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これは政略結婚ではありません!

作者: 中縹

初めまして。

思い付きで書いたものですので、足りない部分が多々あると思いますがあたたかい目で見ていただけると幸いです。


間違えて短編形式で投稿してしまったので、続きが完成次第追加していくことにしました。


R4.12.28現在、上中下のうち、下まで追加しました。(☆マークがついております)

七歳になる誕生日。その日行われた親しい人たちだけの小さなパーティで僕は運命の出逢いをした。


―――――


「アイリス!ごめん、待たせちゃって……」

「いえ、お気になさらず。私も今来たところですわ」


控えめに口角が上がったかと思えばすぐに真横へと戻ってしまい、挙句の果てにはその可愛らしい口が扇で隠されてしまう。それでも浮かべられた一瞬の笑みに自身の顔が緩むのが分かった。待ち合わせの定型句を交わしながら走ったことによって乱れた息を整える。せっかくのデートだというのに遅刻の上見た目がボロボロでは全く格好がつかない。恨むぞ父上。


「本当にごめん……父の話が長くて……大丈夫だった?変な男に声かけられなかった?護衛は控えてたみたいだけど……」

「……私なんかに声をかけてくださるのはルパート様だけですよ」


そういって視線を落とすアイリスを今すぐ腕の中に閉じ込めたくなるのを我慢しながら代わりにその手を取る。触れあった瞬間身を硬くした彼女を安心させるように微笑んだ。


「僕が迷子にならないように繋ぎとめておいてね。アイリスも知ってるでしょ、僕の方向音痴っぷり」

「……でも」

「……大丈夫、人も多いしここには学園の人たちも滅多に来ない……どうしても気になるならいつもの帽子かぶろうか?」

「……お願いします」


か細い声で伝えられた懇願にも似たお願いに内心がっくりと肩を落とす。いつもの帽子とはつばの広い深めのもので身長差もあり、隣に並ぶとアイリスの麗しい顔が全くと言っていいほど見えなくなるのだ。控えていた侍女が彼女に帽子を渡すとようやく落ち着いたのか先程より僅かに明るい声でお待たせしました、と告げられた。再びその手を取ると意気揚々と一歩を踏み出す。今日はアイリスの好きそうなケーキを売っているカフェに行く予定なのだ。


「じゃあ改めて行こうか!」

「……あの、ルパート様……方向が逆ですわ」

「……うん、行こう!」


しっかりと方向転換をしてなるべくゆっくりと歩みを進める。護衛と侍女には視線だけで下がるように伝えて久しぶりの二人の時間を楽しむことにした。


―――――


侯爵家嫡男、ルパート・ユーバンク・ロイド。歳は十七で四学年制の国立学校の第二学年に在籍している。家族構成は父、母、弟、妹の五人。貴族にしては珍しい恋愛結婚した両親は今も変わらず仲が良く、それを常識として育った僕は同学年の学友が出来るまでその光景が少数派だということに気づかなかった。いつか僕にもそういう相手が、とぼんやりと思ってはいたものの貴族という立場上それが非常に難しいことであることも同時に理解した。


そんな時に出逢ったのだ。七歳の僕の誕生日パーティに招待されていた伯爵家の次女。僕より一つ年下のアイリス・オブ・ターナーに。


一目ぼれというやつだろう。歳の離れた姉の後ろをちょこちょことついて回る姿が可愛らしく、ターナー家の特徴なのかピンクブラウンの髪がふわふわと揺れていた。その姿から目が離せなくなり、トクトクと心臓が早鐘を打って体温が上がっていくのが分かった。


近くにいた母に興奮気味に彼女のことを聞けば何かを察した母によりすぐに紹介の場が設けられ、そして自己紹介が終わると同時に僕はアイリスに告白をしていた。父と母はにこにこしながらその様子を見守り、ターナー夫妻は開いた口が塞がらないようだった。ただただアイリスだけが何が起きたか理解できてないように首を傾げており、彼女のご両親が慌てて起こった出来事を分かりやすく説明すると近づいてきたアイリスがその小さな手でぎゅっと俺の手を握り、ペリドットのような丸くて大きな瞳が弧を描いた。


『わたしをおひめさまにしてくれるの?』

『よろこんで!!!!!』


―――――


「……ルパート様?」

「ん?どうしたのアイリス」

「いえ、何だか機嫌がよろしいので」

「アイリスに久々に会えたのに機嫌が上がらないわけないよね!!一週間ぶりだよ!一週間!!もうホントにテストとか滅べばいい……」


ほぼアイリスに手を引かれながら無事に辿り着いたそのカフェで目の前に座り美味しそうにケーキを食べている婚約者の姿を見ながら緩みまくった顔を頬杖で支える。


一週間前に始まったテストは国立学校だけに中々にレベルが高い。しっかりとした管理体制がとられており、貴族だろうが平民だろうが皆が等しく篩にかけられ問答無用で落とされていくのだ。おまけに試験期間中は他学年との接触が出来なくなり、その期間だけ全員に寮の部屋が貸し与えられるという徹底ぶりである。そのろくでもない規律のせいで学年が違うアイリスとは一週間会うことが出来なかったのだ。


