Sクラスの現状
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関との勝負はαクラスの一限目が終わると同時に終了し、私たち人は1時間遅れでSクラスの教室へと到着した。翠先生から話は聞いていたのか獅装先生が貧乏ゆすりをしながら待っていた。
「お前達、なんでこんな事態に陥ったんだ?しっかりと説明できるんだろうな」
顔は笑顔だが顔の端にはいくつもの血管が見える。相当怒ったいるはずだ。私は誠心誠意謝る準備をしたがその前にカケル君が獅装先生の前に歩いたので動作を中止し様子を伺う。
「ならSクラスの時間割を変えたらどうですか?自由だからやったまでですが」
案の定ではあるが獅装先生に怒られた。まぁカケルくんが抜け穴だと主張を続けると先生も諦めたのか眉間にしわを寄せながら教壇に戻る。
「全くなんでそんな抜け穴的なのを思いつくんだ?」
そういって生徒全員を見渡せる教壇に座る。見た目よりもあまり怒っていないのかな?相変わらずこの教室には生徒が3人。私たちと最上君だ。
「ねぇカケル、なんでそんな面白いことに誘ってくれなかったの?なんか仲間はずれみたい」
「まぁ理由があるのならお前がいたらいろんな人と仲良くなるからオレの居心地がさらに悪くなる。それによぶ暇はなかったんだ」
訴えてくる最上くんに軽く謝りを入れてカケル君は時計を見て教室を後にする。
「どこに行くの?」
「ああ、今日これからそう..炎城さんと少し予定があるんだ。じゃあヒナ、また明日な」
「あ........うん.....」
彼のプライベートは気になるが急いでそうなので身をひいて教室を後にする彼を見送る。
「ねぇ先生、もしかしてカケルの用事ってユダについて?」
「あっ、バカ」
「ユダ……裏切り者ですか?一体なんの?」
私の質問に冷や汗をかく先生、いつも笑顔の最上君も今の口滑りに責任を感じてるそうだ。もしかして、聞いちゃいけないことだったかな?
「はぁ、まぁいいか。早瀬もSクラスだの一員だ。隠し事はしない方向で行こう」
反省の色を見せる最上君を一瞥した後、獅装先生は私の方を見た。
「この学園でのSクラスの競争率は知ってるだろう?全校生徒600名以上の中でSクラスは現時点でたったの4人。倍率で見たら150っていうえげつない数字だ」
「はい」
「だったのだがここ最近、いや早瀬、お前がSクラスに来てから通常クラスの教師の推薦が多くなった。このSクラスへの推薦がな。先の関もその一人だ」
下位3クラスから推薦者が通った。ほかに優秀な人材がいるのなら先生方はこの機を逃すなとどんどん推薦を送るだろう。
「でもそれって何かおかしいんですか?優秀な生徒を推薦するのは当然のような........」
「ここは、このクラスはかつてクーデターを起こした集団で構成されている。そんな中にホイホイと新しいクラスメイトを招くということは正直とても危険なんだ。もしその生徒が本国の敵によって送られてきたスパイだったら?私たちだってあの日、どれだけの人が死んだのか把握していない。もしその人々の中に敵が潜んでいて今の今まで息を潜めてこの島に潜伏していたら」
「……島の現状が向こうには丸わかりってことですか?」
「もちろん最悪のケースだ。この5年ではそのような類の人間はいなかった。しかしもしこのSクラスにまで侵入されてSクラスの少数精鋭を相手に知られたら、相手は全ての兵力でわたしたちを潰しにかかるだろう。そうなれば今度こそ終わりだ」
「私たちは兵器化され、全てが敵の思惑通りになる....」
「今現在推薦されているのは関力也含めて6名。その経歴調査が終わるまでは極力かかわってほしくなかったんだ。早瀬を含む七人を調査していたが見ての通り現在調査を終わらせSクラスに合流したのは早瀬のみだ。」
それで今カケルくんが警備隊で情報通である炎城さんと共同で調査しているのだろう。推薦された生徒と教師がユダかどうか。確かに今の話を聞いたらことがそれほど良くないのは分かった。だけど...
「疑問が二つあります。まず一つ目です。私がこのSクラスに入った理由はなんですか?私をここに入れなければ先生方も黙っていたはずです。それに私が一体誰に推薦されたのかが知りたいです」
「それはこの学園の学長殿だ。こちらの事情も把握しているから断るわけにもいかなかった。もちろん早瀬自身の経歴や過去を洗いざらい調べてから真実を話している。」
そういえば、カケル君を探そうとして先生に引き留められた時、先生は私のことを『白だった』って言っていたっけ?あの時頑張って調べたのだろう。
「なるほど。なら二つ目、もしこの状況がバレて私たちが敵と戦うことになっても勝算はないんですか?正直カケル君も炎城さんも強いし、そこまでの敵が来るなんて思えなくて....」
「そうだな。もちろん取り逃した幹部10人のうち何人かは私たちの力でも倒せる人間だ。だが向こうにも手の内がわからないいわゆるジョーカーがいるんだ」
「誰ですかそのジョーカーは?」
先生は止まった。この戦いに私を巻き込むことを躊躇しているのだろう。だが私はもう迷わない。彼の罪を半分背負った時点で何がきても動じることはない。その覚悟が届いたのか先生は思い方を開けて話し出した。
「1人はこのSクラスの裏切り者だ」
「それって前に話したクラスメイトを殺して敵の思想についていったって言う」
「そうだ。奴は危険だ。この島の主人だった人間をまるで神のように讃えている。そしてもう1人のジョーカーがその主だ。この男の能力は私が見てきた中で最も強く、強大な力だ。正直、私達が束になっても叶わないかもしれない」
覚悟はしていたが身震いが止まらない。身近にこんな優秀な原石がいる中で最強と呼ばれる異能があるなんて想像がつかなかった。
「もう巻き込んでしまったまでいうのもなんだが、困った時は私たちが必ず助ける。お前達は絶対に死なせない」
「先生...」
「私たち教師が死んでも、お前たちが生きていれば私たちの願いも途絶えることはないだろう?」
私の気持ちを察して笑顔で話してくれる。こんな教師の鏡と言える人はいないだろう。
「死なせません」
「え?」
その言葉は考えよりも先に魂から発せられていた。
「死なせません。先生も、最上君も、カケル君も、誰一人死なせません。そのために私はここにいる」
その言葉を聞いた先生は安心したのか私の頭を撫でる。その笑顔はまるで母が子を撫でるようだった。
「よし、今日の昼は好きなものを奢ってやる。遠慮すんなよ?何が食べたい?」
「えっ?えーっと、卵料理?」
「寿司!!!!!!!」
「よしじゃあ今日は寿司だ。遠慮すんなよ?最上、時崎に位置情報送ってやれ、終わったら来れるように」
「了解です」
私の意見は?!!心の底でそう叫びながら私はお寿司を堪能したのだった。




