第02話 謎の本
帰路の途中、遠くの方で明かりが見え、賑わっている場所が目についた。
大通りの横の細い道を入り少し歩く。目的地である自宅の方とは真反対だが、気分転換ついでに行こうと思った。
細い道を歩く。時間にして15分くらいだろうか。その間、パーティーでの思い出や自分の弱さついて考えていた。
そうしているうちにだんだんと道が開けてき、やがて大きな道になった。
その道は賑わっており、屋台、露店、雑貨、売店、移動販売のお店などが道の左右に鎮座している。
「今日はやっぱり夜市の日だったのか」
夜市は月に数回、この大通りで不定期で行われている。
「やっぱ色んな店があるな。 ちょっと見て行くか」
そう言いつつ、つい癖で振り返るが、仲間はどこにもいない。果たしてひとりに慣れてしまうのが先か、新しい仲間が見つかるのが先か。賑わいとは裏腹にまたズンと沈む気を紛らわせるように、屋台で飯を食いまくる。
そうやって夜市を巡っていると、本を売っている露店があった。
俺は本が好きだったので寄ることにした。
店はこじんまりとしており、年寄りのおじいさんが店番をしている。
「いらっしゃいませ。どうぞ見ていってくだせえ」
そう言われ、陳列されている本を一つ一つ手に取り面白そうなものがないか確認する。
う〜ん微妙だな。あまり面白そうな本はなさそうだ。
そう思い最後の本を手に取る。ざっと500ページはあるであろう分厚い本だった。
タイトルを見ると、まったく見慣れない文字で書かれており、読めなかった。
「あぁお客さん。その本ねぇ、なにが書いてるか分からないんですよね。見たこともない文字ですし、売り物にもなんねえので差し上げますよ」
「えっ!? いいんですか? ありがとうございます」
店主の厚意にすぐ甘える。本の中はまだ見ていないので、帰ってから読むことにした。
ただこのまま立ち去るのは失礼かなと思い、欲しくはなかったが別の本も一冊購入し、家に帰った。
家に着き、早速本を開く。
タイトル不明。その本文も読めない文字で書かれていた。
なにが書いてあるかは不明だが、ざっと全てのページに目を通す。
はぁ。タダで貰ったのはいいけど、ゴミを押し付けられただけなんじゃね?それに買いたくもなかった本まで買ったし。あのじいさん中々のやり手なのか??
と考えていると突然本が光りだした。
なんだこの光は!?
その光と共に頭の中に情報が流れ込んでくる。
【スキルの書[超幸運]】
"通読完了"
"スキル、超幸運を取得しました"
・・・はっ??えっ??
スキルを取得した?
この本を読んでか?ってスキルの書!?
噂で聞いたことがある。読むだけでスキルを取得できるという伝説の本だ。
しかもそのスキルは本を読むことでしか手に入らない唯一無二のスペシャルスキルだという。
伝説上の存在だと思っていたがまさか本当にあったとは。