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賢者とよばれた愚か者  作者: 九条ゆう
1/4

#1 Loved by Spirit

賢者は知識からそれを学び、愚者は自らの経験からそれを学ぶ。

そう聞くと賢者のほうが愚者よりも優れていると捉えるかもしれない。

だが、実は自らの経験から学ぶ愚者こそが真の賢者と呼ぶに値するのではないだろうか。

これはその言葉を体現したある世界のたった1人の少年とその周りで起こった物語である。

僕の名前はエド=アンブローズ。昔は医学生をやっていたがひょんな事からこの世界に転生を果たしてしまってはや15年。つまり現在15歳である。

こちらの世界で赤子となって転生をしたところ実の親に捨てられてしまい、死を覚悟したところ

マーリン=アンブローズというたまたま通りかかった老人によって拾われ何とか一命を取り留めることができた。

動こうにも産まれたての赤子の体では歩くどころかハイハイですら難しく、喋ろうにも声帯があまり発達しておらずマトモな言葉を発することができないうえに、そもそもこの世界の言語が分からないため何も出来ずごく普通の成長過程をおくっていた。

とはいえ仮にも20年近く人として生活していたにもかかわらずただ赤子として生活することは何か癪であったのでまずは言葉を覚えようと人知れず努力を重ねていた。

そうして生活していると今度の世界では魔法というものがあることを知った。

それを知ってからは将来が楽しみでしかたなかった。

5歳となり魔法を教えてもらえることになった。

マーリンは賢者とよばれる魔法使いの中でもかなり特殊な存在であるらしく、魔法というものについて詳しく教えてもらうことができた。

魔法というものはこの世の様々なところにいる精霊を使役することによって事象改変をはかるもので原則等価交換であるとされている。

魔法の行使には精霊を集める支配力、代償として支払う魔力、実際に事象改編をさせる干渉力の少なくとも3つが必要であり、その他にも大きな魔法を放出するための放出力など様々な成分を必要とするらしいのだが、賢者とよばれる存在は精霊に愛され魔力を必要とせずに他の人よりも強力な魔法を放つため精霊に愛された存在、愛し子(いとしご)ともよばれるらしい。

賢者は一世代に3人だけ存在しており、その中から誰かが亡くなるとまた1人新しく賢者が産まれるというシステムで、賢者は初めて魔法を放ったときに己の魔力を表した華を象った指輪がその指に現れるとされている。事実、マーリンの右手の薬指には赤い薔薇の指輪がつけられており炎系統の魔法を得意としている。

また、その指輪は死ぬまで消えることはないらしく持ち主が成長すると共に指輪も大きくなっていくとされている。

魔法といえば呪文詠唱である。いくら魔法に少年心をくすぶられた僕であるが、この精神年齢で中二病のような呪文詠唱はさすがに抵抗があった。

だが、その心配も杞憂に終わった。マーリン曰く呪文というのは精霊に魔法のイメージを伝えやすくするための手段であり、必要のないものであるらしい。なので僕は無詠唱である。

だけど、2度目の人生でも順風満帆に進んでいくはずもなく問題は起こった。

7歳のときに実際に魔法を行使することが許された。初めての魔法行使は暴走防止の意味も兼ねてマーリンやその妻のエリー=アンブローズなどが見守っている状況でおこなった。

火の玉を生みだすだけのとても簡単な魔法であったはずだが周りのものはエドから一切の魔力の変動を感じることがなかった。そして発動後に右手の薬指に青い薔薇の指輪がはめられていたことに気づいていない者はおらず、誰一人言葉を発することはできなかった。

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