#3 A new Encounter
王都は非常に遠く、昼間に山を出たというのにも関わらず王都に着いたころには夜が明け朝日もとうに登りきっていた。
学園の入学試験までは時間があったのでとりあえず近くの酒場で時間を潰すことにした。
この世界では成人となるのは18歳なのだがお酒に関する年齢制限などはなく酒場と言えどファーストフード店と大差なかった。僕はワインのような香りのする果実酒を飲みながらこれからについて1人で考えてた。
すると、店の外からふと声が聞こえた。意識を傾けて聞くと20歳ぐらいの複数の若い男の声と僕と同年代ぐらいの女性の声であることが分かった。この世界にもナンパは存在しているのかと半ば呆れながらも店主へ酒代を支払い外へと出た。
すると予想通り、複数の男が女性を取り囲んでいた。
「おいお前ら、そこまでにしておけ。」
「誰だお前は」
1人が叫ぶ。この距離なら叫ばなくても聞こえるはずなのだがそれほど興奮していたらしい。
僕が喋ろうとした瞬間足元が凍りついた。
「おあいにくさま。手を出した相手が悪かったようね。」
「この女、魔法使いだ。」
顔が青ざめながら男達が口々に喋る。その女性は魔法を解くことなくその場を歩き去っていこうとした。
「お願いだ助けてくれ。」
先ほどまで威勢のよかった男達は泣きそうな顔をしながら必死に助けを求めている。しかし、女性が後ろを振り向くことはなかった。
なぜかは知らないけど助けに入ったはず僕まで足を氷漬けにされていて動くことができなかったので、賢者の持つ人並外れた精霊力で他者の魔力で働いていた精霊を使役し自分だけ氷を溶かしてさっきの女性を追いかけた。
「なぜあなたが今ここにいるの!」
女性がそんなに驚いているのか僕にはあまりわからなかった。
「なぜって言われても...今日は入学試験があるからかな。」
「そうじゃなくてどうやってあの魔法をといたのってことよ。」
ちょっと怒っている。その様があまりにも可憐でついドキッとしてしまった。
「えっと、精霊たちに力を貸してもらってだけど。」
「なるほど、あなたも魔法使いですのね。それでも...」
若干不満そうではあったが納得してくれたようだから僕は話を続けることにした。
「ところで君もあの王立魔法学院の受験生なのかな。」
「当たり前でしょ。そして、私にはリン=エインワースって名前があるの。二度と君なんて呼び方をしないで。」
自分だってあなたって呼び方をしていたくせにと思いながら口には出さなかった。
「僕はエド=アンブローズ。これからよろしくね。」
「あなたみたいな人が受かるわけないでしょ。なんせ今年はアーサー王子にくわえ大賢者様のお孫様がいるのだから。」
大賢者って僕とマーリン以外のもう1人の賢者のことかななんて考えつつ歩いた。お互いにかなり気まずい雰囲気ではあったが、目的地が同じだったので必然的に一緒に歩いていた。
「ここが王立魔法学院よ。ま、せいぜい頑張りなさい。」
そう言って彼女は去っていった。どうやら受験人数が多いこの学園では複数のグループに別れて試験をおこなうようである。僕は正面にある入口で試験官と思わしき人に受験票を見せ試験会場へと入っていった。