「……」

「……アイリス?」

「……前回も同じことをおっしゃっていましたよ」

「それだけ寂しかったってことだよ」

「……」


自然に上がる口角を隠しもせずに彼女を見つめる。アイリスはそれを受け止めることもせず居心地悪そうに視線を外して一口ケーキを運んだ。


いつからかアイリスは表に感情を出さなくなった。貴族社会において感情をコントロールすることは必須である。最初はその練習なのかなと思っていた。だから僕の前ではそんなことしなくてもいいと伝えたのだけれど曖昧にはぐらかされてしまい結局そのまま完璧な仮面をアイリスは手に入れてしまった。


会う度によそよそしい態度をとられ続け、もしやアイリスの気持ちが離れたのでは、と涙を堪えながらに母に相談したこともあったがターナー家からもアイリスからも婚約はそのままで、という返事をもらっている。僕が何かしてしまったのかそれとなく何回か聞いたけれど、違いますの一言だけで、それ以上は踏み込むことが出来なかった。


けれども最近はデートの時に姿さえも隠すようになってしまい消えていた不安が徐々に膨れ上がってきている。婚約は続いているものの、アイリスの本心がどこにあるかが分からない。うちの方が家格が上だから断ることが出来ないでいるのかもしれない。僕の本心としてはどんな権力を使ってでもアイリスとの関係を繋ぎ止めて置きたいと思っている。しかしそこに向けられている気持ちが希望のない一方通行であるなら、それは僕が望むものではない。誰にも渡したくないと思う反面、世界で誰よりも幸せになって欲しいとも思っているから。


(昔は好きって言ってくれたのにな……)


最後にアイリスの気持ちを聞いたのはいつだっただろうか。


「……ねぇ、アイリス」

「はい」


(僕のこと嫌いになった?)


そう言おうとして口を開くがすぐにその口を閉じる。ここで是と言われたらどうしたらいいのだろうか。そんなことになったらもう僕は立ち直れない。父や母に何と言われようが弟のエドに全てを譲り部屋にでも引きこもるだろう。考えただけでも泣けてきそうだ。


「……ううん、何でもない」


結局は誤魔化すように曖昧な言葉を続けた僕を不思議そうに首を傾げて見上げるのを可愛いなと思いつつ、消えない不安は膨れ上がるばかりだった。


―――――


「はぁ」

「……」

「ふぅ……」

「……」

「……はぁ」

「っあー!もう!辛気臭いな!!何?言いたいことあるなら言えよ?!」


次の日の昼休み。アイリスは用事があるらしく僕は仕方がなく友人のアーサーと屋上で昼食をとっていた。代々騎士として名を連ねる家系のアーサーはさっぱりとした付き合いが出来る貴重な友人でこうやって唐突に誘っても嫌な顔せず付き合ってくれる。今は露骨に嫌な顔をしているが。


「アーサーさぁ……君も確か婚約者がいたよな」

「お、おう……」

「……ごめん、聞く相手を間違えた。この前初めてデートしたばかりのおこちゃまに聞くものではなかったな」

「はぁ!?なんでお前がそれを知って……!!!」


デートしたことを話しただけで顔を真っ赤にするアーサーに相談相手になってもらうのも酷な話だ。けれども誰かに話すことで楽になりたいという気持ちがあるのも確かで、結局僕はその誘惑に負けてしまった。


「例えば……例えば、君の婚約者がある日突然態度を変えたらどう思う?」

「態度?」

「昨日までは好きだと頬を染めて可愛らしく囁いてきたのがいきなり自分のことを避けるように一歩身を引いた態度をとり、デートには応じるもその最中やたらと周りの視線を気にしたり、けれども婚約は解消されないままで」

「……なんか随分具体的じゃ……え、何、お前アイリス嬢についに愛想つかされたの?」

「ついにってなんだ!!!」

「だってなぁ……お前の愛が重すぎるだろ、どう考えても……最早重荷にしかならん」

「愛を伝えて何が悪い!?それでも最近はアイリスが嫌がるから人前ではしてないのに……そもそもお前みたいな淡白な考え方の貴族が多いからいつの時代も浮気だなんだの問題が出てくるんじゃないか」

