ゲンマのロリコン疑惑
次の日、起きると右腕にリコがくっついていた。リコはまだ子供だということもあって俺より若干体温が高い。この時期にこれは湯たんぽみたいで心地いい。そう思い、軽く抱き寄せた。そしてその瞬間、部屋のドアが開きダイヤモンドとルビーが入ってきた。
「おはようございま...えっ?えぇー!!??」
ルビーから普段聞けないような驚きの声が聞こえた。ダイヤモンドは表情からは読み取りずらいがなんかショックを受けているみたいだ。
「ちょっと待ってください。えっゲンマ様って...ロリコンだったんですか?」
「まてルビー、お前は勘違いをしている。俺はロリコンではない」
「でも私はっきりとゲンマ様がリコちゃんを抱きしめる現場を確認しましたよ。現行犯でした。ダイヤモンド様も見ましたよね?」
ルビーが話を振ると、ダイヤモンドは頷きながら俺に冷たい目線を送ってきた。
「抱きしめたのにはちゃんと理由があるぞ、起きたら肌寒かったから湯たんぽ代わりにしただけだ」
あれ?声に出して言ってみるとロリコンって言われてもしょうがない?...いやいやそんなことはない俺はノーマルだ。あんなちびっこまったく興奮しない。だからセーフ。そう心の中で言い張った。
「そんなに人肌恋しいなら私でもダイヤモンド様でも声をかけていただいたらご一緒しますのに」
ルビーが顔を赤くしながらそう言った。ダイヤモンドは驚いた顔をしていた。
「おいルビー、冗談でもそんなこと言うな。俺が勘違いしちゃうだろ」
「勘違いじゃないんですけどね...まぁいいです。実は昨日ユリさんに午前中にゲンマ様をギルドに連れてくるよう言われたのでこうして早めに来たんです。なのでゲンマ様もすぐに準備を始めてください」
「ユリさんもせっかちだなーどうせ1日1つしかクエストできないんだから午後に行っても同じなのにな」
「それが昨日聞いた話だと今日のクエストはかなり遠いところらしいので午後になると1泊しないといけなくなるらしいですよ」
「あの受付嬢昨日の腹いせに誰も受けないクエストを押し付けてきやがったのか。後で文句を言おう」
どうやって文句を言ってやろうかと考えているとダイヤモンドがフォローを入れてきた。
「しかし今回ギルドが忙しくなってしまったのは姉上様が勇者をケガさせたからなので、あまり言いすぎるのをかわいそうですよ」
「まぁそれを言われるとなんも言い返せないんだよな。まぁとりあえず準備するわ。ルビー、リコの準備を手伝ってやってくれ」
「わかりました」
「ダイヤモンドはポーション類をまとめといてくれ」
「わかりました。軽い朝食もできているで準備が終わったら食べてください」
「おう、ありがとうな」
ダイヤモンドは頷いて、準備をしに隣の部屋へ向かった。
俺も準備しないとな。今回はリコもいるから少し装備を軽くして動きやすくしないといけないと思い、ルビーがリコを起こすのを横目で見ながら俺も部屋を出て準備を開始した。
結果から言うとリコを起こしていたルビーが一番準備に時間を使った。俺とダイヤモンドは20分ほどで支度を終え、ダイニングで朝食をとっていたがいつまでたってもルビーが降りてこず、結局俺が起こしに行った。
起こし方は昨日学んだ飯で釣るやり方だった。ルビーは俺のやり方を見て、
「そんな起こし方が...」
と苦笑いをしていた。
ともかくそこから急いでリコに食事をとらせ、ギルドについたのは10時を軽く過ぎていた。
ギルドではサファイアが9時ころから待っていて、パーティメンバーが誰も来ていないことにユリさんからぐちぐち言われていたらしく俺に文句を言ってきた。
「ちょっとゲンマさん、いい加減にしてくださいよ。ゲンマさんの代わりに自分が怒られたじゃないですか」
なんか遅くなったのが勝手に俺のせいみたいに言ってきたのにムカついて少しいじめてやった。
「いや遅くなったのはリコが起きなかったからなんだけどな。...おいリコ!サファイアがお前に文句あるってー!」
そう言うとリコがこっちを向いた。サファイアは俺の言葉にかなり焦りながら
「いえ、何でもないですよ..あはは」
と笑ってごまかしていた。
こんな感じで遊んでいると後ろから頭をひっぱたかれた。
振り向くとそこにはかなり不機嫌なユリさんがいた。
「あんたさぁ、遅くなったのはしょうがないとはいえ遊んでるってどうゆうこと?なにもっとめんどくさいクエストがやりたいんですか?」
かなり怒っていた。俺はさすがにまずいと思い切り替えた。
「いえちょっとリラックスしていただけです...すぐ出発するので今日のクエスト内容教えてください」
「はいはい、じゃあこのクエストよろしく」
そう言って一枚の紙を渡してきた。そこにはドラゴン討伐と書いてあった。そしてそれはいつも通りなのでスルーした。問題は場所だった。
「あのーユリさん?隣国のドラゴン討伐が何で俺たちのギルドに依頼をしてきたんですか?」
「あぁなんかこのドラゴンがものすごい強い変異種みたいなやつでSランクパーティだと手出しできないみたい。それでSSランクパーティを複数保有するうちのギルドに依頼してきたのよ。いつもより強いドラゴンだと思うから気を抜かないことね」
ユリさんはそう言って仕事に戻っていった。
俺たちは顔を見合わせ気持ちを引き締めてからクエストに向かうことにした。