ダンジョン
ダンジョンの入り口では冒険者達が立ち往生していた。様子がおかしいので話を聞くとどうやら地上層の階層主が変異種のため普通の冒険者ではどうしようもなく、ギルドに討伐依頼を出しに行っているところらしい。冒険者たちから少し距離を取り、ダイヤモンドと話す。
「階層主が変異種って初めて聞いたな。どうする?」
「ギルドに依頼出しに行ってるということは勝手に倒すのはまずいかもしれませんね。依頼の横取りでもめて時間を取られえたくないですし、待つしかないですね」
「だよな。まぁギルド側も早く対処したいだろうから判断は早いだろうしおとなしく待っているか」
水分補給などをして待つこと20分、ギルドに依頼しに行っていた冒険者が戻ってきた。
「すいません。この中にゲンマさんって人いますか?」
「ゲンマは俺だが」
「えぇーと受付のユリさんがゲンマって人に討伐してもらえって言われたんですけど...」
「やっぱりな」
名前を呼ばれたときに予想はできた。今日からダンジョンに行くってことはユリさんに伝えてあったのでたぶん頼まれるだろうなと思っていた。
「まぁ階層主は倒しておくからギルドに報告しておいてもらえるか?俺たちは倒したその足で先に進むから報告できないんだ」
「了解です。では階層主のいる手前の所で待機しているので倒したら教えてください」
「おっけー、じゃあ行こうか」
俺たちは数人の冒険者と一緒に階層主のいるとこまで向かった。
向かっている途中に他の冒険者に変異種について話を聞いた。
「表層の階層主はゴーレムだったよな?変異種ってことは水魔法が効かなかったのか?」
「はい、いつも通りセオリーの水魔法で攻めたのですが効いている様子がなく、仕方なく物理攻撃で攻めたのですがこっちの装備が壊れる始末で...ただ動きは普通のゴーレムより鈍かったので逃げるのは簡単でした」
「硬くて鈍いとなるとトルマン鉱石あたりかな。表層でミスリル鉱石ってことはないと思うが..まぁどちらにせよ倒せないことはないな」
「ちなみにどうやって倒すんですか?」
「トルマン鉱石だったら水魔法と雷魔法を同時に食らわせると素材が劣化して物理攻撃が聞くようになるし、ミスリル鉱石なら炎と氷を交互に食らわせればいい」
「へぇー勉強になります。ゲンマさんはいろいろ知ってるんですね」
深層に行く冒険者になってくるとこの辺の知識は必須なのでこの冒険者は中層レベルなのだろう。話を聞いていた冒険者は仲間の冒険者のところに情報共有しに戻ったのでしばらく歩くことに専念することにする。
幸い、階層主のいるところまでは最低限の戦闘で済んでいるので消費はほぼ0であった。戦闘に移る前に相手の姿を確認する。
「あれはトルマン鉱石っぽいな。ダイヤモンド、水魔法頼んでいいか?俺が合図したら撃ち込んでくれ」
「わかりました」
気づかれて反撃されるのも面倒なので一気に倒すことにする。ダイヤモンドが詠唱を始めたので俺のほうも準備する。
ダイヤモンドの準備ができたのを確認して合図を送る。
水魔法がゴーレムに一直線に向かっていく。タイミングを逃さないように俺も攻撃を合わせる。魔法がゴーレムに当たると同時に物理攻撃に移る。拳を強化してゴーレムに一撃入れる。よし、倒したと思った瞬間何か違和感を感じる。
「いってぇ!!」
拳に激痛が走る。いったん引いて何が起こったの確認する。
「なんだあれ初めて見たぞ」
ゴーレムの表面はさっきの魔法で劣化していたがその下にもう一層あった。
「あれは..表面がトルマン鉱石で内側がミスリル鉱石ですね」
ダイヤモンドが分析する。その分析があっているとしたら中層上位レベルの魔物である。
「ほう、珍しいな。肩慣らしとしては丁度良さそうだ。次は炎魔法頼んでいいか?俺が氷魔法で攻撃するから合わせてくれ」
そう言って詠唱を始める。ダイヤモンドもすぐさま詠唱に移った。
「じゃ気を取り直していくぞ!」
ダイヤモンドに合図を送り攻撃を開始する。今度も完璧なタイミングで炎魔法と氷魔法が交互に炸裂する。数回攻撃が繰り返されてゴーレムの表面が劣化したのを確認し、魔法攻撃をやめ、物理攻撃に移った。
「これで終わりだ!!」
ゴーレムに一撃打ち込むと今度はしっかり奥まで貫通し、倒すことができた。
「ふぅ、意外と苦戦したな」
「この階層にしては強敵でしたね。ただなぜこの階層に...」
「まぁとりあえず倒したことを報告して俺たちは先に進もうぜ」
「そうですね。先は長いので少し急ぎましょう」
ダイヤモンドが冒険者に討伐を報告している間、俺はゴーレムの残骸をリコの収納魔法に放り込んでおいた。トルマン鉱石とミスリル鉱石は上質な武器や防具を作る上で欠かせないのでかなり高く売れる。
「ゲンマ様、報告が終わったのでもう先に進めます」
「おう、こっちも終わったから出発するか。上層はさっさと終わらせて中層まで急ごう。リコ、少しスピード上げるけどついてこれるか?」
「おんぶ」
「...お前ついてこれるけどめんどくさいからサボろうとしてないか?」
「...してない」
完全に図星だったが否定してきた。しかしここで時間を使うのはもったいない。悩んだ結果、ダイヤモンドに先頭を任せて後ろからリコを背負った俺がついていくことになった。