「落ち着けって。政略結婚って言葉があるくらいだし、どこの家もお前みたいな感じじゃないってのは知ってるだろ?親の様子を見て子は育つんだ、勿論反面教師にしている奴も多いけどな」

「あぁもうそんな周りの話はどうでもいいよ!」

「お前が振った話だろうが!!」

「っていうか、え、まって、僕、アイリスに愛想つかされたの……?」

「ここにきてそこに戻るか!?ちゃんと聞いてたんだな、一応」


急激に血の気が引いていく感覚に思わず頭を抱える。アーサーは気まずそうに頬をかきながら一回整理しようぜ、と肩を叩いた。


「先ずお前がアイリス嬢に一目ぼれ、その日のうちに告白して次の週には婚約。そこからお前が学園に入るまではアイリス嬢もお前に好意を示していて、特に問題は無かったと」

「……」

「……なんだ?」

「いや、何で君僕たちのことそんなに詳しいんだい……?」

「ふっざけんなよてめぇ!!!お前が会う度に耳にタコが出来るくらい同じ話をするからだろうが!!こちとら友人のそういった事情に一ミリも興味ねぇわ!!!」


少し引いた態度を示せばふるふると拳を震わせながら立ち上がったアーサーが振りかぶるそぶりを見せる。慌ててその拳を受け止めて平謝りすればどうにか落ち着きを取り戻してくれたようだった。


「ただ単に君がちゃんと話を覚えていてくれたことに驚いただけさ」

「お前、俺が何千回同じ話を聞かされたと思ってやがる……まぁ、いい、後で何か奢ってくれ」

「勿論、好きなものを頼むといい」

「その言葉忘れんなよ……で、お前が学園に入った後の話だな」

「うーん……学園に入ってからは半日以上アイリスに会えない苦痛に耐えてた記憶しかないんだよね……授業終わったらすぐに帰ってターナー家に寄ってたし」

「……毎日?」

「やだなぁ、そこまでじゃないよ。二日に一回かな」

「それでも多いわ……そのときも変化は無かったんだな?」

「そうだね……あ、学園祭ぐらいかな、アイリスの様子がちょっとおかしかったの」

「学園祭?」

「招待してエスコートしたんだけど……あのぐらいの時期から元気が無くなっていったような……」

「アイリス嬢って一つ下だよな?受験の時期でナーバスになってたんじゃないか?」

「あんなに優秀なのに?」

「優秀だからこその不安とかあんだろ」

「……そっかぁ」


アイリスは頭がよかった。所謂努力型の天才で、自分のものにするまでの過程を惜しまない。勿論僕なりにサポートもしていたし、受験期は流石に空気を読んでターナー家への訪問回数も減らしていた。だから学園に受かったと報告してくれた時は本当に嬉しそうで、僕も心の底からお祝いをした。入学を楽しみに準備しているのを傍で見ていた。だから、もしそれが原因なら……。


「……でもおかしくない?受験の不安が理由なら今現在までそれが続いてるのおかしくない?」

「二回言うな鬱陶しい……推測で話してるんだから仕方ねぇだろ、他になかったのかよ、きっかけみたいなの」

「学園祭の後はさっきも言った通り受験期に入っちゃったし、でも合格したことを話してくれた時は今みたいな感じじゃなくて楽しそうにしてた」

「じゃあもうここ最近の話になってくるな。アイリス嬢が入学してからか?」

「……ほぼ毎日一緒にいるのに原因分からないの最低じゃない?」

「最低だな」

「……だよねぇ……」

「おい、本気で落ち込むな。アイリス嬢がお前に隠してることを知ろうとしてるんだ、それにお前だって歩み寄る努力はしたんだろ」

「全然取り合ってもらえなかったし誤魔化されたけどね……」

「あぁ、もうジメジメと!」

「あの……」


控えめな女性の声にピタリと僕たちの動きが止まる。声の方へ視線を向ければ金髪の生徒が一人立っていた。隠れているつもりかも知れないが建物の陰に二人、付き添いの生徒がいるのにも気づいた。その手には手紙らしきものがあり、僕と視線が合い恥ずかしそうに視線を落とす。この流れでこの後に続く言葉は。


「ロイド先輩、少しお時間いいですか……?」

「……いいよ」


ニコリと貼り付けた笑顔に隣のアーサーが、こわっと呟いたのが聞こえる。席を外すことを伝えアーサーから見えない陰にむかえば、案の定相手の気持ちを伝えられる。告白自体を否定する気はない。誰かを好きになってしまうその気持ちを止めることはかなりの勇気と努力がいることを身をもって知っている。そして、それを伝えるか伝えないかは自分次第だ。


