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第08話 森の主エンシェントバック



 初めてエンシェントバックを見た。神秘的な、なにかを感じる。そうオーラがある。


 なぜ初見なのにそれが分かったかというとエンシェントバックについては本で読んだことがあったからだ。

 その体は美しい真白の体毛で覆われており、体長は3~4m。

 筋肉の塊みたいな体をしており、中でも前腕は大きく肥大している。

 ほかに手を握り拳の状態にし地面を突くナックルウォーキングと呼ばれる四足歩行をするという。

 人に似た顔をしており、この森の主だと書いてあった。

 さらに先ほどの止まない咆哮。

 本に書かれていたとおりならエンシェントバックが怒っている状態だ。

 その声が聞こえた場合、森に絶対入ってはならない。森にいる場合はただちに森から出ること。

 たとえ上級の冒険者パーティーでも倒すことはかなり難しいだろうと書かれてあった。


 攻撃的な目、興奮している呼吸、先程の咆哮。

 なぜかは分からないがエンシェントバックは怒っている様に見える。


 やばいやばいやばい。とにかくこの場を切り抜けないと。


「ウゴォォォォ!!」


 エンシェントバックが自分の巨大な腕で辺りを薙ぎ払う。

 威力がおかしい。腕に当たった周りの木が折れ、バッタバッタ倒れて行く。


 俺は回避行動をとるが、とらなくても当たらなかっただろう。

 なぜだ?威嚇か?


 エンシェントバックは折れた木を持ち、槍投げのように尖った面を向けこちらに投げてきた。

 木は重さを感じさせないが如く、物凄い速さで飛んでくる。


 木を折ったのはそういうことか。

 なんとか回避する。飛んで来た木は別の木に当たり、あまりの威力に当たった木は大破した。


 やべ〜当たったらああなるのか。いや木であれだ。人間なんかに当たったら木っ端微塵になるだろ。


 距離を取り、逃げようとするが、エンシェントバックは跳躍し、一気に距離を詰めてくる。

 プラチナムスライムを狩るのに夢中で森の深いところまで来てしまっていたので逃げるのにも時間がかかる。


 距離を詰められ先程と同じように木を折り、投擲してくる。

 幸い20以上のレベルアップをしただけあり、身体速度は高くなっていたのでなんとか避けれている。

 しかしずっとこのままではいつか消耗し、殺されてしまうだろう。


 やるしかないのか?しかしやったところで勝てるのか?

 どうにかして切り抜けられる方法はないのか?

 さっき使った超幸運(フォルトゥナ)の効果はもう無くなっている。


 超幸運はあと一回使える。

 だが使えばどうにかなるのか?まだこのスキルについては全然分かっていない。

 分かったことといえばカジノで、絶対当たらないと言われてたのを当てれるようになるということくらいだ。

 あれは分かりやすかった。6553600分の1という確率があった。

 今はどうだ?確率なんてものはあるのか?

 でもこのままだと死ぬだけだ。使えば生きて帰れるかもしれない。


 必死に敵の攻撃を回避し続け、思考を巡らせる。

 回避し続けた末、エンシェントバックの周りには木がなくなり、投擲の手は止まった。

 その瞬間


「ウガァァ!ウゴォォォォ!!」


 この至近距離での咆哮はやばい。

 あまりの音の大きさに耳を塞ぐ。



 咆哮と共にエンシェントバックの体毛がみるみる赤くなり体が小さくなっていく。

 4m程あった体は2m程になり完璧な二足立ちに変わり、人のような姿形になった。

 特徴である前腕の大きな肥大は残っているが体長同様に少し小さくなっている。

 重いのかは分からないがだらーんと腕を伸ばしている。

 そして纏っているオーラが変わった。先程はどこか神秘的な感じだったが、今のオーラは荒々しく、とんでもない殺意が感じられる。


 くそ、いよいよとうとうやべーぞ。俺がなにをしたってんだよ!


 エンシェントバッグが歩き出そうと足を踏み出した瞬間姿が消える。

 えっ!?どこにいったんだ。

 そう思った刹那、目の前に突如現れ、大きな腕を振りかぶり、俺を殴りつけた。


 魔法障壁を張っていた為、直撃は免れたが、たったの一撃で魔法障壁は壊れてしまう。

 直撃はしていないが衝撃で後ろに吹っ飛ばされた。

 とんでもない威力だ。それに今のは瞬間移動か?いや早すぎて視認できなかったのか?


 強すぎる。こんなの絶対に逃げれるはずがない。

 ・・・嫌だがもうやるしかない!



超幸運(フォルトゥナ)】発動!!



「よっしゃあこいやクソ猿!!」


 大きく叫び、自らを鼓舞する。


 こいつを殺すしか生きて帰る道はなさそうだ。

 気合いを入れ、腹をくくる。




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