表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

 あなたがこの村にいたのは三年程。

 その間、鬼畜のクソ親父のせいでぶっ壊れた心のせいもあって、あなたはこの村をちゃんんと見る事も知る事もしなかった。

 最初に言っておくけど、私は初めからあなたの事を恨んでいたわけじゃない。何故なら、私もちゃんと理解していなかったから。それを知ったのは、まさにあなたがこの村を出る決意をした頃。私はその時初めてこの村のシステムを知った。


 私もあなたも仲間だった。同じよそ者という共通項。

 だからこそお互いちゃんと知り得なかった部分があった。でも、あなたのは父親は知っていたみたいね。ここがどういう村か。ここで何が出来るか。


 夜這い、って言葉ぐらいは聞いたことあるわよね?

 もう現代においては死語と言ってもいい慣習。この村にはその慣習が残っているの。しかもそれを改悪した形で。


 こんな小さな村なのに、人口が過疎化しない事を不思議に思った事はない?

 ここには老人もいるけど、若者も少なくない。ちゃんと一定数の人口が保たれ続けている。

 この村の記憶があなたの頭の中にどれだけ残っているかは分からないけど、あなたがいる間に、外部から人が訪れた事はあった?

 

 ないの。

 この村に外部からの人間が来ることは、ほぼないの。

 でもだからって排他的ではないのよ。私の家族だってそうだった。来るものは拒まないの。男であれ女であれ、老人でない限り利用価値はあるから。


 つまりはこういう事。

 村で選ばれた女性が、定期的にこの村の神となる。

 神は毎夜誰かも分からぬ村の男を受け入れる。命を生みだし続ける装置として。

 普通に結婚して、普通に子供を宿せばって?

 ダメダメ。恋愛感情に頼って子供を待ってたら村が滅びかねない。絶対的に安定的な命が、村を存続させる為には必要なの。そうやってこの村は生き残り続けた。


 そして、私が今この村の神。

 選ばれたのは、あなたがこの村を出ていってまもなくしての事だった。


 あなた村を出ると言った前日にその知らせがあった。私が選ばれるかもという事。そして、あなたも対象になっていた事。今回の神は、私かあなたかのどちらかだった。

 当時の私はひどく混乱した。どうして? 神? 何それ? 本気で言ってるのって?

 代々神の役目は生粋の村の血筋のもので行われてきた。しかしこの村の特徴的な所として、決して外部に対しては排他的ではないという事。それ故に、今回の神は実験的に外部のものに勤めさせようという事になった。

 だから、あなたと私。よそ者である私達よ。

 しかし、結局村を逃げ出た事であなたは神の選抜を免れた。必然的に残った私が神として選ばれた。


 少なからず、私だってあなたの事を友達だと思っていた。だけど、寸での所であなたは何も知らずに、自分一人だけ無事にこの村を出ていった。これから後何年も、男達に蹂躙される事が運命づけられる私とは違って。

 それでも情はあった。あの頃の私は迷っていた。どうにもならない感情を治めるために、何度もあなたへの感情を書き殴りは捨てを繰り返した。でも結局は我慢できなかった。


 あの時、あなたの腕を無理にでも引っ張れば、運命は変えられたかもしれない。

 後悔したわ。情で判断なんてすべきじゃなかったって。あなたを残したとしても後悔はあったかもしれない。けど実際に神となってからは、少なくともあの手紙をあなたに渡した事に対しての後悔は一切搔き消えた。


 視覚、聴覚、嗅覚を奪われた中で、男に身体をまさぐられる事の恐怖。それでもしっかりと身体は反応してしまう恥ずかしさ。

 父親に犯されたあなたなら、ちょっとは分かるでしょ?


 恨みしかないの。

 私はあなたの代わりに神に成らされたの。

 都会で悠々自適に暮らし、自由を得る事の出来たあなたの代わりに。


 私は神となった。この村では、夜以外は丁重に扱われる。寝食に困ることはない。

 でもね、もう人じゃないの。

 村の勝手な決まりで、勝手に神としての勤めを強制させられる。


 神なんて、いない。

 神は人間のわがままで創られた、人間の為だけに都合のいいシステムへの呼称でしかない。反吐が出る。


 だからせめて楽しんでるわ。

 おかげさまで、男には困らないからね。

 産み続けさえすれば、私は神という名を借りて、女として存在しうる事が出来る。


 分かった? これが全ての答えよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