「ごめんね、君も知ってると思うけど僕にはアイリスしかいないんだ。気持ち自体は嬉しいよ、でもその手紙は受け取れない」


一生懸命書いてくれたのにごめんね、ともう一度伝えれば相手の瞳にじわりと涙がにじむ。手元でくしゃりと皺がよった手紙は静かに彼女の胸へとしまわれた。


「……いえ、私の方こそごめんなさい……」


律儀に小さくお辞儀をすると小走りに去っていくその背を見ながら小さく溜め息をつく。何度経験しても嫌な感覚だ。


「……おい」

「あ、ごめんねアーサー……?」


振り返った先にいたアーサー、と見知らぬ女生徒。なにやら怯えている様子の彼女に首を傾げる。


「……どなた?」


僕の声に何故だか悲痛な顔をする彼女をアーサーは眉間に皺を寄せながら見て溜め息をついた。


「ルパート、さっきまでの話だが……どうやらお前に責任がありそうだぞ」

「え……?」


嫌な汗が垂れるのを感じ、僕は呆然と二人を見つめた。



「僕に……」


告げられたその言葉が頭の中で何度もこだまする。アイリスがああなってしまった原因が自分にあると言われ、谷底に突き落とされたような気分になった。固まってしまった僕を見て盛大な溜息を吐いたアーサーは隣の女生徒に声をかける。


「……今はもう昼休みも終わるし、放課後またここに来てもらいたい。言っておくが身元はすでに確認済みだ……逃げようとは思わないことだな」


青白い顔をした彼女が小さくうなずいたのを確認してアーサーは再び視線を僕へと戻した。


「お前はどうする?」

「……ここにいる」

「……わかった」


何も言わずにいてくれるあたり、やはりアーサーは良いやつだと思う。そのやり取りの後二人が去っていったことにも気づかないまま僕は暫くそこに立ち尽くしていた。


―――――


どのくらい時間が経ったのだろう。微かな物音が聞こえアーサー達が来たのかと静かに目を瞑る。しかし予想に反し聞こえてきたのは走り寄ってくる軽い足音と、僕が大好きな声だった。


「ルパート様……っ!」

「……アイリス……?」


なんで君がここにいるのか。罪悪感から僕は都合のいい幻覚でも見ているのだろうか。何をそんなに必死になっているのだろう。いつもの彼女らしからぬ感情がありありとのったその顔に何故だかひどく安堵する。抱き着かんばかりの勢いで駆け寄ってきたアイリスに手を伸ばそうとして途中でその動きを止める。はたして今の僕に彼女に触れる資格があるのか。ぎゅっと握りしめた拳を戻すと落ち着かせるように声をかける。


「どうし」

「ルパート様……!!どうかお願いいたします!私のことを捨てないでくださいませ……!」

「…………え?」


(なんだって?)


とてもアイリスの口から出たとは思えない台詞に無気力で放置していた感情と正常な頭が戻ってくる。今彼女は何と言ったんだ。僕の耳がおかしくなったのか。


「私はもう利用価値が無くなってしまいましたか……!?家の新しい事業も安定してきていますし、ルパート様に、侯爵家にとって絶対に利点があるはずです……!」

「え、まって」

「私の想いが迷惑ならばもっと感情をなくします……!ご迷惑は決してかけません!だからどうか私っ……わたしを……っ」

「待って!!アイリス!!落ち着いて!!」


目に涙を浮かべながら必死に言葉を紡ぐ彼女の肩を掴み今までアイリスの前では出したこともない大声を出す。ビクリとその身体を震わせた彼女は驚きのち絶望したようにその瞳から光が無くなっていった。


「あ……わたし……ごめ、ごめんなさい」

「違うよ、アイリス。違うんだ、君は何も謝るようなことはない。君も、僕も何かが嚙み合っていないんだ」


大声出してごめん、と指でその流れ落ちた雫を拭う。嫌がられたらどうしよう、と一抹の不安を抱えながら拭っていると反対側の手を動かそうとして服が引き攣る違和感に下を見る。見ればアイリスが僕の服の裾をしっかりと握りしめていた。昔から何か不安なことがあるとする癖のようなもので、久しぶりにみたその光景に愛しさが込み上げると同時にアイリスの気持ちが全く察せていなかったことに落胆する。一通り涙を拭うと裾を掴むその手を上から包み込んで手を繋いだ。


「アイリス、ゆっくりでいい。何があったか、君が何を思っていたのか、全部話して欲しい」

「……」

「大丈夫、何であっても僕はアイリスのことを否定しないよ」


僕を信じて、とその繋いだ手に力を籠めればゆっくりとその首を縦に振った。


手は繋いだままベンチへと並んで腰かけ、僕の太ももの上に手を乗せるとアイリスが話を切り出すのを待った。


「……最初はただの嫉妬でした」


暫くの沈黙の後、ぽつりとアイリスが呟く。僕は静かにそれに耳を傾け……え、嫉妬?嫉妬って言った今?


