リコはかなり自信家みたいです
家に着くとダイヤモンドが出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、ゲンマ様」
「ただいま。リコは?」
「リコ様でしたら今、ケーキを食べています」
ダイヤモンドは帰りがけにケーキ屋に寄って、みんなの分のケーキを買ってきたらしい。そして家に着くとすぐさリコに見つかり、みんなが帰ってきたら一緒に食べようと提案したが頑なに今食べると言って聞かなかったため、先に食べさせたらしい。
「俺たちも頂くとするか」
「では紅茶を入れてきます。ルビーはケーキを運んでください」
「ゲンマ様はリコちゃん見ててくださいね」
「...わかった」
俺は席に着きダイヤモンドとルビーがいなくなったのを見計らってリコに話しかけた。
「リコ..お前ドラゴン倒したんだってな」
リコは何も言わずケーキを食べならら俺の方を見ていた。
「転移魔法や監視魔法は姉貴に習ったのか?」
俺が質問を重ねるとリコは食べ終わったケーキの皿を自分の前からずらして紅茶を飲んだ。そして言葉を発した。
「ケーキおかわり」
俺の話などまったく聞いていなかった。それどころかさらにケーキを欲求してきた。俺はこいつに話を聞くのは無駄だと思い、口を閉じた。
そこからお互い何も話さず目だけ合わせているとダイヤモンドとルビーが作業を終えてやってきた。
「お待たせしました。リコ様は..もうケーキ食べ終えていますね。サファイアの分が余ってますがもう一つ食べますか?」
ダイヤモンドも少しずっとリコの食欲についてだんだんわかってきたみたいで、優しく聞くと
「まだぜんぜんたりない」
リコが遠慮せずに言った。
「そうですか。でも夕飯もすぐに作るのであと1つで我慢してくださいね」
そう言ってサファイアの分のケーキをリコの皿に乗せた。リコは少し不満げな顔をしながらも納得したようで皿に盛られたケーキを食べ始めた。
ルビーは他に皿にケーキを盛り各々の前に配置した。
「紅茶はまだあるので飲みたかったら言ってください」
ダイヤモンドは紅茶を淹れながらそう言った。俺は今日のドラゴン討伐のことをリコに聞かなかったが聞いたところで舌足らずのリコがまともな説明をできると思わなかったのでそれ以上問い詰めることはしなかった。
ケーキを食べ終えて、ダイヤモンドとルビーが夕食の準備をしにキッチンへ向かった。
俺はダイヤモンドに淹れてもらった2杯目の紅茶をすすった。するとリコが話しかけてきた。
「あしたは?」
「えっ???」
言葉足らずすぎて何が言いたいのかまったくわからなかった。するとリコはそれを察したのか言葉を付け足した。
「あしたはなにするの?」
どうやらクエストの内容について聞いているようだった。こっちとしてはもっと情報を与えてくれよと思いながら姉貴もこんな感じだったことを思い出し諦めた。
「明日はまだ何やるか決まっていない。ギルドに頼まれたことをやるだけだ」
そう言うと結構食い気味に
「リコもいく」
と言ってきた。なんか心なしかリコの目がいつもよりやる気に満ち溢れている感じがする。
「いや..でもお前SSランク任務だぞ?正直ルビーとサファイアを庇いながらお前も庇うのは俺とダイヤモンドが厳しいからな」
「SSランクくらいたすけなしでもへいき」
俺は何故かドヤ顔のリコを呆れた目で見つめ
「まぁドラゴンを1人で撲殺できるくらいだから手助けは必要ないわな。留守番させてもどうせ監視魔法と転移魔法でこっそりついてくるんだろ?」
そう聞くとリコは軽く頷いた。
「なら連れてくよ。後ろの方で見てるだけだからな」
こうしてリコを明日のクエストに連れて行くことが決定した。そして頭の中で色々考えているうちに夕飯の時間になった。