英雄に憧れる2人の子供03
「ヒナタ」
「大丈夫 それにしても あの子達は 私達よりも年下だったのに レベルも私達より低かったのに」
ショウとヒナタはとぼとぼと歩いていく
そして 教えてもらった孤児院に着くと
元気な子供達が走り回っていた
困窮した生活をしている人々は孤児院の子供達を助ける余裕はない
孤児院の生活は特に酷いのは常識なのだが
ここの孤児院の子供達には 眩しくて目を塞いでしまうほどの 光が 希望が満ち溢れている
「あっ あの子 レベルが高いわよ」
「ほんとだ ギルドにいた冒険者よりも高いね」
ヒナタがレベルの高い女性に話を
「ここに 英雄様が現れると聞いたのですが いらっしゃいますか」
「ふっふっ さっきまで いましたが 旅立っていかれましたよ 私達を救ってくれたように 他の街を救いに」
ショウが「あの その英雄様は 第4の英雄様なのですか」
「ふっふっ そうですね アデル君も リディちゃんも 第4の英雄様と名乗っていましたね」
ショウが「ムッ アデルにリディって ねぇ ヒナタ」
「そうね さっきの子供達の名前と同じね」
「あら お会いになったのですか ふっふっ」
「あの子達の どこが 第4の英雄なんですか 第4の英雄様は男で18歳 最強の魔法使いって噂ですよね」
「私達にとっては アデル君が リディちゃんが英雄なんですよ そして この街の人々にとってもね」
「あの2人が何をしたんですか 強い魔物を倒したんですか」
「いいえ 私達にオークの肉を分けてくれました 私達に調理の方法を教えてくれました そして私にオークを倒せるように稽古をしてくれました」
「えっ それだけ」ショウとヒナタが同時に呟き そして 顔を見合わせる
「はい それだけですよ ふっふっふ」
ショウが「俺ならもっと強い魔物を倒せる」
ヒナタも「私だって」
「ふっふっふ 英雄とは人々に 光 そして 希望を与えられる人のことなんですよ アデル君とリディちゃんは私の英雄です」
「ねぇ ヒナタ どう思う」
「分からないわね オークを孤児院に寄付しただけで 街全体が救われるはずがないもの」
ショウとヒナタは孤児院を後にして 中央通りに来ていた
「あれっ ヒナタ ほら あの店」
「ほんとだ リンゴを盗まれた店よね 何もないわね まさか 全てを盗まれたのかな」
ショウとヒナタが店のおじさんに聞いてみると
2人の子供が全てを買ってくれたのだと 急いでいて金を払い忘れていた子供の分の金も払ってくれたと
そして おじさんは笑いながら きっと あの子達が噂の第4の英雄様だねっと
ヒナタは聞いた どうして っと
おじさんは その後の話をしてくれた
リンゴを盗んだ子供が謝りに来たのだと そしてバツとして 明日から 店の掃除を一ヶ月することになったと
それも自分から言い出したそうだ
盗みはダメだが 盗んだ子供の体はやつれていたのだと 生きるためには 食べるためには 盗むしか方法がなかったのだろうと
英雄様のおかげで 今日から孤児院に住めるようになったって言ってたよ 俺もたまには孤児院に寄付でもしないとな っと笑いながら話してくれた
英雄に憧れている ショウとヒナタ
英雄と呼ばれるために強い魔物を倒しながら旅をしている ショウとヒナタ
英雄とは武勇にすぐれていて 誰も成し遂げられない偉業を達成する者のこと 誰も倒せない魔物を倒せる者のことだと思っていたのに
・・・
人々が求めている英雄と
自分達が目指す英雄とは何かが
・・・
「ねぇ ショウ」
「何 ヒナタ」
「とりあえず 孤児院に寄付しにいかない」
「そうだね」