「去年、学園祭に招待された私は浮かれきっていました。ルパート様のエスコートで見た学園祭はとても楽しくて、来年私も一緒にこの空間を作り上げれるのだと思ったら受験勉強の辛さもどこかに吹き飛んでいきました」


(よかった……あの時は本当に楽しんでくれていたんだな……)


「……けれども、ルパート様が同学年の方と楽しそうに話す姿を見て……私が知らない表情をする貴方を見て、急に寂しさを感じたのです。年相応に笑うルパート様は私といる時よりも楽しそうで」


(いや、アイリスの前ではかっこつけたかったし、それに、え、あのクラスメイトに絡まれてうんざりしてたのがアイリスにはそう見えてたってこと?)


「それに、ルパート様……すごく人気があって……私という婚約者が隣に居るのに……次々と声かけられて……」


(アイリス……それ目の前で全部断わってたの見てたよね……?そしてちゃんとアイリスのこと紹介してたよね……?)


「受験して、合格して、これで堂々とルパート様の隣を歩けると、学園でも一緒に過ごせるのを楽しみに、していたんです……」


そこで握られた手に力が入る。もう片方の掌で包み込むように触れば、何故だか余計にアイリスの顔が俯く。そして小さな声で紡がれた言葉に僕は鈍器で頭を殴られたような衝撃を受けた。


「入学してすぐ……聞いたんです……私たちの婚約が……政略結婚だったって」

「は???????」


地の底から這い出たような低い声が勝手に口から漏れ出る。感情が何も乗らないその声にアイリスが震えたのを見て慌てて咳ばらいをし凍った表情を元に戻した。


「ごめん、あまりにも衝撃的な内容につい……あ、怒ってもないし呆れてもいないからね!そんなことアイリスに対して一度も思ったことないからね!」


続けて、とその先を促せば俯いたままのアイリスが先程よりもか細い声でその先を紡ぐ。どうしよう、最後まで黙って聞いていられる自信が無くなってきた。


「……ルパート様が伯爵家の鉱山を所有するために、私との婚約を結んだ、と。皆の前で仲睦まじい姿を演じているのは、私に婚約を破棄させられないためで……っ、先程も、貴方に想いを告げた方がいたと聞きました……私よりも、良い相手を探して、いるって……!」

「……」

「……私はっ……見た目もそんなに良くありませんし、全てにおいてルパート様と釣り合っていないのは、重々承知しております……っ、でも、でも……好きなんです、ルパート様じゃないと嫌なんです……!!例え私に向けられている好意が偽物でも、それでも……っ!」

「アイリス」


それ以上はもう聞いていられなくて、しっかりと彼女を抱きしめた。不甲斐ない自分が憎らしく胸が痛い。でもそれ以上にアイリスは傷ついている。悲しんでいる。胸が張り裂けそうな悲痛な叫びに僕は今になってようやく気付いた。


「アイリス、僕が今から言うことを信じてくれる?」

「……私はどんなことでも受け止めます」

「ダメだよ、アイリス。そうじゃない。君がちゃんと聞いて、受け止めて、僕という一人の男のことをその目でちゃんと見て欲しい」


噂に囚われているアイリスにしっかりと現実を見て欲しくて抱いた腕に力を籠める。腕の中で頷いたのを確認して、漸く僕は今までの話を聞いて溜まりに溜まった言いたいことを言うために口を開いた。


「先ずなんだっけ、政略結婚?誰がそんなこと言ったのか知らないけどこれはれっきとした恋愛結婚だから!!何回でもいうよ!!恋愛!!結婚!!!するの!!僕たちは!!!」


突然の宣言に腕の中のアイリスが固まったのが分かった。そんなのもお構いなしに僕は言葉を続けていく。


「さっき僕のことが好きって言ったよね?僕じゃないと嫌だって言ったよね?言質とったから覚悟して!僕だってアイリスじゃないとダメだから!七歳から十年間ずっと、ずーーーっと好きだって言ってたのに……まさか僕の想いがそんな噂に負けるなんて……」

「……ぇ、ぁ……の?」

「っていうか鉱山の話も伯爵が勝手に……っていう言い方はあれだけど好意で僕に譲ってくれたものだし、告白されてるって話はまぁ……事実ではあるけど全部きっぱり断ってるし、アイリスに余計な心配かけたくないから黙ってたのは謝るけど……それで誤解されてたんじゃ意味ないや」

