査中だと。今、斎川美咲について調べ始めたらしい」
関力也の調査のお次はその女性らしい。コミュ障のオレでも聞いたことのある名前だ。なんでもこの島で最も美人だとかなんだとか........
だが裏切り者なら話は別だ。どんなに評判が良くても弱点をさらす必要はない。しかるべき処罰を下そうと思う。その敵にも譲れないような動機があったとしても........
オレの道を邪魔するのならば.....絶対に........
これから調査する五人に、本土にいるであろう敵、堕ちて準備をしている敵に、そしてこの地面とは別の場所で悠々と過ごす同族に........
オレは心の中で静かに宣戦布告をした。
物語は加速する........
人の垣根を超えた速度で____________




