犯人は....!!!!!
泣きついてきたサファイアを落ち着かせ、これまで起こったことを説明してもらう。すると衝撃の事実が発覚した。
サファイアの話を要約するとこんな感じらしい。
ダイヤモンドが家を出たあとサファイアは寝室にリコの様子を見に行った。
ドアを開けるとそこには監視魔法を展開させているリコがいた。そして気づいた時には手足が拘束されていたらしい。
焦ったサファイアは大きな声で助けを呼んだ。しかし家には誰もいない。リコはめんどくさそうにサファイアに猿轡を噛ませた。そしてそのまましばらくベッドの上に放置されたらしい。
リコは監視魔法で俺のことをずっと監視していた。そして俺がドラゴン討伐をやることを決めるとそのクエスト用紙に監視魔法のピントを合わせてクエスト内容を確認すると転移魔法を発動した。なぜかここでサファイアも一緒に転移させられたらしい。
転移魔法でこの遺跡に着くとすぐにドラゴンが襲いかかってきた。リコはそのドラゴンに素手で挑んだ。そして最初こそ勝負は拮抗していたものの、だんだんドラゴンが押し込まれるようになったらしい。危機を感じたドラゴンは逃げようとしたが、リコはしつこく攻撃を仕掛けた。やがてドラゴンはリコから逃げきれずに撲殺された。リコは撲殺したドラゴンに転移魔法をかけ、どこかに飛ばしたらしい。
そしてサファイアのところに戻ってきて、
「ごめん、まりょくきれた。ばいばい」
そう言って自分だけで帰ろうと転移魔法を使おうとした。
その自分勝手さにサファイアがジト目をしていると、リコがサファイアの視線に気づき転移魔法をやめ、近づいてきた。そしてサファイアに目隠しをして、転移魔法を使って家に帰って行った...らしい
なんていうかサファイア大変だったな..心の中でサファイアに同情した。そしてリコが間違いなく姉貴の遺伝子を継いでいることを確信した。
ダイヤモンドとルビーはサファイアの話していたことが信じられないのか、何も言い出せずに固まっていた。俺は子供のころから姉貴の[年齢にふさわしくない行動]をいくらでも見てきていたのでそんなに驚かないが、彼女たちは今まで8歳の少女がドラゴンを撲殺する話など聞いたこともないだろう。驚くのも無理はない。
「一度ギルドに帰ってドラゴンがすでに討伐されていたと報告しないとな」
そう言うと固まっていたダイヤモンドか反応する。
「そうですね。サファイアの話の真偽はともかくギルドには伝えないといけませんよね」
サファイアの話を少し疑っているらしい。
「じゃ急いで帰るか。ダイヤモンドはギルドでなく俺の家に直接向かってリコの様子を見ておいてくれ」
俺の言葉にダイヤモンドの表情が若干ひきつりすぐにいつものすまし顔に戻ったのを俺は見逃さなかった。しかしそのことについては触れないでおこうと思った。そしてダイヤモンドの後ろでほっとした表情を浮かべているルビーはとても可愛かった。
ギルドに帰ると、行く前と違い受付が空いていたのでユリさんへの報告はすぐに行うことができた。
「ユリさん。ドラゴン討伐のクエスト終わりました」
「あら、そうお疲れ様。じゃここに署名して報酬を受けとって」
「その...報酬の件なんですが、実は俺たちが遺跡に着いたときすでにドラゴンは討伐されていたみたいで、周辺の調査と宝物の回収だけしてきました。なので討伐分の報酬頂くのは少し気が引けるというか...」
「...あなたのそういう真面目なところ私は嫌いじゃないわよ。自分が討伐したってことにしておけばその分の報酬をもらえるのに」
「いえ、別にお金のためにクエストをこなしてるのではないので。でもあって困るものではないのでくれるのであればもらいますけど」
「あげるわけないじゃない。でも仕方ないから宝物の買取のほうは少し多めにつけとくわ」
「それだけでも十分ありがたいです。じゃよろしくお願いします」
そう言ってルビーのカバンに詰めた宝物を受付に提出した。
「じゃ預かるね。すぐ換金する?それともパーティ資産のほうに加算しておく?」
「パーティ資産のほうに入れといてください」
「わかったわ。じゃお疲れ、明日もよろしくね」
さりげなくユリさんは俺たちのパーティの明日の予定も決めた。
ちなみにパーティ資産とはいざというときにパーティメンバーがだれでも引き出せるようにしている資産のことである。しかし俺たちのパーティは個別の支払いのほうもかなりの額になるのでたまる一方である。
ユリさんに挨拶をしてルビーとギルドを出ると、外で待っていたサファイアが
「とりあえず帰って休みたいんで解散でいいですか?」
と提案してきた。8歳あるリコに簡単に拘束されたことが今になって響いてきたらしい。かわいそうなので明日10時にギルド集合と伝えて家に帰ることを許可した。
「ルビーはどうする?もう帰るか?」
サファイアが帰るのを見送りながら聞くと
「私は少しリコちゃんのことが気になるのでついて行ってもいいですか?」
と言ってきた。特に断る理由もないので了承して一緒に家に向かった。