「ぇ……ぇ……?」

「アイリスは可愛いし、綺麗だし、僕にとっての天使で女神なんだよ。本当は今すぐにでも届けを出して夫婦になりたいのを我慢してるんだよ?なんなら僕が持ってる婚姻届みる?あとはアイリスの署名が入ればいつでも出せるようになってるやつ」

「……婚姻届……」

「そもそも前提条件がおかしいんだよ。偽物の好意?百パーセント純粋な愛しかないけど????」

「……」


抱き締めていた腕をほどいて身体を離すと、今の話を受け止めきれていないのか唖然と僕を見上げるアイリスの頬を両手で包む。


「アイリスが信じられないなら何回も何百回も言ってあげる。不安ならいつでも、どんな時も側にいる。僕が好きなのは目の前にいるアイリス、君だけだ」

「……ルパート様……」

「だからもうそんな噂に振り回されないで。気付けなかった僕も悪い、君がそんなにも苦しんでたのに……ちょっとアイリスに冷たくされたからって落ち込んで」

「ちがい、ます……私が、あんな態度をとっていたのは……ルパート様からの好意が辛くて……偽りなのに、喜んでしまう自分が惨めで……」

「……人目を気にしていたのも?」

「ルパート様の隣にいるのが、私みたいのでは……きっと御迷惑になると……」

「……そっか、ごめんね、アイリス、本当にごめん」

「……っ」

「今からでも遅くないかな?」

「……」

「アイリスが楽しみにしていた僕との学園生活、今からやり直しさせてくれる?」

「……っ……は、い……!」


アイリスの瞳には光が戻り、再び滲んだ涙が溢れ出して流れていく。泣き止ませようとその目尻にキスを落とせば何故だか余計に泣かれてしまった。


ーーーーー


アイリスが落ち着くのを待っている間、アーサーたちの到着が遅いことに疑問が浮かぶ。


「そういえば、なんでアイリスはここに僕がいるのわかったの?」

「えっ、と……その、午後の最初の授業が終わったあとルパート様と、同じ学年の女性がいないという話を聞きまして……もしかしたら、いよいよその時が来たのかと、思いまして……居ても立ってもいられず、貴方がお気に入りの場所をしらみ潰しに回って見つけました」

「……ん?」

「え……?」

「午後の最初の授業のあと?」

「はい」

「えっ!?アイリス、君授業放棄したの?!」

「……結果的にはそうなりました」

「っていうかまだそんな時間なの?!今何時?!」

「よぉ、少しは反省した……え、アイリス嬢……?」


ポケットの懐中時計を取り出す前に、聞き慣れた声が後ろから聞こえる。振り返らずとも分かる友人の声に、今が放課後なのだと悟った。



「……アイリス・オブ・ターナー……」


友人の声に続き、囁くようにアイリスの名を呟く女性の声。振り返って確認すればアーサーの隣には先程の女生徒がおり、上手く隠しているようだがこちらを、アイリスを見る目には嫌悪や怒りといった負の感情が見え隠れしていた。落ち着いたとはいえ先程まで泣いていたアイリスの姿を見せたくなくて立ち上がってベンチの後ろへと回り込む。アイリスの姿を隠すようにベンチの背もたれに寄りかかるように立った。


「あー……何?そっちの問題は解決した感じ?」

「まぁ、アイリスとはまだまだ・じっくり・それはもうゆっくりと話をしなくちゃいけないんだけど、根本的な問題は解決したかな」


僕の言い方から何かを察したアイリスが身を震わせる。覚悟しておいてね、という意味も込めて微笑めば頬を染めてそっぽを向かれてしまった。可愛すぎるな。


「……で、話を聞いた限りそちらの方が今回の元凶かな?」


自然と鋭くなる視線を向けた先にいた女生徒は怯えたように一歩下がるも、アーサーが逃げ出さないように背中に腕を伸ばしたおかげでその場に踏みとどまった。恐らく彼女がアイリスに噂を流した張本人だろう。ただ、先ほどアイリスは()()()()()()()()()()()を聞き、更に()()()()()()()()()()というとんでもない噂を吹き込まれている。午後に()()()()()()()()()()()()()()()()という話からもその噂を流したのは彼女ではないはずだ。何人かは分からないけれど協力者がいる。


「単刀直入に聞くけど、アイリスに根も葉もないこと吹き込んだのは君だね?ジェシー・ライ・シンプソン嬢」


確認のために呼んだ名前に何故だか彼女はひどく動揺しているようだった。


「……なんで、名前……さっきは」

「あぁ、一応学園の人たちの顔と名前は覚えてるからね……ただ女性に関しては思い出すのがちょっと時間がかかって……さっき傷ついた顔をしてたみたいだし、僕の言い方も良くなかったからそれは謝罪しておこう」


胸に手を当て頭を下げる。女性の名前を思い出すのに時間がかかるのはアイリス以外の女性に全くと言っていいほど興味がないからだ。正直同じ顔にしか見えないし、社交界に出たときに必要があるとはいえ変に作られた声や表情が好きではない。しかしそうは言っても面識があった人に対していきなり『どなた?』はまずかった。アーサーを言い訳にする訳ではないが表向きではない素の僕が出ていたことも災いした。


そして彼女の名を思い出すときにもう一つ、思い出したことがあった。


「……アーサーにこの件に関して僕に責任があるって言われて……そして君のことを思い出して、可能性があるとすれば、僕に振られたことによる逆恨みかなって思ったんだけど」


頭を上げて彼女の顔を確認する。悔しそうなその顔に僕の考えが間違っていないことを確認するが、彼女の怒りの矛先はまだアイリスに向かっていた。


「……ルパート様には彼女などふさわしくありません!!家柄も劣り、使えるような土地や財産も無いではありませんか!見た目も華がなく地味で不釣り合いなのを分かっておられないのですか?!」

「じゃあ何?僕と同じ侯爵家で、リゾート地と呼ばれる領土を持ち、見た目にも自信がある自分が隣に居れば文句ないとでも?」

「少なくともこうやって影口叩かれる心配はございませんわ」

「ふぅん?君が影口流さなければもともとそんなもの無かったけどね?」

「あら、わたくしでなくともよくない噂はもともとありましたわ。火のないところに煙は立ちませんことよ」


饒舌に語るシンプソン嬢に隣に居たアーサーを見る。彼は小さく首を振っていたが、アイリスに近い僕たちにそんな噂が聞こえないのは当然だろう。


「いい加減、その見かけだけの関係を止めてはいかがでしょうか?望んでもいない婚約だからこそ、ルパート様も他の女性と逢瀬を繰り返していたのでしょう?」

「気安く僕の名前呼ばないでくれる?……それに……逢瀬?」

「あら、やはり隠しておきたいものですのね?隣国の公女との密会は何度もしていらっしゃるでしょう?わたくしだけでなく他の方々も知っている事実ですわ」

「……」


初耳だ、とでも言いたげなアーサーの視線が刺さるがそれに関してここで僕の口から言っていいものか僅かに逡巡する。しかしその躊躇いも袖口を引かれる感覚にすぐに吹き飛んでいった。


「……それは僕じゃなくて弟のエドワードだよ」

「そんな嘘が通じるとお思いで?」

「確かに僕も公女に会ったことはあるよ、それも公式にはされてないけどね……どこで漏れたんだか」

「……ルパート様……」


か細い声が僕の名前を呼ぶ。また不安にさせてしまったことは後で謝らなければならないな、と考えつつ安心させるようにアイリスに微笑んだ。僕には何の後ろめたいことなどないのだから。


「……公女とエドは近々婚約するんだ。僕が会ったのはその顔合わせの食事会の時だけだよ」

「おぉ、そうなのか、めでたいじゃないか」

「そんな……わたくしがルパート様を見間違えるはずが……っ」

「エドとは年子だし背格好も結構似てるんだよね。君がどこからその密会をみていたのかは分からないけど……」


自らが密偵のような真似をしていたことを暴露してしまったシンプソン嬢は急いでその口を閉じるも、ここにいた三人が証人となったことにより、発言を取り消すことは出来ないだろう。エドと間違われてそんな噂があったことも初耳だが、間違うのも仕方がないとも思う。エドは僕たちの国立学校ではなく、隣国に留学し、そちらの学校に通っている。そこで婚約者の公女と出会ったのだが、それは今は置いておこう。つまり、アーサーやアイリスみたいに僕と親しい人でなければ年に一回も会わないということだ。


「まぁ、その身に覚えのないバカげた噂とやらは今後一個ずつ消していくとして……大事にはしたくなかったけど、エドの件に関してはやり過ぎだね。僕の方……ロイド侯爵家として正式に抗議させてもらうよ」

「……っ」

「あと君の協力者……この感じだと僕と関わりがあった人たちだろう?分かる範囲で吐いてもらうから」


スカートを強く握りしめ身体を震わすシンプソン嬢を一瞥する。この程度で済んでよかったと思うべきだろうか。噂を流すだけじゃ飽き足らず、直接アイリスに手が出されていたかもしれないことを考えると身体の奥底から恐怖と怒りが込み上げてくる。


「……んで……なんで、わたくしではダメなのですか!何がその女に劣っていると言うのです!?」


半ば逆切れとも言えるその言葉にギリギリで耐えていたものがついに決壊した。アーサーがそれに気付きシンプソン嬢を止めるも、もうすでに遅かった。


「……君は自分の想いだけを大事にして()のことは何一つ考えていないよね?」

「ですから、わたくしとの婚約にはあれだけのメリットがあると」

「違うよ、そんなこと聞いてない。俺の気持ちはどうなるの?って聞いてるの」

「……そんなの、一緒に居れば自然に……」

「一緒に居れば自然に?まぁそうなることもあるよね、きっと。それが政略的に結ばれたものなら尚更ね。まぁ最悪な結果を生むこともあるけど。っていうかそもそも君が言う財産とか家格とか、そんなこと俺にとってはどうでもいいってことにいい加減気付いてくれない?例え君が侯爵家より上の爵位を持っていたとしても何一つ魅力的に思えない。貴族としての義務を果たして自分の家族や領民が豊かに暮らしていければそれ以上のものは何も望んでいない。俺が唯一望んでいることは、隣にアイリスがいることだけ」

「……そんなのっ」

「そうだよ、これは俺の我儘だ。七歳の時に使った最初で最後の我儘。より良い家との繋がりを作っていくことも確かに大事だとは思うけど、幸いにも俺の家はそれ以外のことをとても大切にしているからね」


事の顛末を心配そうに見守っているアイリスの頭に手を置きゆっくりと撫でる。唐突な行動にアイリスはこちらを見上げると、その瞳が揺らいでいることに気づく。また変な思い違いをして不安になっているらしい。上手く噛み合わないものだ。


「俺の中で一番優先されるべきものはアイリスだから、君がどんな条件を付けようが御託を並べようが無駄だってこと。それに君はアイリスに手を出した時点で俺の中では存在を消したも同然だから……大切に育てられた他所様のご令嬢に言う台詞ではないと思うけど……ゴミ以下の存在にこっちもいつまでも相手してらんないんだよ」


自分でも信じられないほどの冷たい声が響き、それを受けたシンプソン嬢は漸く折れたらしい。座り込んでしまった彼女をアーサーに預け、僕とアイリスは先に屋上を出た。アーサーには明日にでも『なんでも言うことをきく券』を渡そうと思う。家柄的にこういった対応に慣れているとはいえ面倒を押し付けてしまった罪悪感がずっと後ろ髪を引いていたから。


―――――


「……さて、アイリス」

「あの、ルパート様、本当に申し訳……」

「え、謝らないでよ。寧ろ僕の方でしょ謝るのは」


迎えに呼んでいた馬車に乗りこむと並んで座ったアイリスの手を取り向かい合う。先ずは一番知りたいことを、先ほど言った言葉が間違いではないことを確認したかった。


「その前に、アイリス、君は僕のことが好きなんだよね?このまま、僕と結婚してくれるんだよね?」

「……はい、お慕いしています……ご迷惑にならないのであれば、私をどうかそばに置いてください」

「……忘れないでねアイリス。僕は七歳の時からずっと君だけを見ていたんだ。どうしようもなく好きで、愛しくて、片時も離れたくないぐらいに。だから迷惑とか、自分を卑下するような言葉はもう使わないで。不安にさせちゃった僕が悪いんだけど……これから、一生をかけて今まで以上の愛をアイリスに伝えていくから」

「……は、い……っ」

「人目だって気にしなくていい。アイリスは可愛いんだから自信もって。今のアイリスも十分可愛いけど、プレゼントするからもっとたくさん着飾って可愛い君を僕に自慢させてよ」

「……っ」

「好きだよ、アイリス。大好き、愛してる」

「わ、たしも……私も大好きです、ルパート様……」


今日何度目か分からないアイリスの涙を拭う。僕も漸く安心したのか、アイリスに対する気持ちが溢れて止まらない。拭った手を頬に添え、少しだけ上を向かせる。一瞬絡んだ視線をそのままに顔を近づければ、アイリスは静かに目を閉じた。


―――――


その後、一先ず目の腫れを癒そうと僕の家へアイリスを連れていくと、運悪く両親に見つかり説明という名の尋問大会が始まった。応接室の真ん中に座らされると父には詰めが甘いとこっぴどく叱られ、アイリスをその手に抱いた母と妹の射殺さんばかりの視線に耐える。


あまりにも辛いその時間に途中でアイリスに助けを求めると彼女の鶴の一声で一時的に解放されたが、アイリスが帰った後に再び地獄が始まるだろう。


七歳から続くアイリスとの物語は、この先幸せなことしか綴らないと、僕の全てをかけて幸せにすると改めて誓った。



お付き合いありがとうございました。

初めて書いたものですので色々と拙いところはありますが、想像したものを文字に起こすのは楽しいですね。


また何か書ければいいなと思ってます。

ありがとうございました。

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